ケータイ用語の基礎知識
第880回:Wi-Fi CERTIFIED Vantage とは
2018年11月6日 06:00
イベント時などのトラフィック急増や、災害時のWi-Fi無料開放など、公衆無線LANが混雑するシーンは増えてきています。
そこでWi-Fi関連事業者たちは、利用者にストレスなく公衆無線LANを利用してもらうための対策を話し合い、規格を制定してきました。
Wi-Fi事業者達の業界団体であるWi-Fi Allianceがそのひとつとして2014年に発表したのが、この「Wi-Fi CERTIFIED Vantage」です。
これに認定された“マネージドWi-Fiネットワーク”は、最大の能力を活用するために必要な能力のショートカットを、プロバイダーなどの事業者に提供するとしています。
たとえばWi-Fi CERTIFIED Vantageに含まれる「Wi-Fi CERTIFIED Passpoint」と「Wi-Fi CERTIFIED ac」による容易な認証とセキュアなアクセスなどを使用すればユーザーにとってシームレスな認証と接続が可能になります。
Wi-Fi CERTIFIED Vantageに含まれるのは、他にも、スペクトルの効率的な利用とスマートなガイド機能「Wi-Fi CERTIFIED Agile Multiband」、ローミングの向上と効率的な伝送「Wi-Fi CERTIFIED Optimized Connectivity」、迅速なマルチバンド化「Wi-Fi Agile Multiband」、接続の最適化「Wi-Fi Optimized Connectivity」などがあります。
これらを活用すれば、Wi-Fi CERTIFIED Vantageで「混雑時の通信効率を改善」「電波が不安定な状況を判断し接続しない」「公衆Wi-Fiへの接続時間を短縮する」といった厳しい環境での、Wi-Fi端末の安定した対応が可能になります。
人の多い場所でも繋がりやすく
このようなコントロールが可能になると、Wi-Fiユーザーは、たとえば、空港やスタジアム、オフィス、キャンパス、小売店舗といった場所でアクセスポイントを簡単に選べるようになります。
Wi-Fiネットワークの管理者は、Wi-Fi CERTIFIED Vantageによって、シームレスでセキュアな接続や、より高いスループット、パフォーマンスを損なうことなく同一ネットワークでより数多くのデバイスを同時にサポートできる能力などを提供できるようになるでしょう。
Wi-Fi CERTIFIED Vantageを使用した実例
日本では、KDDIが、クアルコムテクノロジーズやシャープなどと共同で、2018年2月にフィールド実験を行いました。東京・渋谷区の「au Wi-Fi SPOT」の一部エリアで、その効果の実証に世界で初めて成功したと発表しています。
発表によれば、クアルコムの「Snapdragon 845」を搭載するシャープ製のテストデバイスと、ラッカスネットワーク製のWi-Fiアクセスポイントを用い、30%の通信効率改善と、最大10倍の接続速度向上効果が得られたとしています。
同社では、今回のフィールドトライアルの結果も踏まえ、現在提供中の「au Wi-Fi SPOT」をより快適に利用してもらうため、将来の「Wi-Fi CERTIFIED Vantage」の商用導入を検討するほか、さらなる品質向上に向けて取り組むとしています。