石川温の「スマホ業界 Watch」
「iPhone 14 Plus」実機でわかった、日々に馴染むメリットとiPhone 14 Pro Maxとの違い
2022年10月6日 01:00
「iPhone 14」4モデルのなかでの「Plus」
すでにiPhone 14シリーズは9月16日に「iPhone 14」、「iPhone 14 Pro」、「iPhone 14 Pro Max」が発売となっており、3週間遅れて、ようやく「iPhone 14 Plus」が発売となる。
「iPhone 14 Plus」は6.7インチという大画面が特徴だ。これまで6.7インチの大画面を選ぼうと思うと「Pro Max」しか選択肢がなかった。「大画面=カメラが3つの高性能」という選び方しかできず、単に「大画面だけが欲しいけど、値段が張るのは嫌」というニーズを受け止め切れていなかった。
そんななか、今回、6.7インチでありながら、Pro Maxではない「Plus」という、新たなポジションがでてきた。
実際に同じ6.7インチで128GBの「iPhone 14 Pro Max」と「iPhone 14 Plus」の値段を比べてみると、前者が16万4800円なのに対して、後者は13万4800円と3万円もの差がついている。
仕事で実感する「iPhone 14 Pro Max」の強み
この「3万円の差」をどう考えるべきか。
筆者は9月16日から、電話やメール、SNSなどの普段使いのスマートフォンとして「iPhone 14 Pro」を持ち歩きつつ「取材用のカメラ」として、「iPhone 14 Pro Max」も持参している。
1時間を超えるリアルな記者会見をひたすら動画撮影したり、タッチアンドトライで製品を撮影したりなど、もはや大きな本格的なデジカルカメラはほとんど持ち歩かず、「iPhone 14 Pro Max」で撮影をこなしている。
プレゼンテーションなど、どうしても遠くに居る壇上の人を撮影したいと言うときだけ、デジカメを持参し、ズームで撮影するぐらいしか、本格デジカメは使わなくなってしまった。
「iPhone 14 Pro Max」のいいところは、とにかく長時間、記者会見を動画撮影し続けても、本体が熱くなることなく、安定して撮影し続けられる点に尽きる。また、動画の場合は3倍ズーム、デジタルを組みあわわせると9倍のズームが効くので、記者会見で登壇者に寄りたい、あるいは投影資料に寄りたいと言うときにも不自由なく使えるのが気に入っている。
プライベートで実感する「iPhone 14 Plus」の良さ
「iPhone 14 Plus」をレビューするにあたって、先週末、子どもの運動会が開催されたので、持参して撮影をしてみた。
運動会というと「望遠レンズ至上主義」というイメージが強いが、おそらくそれは小学校の運動会であり、我が子が通う保育園は、運動会のスタート時こそ、動画を撮影するための専用エリアが設けられていたが、いつしか、それもうやむやになり、子どもに自由に寄って撮影できるようになっていた。
「iPhone 14 Plus」で撮影して、便利だと感じたのが「アクションモード」だ。
なぜか運動会で、親子が一緒に参加する泥警(ドロケー)や、紐をお尻にくっつけて、紐を取られないように逃げ回る遊びが競技になっていた。その時、大活躍したのがアクションモードで子どもを「iPhone 14 Plus」で追いかけてみたが、実になめらかな動画を撮影することができた。
これであれば、ジンバルは不要でアクティブな動画を撮影することができるのは間違いない。
また、休憩時間など、木陰で子どもを撮影してみたが、実に美しく文句のない写真を撮ることができた。
ズームとマクロで感じる「iPhone 14 Plus」と「iPhone 14 Pro Max」の違い
普段、「iPhone 14 Pro Max」で仕事の写真を撮りまくっているが、一般的に、運動会など、子どもを撮影するといったシーンであれば、「iPhone 14 Plus」で充分という印象だ。
ズームに関しては静止画の場合は0.5倍と1倍、デジタルズーム5倍、動画の場合は0.5倍、1倍、デジタルズーム5倍となっている。
普段使いであれば、これくらいの画角があれば、十分ではないだろうか。
一方で、「iPhone 14 Pro Max」はマクロ撮影に対応するが、「iPhone 14 Plus」は非対応という点は見逃せない。実際、「iPhone 14 Pro Max」であれば被写体に数センチまで寄ることができるが、iPhone 14 Plusではボケボケになってしまう。
普段からマクロ撮影をしたいと言う人は間違いなく「iPhone 14 Pro Max」を選ぶべきだ。
同じ6.7インチの「iPhone 14 Plus」と「iPhone 14 Pro Max」を併用してみると、「iPhone 14 Pro Max」にある「Dynamic Island」は、ぶっちゃけ無くてもさほど困るということはない。
確かにDynamic Islandは音楽やタイマーなどが表示され、別のアプリから音楽プレイヤーに戻ると言ったときに便利に使えるのは間違いない。ただ、Dynamic Islandが無かったからと言って「不便」と言うほどでもなかったりする。
つまり、「iPhone 14 Plus」で充分ということになる。
一方で、「ないと意外と不便」と感じたのが 常時表示 だ。
「iPhone 14 Pro Max」では「常時表示」として、常に時計と待ち受け画面、さらに通知などが表示されるようになっている。
「iPhone 14 Pro Max」を見れば常に時刻を確認できるだけに過ぎないが、これが地味ながらも便利なのだ。
その点、「iPhone 14 Plus」を見ても、真っ暗な画面でちょっと寂しい気持ちになってくるほどだ。
「iPhone 14 Plus」と「iPhone 14 Pro Max」を比較してみると、確かに機能的に見てもわずかながらの違いであり、これが「3万円の差なのか」と思うと本当に悩ましい。
写真を常に撮る人であれば、間違いなく「iPhone 14 Pro Max」を買うべきだ。一方で、とにかくカメラは二の次で「大画面であればいい」と言う人は「『iPhone 14 Plus』で充分」とも言える。
しかし、常時表示が意外と便利なので、大画面だからこそ「iPhone 14 Pro Max」を選ぶべきとも言える。ただ「常時表示に3万円の価値はあるか」というと、正直、困ってしまう。
いずれにしても「カメラ重視」でなければ、「iPhone 14 Plus」を購入して後悔することはないのではないだろうか。