石川温の「スマホ業界 Watch」

「iPhone 14」現地取材で感じたベストチョイスの1台と気になる価格

 9月7日(現地時間)、アップル本社にあるスティーブ・ジョブズシアターで開催されたスペシャルイベントを現地で取材した。

 実際にiPhone 14シリーズ4モデルを試してみたが、ベストチョイスは「iPhone 14 Pro」のような気がしている。

 6.1インチのサイズ感は実に使いやすい。今時、画面に巨大なパンチホールが空いているなんて、Androidユーザーからすればバカにしたくなるような機構で、間違いなく炎上しそうな雰囲気もあったが、「Dynamic Island(ダイナミックアイランド)」として、通知や情報を表示して操作するエリアにしてしまった。

 ハードウェアの弱点をソフトウェアが補うという融合は、まさにアップルしかできない手法と言えるだろう。

 カメラでは、センサーが大型化され、さらに48MPとなり、明かりを取り込む量を増やせることで、どんな写真が撮影できるのかとても楽しみだ。実際にiPhone 14 Proで見るサンプル画像は目を見張るものがあるので、自分で撮影した時にどんな仕上がりになるのかが、とても気になっている。

新製品の価格に反映された為替レートは

 製品としては魅力的に仕上がっているiPhone 14シリーズだが、やはり購入する上で気になるのが「価格」だ。

 アップルはアメリカにおいてはiPhone 13から販売価格を維持したが、日本では昨今の円安基調を反映して、かなりの値上げになった。

 スティーブ・ジョブズシアターに姿を見せたKDDIの高橋誠社長も「円安がねぇ」とぼやいていた。

 昨年、iPhone 13(128GB)が発表された際は9万8800円と 112円41銭というレート で換算されていたが、今年、iPhone 14(128GB)は11万9800円と 136円39銭というレート になっている。

 これが、今回発表されたAirPods Proでは価格が3万9800円なのだが、なんと 145円30銭 で計算されている。

 アップルとしてはiPhoneは日本にとって主力商品ということもあり、できるだけ価格を抑えたいという配慮が働いているのかも知れない。

 一方で、AirPods Proはどちらかというとお金に余裕のある人が買う製品ということもあり、多少、高めのレートでも売れるという判断になっている可能性もある。また、1年で新製品が出るiPhoneに比べて、AirPods Proは2年以上、販売されることが予想される。アップルとしては、この円安が長期間に渡ると読んでおり、先を見越して145円という設定をしたとも考えられる。

意外と知られていない? アップルストアでの下取り

 今回のスペシャルイベントにおいて、iPhone 14シリーズの価格を発表する際、「アメリカでは対象となるiPhoneを下取りに出せば最大800ドル割引で買えます」とアピールをしていた。

 あまり知られていないようだが、実はアップルストアでも、これまで使っていたiPhoneをその場で下取りに出し、新しいiPhoneに買い換えることが可能だ。

 「iPhoneが高く感じる」という人が増える中、アップルとしても下取りを積極的に推奨しているのだ。

 実際、アップル本社前にある、アップルストア店内にも、各キャリアで下取りをした場合、どれくらいコストを下げられるかのポスターが掲示されているほどだ。

 今回、iPhone 14に乗り換えようとした場合、1年前の機種であるiPhone 13 Pro Maxであれば、最大10万円で下取りしてもらうことができてしまう。

 また、国内のアップルストアではSIMフリー版のiPhoneを購入するというイメージが強いが、実はNTTドコモ、au、ソフトバンクのキャリアショップと同等の契約手続きが可能であるため、キャリアのキャンペーンを組み合わせて購入することも可能だ。

 アップルが提供する下取りではなく、キャリアによる下取りプログラムを利用することもできる。

 さらにキャリアの契約があった場合、なぜか、アップルストアで売られているSIMフリー版の本体価格から8800円を割り引くという施策を展開していたりする。

 しかも、現在、総務省の意向もあって、すべての端末はSIMフリーでの販売が義務づけられているため、SIMフリーとして使うことができる。つまり、アップルストアでiPhoneを買う場合、単体で買うよりも、3キャリアの契約と紐付けて購入したほうがお得というわけだ。

 個人的には、毎年、iPhoneを買い換えているが、この仕組みもあるので、いつもアップルストアで購入している。予約をしていけるので、待ち時間もなくスムーズ。自分は端末を購入してすぐに帰ってしまうが、不慣れな人はデータの移行など、スタッフの人に手伝ってもらうといいだろう。

石川 温

スマホ/ケータイジャーナリスト。月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。