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映像を持ち歩く! シャープ「MT-AV1」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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いまや音楽を持ち歩くのは誰もがやっている普通のこと。周りを見渡せばポータブルMDプレーヤーで音楽を楽しんでいる人も多いし、最近ではMP3プレーヤーを使っている人もよく見かける。音楽を持ち運んで楽しむということがごくありふれた日常になった今、次に来るのは? というとやはり映像だろう。通勤途中で録画したドラマを楽しみたいとか、電車の中で映画を見たいと思う人も多いのではないだろうか。今回紹介するシャープの「MT-AV1」はそうした映像を持ち歩くための機器なのだ。
映像・音楽を持ち運べる
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シャープ「MT-AV1」。MPEG-4動画とMP3の音楽ファイルが再生可能。価格は4万円前後
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MT-AV1は3インチのTFT液晶ディスプレイを本体に搭載した、ポータブルMPEG-4プレーヤー。MPEG-4とは動画の記録フォーマットで、MT-AV1ではMPEG-4形式での動画の録画・再生が行なえる。ともすると、こうした機器はパソコンが必須となり、録画が難しいということもあるのだが、MT-AV1は単体で録画・再生ができるので、簡単に気軽に使えるのがいい。イメージとしては、ビデオデッキとモニタをセットで携帯できるようになったと考えればよいだろう。
録画は非常に簡単。本体に付属しているクレードル経由で、MT-AV1とAV機器を接続し、本体のRECボタンを押せば、映像と音声をビデオ録画できる。録画については、「シンクロ録画」の機能も用意されている。シンクロ録画とは、外部機器と同期して録画を開始する機能のこと。ビデオデッキなどではCSチューナー連携録画と呼ばれることもある。
この機能を使えば、ビデオからの信号が入力されたと同時に、自動で録画を開始し、信号がなくなると録画は停止する。たとえば、CSチューナーなどの予約設定をあらかじめしておいて、CSチューナーの電源をオフにする。さらに、接続したMT-AV1をシンクロ録画モードにしておけば、予約された番組だけがMT-AV1に録画できるというわけだ。
MT-AV1の本体にはSDカードスロットが装備され、録画された映像はSDメモリに記録できる。本体にも内蔵メモリ(64MB)が用意されているので、SDメモリを別途購入しなくても録画は可能だ。
ちなみに、どの程度の時間録画ができるのかというと、本体内蔵メモリを使ったときは、約15分~55分。Sファイン、ファイン、ノーマルの3つの録画モードが用意され、映像クオリティの高いモードを使えば、当然のことながら記録時間は短くなる。ビデオのフレームレートはSファインが15fps、ファインが10fps、ノーマルが7.5fpsという数字になっている。
録画時間が最大55分じゃ短すぎるとか、なるべく高画質でたくさん録画したいということであれば、SDメモリカードを利用すればよい。最近、安価になってきている128MBのSDメモリカードを使えば、Sファインで30分、ファインで60分、ノーマルで120分の録画が可能になる。たとえば、連ドラを本体メモリに、映画をSDメモリに記録しておけば、電車の中などで、たっぷりとビデオを堪能できるだろう。
画質は合格点
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液晶の明るさや、録画の画質は合格点
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録画モードによるビデオクオリティの違いはというと、ノーマルで録画した場合は、ブロックノイズが乗ることも多く、映像の動きもかなりカクカクした感じ。Sファインの場合は、映像のクオリティもそこそこで、動きもかなりスムーズだ。たとえば、動きの少ない映像や、ストーリーが追えればよいドラマなんかをノーマルで、アクション映画のように、動きの激しい映像を録画するときはSファインと使い分ければ、メモリも有効活用できるはずだ。
ポケットビデオレコーダーといってもよいMT-AV1だが、ポータブルMP3プレーヤーとして利用できることも面白い。音楽の記録方法はビデオの録画とほぼ同じ。クレードルに接続したCDプレーヤーなどからMT-AV1に録音できる。
ちなみに、音楽だけを録音したときは、本体内蔵メモリの場合、ノーマルモード(128kbps)で61分、エコノミーモード(96kbps)で81分の記録が可能だ。記録方式はもっともポピュラーなMP3形式。録音は非常に簡単で、クレードルとAV機器を接続したあとで本体のRECボタンを押すと録音待機の状態になり、AV機器を再生すると自動的に録音が開始される。また、CDなどから録音するときは、曲間の無音状態を自動的に感知して、トラック番号を記録する機能も備えている。
なお、MT-AV1で録画、録音した映像や音楽には、後でタイトル(ひらがな、英数字、記号など)を付けられる。
映像・音楽の再生も簡単
本体の電源を投入すると再生モードになる。再生は「VIDEO PLAYER」と「MUSIC PLAYER」の2つのモードがあり、それぞれ【MODE】ボタンで切り替えられる。「VIDEO MODE」にすると、画面には録画済みのタイトル一覧と、選択されたビデオのサムネール画像が表示される。
ここから見たい映像を選んで、再生ボタンを押せばビデオを再生できる。ちなみに、ビデオには「しおり」を付けることができるようになっていて、一度つけた「しおり」にジャンプして再生をすることもできる。たとえば、お気に入りのシーンにしおりをつけたり、途中まで見たビデオにしおりをつけて、後で続きを見るといった使い方が可能だ。
もう一方の「MUSIC PLAYER」モードは音楽を再生するモード。こちらも、録音されたタイトルの一覧が表示され、聞きたい音楽を選んで【再生】ボタンを押すだけ。「MUSIC PLAYER」モードではランダム、ランダムリピート、全曲リピート、1曲リピートといった再生モードが用意されていて、普通のポーダブルMDプレーヤーと同じ感覚で音楽を再生できる。
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録画は同梱のクレードル経由で行なう
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側面にはSDカードスロットを搭載
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バッテリーの持ちが問題かも
ところで、気になる連続再生時間だが、本体のバッテリがフル充電の状態のときに、動画の再生で約1時間。音楽の再生で約3.5時間。これは、かなり短いと言わざるを得ない。たとえば、通勤や通学の途中でビデオを楽しむとしよう。この連続再生時間では、片道30分という比較的恵まれた通勤・通学環境でしか使えないということになる。せっかく128MBのSDメモリカードがあればファインモードで映画1本分(約2時間)の録画ができるというのに、本体のバッテリーだけでは、最後まで再生できないという事態に陥るわけだ。
ただ、救済措置がないというわけではない。拡張バッテリケース「CE-EB1」(4000円)を併用すると、再生時間をビデオプレーヤーで約1時間、ミュージックプレーヤーで約3.5時間延長できる。拡張バッテリケースは単4ニッケル水素電池4本でMT-AV1を駆動させるためのもので、本体のバッテリがなくなっても、ニッケル水素電池があれば、音楽や映像を再生できるようになっている。
とはいっても、やはり連続再生時間の短さは気になってしまう。たとえば、これが音楽再生専用のプレーヤーだったとしよう。もし、CDアルバム1枚分の音楽の記録ができないとか、アルバム1枚分の連続再生ができないとしたらどうだろうか。間違いなく不自由を感じることになると思う。ビデオなど映像ソースを扱うプレーヤーの場合、音楽でいうところのCDアルバム1枚分に相当するのは、標準的な映画の上映時間、つまり約2時間にあたるのではないだろうか。もちろん、使い方によっては今のMT-AV1のスペックでも十分だと思う人もいるだろうが、せめて2時間、録画・再生が本体だけでできるようにして欲しいと思うのだ。
ところで、MPEG-4&MP3プレーヤーということで、パソコンとの連携ができるかどうかは気になるところ。もし、完全にデータのやりとりができれば、応用範囲もかなり広がるからだ。だが、結論から言ってしまうと、パソコンとの動画・音楽データの連携はできないといった方がよさそう。パソコンで作成したMPEG-4データをMT-AV1で再生することや、パソコンとMT-AV1間の音楽データ(MP3)のやりとりは基本的にできないような仕組みになっている。ただし、MT-AV1で録画した動画データを、パソコン上で再生するのは可能なようだ。
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オプションのフロントパーツ。女性を意識したものが多い
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■ 評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★★★ |
これは、かなりイバれます。これがあれば1日1本スタートレックのエピソード(1時間)を録画しておいて、電車の中で毎日違うエピソードを楽しむということもできるわけですね。
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実用性 |
★★★ |
本体のバッテリを使った連続再生時間が気になるところ。動画の連続再生が1時間というのは短すぎると感じる人は多いことでしょう。
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お値段 |
★★★ |
ちょっと高めでしょうか。ただし、タイクツな通勤時間の空白を埋めるための投資ならいとわないという人にとっては、よい買い物になるかもしれません。
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価格 |
4万円前後 |
オプションの10種類のフロントパーツで着せ替えできたり、布製のカラフルなキャリングポーチが用意されているなど、かなり女性を意識したデザインになっています。ともすると、こうしたAV機器は男の子向けの無骨なデザインになってしまいがちなのですが、あえて女性向けデザインにして、プロモーションも女性をターゲットにしているというあたりに、シャープの「本気」を感じました。今後は、こうしたポータブルビデオも普及するだろう(してほしい)と期待を込めて予想利用時間は1年。次期モデルが出たらたぶん買います。
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利用期間 |
1年くらい
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1日あたり単価 |
109円
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・ ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/020207.html
・ 製品ホームページ
http://www.sharp.co.jp/pav/
(広野忠敏)
2002/04/10 18:44
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