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軽量MP3プレーヤー「HyperHyde Exrouge」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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携帯用シリコンオーディオプレーヤーは各社から色々な種類のものがリリースされている。だが、手持ちのMP3データを携帯用シリコンオーディオプレーヤーで再生しようと思ってもデータの変換が必要だったり、そもそも対応していないものもある。アイ・オー・データ機器からリリースされている「HyperHyde Exrouge」はパソコンに保存されたMP3データがそのまま使える、なかなかナイスな携帯用シリコンオーディオプレーヤーなのだ。
音楽CDのリッピングしてますか?
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携帯用MP3プレーヤー「HyperHyde Exrouge」。64MB版(MDM-H205R)標準価格1万9800円、32MB版(MDM-H205)標準価格1万6800円
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携帯用のシリコンオーディオプレーヤーで音楽を楽しむ。すでにそうしたミュージックライフを送っているユーザーも多いと思う。シリコンオーディオプレーヤーを使えば音飛びのない快適な音楽再生をすることもできるし、コンパクトなので携帯にも便利。メモリが64MB程度の容量で60分程度、128MBのメモリが搭載されていれば120分程度の音楽を持ち歩くことができるのも魅力のひとつだ。
さて、そうした携帯用のシリコンオーディオプレーヤーだが、そこに格納する音楽データをどうやって用意するか。一番多いのは音楽CDからデータを作成することだろう。大抵のプレーヤーには、音楽CDをプレーヤーが対応した形式に変換してパソコンのハードディスクに格納できる方法が用意されている。ハードディスクに格納された音楽データをプレーヤーに転送して楽しむというスタイルだ。極めて標準的な方法だが、プレーヤーによっては再生できるデータ形式が違うというデメリットがある。たとえば、すでにソニーのプレーヤーを使っていて、パナソニックのプレーヤーに買い換えたとしよう。音楽データの形式は、ソニーはATRAC3、パナソニックはAACで相互に互換はない。つまり、プレーヤーを買い換えて、買い換えたプレーヤーと以前のプレーヤーとでデータの互換がないときは、せっかく苦労して音楽CDから作った音楽データをぜーんぶ作り直さないといけないのである。実際にこの作業をやるとなると、データが多ければ多いほど面倒で、ほんとに気の遠くなるような作業なのだ。そのため、はじめて買ったプレーヤーがATRAC3形式に対応しているなら、ずーっとATRAC3、AAC形式ならばずーっとAAC形式のプレーヤーを使い続けるハメになってしまうのだ。
しかし、プレーヤー間で音楽データを使いまわしする方法もある。それは、音楽CDをプレーヤー独自の形式にするのではなく、MP3形式に変換してしまう方法だ。たいていのプレーヤーに付属するソフトには、MP3形式のデータをそのプレーヤーで再生できる形式に変換する機能が用意されている。元々の音楽データをMP3形式で保存できれば、データ変換の手間さえ惜しまなければ、わざわざ音楽CDからデータを作成しなくてもプレーヤーで再生できるデータを作ることができる。いちばん初めにMP3データから他の形式のデータに変更するという手間がかかるが、音楽CDからデータを作成するよりもずっと楽。実際にそういう理由で音楽データをMP3形式でハードディスクに保存している人も多いと思う。
そんなわけでパソコンのハードディスクに大量のMP3データがあるとしよう。そういう環境の人にぜひ使って欲しい携帯用シリコンプレーヤー、それがアイ・オー・データ機器の「HyperHyde Exrouge」(以下Exrouge)なのだ。
MMCとSDカードに対応、MP3データを再生できる
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本体側面にSD/MMCスロットを搭載している
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Exrougeの詳しい機能はここを見ていただくとして、特徴的な機能についてまず書いておこう。Exrougeはシリコンオーディオプレーヤーなので、音楽データはメモリに格納することになる。本体に内蔵されているメモリは存在せずに、SDカードスロットが1つ用意されている。このSDカードスロットにSDカードメモリまたはマルチメディアカード(MMC)を装着して利用する。ラインナップには32MBまたは64MBのMMCが付属するモデルがあるが、別途128MBなどの大容量のSDカードを購入して使うことで、たくさんの音楽データを持ち歩くことができる。ちなみに、128MBのSDカードには約120分程度の音楽を格納することができる。
再生できる音楽形式はMP3形式のみ。SDカードを使えるが、著作権保護された音楽データの再生はできない。すでにハードディスクにMP3データが大量にあるという人なら、データ変換しなくてもそのまま音楽データをExrougeに転送すれば、音楽を持ち歩くことができるというわけだ。他社のプレーヤーのようにデータ変換をする手間がかからないので、本当の意味でに気軽に使うことができるというのがExrougeの最大のメリットだろう。
音楽データの転送は、USBケーブルでExrougeとパソコンを接続し、付属の専用ソフト「HyperHyde Manager for Exrouge」を利用する。パソコンのハードディスクに保存されているMP3形式のファイルを、HyperHyde Manager for Exrougeのウィンドウにドラッグするだけで、Exrougeに音楽データの転送ができる。また、音楽CDからMP3データを作成するリッピングツール「HyperHyde CD Rippier for Exrouge」も付属。ちなみに、どちらのソフトもWindows/Macintosh両方に対応している。
パソコンからExrougeへのデータ転送速度は約100KB/秒。やや遅めに設定されているのがかなり気になる。データ転送速度が遅いのは、本体の連続稼働時間を長くするためということだが、実際に128MB分のデータを転送するのに約20分もかかってしまうのははっきりいっていただけない。たとえば、朝の忙しい時間に音楽データをまるまる入れ替えるのは不可能といっていいだろう。時間があるときにメモリを音楽データで一杯にしておき、必要に応じてちょっとづつ入れ替えるという使い方をする必要がある。また、SDメモリ、MMCに保存されるデータは独自形式なので、SDメモリリーダ・ライタなどでMP3ファイルを直接SDメモリ、MMCに保存してもExrougeで再生することはできない。
Exrougeのサイズは61×47×19mmと非常にコンパクト、ぱっと見た感じではポケベルに近いものがある。重さも電池とメモリカード込みで47g。本体にはストラップ穴もついているので、首からさげるなど色々なスタイルで携帯することができる。電源には単4アルカリ乾電池を使用。最長で連続19時間の再生ができる。本体には、曲送り、戻し、再生・停止、ジョグスイッチ(設定やボリューム調整)があり、操作感もなかなかいい。ディスプレイには各種再生モード表示のほかに、ID3タグを日本語で表示することもできる。
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本体背面。単4電池で駆動する
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本体側面。左からイヤホンジャック、USBミニポート、メニューダイヤル
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かなりマニアックな設定が可能
非常にマニアックなカスタマイズが可能なのもExrougeの特徴のひとつ。ExrougeをUSBケーブルでパソコンに接続してから、HyperHyde Manager for Exrougeを使ってExrouge本体のカスタマイズができる。カスタマイズは液晶設定、操作設定、メニュー設定、イコライザ設定、拡張設定の5つ。なかでも面白いのは液晶設定、操作設定、イコライザ設定の3つだ。液晶設定は、Exrouge本体の液晶ディスプレイをカスタマイズする機能で、液晶に表示される内容を9パターンから選択できる。再生中に車が走るもの、スノーボーダー、サーファーのアニメーションなどアニメーションパターンがいくつか用意されている。操作設定は、Exrougeのボタンを設定する機能。本体のボタンのキー設定を変更できる。たとえば、ジョグスイッチ(デフォルトでは音量の調整)を曲送りに変更するなど、かなり細かいカスタマイズが可能だ。イコライザ設定は、高音、低音の音質設定とDBB(Dynamic Bass Boost/低音強調)を5パターンまで自由にプリセットする機能で、ここでプリセットした音質で音楽を再生することができるものだ。
そのほかにも、操作メニューをカスタマイズしたり、電源オフやオートスクリーンオフまでの時間を設定できたりと、非常に柔軟なカスタマイズができるのが面白い。
■ 評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★★ |
携帯用シリコンオーディオプレーヤーとしてはかなり小さい部類です。「それって、ポケベル?」という突っ込みが入る可能性がありますが、おおむねイバれると思ってよいでしょう。
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実用性 |
★★ |
パソコンに保存されたMP3形式のファイルをそのまま転送できるのは面倒くさがり屋のひとには嬉しい機能です。ただ、データ転送速度が遅いのが気になります。
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お値段 |
★★★★ |
32MBのMMC付属モデルで実売約16000円とかなり安価です。とりあえずシリコンオーディプレーヤーを試してみたいという人にもオススメ。
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価格 |
本体1万6000円 |
単4アルカリ乾電池1本で連続19時間稼動というのはたしかに実用的。実際に使って見るといつまでたっても電池がなくなりません。忘れた頃に電池切れになるという感じです。たとえ電池切れになっても単4アルカリ乾電池ならコンビニやキオスクでも買えるのもポイントが高いしね。ただ、何度も書いてしまいますが、問題は音楽データ転送速度の遅さ。音楽データ転送の遅さにガマンできないならば、他のプレーヤーを物色したほうが無難です。なんつっても128MBで20分、256MBなら40分、512MBなら80分かかりますから。音楽データ転送はヒマなときにするから、転送時間なんてどうでもいいやっていう気の長い人や、忘れた頃に、思い出したように音楽転送をするという不精な人にはオススメできるアイテムです。
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利用期間 |
1年くらい
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1日あたり単価 |
43円
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・ ニュースリリース
http://www.iodata.co.jp/news/200111/01_PR022.htm
・ 製品情報
http://www.iodata.co.jp/products/sounds/2001/mdmh205/index.htm
(広野忠敏)
2002/01/30 12:41
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