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おとなのおもちゃタイトルGIF
エアボードの進化形 ソニー「IDT-LF2」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 以前この連載でも紹介したソニーの「エアボード」は、ベースステーションと呼ばれるTVチューナユニットで受信したTV放送を液晶モニタに無線で転送するワイヤレステレビ。もうじき発売される新しいエアボード「IDT-LF2」は液晶モニタが一回り大きくなり、無線LANのアクセスポイントとして利用できるなど従来のエアボードがより一層進化したものとなっているのだ。


ワイヤレスなカイカン

IDT-LF2
 エアボードの最大の特徴といえば、「ワイヤレス」であることに尽きる。IDT-LF2ではベースステーションで受信したTV番組や外部入力からの映像を、MPEG2にエンコードしIEEE 802.11bに準拠した無線LANを利用して液晶モニタに転送するワイヤレステレビだ。つまり、無線LANの電波が届く範囲ならどこにいてもロケーションフリーでテレビを楽しむことができる。たとえば、リビングにベースステーションを設置して、液晶モニタだけを持ち運んで自由な場所、自由なスタイルでテレビを楽しむことができるというわけだ。

 さらに、エアボードの伝統であるリモコン機能も健在。あらかじめベースステーションにAVマウスと呼ばれる赤外線発光ユニットを取り付けておけば、液晶モニタからAV機器のコントロールも可能。画面に表示されるリモコンのボタンをタップするだけで、離れた場所からデジタルCSチューナ、DVDプレーヤーなどのコントロールができる。実際にソニー製および松下製のデジタルCSチューナ、ハードディスクビデオレコーダー「Clip-On」を接続して試してみたが、AVマウスのおかげで実に快適なテレビ視聴環境を整えることができた。エアボードの液晶画面はタッチパネルになっていて、チャンネルや映像入力(2系統)の切り替えも画面をタップするだけなのだが、さらにデジタルCSチューナのEPGを表示やハードディスクビデオレコーダの録画内容一覧の表示もできる。そのため、ほぼ完璧にワイヤレスでの快適な環境が整う。たとえば、DVDプレイヤーを繋いだときにDVDの入れ替えなどハードウェア面を除けば、CSチューナのチャンネルを変えたいとか、そういう理由でベースステーションやAV機器が設置されている場所まで行く必要はほぼないのである。エアボードはワイヤレスネットワークによるカイカンを最大限に享受できるアイテムなのだ。


何が改良されたの?

上がTVチューナー・無線LANアクセスポイントとなるベースステーション。下がクレードル
 さて、新しくなったエアボードであるが、ざっと改良部分を見ていくことにしよう。大きく目を引くのが、液晶モニタが大きくなったことである。従来のエアボードでは10.1インチだったが、IDT-LF2では12.1インチにサイズアップしている。それに伴い色やデザインが変更された。大きくなったことにより約2.1kgと重量も増している。以前のエアボードのモニタは片手に持ちつつテレビを見るという気軽な使い方ができたのだが、そうした気軽さはややスポイルされているように思える。どちらかといえば、以前のエアボードに比べて重量感のあるどっしりとした印象だ。ただし、液晶画面が広くなった(解像度は変更なし)ことで、画面は非常に見やすくなったのが特徴。ちなみに、液晶画面はバッテリで駆動でき、フル充電の状態で1時間から1時間半程度の駆動が可能。せめて映画1本見れる程度の電池の持ちが欲しいが、長時間駆動になるとそれだけバッテリが大きく重くなってしまうので、このあたりのバランスが使いやすさの限界なのかもしれない。

 また、新たに液晶モニタ用のクレードルが用意された。いままでは、液晶モニタはベースステーションに装着、ワイヤレス、ACアダプタを接続という3通りの視聴スタイルが可能だったが、さらにクレードルに置いて視聴するスタイルが追加されたことになる。クレードルに装着しておけば、バッテリの残量を気にせずにかつ充電しながら離れた場所で視聴できるので便利だ。


こちらは旧モデルの「IDT-LF」。画面は10インチ
 エアボードの特徴のひとつにテレビの視聴だけではなく、Webの閲覧やメールの送受信というインターネット情報端末としての側面がある。もちろんIDT-LF2では、インターネット関連の機能も改良されている。まずは、インターネットへの接続方法であるが、モデムポートと10BASE-Tのイーサネットポートを搭載。アナログ回線を利用してダイヤルアップで接続したり、イーサネットを利用してすでに構築されているLANに接続することができる。また、PPPoEにも対応しているため、ADSLモデムとの接続もできるようになっている。

 また、今回のバージョンアップの目玉は、無線LANのアクセスポイント機能を搭載したことだろう。いままでのエアボードはベースステーションと液晶モニタ間の通信のためだけに無線LANを利用していたのだが、新たに無線LANのアクセスポイント機能も搭載し、最大15台までのパソコンを接続できる。つまり、エアボードを購入すれば、新たに無線LANのアクセスポイントを買わずとも済むわけだ。もちろん、エアボードで無線LAN環境を構築した場合、無線LAN上のパソコンからのインターネットアクセスも可能。また、ベースステーションにはUSBポートが用意され、プリンタを接続できる。対応プリンタはそれほど多くはないが、モニタに表示された画面や保存された画像などを直接プリンタに印刷することも可能だ。


動きの早い画像は難あり

 IDT-LF2に搭載されているブラウザはHTML 3.2とJavaScriptに対応しており、従来モデルとほぼ同様。よほど凝ったページじゃない限りはきちんとブラウズできる。また、テレビ画像を子画面で表示することもできるようになっているので、Webをブラウズしながらテレビも楽しむといった使い方もできる。たとえば、インターネットのテレビ番組表を確認しつつテレビを見るなんていう使い方が一番エアボードらしいといえるかもしれない。

 メーラはPOP3とSMTPに対応したエアボードオリジナルのもの。メールを送信する際にはキャプチャしたテレビ画像やアルバム画像の添付もできる。メールの作成は従来と同様にタッチパネルによるソフトウェアキーボードで行う。ただし、今回はソニー独自の予測入力機能「POBox」に加えて「ATOK for AirBoard」を新たに搭載しているため、さらに快適な日本語入力が可能だ。POBoxは入力された文字で始まる候補から単語を選ぶことで文章を入力できるもので、SO503iやC413Sなどソニー製の携帯電話などにも搭載されているおなじみの機能。たとえば、「こ」を入力すると「こんにちは」、「こんばんは」などの候補が表示され、続けて文字を入力すると候補が絞り込まれていく。頻繁に利用して学習効果を高めることで、非常にスピーディーな文章の入力ができるようになる。

 さらに、メモリースティックや本体に保存された画像を表示する「アルバム」機能では、保存された画像にメモを加えたり、新たに白紙からお絵かきをするための機能も追加された。たとえば、テレビや映像入力の画像をキャプチャしてから手書きのメモを加えてメールに添付して送信など、エアボードを使った新しいコミュニケーションもできるようになっている。また、アルバム機能では、保存された画像のスライドショー表示も可能。インターネットやテレビを利用していないときに、サイバーショットで撮影してメモリスティックに保存した写真を、スライドショー表示してデジタル写真立てのように使うといったこともできるのだ。

 ところで、機能面では色々な機能が追加・改良され非常に充実した感があるのだが、映像面での改良はされていないのが少々残念なことである。ベースステーションと液晶モニタ間は最大6Mbpsの可変ビットレートが採用されている。画質自身も他社製の液晶テレビと比較するとやや劣る(情報量が違うのであたりまえなのだが..)という印象を受ける。また、カメラのパンなど非常に動きの激しい映像になると、かなりブロックノイズが目立ってしまう。さらに、すでに別の無線LANが存在する環境で利用すると、お互いに電波の干渉が発生するのか、音声が途切れたり映像にノイズが乗ることもあった。

 まあ、映像のクオリティが欲しければ液晶テレビなりを購入すれば良いのだし、エアボードはワイヤレスなカイカンを楽しむというものなので、このあたりは割り切って使う必要があるだろう。決してメインにはならないがパーソナルで楽しむためには十分なものであるといえる。

■ 評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★★ 初代モデルの発売から約1年。競合する製品はまだありません。というわけで、イバリ度はかなり高し。
実用性 ★★★★★ 極めて実用的。いつでもテレビと一緒という生活が楽しめます。チャンネル争いならぬエアボード争いになる可能性も高し。
お値段 ★★★ 初代モデルとほぼ同じくらいの価格なんですよね。待ってて良かった。
価格 13万円前後 「ソニー製の新しいものは1年待て」という格言があります。ずーっと待っていてもどんどん新しいモノが発売されるので、いつかは買うハメになるのですが、今回のエアボードはかなり良いタイミングだと思います。それは何故か。初代モデルを使ったときはかなり不満も多かったんだけど、今回の不満は画質やバッテリでの連続稼働時間くらい。要するに不満が高級になったあたりが、基本機能に満足しているってわけなので買い時なんですね。ということで、ソニースタイルに行ったら……まだ受注していませんでした。
利用期間 1年
1日あたり単価 365円


・ ニュースリリース
  http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200112/01-1212/
・ 製品情報
  http://www.sony.co.jp/sd/products/Consumer/airboard/IDT-LF2/index.html

ワイヤレステレビはすっごく便利「ソニー エアボード IDT-LF1」


(広野忠敏)
2002/01/09 17:47

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