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おとなのおもちゃタイトルGIF
デジカメ初、ナイトショットモードを搭載「DSC-F707」
伊藤 大地


 今回のお題はソニーのデジタルカメラのラインナップ中フラッグシップモデルともいえる「サイバーショット DSC-F707」。というか衝動買いしてしまいました、ソニーだし。F707には赤外線で夜間撮影ができるナイトショットモードや、ホログラフィックAF、完全なマニュアル操作による撮影ができる点など面白い機能が満載なデジカメなのである。


伝統を受け継ぐフォルムと先進の機能

ボディスタイルはF505シリーズの流れを組んだソニー独特のもの。幅119.5×高さ68.9×奥行151.0mm、総重量約710gとF505シリーズよりも若干大きく重い
 サイバーショットのフラッグシップモデルといえば、これまでのカメラの概念を超える独特のデザインで、いかにも「ソニー」らしいデジカメだ。実際、あのデザインに惹かれて初代モデルや2代目モデルを購入したという人も多いのではないだろうか。DSC-F707は、あの独特のデザインを引き継いだ最新モデル。2000年5月に発売されたDSC-F505Vの後継モデルだ。二代目にあたるF505Vは、初代モデルのマイナーチェンジという印象だったが、F707は革新的なモデルチェンジと言っていいほどの違いがある。というか、デザインは似ているが、F505シリーズとは明らかに違う仕上がりなのだ。

 まず、ボディサイズを比べてみよう。F707はF505シリーズと比べるとひと回りほど大きくなり、持ち比べてみると重量も増しているのがはっきりわかる。これは、搭載レンズの変更と操作系の変更によるものだろう。F707には35mm換算で38mm~190mの焦点距離を持つカールツァイス・バリオゾナーの5倍ズームレンズを搭載している。このあたりのスペックはF505と同じだが、レンズの口径がF505搭載のレンズと比べると大きくなっているのだ。そのため、F505では開放F値は2.8だったのに対し、F707では2.4とかなり明るくなっているのである。ちなみに、レンズの口径が大きくなってF値が下がれば、より暗い場所でも鮮明な映像を得ることができるのだ。

 ボディサイズが大きくなったもうひとつの理由は、操作系の改良によるところが大きい。まずは、新たにLCDディスプレイとは別に液晶ビューファインダーを搭載。接眼部には視差補正機能もついているため、目が悪くてもクリアに見ることができる。ビューファインダーのおかげで通常のカメラポジションで撮影が可能なのだ。

 操作系はモードダイヤルとジョグダイヤル、コントロールボタンやメニューボタンを併用する形になった。この操作系は一見するとボタンの数が増えているため、操作がしづらくなったように感じられるのだが、実際に使ってみるとそうではないことがわかる。たとえば、撮影モードはモードダイヤルで切り替えることができるが、再生、撮影といった単純な切り替えだけではなく、撮影モード(オート、プログラムAEなど)をあわせて切り替えることができる。また、右手の人差し指のジョグダイヤルを使えばシャッタースピード、露出補正、絞りなどのパラメータをコントロールすることも可能だ。このようにダイレクトな操作が充実しため、スピーディーな撮影が可能になっている。また、従来通りわかりやすいメニューによるインターフェイスも健在だ。実際のところF505シリーズと比較してみると、操作系はボタンやダイヤルの機能だけではなく、それらの配置も含めて明らかに使いやすくなっているなという印象を受けた。


デジカメ初のナイトショットモードとホログラフィックAF

「一寸先も暗闇」状態でナイトショットモードを使ってネコを撮影してみた。いや、ほんと肉眼じゃなーんにも見えない状態なんです。でも、ネコは見えてるらしくレンズキャップにじゃれつく。さすが、ネコ
 F707では、デジカメで初めて搭載された機能が2つある。1つはホログラフィックAFと呼ばれるレーザー光線でピントを合わせる機能。そして、もうひとつはナイトショットやナイトフレーミングと呼ばれる夜間撮影の機能だ。

 ホログラフィックAFは、レーザー光線を利用したオートフォーカス。ホログラフィックでは、いままで苦手とされてきた暗くてピントがあわせにくい場所でも、確実にピントをあわせることができるようになっている。

 ナイトショットモードは、赤外光を使って夜間撮影をするためのもの。30cm先も見えない暗闇でも、ナイトショットモードを使えば4m程度の距離にある被写体を撮影することができる。実際に真夜中に部屋を真っ暗にして、「一寸先は暗闇」状態を作ってナイトショットモードを試してみたが、たしかに暗すぎて肉眼で見えないものを撮影できる(赤外線を使ってるから、あたり前なんですけど)のは、はっきり言って感動できます。F707のファインダーを暗視ゴーグルの代わりにして、真っ暗闇を歩き回った怪しい人は私です、っていう遊び方もできたりするわけだ。

 夜間撮影のモードには「ナイトフレーミング」モードというのもある。ナイトフレーミングモードは暗い場所でのストロボ撮影を補助してくれるモードだといってもいい。たとえば、デジカメを使って真っ暗闇の場所でストロボ撮影をしたかったとしよう。こうしたシチュエーションのときは、そもそも被写体がどこにある(いる)のか暗くてさっぱりわからなくて困るという経験をしている人もいるんじゃないだろうか。ナイトフレーミングはこうしたシチュエーションでの撮影を補佐してくれるモードなのだ。

 ナイトフレーミングモードにすると、シャッターを押すまではナイトショットモードと同様に、ディスプレイやビューファインダーには赤外線で暗闇を照らした映像が表示される。そのため、真っ暗闇で被写体が目視できない状態でも被写体をファインダーに収めることができる。この状態でシャッターを押すと赤外線が解除されて、通常のストロボ撮影ができるのである。暗闇でフレーミングを補助してくれるので「ナイトフレーミング」というわけだ。


1.8インチの液晶画面を搭載。ファインダーは光学式ではなく、液晶ビューファインダー。スイッチで液晶画面とファインダーの表示をワンタッチで切り替えることができる モードダイヤルとジョグダイヤルの搭載で非常にスピーディーな撮影が可能になった。モードダイヤルを使えば、撮影モードをワンタッチで切り替えることができる。ジョグダイヤルは、シャッタースピード、絞り、露出などのパラメータ補正に使う

サイバーショットシリーズの集大成か

 ちなみに、そのほかのF707のスペックはというと、電源を投入してから撮影可能になるまでの起動時間は約2秒とこのクラスのデジカメとしてはかなり高速だ。撮影可能な有効画素数は502万画素で、最大2,560×1,920ピクセルの画像を保存できる。撮影モードはオート、シャッタースピード優先モード、絞り優先モードやシャッタースピードや絞りをマニュアルで調整できるマニュアルモードを搭載している。さらに、最大320×240ピクセルのMPEGムービーを記録できるほか、2コマまたは10コマのクリップモーション(動画GIF)の撮影も可能。

 バッテリはインフォリチウム-M(NP-FM50)を利用するため、F505シリーズとは互換はないが、大容量になっているため、より長時間の稼動が可能になっている。ちなみに、カタログスペックでは、フル充電のバッテリで、連続2.5時間、2500枚の撮影が可能とある。

 さらに、2種類のノイズリダクション(画像補正機能)を搭載。ひとつは長時間露光時のノイズを低減するためのスローシャッターNR。このノイズリダクションは2.5秒以上のシャッタースピードのときに有効になり、同じ露出時間だけ再度撮影し、ノイズ部分を減算するもの。もうひとつはクリアカラーNRと呼ばれているもの。単色の物体などを撮影したときに生じる色ノイズを軽減するためのものだ。この2つのノイズリダクションの搭載で、比較的ノイズが多くなるシチュエーションでもかなりキレイな画像を撮影できるのだ。

 さらに詳しいスペックについては、ここを見てもらうとして、初代から色々なモデルのサイバーショットを渡り歩いてきた私は、「今までのサイバーショットシリーズの集大成」という印象を受けた。F707は少々高価なのだが、サイバーショットファン(ソニーマニアも含む)ならば、絶対に買う価値のあるデジカメだといえるだろう。


付属のUSBケーブルでWindowsパソコンに接続できる。Windowsからはディスクとしてメモリスティックのデータを確認できる。メモリスティックスロット搭載VAIOじゃなくても大丈夫だ。もちろん、プレステ2につないでPictureParadise対応ソフトで遊ぶことも可能
バッテリはインフォリチウム-M(NP-FM50)を利用。記録メディアはメモリスティックだ。色が白いのは愛嬌ってことで……

■ 評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★★ F505シリーズの流れを踏襲する独特の威圧感のあるスタイル。アルミ削り出しとマグネシウム合金のボディ。こりゃもうイバるしかないでしょうという感じですね。
実用性 ★★★★★ 文句なく実用的です。シャッターを押すとシャッター音が鳴るギミックも健在。実用的でありながらナイトショットモードの搭載など「遊び」の要素も忘れないという姿勢がたまりません。
お値段 ★★ 高い。
価格 11万8000円 初代サイバーショットから始まり、F505Kを経てF505Vを購入した経緯があるので(笑)、次期モデルが出たらきっと買うことでしょう、というわけで次期モデルのリリースが1年後と仮定して利用期間は1年で計算してみました。しかし、今までにソニーにつぎ込んだ金額はトータルでいくらになるだろうと考えるとそら恐ろしいものがあります。家1軒くらい楽勝で買えたりして。え、私だけじゃないって?
利用期間 1年くらい
(次のモデルが出るまで)
1日あたり単価 323円


・ DSC-F707 製品情報
  http://www.sony.co.jp/sd/products/Consumer/DSC/DSC-F707/index.html
・ ニュースリリース
  http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200108/01-0822B/


(伊藤 大地)
2001/11/21 12:10

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