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かなり質実剛健でプロ仕様「IBM ThinkPad X22」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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1台目のパソコンとしてノートパソコンを選ぶ人も多いと聞く。ノートパソコンは2台目のパソコンというのはもはや過去の話。最近では、初めて所有するパソコンとして十分な性能を持ち、デスクトップ並みの拡張性を持つものも多い。今回のお題は、携帯性と拡張性が高次元で融合している日本IBMの「ThinkPad X22(2662-9DJ)」だ。
ノートパソコンの使いやすさって何だろう?
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2662-9DJに標準で搭載されているWindows 2000の上からWindows XP Professionalをアップグレードインストールした状態のX22。ただし、X22でWindows XPを使うには、BIOSのアップグレードやXPに対応したドライバなどのインストールが必要
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ノートパソコンを購入する理由。これは人によってかなり違いがあると思う。デスクトップを所有しているけれど、持ち運びをしたいためにノートパソコンを購入する人。パソコンは職場で使っているけれど、ノートパソコンがあれば仕事を持ち帰れると考えている人。設置場所がないなどの理由でノートパソコンにせざるを得ない人などさまざまだ。もちろん、シチュエーションや使い方によって選ぶべきノートパソコンも変わってくる。たとえば、デスクトップのコンパニオンとして使いたいのであれば、拡張性は乏しくても、より小さいサイズのサブノートがいいだろう。しかし、1台目のパソコンとして拡張性の乏しいサブノートパソコンを選ぶべきではないのは自明の理。また、持ち運びを主としたいのにA4フルサイズのノートパソコンを選んでしまっては、何度か持ち歩いているうちにノートパソコンを持っていくのがイヤになってしまうはずだ。
このように、ノートパソコンを選ぶときは、大きさや重さ、拡張性やバッテリ性能が大きなポイントといわれることが多い。ノートパソコンを使うシチュエーションによってどの部分に重きを置くのかという違いはあるが、たしかにその通りである。また、銀パソの登場以降、デザインでノートパソコンを選ぶという人も多いとは思う。もちろん、デザインで選ぶのも間違った選択ではない。でも、もっと大切なことを忘れていませんか?
大切なこと。それは、デザインや性能からは見えない「使いやすさ」という部分だ。IBMのThinkPadシリーズは、他社のパソコンと比べると決してスタイリッシュというわけではなく、むしろ黒一色のデザインは無骨ささえ感じてしまう人も多いだろう。コストパフォーマンスもとびきり良いわけでもない。同じ価格帯でより性能の良いパソコンが買えることもある。でも、ThinkPadファンというかIBMファンは多い。「ノートパソコンは絶対にThinkPad」という根強いファンもいる。何故だろうか。それは、ThinkPadが明確な回答を持って「使いやすさ」をアピールしているノートパソコンだからではないだろうか。
使いやすさのひとつの例はキーボードだ。ThinkPadのキーボードは他社のデザイン重視のノートパソコンと比べてみると非常にタイプしやすいのだ。このキーボードへのこだわりはThinkPadシリーズの伝統ともいえるものだ。長時間タイプしていてもそれほど疲れないストロークだし、なにより堅牢製に優れているのも大きな特徴のひとつ。他社製の薄型サブノートのキーボードが3カ月で壊れてしまった(実話)という話はよく聞くが、ThinkPadのキーボードが壊れてしまったという話はあまり聞かない。「1年でThinkPadのキーボードが壊れちゃった」という話がでると、「それ、原稿の書きすぎ」という突っ込みが入るほどなのである(実話)。IBM流に言えば、ThinkPadのキーボードは飾りではなくまさに「入力装置」そのものなのだ。さらに、ディスプレイ上部に装備されたキーボードライトも、使いやすさのひとつ。キーボードライトを点灯すれば真っ暗な場所でも問題なくキーボードを打つことができる。暗い車内や飛行機の中でも仕事ができるというとてもありがたい配慮なのである。
もうひとつの使いやすさは、OSのみがプリインストールされたビジネスモデルがあるということ。昨今のパソコンはOSだけではなくメーカー製アプリケーションやOfficeなどがプリインストールされていることがほとんど。初心者にとってはうれしい配慮だ。しかし、仕事で使うことを考えたらどうだろうか。会社で実務で利用しているパソコンと同じ環境を作ろうと思ったら、プリインストールされたアプリケーションを削除したり、ドライバを削除する必要があることも多い。色々やっているうちにパソコンの調子が悪くなってしまったなんてのもありがちな話だ。だが、初めからOSと必要最小限のものだけがプリインストールされているとしたらどうだろうか。アプリケーションやドライバの削除なんて面倒なことを考えなくても仕事として使う環境の構築ができるのである。
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X22のキーボード。ThinkPadの伝統どおり非常にしっかりとした作りになっているのが特徴。長時間使っていてもとても壊れそうにないキーボードはまさにプロ仕様と言ったところだろうか
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液晶ディスプレイ上部に配置されたキーボードライト。暗くて手元がみにくい場所でもキーボードライトを点灯すれば、手元がぼんやりと見えるようになる。いつでもどこでも暗闇でも仕事ができるという配慮はまさにプロ仕様(笑)
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ThinkPad X22はこんなサブノート
ずいぶんと前置きが長くなってしまったが、ThinkPad X22である。X22の最大の特徴はノートパソコンでありながら拡張性に富んでいるということに尽きる。B5ファイルサイズの大きさに、12.1インチのTFT液晶ディスプレイを搭載。もちろん、入力しやすいキーボードやキーボードライトなど、ThinkPadの伝統は正しく受け継がれている。
最上位モデルの2662-9DJはCPUにMobile Pentium III-M 800MHzを搭載し、標準のバッテリで連続4時間超の稼動が可能だ。実際にこの原稿を書く際に、バッテリでの長時間駆動を試してみたが、たしかに4時間程度の連続稼動は楽勝。それも、かなり頻繁に無線LANのアクセスをしつつ使っていた場合である。ただし、標準の128MBに加えて256MBのメモリを増設した状態でテストしているので、標準の128MBでスワップが頻繁に発生するような状況下ではもう少し短い時間になると思われる。
装備されているインターフェイスは、100Base-TXのLANコネクタ、IEEE 802.11b(無線LAN)インターフェイス、モデムコネクタ、PCカードスロット、Type2 CFスロット、USBポート、IEEE1394ポート、赤外線通信ポート、外部ディスプレイポートなど、搭載ポートだけを見てもノートパソコンに必要な外部インターフェイスはほぼ100%網羅されているといってもいいだろう。なお、詳しいスペックやラインナップについては、IBMのサイトも参照してほしい。
なによりもX22が使いやすいネットワーク周りだ。標準で802.11bと100Base-TXのLANコネクタ、そして56Kモデムが搭載されているので、利用範囲は非常に広い。また、PCカードスロットとは別にCFカードスロットが用意されている。P-in m@sterやAirH" Card petitなどCF対応のPHSカードをそのまま使うことができるというわけ。もちろん、USB経由でFOMAやPacketOne64での通信も可能。つまり、およそ考えられるモバイル通信環境を簡単に実現することができるのだ。
ちなみに、ネットワークの切り替えは、プリインストールされている「IBM Access Connections」と呼ばれるアプリケーションを利用する。このアプリケーションを使えば、接続を切り替えるだけではなく、接続ごとにTCP/IPの設定を変更したり、PROXYの設定を変えることもできる。たとえば、会社のネットワークはIPアドレス固定で、PROXYを利用する。自宅のネットワークはDHCPからIPアドレスをもらって、PROXYは使わないというように設定しておいて、相互にワンタッチで切り替えて使うことも可能だ。
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本体左側面。右から赤外線アダプタ、IEEE1394コネクタ、PCカードスロット、CFカードスロット、マイク、ヘッドフォン端子が並ぶ。ちなみに無線LANのアンテナはディスプレイのサイドにある。また、本体右側面にはUSBポートが配されている
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本体背面。右からモデムコネクタ、LANコネクタ、ステレオライン入力、USBポート、外付けディスプレイポートなどが並ぶ。コンパクトなサイズにこれだけのポートが並ぶと壮観な眺めだ
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Windows XPへの対応は?
ところで、X22は5つのモデルがラインナップされている。モデルによる違いはCPUの速度、LAN、プリインストールされるOSだ。5つのモデルのうち、無線LANが内蔵されているのは「9JJ(Windows 98 SE)」と「9DJ(Windows 2000)」のみ。ちなみに、この2つのモデルのCPUはともにMobile Pentium III-M 800MHzで、ハードディスクは20GBである。また、「93J」はWindows XP Home Editionプリインストールモデル(その他のアプリも付属する)だが、有線LANのみ。また、ハードディスクは30GB、CPUはMobile Pentium III-M 733MHzだ。これらのモデルのベストチョイスはというと、やはり無線LAN搭載の「9JJ」か「9DJ」となるが、いまさらWindows 98 SEはないのでWindows 2000搭載の「9DJ」ということになるわけだ。
どうしても無線LAN搭載のモデルでWindows XPを使いたいということであれば、Windows 2000搭載の「9DJ」に「Windows XP Professional」をアップグレードインストールすれば、大丈夫。ただし、アップグレードインストールの前には、IBMが配布しているBIOSやドライバ類のインストールが必要になるので注意してほしい。なお、Windows XPに対応したBIOSやドライバ、付属アプリケーションはIBMのサイトからダウンロードできる。
■ 評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★★ |
ThinkPadって持ってるだけで仕事がデキそうに見えるので◎。ついでに無線LANでイバりましょう。
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実用性 |
★★★★★ |
今まで数あるノートパソコンを所有してきたけれど、実用性はピカいち。買っても絶対に損はしません。
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お値段 |
★★ |
同スペックの他社製ノートパソコンと比べるとやや高価です。
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価格 |
26万9000円 (2662-9DJ IBMダイレクト価格) |
年に1回程度ノートパソコンを買うので(笑)、利用期間は1年。ここ何年かVAIOばっかり買ってて、原稿かきまくりキーボードを壊しまくりでしたが、久しぶりにThinkPadを使ってみると(530Cs以来かも)、キーボードの良さや細かい使い勝手の良さに感激しました。きっと、何年かはThinkPadな人になることでしょう。
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利用期間 |
1年くらい
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1日あたり単価 |
1016円
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・ ThinkPad X22 ニュースリリース
http://www.ibm.com/jp/NewsDB.nsf/2001/10241
(広野忠敏)
2001/11/14 16:40
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