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いつでもバリ3「つなが~る II」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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携帯電話用のリピータってご存知だろうか? リピータとは屋外など状態の良い電波を室内に引き込むことにより、圏外エリアでも携帯電話を使えるようにするための機材だ。今回紹介するレッツコーポレーションの「つなが~るII」はケータイで通話可能なエリアを広げることができるリピータである。あまり一般には馴染みのない機材ではあるが、意外と面白いものなのでご紹介しよう。
地下でもバリ3なのはなぜ?
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アンテナ、室外器、屋内ユニットがそれぞれ受信用と送信用2セットで構成されている。屋外に設置したアンテナの電波を屋内ユニット(中継器)で中継する仕組み
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数年前までは地下に潜るとさっぱりケータイが使えないという状況が当たり前だったが、最近では地下でも電波状態はバリ3本の状態(アンテナマークがフル状態のこと)、こんなところではケータイは使えないだろうという場所でもバリ3ということが多い。まあ、電波状況を意識して使っている人なんてそれほどいないだろうというくらいケータイが利用できる場所は多い(いや、昔は結構ケータイが使えない場所も多かったんすよ)。地下やオフィスなどのビルの中では、外からの電波は届かなかったり、届きにくかったりするため、本当はケータイを使うことができないのだが、何故か使うことができる。そういう場所では、そもそもケータイの基地局があって、圏外にならないようにしているとか、屋外の電波を引き込んで圏外にならないようにしているということが多いのだ。
今回紹介するレッツコーポレーションの「つなが~る II」は、後者。電波状態のよい場所にアンテナを設置して、電波を屋内に引き込むことによって圏外エリアに電波を導くことで、ケータイが使えない場所を使える場所に変えてしまうという素敵な機材である。ちなみに、こういう機材のことを「リピータ」と言うらしい。室内で全然電波が届かなくてさっぱりケータイが使えない場所でも、リピータを使えばいつでもバリ3の状態でケータイを使うことができるようになるのである。
「つなが~る II」の製品構成は次のとおり。まず、屋外などケータイの電波状態の良い場所に設置するアンテナ。アンテナに接続する室外器、室外器から引き込まれた電波を中継するための本体ユニットの3つ。この3つのユニットが送信用と受信用それぞれに用意されている。つまり、屋外用のアンテナが、室外器、本体ユニットがそれぞれ2個ずつあるという構成である。
設置方法は非常に簡単で、屋外などの電波状況の良い場所に、屋外用のアンテナユニットを装着する。アンテナユニットと室外器を接続して、室外器から本体ユニットへ同軸ケーブルで接続する。本体ユニットをケータイの電波が届かない室内に場所におけば、設置した本体ユニットの周囲の空間で快適にケータイが使えるようになるというわけである。やらなければいけないのは同軸ケーブルの引き回しだけなので、テレビのアンテナを引き回す程度のスキルがあれば大丈夫である。ちなみに、室外器と本体ユニット間は60mまでケーブルを引き回すことができるので、たとえばビルの屋上や屋根の上などに室外アンテナを設置することができる。また、オプションの増幅器を利用すれば、さらにこの距離を延長することも可能だ。
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これは屋内ユニット(受信用)。このユニットの周囲30~60坪程度が圏内エリアになる。エリア内では10台程度までケータイが使える
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本体ユニットからの通話範囲は、室内で30~60坪程度のエリアをカバーする。この有効範囲内であれば10台程度のケータイを一度に利用することも可能。対応するケータイは800MHz、1.5GHz帯を利用する携帯電話で、PHSは利用することはできない。また、本体ユニットに分配器を経由してアンテナを配線すれば、本体ユニットの周りだけではなく、配線したアンテナの周りでもケータイを使うことができるようになる。たとえば、分配器を使って5部屋にアンテナを設置すれば、5部屋すべてでケータイを使えるようにできるというわけだ。
で、せっかくなので「つなが~る II」を実際に試してみました。うちは3階建ての一軒屋。おおむねケータイの電波は届きます。ただし、1階にある洋間の50cm四方の特定のスポットだけは、何故かケータイの電波が非常に不安定。ちなみに私は、このエリアをケータイミステリースポットと呼んでいます。このミステリースポットに運悪くケータイが置いてあると、さっぱりケータイが繋がらなかったり、iモードの出会い系迷惑メールやauの迷惑Cメールが電波状態が良くなったときを見計らって数十通届いたりととても不便なのである。
というわけで、アンテナを3Fのベランダに取り付けて、1Fの洋間に本体ユニットを設置、3Fから1Fまで同軸ケーブルをずるずる引き回して、この状況がどう変化するかを試してみました。結論は、さすが、リピータの威力は絶大って感じ。非常に電波の状態が不安定だったケータイミステリスポットにあっても、ケータイの電波表示はいつもバリ3、とても安定して使うことができます。これは結構感動できるかも。
で、誰が使うの?
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屋外に設置したアンテナ。このアンテナは受信用で、送信用のアンテナは別の場所に設置してある。なるべく電波状態の良い場所に設置することでリピータの効果を最大限に生かせる
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そんなわけで、ケータイの通話エリアを広げるための「リピータ」。自宅(室内)でさっぱりケータイの電波が届かない、とか電波状態が非常に不安定だから困る、という人には魅力的なアイテムではある。だが、元々がビジネスユーザーがターゲットなので39万8000円と値段もかなり高価。そのため、個人で購入して使うというのはあまり現実的ではないだろう。しかし、これが数万円程度で購入できるというものならば、状況は変わってくる。数万円の投資で快適さが買えれば、ある意味安い買い物だといえるからだ。ぜひとも個人で購入できる価格帯での製品を企画してほしいものだ。
ただ、公共の場所やビジネスで使うということを考えると話は違ってくる。たとえば、公共の地下駐車場や、地下街、地下の店、広くて電波の届きにくい店など、リピータを設置して利用者に快適さを提供できるという場所はいくらでもある。たとえば、多くの人は誰かと待ちあわせをするときは、ケータイの電波が届かない場所をわざわざ待ち合わせの場所に選んだりはしないハズ。だから、いくら雰囲気の良い店だったとしても、その店が地下にあって、ケータイの電波がさっぱり届かないならば、待ち合わせなど連絡が必要なときに使う人は少ないだろう。ところが、リピータを使って、まるごとケータイを圏内にしてしまえば、たとえ地下にあったとしても、電波が届かないという理由で敬遠されることは少なくなるだろう。つまり、集客につながる可能性もあるというわけだ。そうした店を所有しているオーナー、あるいは公園や地下施設など公共の場所を管理している人にとっては、リピータは新たなサービスを提供するという意味で検討の価値がある機材なのではないかと思う。
■ 評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★ |
縁の下の力持ち的なアイテムなのでイバれません。
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実用性 |
★★★★★ |
ある意味とても実用的。
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お値段 |
★ |
高いです。個人で買うのはちょっと無理。
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価格 |
39万8000円 |
間違って買ってしまったら、たぶん永久に使うことになると思うので1日あたり単価は計算不能。個人ユーザをターゲットにした製品ではないので、さすがに高価です。でも、公共の場所にこういったリピータが導入されれば、利用者は便利になるのでとても価値のある製品のひとつだといえるでしょう。
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利用期間 |
買ったらずっと。
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1日あたり単価 |
?円
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・ レッツコーポレーション
http://www.lets-co.co.jp/
(広野忠敏)
2001/11/07 18:42
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