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さらなる進化を遂げた オリンパス「Eye-Trek FMD-220」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)はいろいろなジャンルの製品の中で、最もサイエンス・フィクションの香りを感じさせてくれる製品のひとつだ。ちなみに、HMDとは頭や目の前にマウントして、映像を楽しむことができるディスプレイ。なかでもオリンパスのEye-Trekはコンパクトさ、装着感のよさから多くの人に支持されている製品のひとつである。今回はEye-Trekシリーズの新製品「FMD-220」をレビューしてみることにしよう。
シリーズ中、最小・最軽量のディスプレイユニット
冒頭ではHMDという用語を使ったが、オリンパスではEye-TrekのことをFMD(フェイス・マウント・ディスプレイ)と呼んでいる。HMDというとどうしてもゴツくなるというイメージが強いが、Eye-Trekはメガネのような形状をしていて、ディスプレイユニットはメガネと同様に鼻と耳で固定するようになっている。つまり、頭ではなく顔にマウントするからFMD(フェイス・マウント・ディスプレイ)ということらしい。
Eye-Trekの特徴は装着感のよさに尽きるだろう。初期型Eye-Trekも他社製のHMDと比較すると装着感がバツグンによかったが、シリーズに新製品が追加されるたびに進化しているという印象が強い。今回リリースされた「FMD-220」はディスプレイユニットの重さが85gとシリーズ中最も軽い数字をマークしている。顔に装着するものなので、軽ければ軽い方が装着感がよくなるのだ。
また、メガネの上からも装着できるので、メガネが必需品という人も安心して使うことができる。ちなみに、FMD-220は視界全体に映像が投影されるわけではない。FMD-220を装着した状態で真っ直ぐに前を見ると映像が見える。FMD-220はメガネのように視界全体を覆っているわけではなく、眼球との距離はむしろメガネよりも離れている。メガネをしていても装着感がよいのはそのためである。
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装着しているときはこんな感じ
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さらに、眼球とFMD-220との距離がある程度離れているため、下方向に視線を外すと手元を確認することができる。ちなみに、顔をちょっと上に向けることで前方を見ることもできる。そのため、FMD-220を装着しているときでもリモコンを見ながら操作することは可能である。この手のディスプレイをつけてしまうと、視界がまったくさまたげられるのでは? と思っている人も多いとは思うが、違うのだ。ちなみに、オプションのパーフェクトバイザーを装着すると、外部の光をすべて遮断することも可能。この場合は暗い視界に映像だけが投影されているという状況になるため、めちゃめちゃ迫力のある映像が楽しめるのだ。
FMD-220では映像がどのように見えるのかというと、スペック上では2メートルの距離から4:3の52インチスクリーン相当とある。実際に見てみると、たしかにそんな感じではある。実際に100インチのスクリーンと2メートル隔てて座り、FMD-220で映像を見てみると50インチを若干超える程度の大きさで見えるからだ。ただ、リアルな52インチ画面ではなく、なんとなく手を伸ばせば届くような感覚の画面が投影される。言葉にするのは難しいが、テーマパークの3D映像のように手が届きそうで届かないという感覚に近いものだといえる。
ところで、FMD-220の仕組みはというと18万画素の0.55インチTFT液晶パネル(2枚搭載)の映像をレンズとプリズムで屈折させることによって、あたかも視界の前方に大画面があるかのごとく投影している。実際の目とディスプレイの距離は短いのだが、レンズとプリズムの働きによって、目のピントも2メートル先に合うようになっていて、異常に近い物体を見ている状態とは違うらしい。そのため、目にかかる負担も普通のテレビを見ている状態と同等だということだ。ただ、視線が前方にある限り常に映像が見えるから注視しやすく、リアルな映像を見たときに比べると疲労感が残ることもあるようだ。
超小型コントロールユニットとダイレクト接続
FMD-220の特長はディスプレイだけではない、コントロールユニットは同シリーズの「FMD-250W」と同様に片手に収まる非常にコンパクトなものを採用。コントロールユニットの重さは35gととても軽い。ユニットには電源スイッチとジョイスティックが付いていて、画質やコントラストなど映像や音量など音声のコントロールはこれで行なうようになっている。
標準で添付されるケーブルは、コンポジットビデオ、ステレオ音声を1系統入力できるRCAピンプラグ。また、電源はACアダプタを利用する。だが、オプションで提供されているダイレクト接続ケーブルを使うと、プレイステーション2やポータブルDVDプレイヤーとダイレクトに接続できるようになり、この場合の電源はプレイステーション2やポータブルDVDプレイヤーから供給される。つまり、ACアダプタを使わずにFMD-220を利用することもできるわけだ。
FMD-220とプレイステーション2を接続するには、プレイステーション2専用ケーブル「ET-MC25G」(3500円)が必要。また、接続できるポータブルDVDプレイヤーは、松下電器産業の「DVD-PV40」、パイオニアの「PDV-20」、東芝の「MED200AS」の3機種。それぞれ専用のダイレクト接続ケーブルを購入すれば、モバイル環境で映画などのDVDコンテンツを楽しむことができるようになっている。
なお、音声はというと付属のステレオインナーヘッドフォン再生ができる。実はこのヘッドフォンもなかなかの優れもの。使っていないときはメガネの「つる」にあたる部分にコンパクトに収納できるようになっている。さらに、ヘッドフォンを使いたいときは、ワンタッチで取り出すことができる。ちょっと使えば、FMD-220を顔につけて耳のあたりからヘッドフォンを取り出してつけるという動作も非常にスムーズかつスマートにできるはずである。なお、音声の再生はサラウンドに対応、高音、低音ブースト機能もサポートされているため、かなり迫力のあるサウンドを楽しむことができる。
さて、最後になるが、誰もがFMD-220を買ってよかったと思うであろう使い方をひとつ紹介しよう。それは、プレイステーション2、それも動きの激しいゲームをFMD-220でプレイすることだ。このときは環境も重要。部屋を真っ暗にして、視界にはゲーム画面だけが映るという状態にする。サウンドはもちろん低音をバッチリブーストした大音量。たとえば、この状態でグランツーリスモ3などをプレイしてみて欲しい。きっと1時間後には頭がフラフラ、脳みそがトロトロの状態になって、「ああ、コレ買ってよかったなあ」って思うに違いないのである。
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コントローラ部分
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オプションのパーフェクトバイザー
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■ 評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★ |
まさに、「STARTREK The Next Generation」のジョーディ・ラ・フォージ状態(ヘンなもの見えないけど)。あるいは、「X-Men THE MOVIE」のサイクロップス状態(レーザーでないけど)。たとえば外でポータブルDVDプレイヤーを使ってモバイルシアターしたとしましょう(ていうか、これが実現できるのがある意味スゴいことですけど)。きっと本人は楽しいでしょうけど、ハタから見たらちょっとアブない人に見えるかも。そうそう、私はアキバ、それも駅のホームでそういう人を目撃したことがあります。
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実用性 |
★★★★ |
安価に大画面の映像を楽しみたい人には福音となるアイテムです。
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お値段 |
★★★ |
4:3ノーマル画面なのが気になるところですが、現行シリーズ中最も安価。大画面、大音量を楽しみたいけど環境がちょっとという人にはオススメです。
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価格 |
5万6000円前後 |
実はソニーの初代グラストロンをバカ高い値段で買って、2年くらい使っていました(いまは押入れで永眠してます)。FMD-220はきっと3年くらい使うだろうと思います。でもオリンパスがEye-Trekで次に何をやってくれるのかがとても楽しみ。今まではディスプレイ、コントロールユニット共に小型軽量化してDVDプレイヤーにダイレクトに接続できるモバイルシアター。次世代ではさらに小型軽量化も進むと共に、やっぱりワイヤレスでしょうか。ポータブルDVDプレイヤーから飛ぶワイヤレスの信号をディスプレイ部で受け取るとかね。そういうのがリリースされたら…きっと買っちゃうだろうなあ。
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利用期間 |
3年くらい
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1日あたり単価 |
52円
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・ ニュースリリース
http://www.olympus.co.jp/LineUp/HMD/FMD220/fmd220.html
・ Eye-Trek 製品情報
http://www.olympus.co.jp/LineUp/HMD/index.html
(広野忠敏)
2001/10/17 12:24
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