|
|
|
半分サイズのキーボード「Matias Half-Keyboard」
|
|
|
|
広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
|
PalmにGraffiti、Pocket PCはソフトキーボード&手書き認識、Handheld PCはキーボード、Zaurusはミニキーボードと、PDAにはさまざまな入力方式やデバイスがある。数ある入力方式&入力デバイスのなかで最も使いやすいものはというと、やはりキーボードだ。どんなに認識率が高い手書き認識だろうと、どんなにGraffitiで速く入力ができようと、やっぱりキーボードの便利さにはかなわないと思う。というわけで、今回取り上げるネタはカナダにあるMatias社のHalf Keyboard。キーボードはキーボードだけれど、フルキーボードじゃなく半分だけっていう面白い製品である。
半分だけのキーボード
写真を見てもらえれば一目瞭然なのであるが、Half Keyboardはフルキーの半分のキーボードである。何が半分かというと、大きさが半分なのではなく、左半分しかキーが存在しないというとても変わったキーボードなのだ。ちなみに、Palm m100/III/V/VII、Visor、Windows、Macintoshに対応した製品がラインナップされている。
キーの配列はというと、デフォルトの状態では
となっている。普通にキーボードをタッチすればこれらのキャラクタを入力できる。キー配列は、フルキーボードで入力するときの左手(左サイド)での入力になるわけだ。フルキーボードの右側のキーを入力したいときはどうするかというと、Spaceキーを押しながら入力するのだ。ちなみに、Spaceを押した状態のキーボードは次のようになる。
で、よーく見てみると、この配列はフルキーボードの右側そのままではなくて、右半分の配列を写像した形になっているのである。つまり、鏡に映ってる状態ね。えー、なんで写像なの、右半分を持ってくればいいのにと思ったが、実はコレには科学的(ってほどじゃないけど)な裏付けがあるのだ。
Half Keyboardは左手で打つことが考えられている。そのため、デフォルトの状態でキーボードを使って入力できるのは、フルキーボードの左半分である。タッチタイプができれば、めっちゃ楽に入力できるのである。たとえば、ホームポジションに左手を置いたときには「F」の位置に指があり、そのまま押せば「F」を入力できるというわけだ。
さて、問題は右半分の入力。Half Keyboardの右半分が何故写像になっているかという理由は、タッチタイプでキーボードを入力するときに入力をとてもやりやすくするためなのである。たとえば、右手をフルキーボードのホームポジションに置くと、右手の人差し指は「J」になる。Half KeyboardでSpaceバー右手部分の入力をするときは、「左手」のホームポジションに置いた指のキーは「F」の位置で、キーボードの配列が写像になっているため「J」が入力されるというわけ。つまり、タッチタイプの右手の操作を、SHIFTキーを押しながら左手でそのまま使えば、なんとHalf Keyboardでもサクサクとタッチタイプができるのである。いや、素晴らしい。
ただし、Half Keyboardを使うためには問題がひとつ。それは、普段キーボードを目で追いつつ入力している人や、完全に正しいタッチタイプをマスターしていない人は、さっぱり使いこなすことができないということだ。たしかに、左半分のキーについては、サクサク入力できる。ところが、右半分のキー配列は写像になっているため、目で追っかけた先には入力したい文字はないし、我流のタッチタイプだとすると、指がさまよった先は入力したいキャラクタではないという事態になる。そんなわけで、コイツを使いこなせるのは、正しいタッチタイプを正確に習得している人に限られるだろう。
で、ここでちょっと疑問に思ったのが、何でデフォルトが左手用なのかなってこと。この大きさのキーボードだと、たとえばPalmを持ちつつ、Half Keyboardを腕の内側にマジックテープとかベルトで取り付けると、完全に片手がフリーの状態でキーボード付きPalmが使える。これは、SF的でかなりカッコいい図だと思う。ところが、デフォルトが左手用なので、Palmを持つ手は右側で、キーボードも右腕に装着することになってしまうのだ。そう、右利きの人もスタイラスを使うときは左手ってことになってしまうのである。これが、右手用のキーボードがデフォルトなら、左手にPalmを持って、左腕にキーボードを取り付けて右手がフリーの状態で入力、で、スタイラスは右手で使うということができる。そんなわけで、是非とも右側用のHalf Keyboardも欲しいのである。
日本語入力はどんな感じ
Half Keyboardで日本語の入力ができるか、母国が日本語な我々にとってはとても重要な問題である。結論からいうと、完全ではないがなんとかできるという感じだ。
Half Keyboardからの入力は、Graffitiエリアに文字を書くのと同じ位置付けである。キーを押せば、そのキャラクタが入力されるので、これはまあ、あたり前の話である。
英文の入力(もちろん記号も入力できる)には、モードの切り替えや変換の操作はないため、ASCII配列のキーボードでもなんら問題はない。せいぜいがCAPSとかNUMLOCKとかそのあたりが使えればまったく不自由しない。
しかし、日本語の入力となると話が違ってくる。カナとかなの切り替え、漢字変換などの操作が必要になってくるからだ。もちろん、「日/英」シルクボタンで日本語の入力に切り替えられるし、日本語に切り替えた状態でHalf Keyboardでローマ字入力ができる。SPACEキーで漢字変換もできる。しかし、「日本語」と「英語」のモード切替ができないのである。なので、アルファベットと日本語まじりの文章を書きたいときは、スタイラス(面倒だからスタイラス使いませんが)で「日/英」シルクボタンを押して切り替える必要があるので、けっこう面倒なのである。
ところで、記号の入力はというと、これも簡単。SHIFTキーを2回押すことでキーボードは記号モードになる。右手の記号はSHIFTキーを2回押してから、Spaceキーを押しつつキーの入力をすればOKだ。また、数字の入力については、キーボードの右上のモード切替キーを使う。モード切替キーを1回押すとアルファベット入力モードに、2回でテンキーモード、3回でカーソルキーモードにすることが可能だ。
その他にも、カット、コピー、ペーストに「CTRL+C/X/V」が割り当てられていたり、ワード単位の移動や、ワード単位の選択、メニューの選択のためのショートカットなど、キーボードからPalmを楽チンに操作するためのいくつかのショートカットがデフォルトで用意されている。
とまあ、そんなわけで、しばらくHalf Keyboardで遊んでみたのだが、私はちゃんとしたタッチタイプができるというわけではない。なので、左手はなんとか入力できるけど、写像になってる右手はさっぱりダメという事態に陥った。しばらく練習してみたけど、やっぱり全然ダメ。そんなわけで、片手にPalmを持ちつつ、Half Keyboardを腕にくくりつけて、カッコよくサクサクとキー入力をするという図式は夢に終わってしまったのである。
|
|
Palmとつなぐとこんな感じ
|
こちらは同じMatias社の「Wearable Half Keyboard」
|
■ 評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★ |
Half Keyboardでサクサクとタッチタイプで入力ができたら……。きっとイバれることでしょう。
|
実用性 |
★★★ |
使いこなせればかなり実用的です。使いこなせるかどうかという点が問題ですが。
|
お値段 |
★★★★ |
気軽に買えるお値段。
|
価格 |
$99 日本販売価格1万1800円 |
さっぱり入力できなかったので1週間。ちなみに、Half Keyboardのラインナップには、「Wearable Half Keyboard」という製品もあります。キーボードを右腕にくっつけて、Palmを左腕にくっつけて身に付けてしまおうという製品。実際に利用するときは、左腕につけたPalmの画面が90度傾くので、画面を回転するソフトもついてます。見た目、SF的にけっこうカッコ良い。というか、ホントに身に付けたらタダのバカって感じもしますが、イバれるのは間違いなし。イバった後のことは保証しませんけどね。
|
利用期間 |
7日
|
1日あたり単価 |
$14.1
|
・ halfkeyboard.com (カナダ・Matias社、英文)
http://halfkeyboard.com
・ 製品情報(英文)
http://halfkeyboard.com/products/hkbinfo.html
・ センチュリー(日本販売総代理店)
http://www.century.co.jp/
(広野忠敏)
2001/10/03 11:28
|
|
|
|
|