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音楽再生もできるハイブリッドなボイスレコーダー 「東芝 IC-SD1」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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ボイスレコーダーっていうと、会議やインタビュー取材の内容を録音したりって感じで使うのが一般的。実際にボイスレコーダーを使ったことがない人にとっては、あんまり眼中にないアイテムの1つかと思う。しかし、会議とか取材なんてなくても、ボイスレコーダーが役に立つシチュエーションは、日常生活にもごろごろ転がっているのだ。というわけで、今回のお題は東芝のボイスレコーダー「IC-SD1」。録音もできるし、音楽プレーヤーとしても使える、ハイブリッドでナイスなアイテムだ。
ボイスレコーダーは便利なのだ
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本体の大きさは98.5×41.5×13mmで重さは57g(電池含む)
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これを読んでいる方々や新しモノが好きな人々はきっと「音楽プレーヤー」と「ボイスレコーダー」のハイブリッドな部分が最も気になるのではないかと思う。でも、その気になる部分は置いておいて、まずは「IC-SD1」のボイスレコーダーの機能について説明しよう。
ボイスレコーダーといえば、そのものズバリ「声を録音するための機械」である。「IC-SD1」にはマイクとスピーカーが内蔵されていて、ワンタッチで録音したり、再生することができる。ちなみに、記録メディアとしてはSDカードを利用。製品には32MBのSDカードが付属していて、それを全部ボイスレコーダーに使えば、標準モードで8時間10分、高音質モードで1時間30分の録音ができる。128MBのSDカードを使えば、標準モードで実に32時間40分、高音質モードでも6時間の録音が可能だ。本当に128MBのSDカードを使って連続録音すると、バッテリ(単4電池2本)の方が先になくなってしまう(標準モードで連続5時間半、高音質モードで6時間連続稼動可能)という半ば冗談みたいな使いっぷりができる。
ちなみに、音質はというと内蔵のマイクから50cm離れて喋ってみたものを再生してみたが、当然のことながら高音質モードの方が聞きやすい。標準モードだと声の調子や大きさ、周囲の雑音などで再生時に内蔵のスピーカーではやや聞きとりにくいこともあったが、支障のない範囲であることを付け加えておく。ただ、本体にヘッドフォンを接続すればどちらのモードで録音したものでも、明瞭に聞き取ることができる。また、外部マイク端子も備えているため、指向性マイクなど、録音環境に合った高性能なマイクを使うことも可能だ。
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携帯電話よりも小さくて、ポケットに入るくらいコンパクト。これならば普段身に付けて、たとえば歩きながらメモする、という使い方も無茶じゃない
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ボイスレコーダーといえば、冒頭でも書いたとおり、会議や取材やインタビューで使うというイメージがある。でも、実際にボイスレコーダーを使ってみると、その使い道は驚くほど広い。というかアイディア次第で色々なものに応用できる。
たとえばPDA的使い方。いちいちPDAにスケジュールをメモするヒマがないときでも、ボイスレコーダーを使って声で素早くメモを残せる。もしそれが重要なメモならば、時間があるときにPDAなり手帳なりパソコンなりに書き写せばいい。あるいは、思いついたことを紙にメモするのが面倒なときも有用だ。枕元に置いて、寝っ転がりながら思いついたアイディアをメモするとか、夢を忘れないようにメモる。さらには「ヨドバシカメラではIC-SD1は○○円」、「さくらやではIC-SD1は○○円」みたいにメモをとって、お金を節約するためのお買い物の友として使うこともできる。
ただ、1点気になったことがある。それは録音開始までのインターバル。本体の電源を入れるには再生ボタンなどを押してから1秒以上待たなくてはならない。電源が投入されているときは録音スイッチをオンにするとすぐに録音できる。電源が切れている状態で録音スイッチをオンにしても録音ができるが、このときは電源OFFから録音可能状態になるまで1~2秒程度のインターバルがあるのだ。いずれにしても、音声でメモを取りたいと思ってから、一拍待って喋る必要がある。よりスピーディーな録音ができたほうが便利なので、このあたりは是非とも改善して欲しいものだ。
録音内容はフォルダで管理できるほか、録音中に任意のポイントでインデックスをつけてあとで頭出しに使える。マメにインデックスをつけておけば、雑多な情報を録音したとしても、整理不能な事態には陥らないハズ。さらに、再生するときは標準速だけではなく、1.5倍の早聞きと0.7倍の遅聞きが可能。内容だけをざくっと聞きたいときは早聞きで、英語ネイティブスピーカーが喋った録音を後でゆっくり聞きなおしたいときなどは遅聞きでといった使い方がも可能だ。その他にもマイクモード(口述、会議)切り替え、自動録音(音声が一定のレベルのときに自動録音する機能)などボイスレコーダーとしての機能は十二分に満足しているのもポイントが高い。
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右側面のボタン配置。インデックスや重要マークなど、録音音声をあとで整理しやすくする機能も充実。録音したいときは、電源OFFだろうと音楽再生中だろうと、録音スイッチスライドすればとにかく録音を開始する
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付属のボイスマネージャ。パソコン接続用のUSBケーブルとソフトが付属しているのも魅力
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さらに、パソコンと「IC-SD1」をUSBケーブルで接続して、付属ソフト「東芝ボイスマネージャー」を利用すると「IC-SD1」で録音した音声をパソコン上で再生や結合・分割・消去といった編集操作ができる。もちろん録音音声をパソコン上に保存したり、WAVファイルへの変換も可能。さらに、パソコンに転送済みの音声ファイルを「IC-SD1」に戻したり、WAV形式のファイルを「IC-SD1」の音声形式に変換して「IC-SD1」に転送することができる。これらの機能をうまく使えば、ネイティブが喋った英文を用意しておいて、ヒアリングの能力を鍛えるなんていう前向きな用途にも活用できるだろう。
ところで「IC-SD1」でSDカードを初期化すると、SDカードにAudio、Meeting、Memo、Scheduleのフォルダが自動的に作成される。どのフォルダに録音するのかは、ワンタッチで設定でき、録音しながらカテゴライズできるようになっているのだ。さらに「東芝ボイスマネージャー」を使うと、これらのフォルダの名称を変更したり、最大20個まで新しくフォルダを追加できる。多目的な用途や細かいカテゴリで録音を管理したいときに便利な機能だといえるだろう。
音楽プレーヤーとしても使えるのだ
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オーディオマネージャソフトももちろん付属する
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「IC-SD1」はボイスレコーダーとしての性能も水準以上で、さらに音楽プレーヤーまでついているわけで、割と言う事はないって感じで便利だ。たとえば、普段は携帯用音楽プレーヤーとして使って、必要なときにボイスレコーダーとして使うことができるわけ。今までボイスレコーダーと携帯用の音楽プレーヤーを2つ持ち歩いている人ならば、持ち歩く機器が1つ減るので、かなり便利に使うことができるハズだ。
「IC-SD1」で再生可能な音楽フォーマットはAAC形式とMP3形式の2つの形式。パソコンと「IC-SD1」をUSBケーブルで接続し、付属ソフト「東芝オーディオマネージャ」を使って音楽データを転送する。なお、MP3形式の音楽ファイルを直接SDカードにコピーしたものは再生できないので注意が必要だ。手持ちのMP3形式のデータを転送したいときも「東芝オーディオマネージャ」を利用しなければならない。ちなみに「東芝オーディオマネージャ」は音楽データを「IC-SD1」に転送する機能だけではなく、音楽CDからAAC形式の音楽データを作成するリッピングの機能はもちろん、パソコンのハードディスクに格納された音楽データを再生するためのジュークボックスとしての機能もある。
ところで気になる音楽再生時間だが、単四アルカリ電池2本で連続7時間程度の再生が可能。ただしボイスレコーダーとして使ったときは、当然のことながら音楽再生時間は少なくなる。ちなみに、32MBのSDカードには128Kbpsのビットレートで約30分、96kbpsでは約40分程度の音楽を格納することができる。そんなわけで「IC-SD1」に加えて、予備の単四アルカリ乾電池、録音用の予備のSDカード、64MBあるいは128MBの音楽データ格納用SDカードがあれば、最強の携帯用ボイス録音&音楽再生環境が構築できるハズだ。
■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★ |
人に見せて自慢するというよりは、実用性で勝負するアイテムでしょうね。イバらずにスマートに使いこなしましょう。
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実用性 |
★★★★★ |
「これ以上実用的なものは他にあるのかっ!」というほど実用的。さらにハイブリッドというキーワードで物欲指数も100%ってところでしょうか。
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お値段 |
★★★★ |
安価なボイスレコーダーもいいですが、コレに慣れちゃうとたぶん他の単機能なボイスレコーダーでは物足りなくなるでしょう。ということで、妥当なお値段かと思います。
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価格 |
3万5000円程度 |
以前使っていたボイスレコーダーはメモリ内蔵式。3年ほど使ってました。ボイスレコーダーのようなアイテムは最新機器に買い替えをしなくても、十分に実用になるというメリットがあります。より新しい機種は録音可能時間が増えてるとか音質が良いとか大きさが小さいという方向に改良されますが、古い機種がまったく使い物にならないということはありません。とはいえ、コレは小さくて、おまけに音楽も再生できるんだよなー。すでにシリコンオーディオも6台くらい所有しているんですが、SDオーディオは持ってないんですよねえ。かなり欲しいかも。
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利用期間 |
3年 |
1日あたり単価 |
36円 |
・ IC-SD1の製品紹介
http://www2.toshiba.co.jp/webcata/it/webcata.cgi?code=ic_sd1
・ ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2001_05/pr_j2201.htm
(広野忠敏)
2001/07/11 00:00
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