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おとなのおもちゃタイトルGIF
地上波もBSデジタルもDVDも何でもありのディスプレイ
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 このところ映像メディアを取り巻く環境が変わりつつある。昨年末にBSデジタル放送が開始されたのを皮切りに、3年後をメドに地上波のデジタル放送も開始されるなど、デジタル放送の波が一気に訪れようとしているのだ。そして、映像メディアといえばなくてはならないのが、テレビやモニタである。さまざまな映像を楽しもうと思っても、テレビやモニタなどがなければしょうがないのである。

 地上波放送、BSデジタル、さらにはDVD、そして将来開始されるであろう地上波デジタル放送、こうしたメディアを余すところなく楽しみたいと思うと、当然必要になるのが、デジタルハイビジョンに対応したテレビだ。しかし、現在発売されているデジタルハイビジョンテレビというと、30インチ程度の大画面、なおかつ値段も比較的高価なので、とても気軽に買えるものではない。でもやっぱり見たい、大きいテレビを置く場所はないのでちょっと小さ目のがいい、そんなことを考えていたときにリリースされたのがナナオのデジタルメディア対応ディスプレイ「GAWIN M-10」だった。


かなり豊富な入力端子を装備

デジタルBSからパソコンまで何でもつなげてしまう「GAWIN M-10」。電源やコネクターはディスプレイ部ではなく、インターフェイスボックス部に収められているセパレートタイプ。ディスプレイ部の重さは5.5kg
 ナナオといえばパソコン用のCRTディスプレイの分野では非常に定評のあるメーカー。ディスプレイならナナオという風に指名買いをする人も多い。そのナナオだが、もちろん液晶タイプのディスプレイもリリースしている。中でも特徴的なのが「GAWIN M-10(以下GAWIN)」というモデル。

 GAWINはパソコン用のディスプレイとして使えるだけではなく、地上波テレビチューナーを内蔵、さらにはコンポジット、S映像、D端子(D1~D4までに対応)などの入力を4系統搭載とほとんどの映像入力に対応している。つまり、GAWINがあればパソコン、プログレッシブDVD、BSデジタルハイビジョンなど、およそどのような映像ソースでも見ることができるのだ。他社の製品でも映像入力やテレビチューナーを備えている液晶ディスプレイはあるが、ここまで豊富な映像ソースに対応しているのは、いまのところGAWINだけだろう。

 例によって、ここで簡単なスペックを紹介しよう。なお、詳しい仕様に関してはGAWINのホームページも合わせて見て欲しい。


 GAWINの外見は黒をベースにした、なかなかスタイリッシュなデザイン(限定モデルでスピーカー部分のカラーがアースオレンジとミネラルブルーのモデルもある)。パソコン用の液晶ディスプレイというよりは、高級オーディオ機器などを意識しているデザインだ。そのため、パソコンの横にあるよりはリビングに置いたり、AV機器と並べた方がしっくりくる。有効画面サイズは15インチ(305×230.4mm/1024×768ドット)、画面のサイドには擬似サラウンド再生可能な2wayバスレフ型(2W)のスピーカーが2つ配置されている。

 本体は、液晶ディスプレイとコントロールボックスに分かれていて、3mのケーブルで接続されている。前述の映像入力端子などはコントロールボックスに集約されていて、液晶ディスプレイとコントロールボックスを繋ぐ接続ケーブルも細く取り回しやすいため、かなり自由度の高いレイアウトが可能だ。パソコンのディスプレイとして机の上に置くことが基本だが、液晶ディスプレイ部分の厚さは6cmと非常に薄いため、壁にかけて「夢の壁掛けテレビ(笑)」として使うこともできるだろう。

 なお、液晶ディスプレイを支えるベースは約15cm程度の奥行き(取り外すこともできる)、液晶ディスプレイ全体の幅は約50cm、奥行きは6cmと非常にコンパクトなので、パーソナルテレビとして考えた場合、置き場所を選ばずにどこにでも置けるというのもいい。わざわざテレビを置くために場所を空けるなんて必要もあまりなく、ベッドサイドにだって気楽における。ただし、普通のブラウン管テレビの上にネコが飛び乗っても何も問題は起きないが、GAWINにネコが飛び乗ると、ネコの体重の勝ちになることもある。最悪の場合液晶ディスプレイが設置場所から落ちるとか倒れてしまうこともあるので、ネコを飼っているときは注意が必要だ(実話です)。


とても綺麗な画質なのだ

 実際にGAWINに映し出された画面の第一印象は明るく、非常にシャープで、そして視野角が広い。液晶ディスプレイというと、やや暗く見にくく、さらには動きの速い映画などの映像ソースを再生した場合は、液晶の反応速度のもたつきなどで映像が眠くなることもある。GAWINでは、そういうことはまったく感じられなかった。画面は明るすぎるほどに明るく、コントラストもしっかりしていて、映し出される映像は極めてシャープだ。

 液晶パネルの明るさに関しては、Movie、Picture、Game、Textの4つのモードがあり、あらかじめ適切な輝度が設定されている。さらに、ナイトモードと呼ばれるモードを搭載。リモコンのボタン1つで、液晶の輝度を落とすことができるため、比較的暗い部屋で映画を見るときなどでも最適な明るさで楽しむことができる。このあたりの作りこみは、パソコン用ディスプレイというよりも、完全にAV機器を意識した作りになっている。もちろん、プリセットされた輝度を好みによって調整したり、ガンマ値を変えることで映像の調整も可能だ。ちなみに、付属の赤外線リモコンを使ってすべてのコントロールが可能になっている。

 コントロールボックス背面。ありとあらゆる映像端子がそろっているのでかなり煩雑としているが、セパレートタイプなのでディスプレイから離れた場所に設置することもできる。ちなみに前面にもコンポジット・S映像と音声入力端子が1セット用意されている

 GAWINに搭載されたテレビチューナーで受信した映像やコンポジットビデオで入力された映像もかなり鮮明。地上波テレビ放送やコンポジットビデオ入力は、インターレース信号で水平方向の解像度が粗いのが特徴なのだが、こうした信号はデジタル・プログレッスブ・スキャン処理され、インターレースからプログレッシブに変換されて表示されるようになっている。一般にデジタル信号処理が介在すると、動きが不自然になったり、画像がぼやけたりするということも多いのだが、GAWINの場合はそうしたデメリットは感じられなかった。

 という具合にコンポジットやS映像、内蔵TVチューナーを使う機会も多いかと思うが、やはりGAWINの魅力を120%引き出すのはD端子を使った映像ソースの再生だ。D端子に接続できる機器はDVDプレーヤーやBSデジタルチューナーなど。DVDプレーヤーについてはコンポーネント出力(D1)、あるいはプログレッシブ出力(D2)ができるものが必要。さらに、GAWINではBSデジタルチューナーのD3/D4の入力が可能だ。BSデジタル放送については、視聴する環境が自宅にはないのだが、GAWINを購入したキッカケがまさにそのBSデジタル放送だったりするのである。


 実はショップでGAWINを始めて見たときに、D3端子を使ったデジタルハイビジョン放送のデモンストレーションを行なっていたのだ。このときの映像はまさに圧巻。大画面のブラウン管やプラズマディスプレイ、あるいはプロジェクタで初めてデジタルハイビジョン放送を見たときは、たしかに綺麗なんだけどこんなものかなという印象だった(とはいえ、コンポジットやS映像よりは綺麗)。ところが、GAWINでハイビジョン放送を見ると、これがめちゃめちゃシャープで綺麗なのである。ディスプレイの大きさが小さいせいだと思うのだが、あまりにも感動してしまったので即座にGAWINを買ってしまったというわけだ(笑)。

 さらに、DVDを持っているなら、ぜひ試して欲しいのがコンポーネントやプログレッシブ入力。コンポーネント入力は色信号を分離する入力方式のことで、コンポジットやS映像よりも画像の劣化が少なく、鮮明な画像を楽しむことができる。一方のプログレッシブ入力はインターレースではなくノンインターレース信号のこと。こちらも鮮明な画像を楽しめる。GAWINではコンポーネント入力されたインターレース信号もデジタル処理され、最終的にプログレッシブ映像になっているおかげか、DVDのプログレッシブとコンポーネントの差はそれほど感じられなかった。しかし、コンポジット、S映像とコンポーネント、プログレッシブの映像を比較するとその差は歴然。画質の差なんて、並べてみなくてはわからないんじゃない? と思う人もいるかもしれないが、並べて比較するまでもなくわかるほど差があるのである。DVDを見るならやはりコンポーネントかプログレッシブということを再認識した。



■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★★★  イバれるかイバれないかかなり微妙なところでしょう。画面の大きさ的にはイバれないけど、性能的にはイバれるといったところか。
実用性 ★★★★  とりあえずBSデジタルハイビジョンを見たいとか、DVDを持っているけどコンポジットやS映像で見ているという人で、大きなテレビは置きたくないという人なら間違いなく買いのアイテム。パソコンのディスプレイにもなるというオマケ付きです。
お値段 ★★  いまどきの15インチのテレビなんて数万円で買えるということは忘れましょう。
価格 13万8000円  実売で14万円程度。GAWINをパソコンのディスプレイとして考えると少し高価。GAWINをテレビとして考えるとかなり高価。GAWINをハイビジョンディスプレイとして考えると……まあ、妥当な価格付けかも。ちなみに、液晶テレビとしてみると結構妥当な価格付けだったりします。
利用期間 5年
1日あたり単価 76円



・ GAWIN M-10の製品紹介
  http://www.e-gawin.net/
・ EIZOのホームページ
  http://www.eizo.co.jp/


(広野忠敏)
2001/03/28 00:00

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