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史上最強のラベル作成環境
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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ブラザー工業のP-touch PCといえば、いわゆるラミネートタイプのラベルライターとしては結構有名な存在。今回紹介するのは、P-touch PCシリーズの最上位モデル「P-touch 9300pc」だ。ラミネートラベルに出力するラベルライターといえば、文房具店などで販売されている専用のラベルライターを想像しがちだが、パソコンに接続できるラベルライターは専用ラベルライターとは比較にならないほど楽しいし、お手軽なのだ。
■ ラベル作りは楽しいけれど
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P-touch 9300pcは、熱転写ラミネート・感熱方式で、360dpiの解像度を持つ。大きさは120×150×250mm(幅×高×奥)で重さは1.5kg
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ちょっと整理グセのある人ならラベルライターの存在は知ってるハズだ。古くはダイモ。最近では、カシオのネームランドやキングジムのテプラなどのラベルライターが文具店で売ってるし、実際使っている人も多いと思う。ラベルライターで作ったラベルの使い道はビジネスシーンやプライベートシーンを問わず意外と多い。録画したビデオテープの整理、CD-Rやフロッピーディスクのラベル、書類の整理などなど、ラベルというものはいろんなシチュエーションで便利に使うことができる。
実際にラベルライターでラベルを作る作業は妙に楽しいものだ。普通にCD-ROMやビデオテープに使うラベルを作ったり、そのへんのガラクタを整理するためのラベルを作ったりするだけでも結構楽しいのだが、そのうち調子に乗ってきて、ラベルを作ってからそのラベルを貼る場所を考えるとか、次にどういうラベルを作ろうかとかさんざん頭を悩ませることになりがちなのである。ここまでくるともはやラベル中毒なのであるが、ラベルライターを使いまくっている人だったら、きっと同じ経験をしているハズだ。
ところで、私も実際に専用のラベルライターを使っているのだが、不満な点がいくつかある。1番の不満はラベルに打つことができるフォントが限られていること。たしかに最近の専用ラベルライターは豊富なフォントを使ってはいるが、それでも表現力に限界はある。たとえば、勘亭流フォントを使って千社札ラベルを作れる専用ラベルライターはほとんどない。さらに、フォントをたくさん搭載しているラベルライターは総じて高価。安価な機種では明朝とゴシックだけなんてのもある。
ラベルを自分で自由にレイアウトできないことも不満の1つ。多くの専用のラベルライターには、定型のフォーマットや飾り枠が搭載されており、それなりのレイアウトができるのだが、自由自在にレイアウトをするこということはできない。たとえば、自分で作ったグラフィックを枠飾りにしたり、いくつかの異なったフォントで大きさの違う文字を1つのラベルにレイアウトするということはできないのだ。
■ とてもエライP-touch PC
そこで、ブラザーのP-touch 9300pc(以下P-touch PC)の登場なのである。P-touch PCはスタンドアロンのラベルライターではなく、れっきとしたプリンタなのだ。P-touch PCをパソコンに接続して、専用ソフトを使ってラベルをデザイン。あとはフツーに印刷するだけで、あっという間に自分だけのオリジナルラベルが出来上がるのである。パソコンに接続できるラベルライターはすでにいくつかの製品があるが、さまざまな点でP-touch PCはそれらの製品に勝っているのがいいのだ。つまり、P-touch PCはとてもエラいラベルライターなのである。
では、一体どのような点がエライのだろうか。その辺を簡単に書いてみよう。まずは、インターフェイス。パソコンに繋ぐわけなので、パソコンとのインターフェイスが必要になる。P-touch PCはシリアル、USBの両方のインターフェイスに対応している。つまり、およそどのようなパソコンにだろうとP-touch PCを接続できる。また、対応するパソコンやOSが多岐に渡るのも優れている点の1つ。Windows 95/98/NT 4.0/2000、さらにMacintoshに対応しているため、現在市販されているほとんどすべてのパソコンで使うことが可能だといえる。
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テープ交換もいたって簡単。機械が苦手な貴方も大丈夫
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さらに、ドライバをインストールすると、P-touch PCは単なるプリンタとして認識される点も非常に気持ちいい。P-touch PCを使ったラベル作りは同梱の専用エディタ「P-touch Editor」で作成するのが基本。だが、普通にプリンタとして認識されるので、P-touch Editorじゃなくても、印刷をサポートするアプリケーションなら、どのようなアプリケーションからでも印刷できる。たとえば、Wordを使って作ったラベルも印刷できるし、かなり強引で無理があるがExcelで作った表をラベルに印刷することもできる。ホント、素晴らしい。
ところで、P-touch PCで利用できるのはTZテープという専用のテープである。テプラやネームランドのテープほど種類が豊富とはいいがたいが、幅6、9、12、18、24、36mmのそれぞれのテープが用意され、カラーバリエーションも意外と多いので普通に使うには十分だといえるだろう。また、ラミネートテープだけではなく、テープ表面に直接印刷するノンラミネートテープ、テープの材質が布のファブリックテープ、いったん貼り付けたテープをはがした時に印刷面が破壊されるセキュリティテープ、テープ表面をコインなどで削ると印刷した文字が浮き出るスクラッチテープ、テープに印刷した文字を紙などに転写できる転写テープやアイロン転写テープなどさまざまな種類のテープが用意されているのも面白い。用途に応じて選べる幅があるのはユーザにとって歓迎すべきことだ。なお、P-touch 9300pcにはラベルのカドを丸める「Rトリマー」も付属。カドを丸くしてはがれにくいラベルをつくることもできる。まさに、P-touch PCは最強のラベル作成環境ともいえるのだ。
■ とてもエライP-touch Editor
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P-touch Editorではパソコンにインストールされているフォントをそのまま利用できる。テンプレートやクリップアート、モンタージュ機能などなど、気軽にナイスなラベルが作れる機能も満載
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P-touch PCには、ラベル作成ソフト「P-touch Editor」が付属している。このソフトもかなり素晴らしい。P-touch Editorを使ってラベルを作るのは非常に簡単。フォントを選んで文字を入力するだけだからだ。もちろん、ラベルの印刷面には自由な配置で文字をレイアウトできる。さらに、あらかじめ用意されているクリップアートを貼り付けたり、アレンジテキストを使って入力したテキストを装飾したり、ビットマップを貼り付けたりできる。つまり、自分の思い通りのラベルを作ることができるのだ。例えば、勘亭流フォントを使って外枠をつければ「あっ」という間に千社札もどきラベルの出来上がりなのである。このあたりは、専用のラベルライターにはマネはできないことだ。
さらに、P-touch Editorではバーコードの印刷、モンタージュの印刷などさまざまな印刷をすることもできる。また、AccessのデータベースやCSV形式のファイルを取り込んで、ラベルに印刷することも可能。たとえば、住所録のデータベースを取り込んで、1件ずつ住所録のラベルを作るといった芸当もいとも簡単にこなしてしまう。ExcelやAccessなどで作成した住所録があれば、顧客の住所とバーコードが印刷されたラベルをいとも簡単に作れてしまうのだ。
とまあ、ラベルを作るためのさまざまな機能が用意されている「P-touch Editor」だが、豊富な機能がある割には、使いやすくデザインされているのもポイントが高い。普通にラベルを作るだけなら、文字を入力するだけ。もちろん、入力した文字のフォントを変更すること、文字の大きさや飾りのスタイルも変更できる。さらには、種類や大きさの違うフォントを1つのラベルに混在させることも(当然のことなのだが)できるため、文字だけのラベルでもさまざまなバリエーションのラベルを作ることができるだろう。また、ラベルのテンプレートもたくさん用意されているので、テンプレートからラベルを作るのも面白いハズだ。
■ ラベルを貼りまくる日々
そんなわけで、P-touch PCとP-touch Editorを使えば、とても簡単にラベルを作ることができる。なんといっても、自分の思い通りにデザインしたラベルを貼ることができるのだから楽しさもひとしおなのである。というかこれがめちゃめちゃ楽しい。簡単にラベルを作ったら次はどうするか。そう、ラベルを貼りまくるのである。ビデオテープの背ラベル、書類ケースの背表紙、名札ラベル、名刺の代わり、CD-Rのラベルなどなどラベルが活躍できる場所はいくらでもあるハズ。楽しさのあまりにラベルを作りすぎて、ラベルを作ってから貼る場所を探すなんてことも日常茶飯事になるだろう。
ラベルの内容や貼る場所にあわせてレイアウトやフォントを変えるところまできたら、あなたも立派なラベル中毒。P-touch PCは誰でもいとも簡単にラベル中毒にしてくれるアイテムだ。
■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★ |
誰かにラベルを作ってあげることでイバれるかな。とはいえ、イバり度はあんまり高くはないかもしれません。
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実用性 |
★★★★★ |
実用性はピカいち。対応OSや対応パソコンが多いこと、シリアル、USB両方のインターフェイスが用意されていることなど、素晴らしいといえるでしょう。専用のラベルライターではマネのできない、細かいレイアウトのラベルを作るとか、思い通りのラベルを作ることができるのもポイントが高いですね。プライベートで使ってもよし、ビジネスで使ってもよしって感じ。
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お値段 |
★★★★ |
専用のラベルライターと比べても、それほど値段が高いわけではありません。むしろ、できることややれることを考えると安価だといってもいいでしょう。
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価格 |
3万9800円 |
ちなみに私の場合、P-touch PCの初期型モデルを6年くらい使ってました。なので、予測利用時間は6年。ラベルライターとかって、一度買ってしまうとそうそう買い換えるような品物ではありませんから。必需品ではないし、持っていなくても別に不自由はしません。でも、一度パソコンでラベルを作る楽しさを覚えてしまうと、未来永劫抜け出せないかも。そんなわけで、パソコンを持っていてラベルライターを持っていないなら、間違いなく買いだといえます。ちなみに、今回はブラザー工業からお借りした製品を使ってのレビューですが、便利なのでまた買っちゃうんだろうなあ……
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利用期間 |
2190日(6年) |
1日あたり単価 |
18円 |
■ URL
P-touch 9300pcの製品紹介
http://www.brother.co.jp/p-touch/pt9300pc/index.html
(広野忠敏)
2001/03/14 00:00
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