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いいとこどりビデオレコーダー
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 最近にわかに注目を集めているハードディスクビデオレコーダーとは、ビデオテープの代わりにハードディスクに録画をするビデオレコーダーのことだ。ハードディスクのランダムアクセスを活かしたさまざまな再生方法ができるのが特徴。今回紹介するビクターのハイブリッドレコーダーはハードディスクレコーダーとS-VHSビデオの両方の両方が搭載された、とても便利な製品なのである。


ハードディスクとビデオテープのいいとこどり

ハイブリッドレコーダー HM-HDS1。本体前面の右側にビデオテープ挿入口がある
 ハードディスクビデオレコーダーといえば、最も特徴的なのがその再生方式。録画中の番組をさかのぼったり、ってのは、ビデオテープにはマネが出来ないハードディスクビデオレコーダーならではのもの。だが、ハードディスクのみが搭載されたレコーダーでは、録画したものを「保存」するために使うことはできない。なにせハードディスクは有限で、交換や追加ができないから。

 ところが、ハイブリッドレコーダーは、ハードディスクレコーダーとS-VHSのビデオの両方の機能を搭載しているため、タイマー録画したビデオを「見る」ために使うこともできるし、S-VHSテープにダビングして「保存する」ためにも使うことができる。まさに、ビデオテープとハードディスクの両方のいいとこ取りをした画期的な製品だといえる。たとえば、連ドラを見るためにハードディスクに録画したのはいいけど、初回が予想以上に面白かったから消すのはもったいないというときに、ワンタッチでテープに録画できるのは、ハイブリッドレコーダーならではの機能なのだ。

 また、録画メディアが2つあるということで、2つの番組を同時に録画できるのでは? と考える人もいると思うが、それは正解です。地上波の2つの番組を同時に録画するといった同じ映像ソースの同時録画はできないが、地上波の番組をテープに録画しつつ、外部入力に接続したスカパーのチューナーからハードディスクに録画するといった芸当もあざやかにこなすことができるのだ。

 と、まあ、ハイブリッドレコーダーで便利なコトはたくさんあるのだが、まずは簡単にスペックなどを紹介しておこう。内蔵のハードディスクは20GB、録画モードはSP、LP、EP、SEPの4つがあり、SPで7時間、SEPで20時間の記録が可能だ。実際に録画してみた感じでは、最も長時間録画ができるSEPでは結構画質が粗くなってしまうのが気になる。そのため、普通に番組を録画するにはEP(14時間録画可能)を選択したほうが良さそうだ。なお、ビクターでは、5月末日までハードディスク増設キャンペーンを実施していて、3万6000円でハードディスクを20GBから40GBに拡張することができる。城とハードディスクはデカい方がいいに決まってるので、是非とも増設をオススメする。

 搭載されているチューナは地上波(VHF、UHF)、BS、そしてCATVに対応。外部AV入出力は入力がS映像、コンポジット、ステレオ音声1系統、出力がS映像、コンポジット、ステレオ音声2系統が用意されている。ただ、外部入力が1系統だけというのはやや不満が残る。せっかく2つの方式での録画を同時に出来るのだから、入力は2系統は欲しかった。


ハードディスクレコーダーはやっぱり便利すぎる

本体背面。各種アンテナやテレビを接続する。出力は2系統用意されているけど、入力は1系統のみ
 さて、ハイブリッドレコーダーの最大の特徴であるハードディスクへの録画。使ってみるとよーくわかるのだが、これは便利。便利すぎる。1度経験したら足を洗うことは出来ないほど便利なのだ。たとえば、連ドラの録画予約をしたとしよう。放映中に帰宅したら?

 これがビデオテープへの録画だと途中から見るのはシャクだから、放映が終わるまで待ってから、おもむろにテープを再生することだろう。その間、あの人ははどうなるのかな? とかストーリーの展開はどうなんだろう? とか考えつつジレジレしつつ待つわけだが、ハードディスクへ録画していると、録画中の番組を録画しつつどの位置からでも楽しむことができるのだ。つまり、途中から見るのはシャクだから放映が終わるまでガマンする必要はぜんぜんない。帰宅時にドラマの録画予約が進行している状況だとしても、おもむろに初めから見ることができるわけ。便利でしょ。

 また、ビデオテープの場合、テープに録画中は録画以外なにもできない。だがハードディスクレコーダーの場合、ハードディスクに録画済みの番組を楽しむことができる。もちろん、ビデオテープへ録画中にハードディスクに録画した番組を見ることも、ハードディスクへ録画中にビデオテープに録画した番組を見ることもできる。要するに空き時間がないほどに楽しむことができる。なんだか結構くどいのだがめっちゃ便利なのである。

 さらにこのハイブリッドレコーダーは、番組視聴中に特に録画操作をしていなくても常にハードディスクに一定時間(最大3時間まで)を自動的に録画するという機能がある。たとえば、この時間を最大の3時間に設定しておけば、テレビ番組視聴中、いついかなる状態でも現時点から3時間前まではさかのぼって見ることができるのだ。

 たとえばドラマを見ているときに電話がかかってきたらどうするか(そういうときはたいていドラマのクライマックスだ)。そう、即座に一時停止をして、電話が終わってから続きをゆっくりと楽しむことができるのだ。また、スポーツ番組を見ているときに、お気に入りのチームのゴールシーンとかホームランをうっかり見逃してしまったらどうする? それも心配はいらない、ちょっと巻き戻せば何回でも見ることができるからだ。たとえお気に入りのチームが負けてしまったとしても、ハードディスクに録画が残っている時間ならば、キモのシーンを何度も再生してウサを晴らすことだって出来るのだ。こうした機能は、ビデオテープではマネは出来ないハードディスクレコーダーならでのもので、めちゃめちゃ便利なのである。

 ちなみに、録画予約の方法は開始時間と終了時間、チャンネルを選択する一般的な方法と、Gコードによる方法の2通り、ハードディスク、ビデオテープどちらに録画するときも方法は同じで、予約時に[HDD]ボタンを押せばハードディスクに、[VTR]ボタンを押せばビデオテープに録画することができる。


 なお、EPG(電子番組表)には対応していない。さらに、ハードディスクに連続ドラマなど定期的に決まった放送を録画するときは、録画が溜まるのではなく上書きで録画することができるようになっている。毎日決まった番組を録画するとか、毎週決まった番組を録画するのにハードディスクの残量を圧迫しない便利な機能だ。


ナビゲーションと強力な編集機能

付属のリモコン。これでハードディスクレコーダーとS-VHSビデオデッキの両方を操作できる
 ハイブリッドレコーダーのもう1つの特徴は、ナビゲーション機能と強力な編集機能が用意されていること。ナビゲーション機能とは、録画済みの番組の頭出しなどを簡単にするための機能。ハードディスク、ビデオテープ共に録画した内容は、画面にサムネール表示される。ハードディスクの場合は録画されているすべての番組がサムネール表示され、ビデオテープが挿入されていないときは、登録済みのビデオテープにはどのような番組が記録されているのかがサムネール表示されるようになっている。

 さらに、サムネールを選ぶと(ビデオテープの場合はテープを挿入すると)、その録画内容はどんなものが含まれているのかがサムネール表示され、番組の頭出しも簡単にできるようになっている。サムネールの下にはタイトルやジャンルが表示されるが、このタイトルやジャンルの編集もできる。ナビゲーション機能をうまく使えば、ビデオテープのライブラリを管理するといったことも可能なのだ。

 編集機能がかなり強力なのも、ハイブリッドレコーダーの特徴。これは、ハードディスクに録画した内容をビデオテープにダビングするときに真価を発揮する。ハードディスクからビデオテープのダビングは、1つの番組だけをダビングするだけではなく、8つの番組までを任意の順番で一気にビデオテープにダビングできる。さらに、録画された番組の一部だけを切り取って編集しながらテープにダビングすることもできる。既にハードディスクに録画されている内容のうち、保存したいものだけをビデオテープに録画してライブラリ化するとか、ハードディスクに録画された内容からお気に入りのシーンだけを集めて、自分だけのビデオクリップを作るという使い方も可能だ。



■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★★★★  イバれます。なんといってもハードディスクレコーダーとビデオレコーダーのハイブリッド製品なんてこれだけですから。持ち歩いてイバるわけにはいかないので、家族にイバりましょう。
実用性 ★★★★★  やっぱりハードディスクビデオレコーダーはめっちゃ便利でした。便利さのあまり、一度使ったら手放せないほどですから。おまけにS-VHSビデオデッキもついているので、1粒で2度おいしいかも。撮ってよし、保存してよしってところでしょうか。
お値段 ★★  ビデオテープを利用したレコーダーと比べるとかなり高価です。やはり、競合する製品がまだまだ少ないということが値段にあらわれているわけです。同じジャンルの製品がリリースされて競争が進めば値段もこなれることでしょう。
価格 18万8000円  ハードディスクビデオレコーダーはこれからのジャンルです。年末あるいは来年には、ハードディスクビデオレコーダーも色々なメーカーから製品化され、値段もこなれてくるハズなので、それまで待つのもあながち間違いではないかもしれません。とはいえ、実際に使ってみると価格以上の価値があるということはわかってもらえるハズ。なんといっても、テレビのタイムスケジュールに振り回されることなく、時間を自由に操る感覚が快感です。忙しくてテレビを見るヒマが全然ないんだけど、テレビからの情報は欲しいという人にとってはうってつけの製品だと言えるでしょう。
利用期間 365日
1日あたり単価 515円




URL
  MH-HDS1の製品情報
  http://www.victor.co.jp/video/hybrid/index.html


(広野忠敏)
2001/02/28 00:00

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