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CD-R/RWドライブでMP3再生
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広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの２足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、２足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
（写真：若林直樹） |
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ソニーからまたまた面白い製品が登場する。なんとMP3ファイルを書き込んだCD-RやCD-RWの再生が可能なポータブルCD-R/RWドライブだ。発売は３月１日なのだが、いち早く製品をさわれる機会があったので紹介しよう。
■ CD-R/RWドライブなのにMP3が再生できる
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CRX10U。大きさは132×189.5×25mmで重さは340g（バッテリなど除く）。普通のポータブルCDプレーヤーよりも、一回り以上大きい
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今までも単体で音楽CDを再生できるポータブルCD-ROMドライブやポータブルCD-R/RWドライブは存在していた。そうしたドライブは、パソコンに接続するとCD-ROMドライブやCD-R/RWドライブとして利用でき、パソコンに接続していないときは音楽CDを再生できるというものだ。つまり、パソコンに接続していないときは音楽CDプレーヤーとして使えるという製品だ。
さて、今回ソニーが発売するCD-R/RWドライブ CRX10Uは、音楽CDだけではなくCD-RやCD-RWに書き込んだMP3をCRX10U単体で再生できるところが新しい。まずは、CD-R/RWドライブとしてのスペックから見ていくことにしよう。パソコンとの接続インターフェイスはUSB。書き込み・書き換えは４倍速、読み込みは６倍速のドライブを搭載している。対応OSはWindows 98/Me/2000とMac OS 8.6/9だ。本体にはライティングソフトとしてWinCDR 6.0/MacCDR 4.1、パケットライトソフトとしてPacketMan（Windows 98対応）などが付属する。つまり、パソコンにUSBで接続して、普通のCD-R/RWドライブとして利用することができる。と、ここまでは普通のパソコン用ポータブルCD-R/RWドライブとなんら変わりはない。
CRX10Uが面白いのは「パソコンに接続していなくても、CD-RやCD-RWに記録されたMP3ファイルを再生できる」という点だ。普通、MP3ファイルを聴く環境といえば、パソコンで再生するとか、専用のポータブルMP3プレーヤーなどを購入するのが一般的。しかし、CRX10Uは、パソコンに接続したときはCD-R/RWドライブとして、パソコンに接続していないときは、MP3プレーヤーとして使うことができるようになっているのである。なんかとても便利そうなんだけど、実際、かなり便利。
CRX10Uの本体には、リモコン付きのヘッドホンが付属し、単体でCR-R/RWに記録されたMP3ファイルを再生するには、リモコン付きのヘッドホンを利用する。MP3プレーヤーというとなんだか難しそうというイメージがあるが、特に難しい操作は必要なく、普通の音楽CDを聴くのと変わらない。CRX10UにMP3ファイルが入ったCD-R/RWをセットして、リモコンの再生ボタンを押すだけで、MP3ファイルの再生が始まるのだ。
■ MP3プレーヤーとして使えるメリット
ところで、今までもCD-R/RWに記録されたMP3ファイルを再生することができるプレーヤーがいくつか存在した。しかし、今までのそうしたデバイスはあくまで再生用で、実際にMP3が記録されたCD-R/RWを作るためには、再生用のプレーヤーとは別にCD-R/RWドライブが搭載されているパソコンや外付けのCD-R/RWドライブが必要だった。つまり、再生するためのメディアを作るのに労力がかかったわけだ。しかし、CRX10Uならばそういう心配はいらない。パソコンに接続すればCD-R/RWドライブとして使えるからだ。
また、CD-R/RWドライブが単体でMP3プレーヤーになるのはもう一つ大きなメリットがあることを忘れてはならない。実際、パソコンを使うときにどれだけの頻度でCD-ROMドライブやCD-R/RWドライブを使うだろうか。普通に考えてもCD-ROMのソフトをインストールするとき、ゲームなどのCD-ROMのソフトを実行するとき、そしてCD-RやCD-RWを記録するときだけだ。つまり、よほどマニアックな使い方をしない限りは、多くの時間はCD-ROMドライブやCD-R/RWドライブはなにも仕事をしていない。要するに遊んでいることになってるハズ。普通のCD-ROMドライブやCD-R/RWドライブを使っているならば、そうした遊んでいる時間を有効に活用しようなんて考えないだろう。しかし、CRX10UはCD-R/RWドライブとして遊んでいる時間を、MP3プレーヤーとして活用できるのだ。これは、非常に大きなメリットだといえるだろう。
ちなみに、MP3は非常に圧縮効率の良いファイル形式なのは周知のとおり。1枚のCD-R/RWには音楽CD10枚分くらいの音楽を格納することができる。延々と音楽を再生するための方法としてはベストの選択だ。
なお、CRX10U単体でMP3ファイルを再生する場合、再生可能なフォーマットはISO9660 Level 1/2/Jolietで最大45セッションまでのマルチセッションで記録されたディスクを認識できる。1枚のディスクに格納されているファイルは３万2767曲まで認識可能（ただしシャッフル再生のときは2048曲まで)、階層構造をもつフォルダに含まれているMP3ファイルも再生可能だ。再生対象となるファイルは.MP3または.mp3という拡張子を持つファイル。これらの拡張子を持たないファイルは、たとえそれがMP3ファイルだったとしても再生できない。また、.mp3や.MP3の拡張子を持つファイルでも、中身がMP3ファイルではないときは同じく再生対象とはならない
ところで、付属のリモコンでは再生、停止、音量の調整やプレイモード（１曲リピート、全曲リピート、シャッフル）の変更ができるほか、リモコン付属の液晶ディスプレイに、再生中のMP3のタグ情報が表示されるようになっている。MP3ファイルのタグ情報に曲名やアーティスト名が含まれているときは、それらの情報が液晶ディスプレイに表示されるので便利だ。ただし、表示される情報は英数字と記号のみなのが少々残念。タグ情報に日本語が含まれている場合は、正しく表示されない。さらに、MP3ファイルにタグ情報が含まれていないときは、液晶ディスプレイには再生中のファイル名が表示されるようになっている。だが、これもタグ情報と同じように日本語は表示されず、英数字と記号のみ。CRX10Uで快適にMP3ファイルを扱うためにはタグ情報を英数字だけにして、かつファイル名も英数字だけにする必要があるだろう。
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リモコンの液晶には英数字の曲名やアーティスト名を表示できる
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また、プレイモードがリピート、シャッフルだけというのもやや不満が残る点。これがMDディスクとかなら1枚のメディアに格納できる曲の数もたかが知れているから別に問題はない。しかし、CD-R/RWにMP3となると楽に100曲から150曲のデータを格納できる。そうした大量の曲数を再生するのにプレイモードがリピートとシャッフルだけというのはちょっとお粗末とも思える。プレイリストに対応しているとか、プログラム再生ができるとか、フォルダごとにスキップやリピートができればもっと快適に使うことができるだろう。このあたりは、大容量のデータを扱える専用のMP3プレーヤーの方が使いやすいといえる。そんなわけで、MP3再生の機能はオマケと考えた方がよいのかもしれない。ただし、オマケとはいっても、グリコのオマケとは比較にならないとてもビッグなオマケであるのはいうまでもないことだが…
■ 携帯用プレーヤーとなりえるのか？
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NP-F550はビデオカメラ、ポータブルDVDプレーヤー、ビデオライトなどに利用されている。専用バッテリーでないので、量販店などで予備を買える
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ところで、CRX10UはACアダプタによる駆動とバッテリによる駆動の２種類の電源をサポートしている。利用できるバッテリは同社のDVビデオなどにも利用されている「リチャージャブルバッテリーパック NP-F550」。従来からあるバッテリを再利用できるのは嬉しい配慮。さすがソニーといったところだろう。ちなみに、バッテリの持続時間はMP3の音楽再生時で約２時間。CD-R/RWの書き込み時は約２時間。フル充電までの時間は約５時間。USBでパソコンに接続されていてCD-R/RWドライブとして利用するときでも、USBからの電源供給は行なわれず、バッテリかACアダプタによる電源供給が必要になる。
さて、バッテリで駆動できるというと「持ち歩いて携帯用のMP3プレーヤーとして使えるんじゃないか？」と考える人も多いだろう。2.5時間の連続駆動ができるから「携帯してもそこそこ使えるんじゃない？」と思う人も多いかもしれない。結論からいうと、同社のDiskManや、その他の携帯用の音楽CDプレーヤーと同じように気軽に携帯しながら再生できるわけではないと考えた方がよい。
携帯用の音楽CDプレーヤーは、持ち歩きながらの再生が前提。つまり、振動に強い設計になっている。しかし、CRX10Uは振動に強いかというと、そうではないといわざるを得ない。MP3再生時にはバッファリングが行なわれているため、少々の振動があっても音が飛んだりするということはない。しかし、CRX10Uをひっくり返して再生したり、さかさまにするときちんと再生できないケースの方が多い（まあ、パソコン用のCD-R/RWドライブとしてはあたりまえなんだけど）。つまり、あくまでも「持ち運べるサイズ」という意味のポータブルであり、基本はデスクサイドで使うものと考えた方が良い。CRX10Uを首から下げでジョギング中に音楽を聴くなんてことは、無理でしょう。
■評価（最高点は★５つ）
| イバリ度 |
★★ |
誰かにイバるというよりは、自己満足にひたれる製品でしょうね。 |
| 実用性 |
★★★★★ |
本文中でも書いたけど、CD-R/RWドライブとして使っていないときに、MP3プレーヤーとして使えるのはとても便利だといえるでしょう。USB接続のCD-R/RWをこれから買う人はコレを買っても絶対に損はしません。
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| お値段 |
★★★★ |
一般的なUSB接続のCD-R/RWドライブの価格は値段もこなれてきていて、３万円から４万円程度が普通の価格帯。プラス１万円でCD-R/RWに格納されたMP3の再生ができるということを考えると、かなりお買い得だといえるでしょう。
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| 実売価格 |
４万5000円程度 |
普通のUSB接続タイプのCD-R/RWドライブは、たいていの場合USBからの電源供給ではなく、ACアダプタなどの外部からの電源供給が必要となります。たとえば、ノートパソコンなどでCD-R/RWを使おうと思ったら、USBポートに接続するだけではなく、ACアダプタの接続も必要になるわけ。実際、これが面倒。ところが、CRX10Uはバッテリで動作させることもできるので、全然面倒じゃないんですね。普段使わないときはバッテリに充電するようにして、使うときはUSBケーブルだけ接続。使い終わったらまた充電。という風に使えるのがいい。また、AC電源が取れない喫茶店の中とか新幹線の中とかでもCD-R/RWを使えるのはとても便利です。ノートパソコンのお供におひとつどうぞって感じですね。おまけに、MP3も再生できるし、とっても便利。
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| 利用期間 |
365日 |
| １日あたり単価 |
127円 |
■ ＵＲＬ
CRX10Uの製品情報
http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/Peripheral/CRX/CRX10U/index.html
（広野忠敏）
2001/02/21 00:00
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