|
|
|
実は色々と便利だった「カシオ リストカメラ」
|
|
|
|
広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
|
今回のネタはカシオから発売されている腕時計型のデジカメ「リストカメラ」である。この製品、実は発売からかなりの時間が経過していたりする。何度か「おとなのおもちゃ」でも取り上げようと思ったのだが、ちょっと気になる点があったため、今までは使ってはいなかったのだ。しかし、実際に使ってみるとちょっと気になる点が気にならないくらいめっちゃ便利なのであった。
■ 腕時計型のデジカメ
|
今回レビューしたのは、ステンレスバンドの「WQV-2D-8JR」というモデルで、重さは約100g。この他にも、リストカメラには現在4モデルがラインナップされており、重さが約43gというモデルもある
|
腕時計型のデジカメと聞いて真っ先に頭に浮かんだのが「えっ、これってスパイカメラ?」だ。幼少の時期をサンスターのスパイ手帳で遊び、007が3度のメシより好きな私としては、こういう怪しげなアイテムには目がない。そうしたアイテムを見るたびに、スパイ手帳の水に溶ける紙に暗号で待ち合わせ場所とか書いて友達に送ったり、ヒゲシールで変装して遊んだ記憶が鮮やかに蘇ったりするのだ。あるいは、MI6のQが007に渡すであろう腕時計型デジカメは「撮影した人物の顔をMI6のコンピュータに送信し、即座に身元の照会が行なえる」なんていう機能が搭載されているに違いない、なんてことも考えたりする(笑)。
さて、カシオのリストカメラである。これは簡単にいってしまえば、腕時計とデジカメのハイブリッドな製品。つまり、腕時計にデジカメが内蔵されているというものだ。デジカメ部分のスペックはというと、モノクロ16階調、120×120ドットのSTN液晶ディスプレイを搭載、撮影素子は2万8000画素のCMOSセンサ、内蔵の1MBのメモリにはリストカメラで撮影した画像を100枚まで保存することができる。別売りのPC接続キットを利用すれば、リストカメラで撮影したデータをパソコンに転送することが可能だ。
ちなみに、リストカメラとパソコン間のデータ転送はIR(赤外線)で行なわれるが、転送をするには別売のPC接続キットに同梱されているIRアダプタを使わなければならない。ノートパソコンなどに搭載されているIRインターフェイスは利用することができないので、購入時には注意が必要だろう。ちなみにPC接続キットは、リストカメラ発売当初はWindows専用のシリアルインターフェイス版のみだったのだが、Mac OS・Windows両対応の「USB-シリアル変換アダプタ同梱版」も登場した。とはいえ、何でノートパソコンなどに搭載されたIRを使って通信できないのか、ってのは疑問が残る点だ。実は、冒頭でも書いたちょっと気になる点ってのが「当初シリアルインターフェイスのみの対応であった」と「当初用意された接続キットはWindows版のみ」、そして「ノートパソコンなどに標準で搭載されているIRを利用して転送するわけではない」ってことだったのだ。
実際120×120ドットでモノクロ16諧調の画像データを、パソコンとやり取りして楽しいかっていうと、それほど楽しくはないと思う。こういうコンパクトなデータってパソコンよりはむしろケータイやPDAに向いていると思うわけです。たとえば、Windows CE搭載機のIRアダプタを使ってリストカメラの画像が扱えたら、シャープのザウルスに直接転送できたら、Palmで使えたら、ずっと楽しいんじゃないだろうか。実際、インターネットではリストカメラの画像をPDAに搭載されているIR経由で受信するソフトを公開している人もいるようだ。まあ、みんな考えることは同じなんでしょうね。
なお、時計の機能としては、現在の時刻表示、アラーム、タイマー、ストップウォッチとデジタル腕時計としての機能は満足されている。単なるデジカメではなく腕時計としてもキッチリ使えるあたりは、さすが「デジタルのカシオ」といったとこだろうか(古いキャッチでごめんなさい)。ただし、デジタル時計のフォントがちょっとお粗末なのが気になるといえば気になる。せっかく腕時計にしてはかなりの高解像度な液晶を搭載しているのだから綺麗なフォントを使うとか、G-SHOCKで実現されているような「遊び」の要素があれば、きっともっと楽しく使えるんじゃないだろうか。
|
|
|
左からリストカメラによる撮影画像データ、それをリストカメラで表示させた状態、iモード端末(N502it)で表示させた状態。フォトハイウェイ・ジャパンのサービスを使えば、簡単に撮影画像を待受画面にできる
|
■ でも、実はめちゃめちゃ使える
ところで、リストカメラを含めて、この手のデジタル機器というと、「パソコンに繋いでデータを活用できてあたりまえ」、「パソコンに繋ぐことができない、データを活用できないのは論外」という風潮もあったりする。実際のところ私もそう思っている部分は多い。「やっぱデータって活用してナンボのもんでしょ?」てな具合に……。
|
リストカメラの上部には撮影用のレンズと赤外線インターフェイスがある。画像の転送時には、パソコンに接続したIRアダプタとリストカメラを向き合わせる
|
だが、リストカメラがタダモノではなく便利なのは「パソコンに繋がなくても」便利に使えるシチュエーションが数限りなくあるからだ。実際リストカメラをしばらく使ってみて、「別にパソコンにデータを転送しなくてもこれはすごく便利」って思ったシチュエーションをいくつか紹介してみよう。
まず、1つは駐車場のクルマ探し。これはクルマを持っている人なら誰でも経験したことがあると思う。広い駐車場にクルマを止めて用事を済ませたら、クルマを止めた場所がわからなくなって途方に暮れるというアレである。たとえば、それほど広くない駐車場なら、駐車した位置を忘れても自分のクルマを探すのはそれほど大変ではない。ところが、これが広い駐車場になると話は違ってくる。たとえば、ディズニーランドのめっちゃ広い駐車場で駐車位置を忘れたら……「クルマどこ止めた?」「ミッキーマウスじゃなかった?」「いや、ドナルドダックでしょ?」「えー、そうだったかなあ」という会話をしつつ延々と広大な駐車場をサルのようにさまようハメになってしまうのだ(実話)。もちろん、楽しかったディズニーランドの気分が台無しになってしまうのは言うまでもない。
こんなときにリストカメラを持っていれば、駐車場所を忘れてしまって広大な駐車場を徘徊するなんてことはなくなる。クルマを止めた場所をリストカメラで撮影しておけばいいだけだ。駐車場ではあらかじめリストカメラで撮影した画像を頼りにクルマを探せばいい。きっと即座に見つかるハズだ。
もう1つの便利なシチュエーションはプライスチェック。秋葉原のように同じ製品を売ってるけれど値段がお店によって微妙に違う場所では、やっぱり一番安いものを買いたい。こういうときにリストカメラは真価を発揮する。店の場所がわかる写真と、商品の値段がわかる写真を2つペアでリストカメラを使って撮影しておくのだ。
ちなみに、リストカメラのツーショット合成モードを使えば、1枚の写真の左側に店の外観を、右側には商品の値段を撮影しておくなんてワザを使うこともできる。一通りお店をチェックし終わったら、喫茶店に入ってゆっくりと今まで撮影した画像を見ながらお店と品物を検討。ちょっとの手間で商品を安くゲットできるというわけだ。お店で露骨に普通のデジカメを使ってチェックするのはかなり気が引けてしまうが、リストカメラならばぜんぜんそんなことは気にならないので是非試してみて欲しい。
という感じで、リストカメラを持っていれば「便利」っていうシチュエーションは、実はそのへんに沢山転がっていたりする。リストカメラは使う人のアイディア次第で、日常生活をかなり便利にしてくれるそんなアイテムだといえるだろう。
■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★ |
発売されてから結構時間がたってるけど、なぜかあまり目にしません。便利だし、結構イバれると思うんですけどねえ。
|
実用性 |
★★★ |
パソコンに繋いでデータを転送しなくても、実はそれなりに便利に使うことができるというのは結構ポイントが高いんじゃないでしょうか。
|
お値段 |
★★★ |
使い道とか機能を考えると、それほど高価なわけじゃないです。
|
実売価格 |
2万円程度 |
回りを見渡してみると、以前に比べて腕時計をしている人は減っているように思います。いつもケータイを持ってるから、時間を知りたいときはケータイを見ればいいと思っている人も多いらしいですね。わざわざ時間を知るために腕時計をしなければいけないと考える人が少なくなっているのなら、時計以外の機能を持つアイテムを腕に装着して常に携帯することが可能なワケです。つまり、パソコンで言うところの空きスロットが1つ空いてる拡張可能な状態。せっかく拡張可能なんだから空いてる腕にリストカメラのような「時計以外の機能が搭載されている」アイテムを装着して自分を拡張しましょう。
|
利用期間 |
30日 |
1日あたり単価 |
666円 |
■ URL
リストカメラの製品情報
http://www.casio.co.jp/ww/wc/
(広野忠敏)
2001/02/14 00:00
|
|
|
|
|