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フリップデザインがいい感じ「hp jornada 548」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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HP製Windows CEマシンというと、jornada 720などHP200LXの流れを組むキーボード付きのHandheld PCがクローズアップされがちだ。だが、もちろんHPではPocket PCもリリースしている。それが、今回紹介する「jornada 548」。手のひらにすっぽりと収まるサイズのPocket PCだ。
■ Windowsとの親和性がバツグンのWindows CE搭載PDA
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充電器兼用のUSBクレードルに載せたhp jornada 548。重さは260gで、内蔵の専用中電池で最大8時間動作する
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この連載でもHandheld PCやPocket PCなど、Windows CEが搭載されたアイテムをいくつか紹介してきているが、jornada 548もそうしたWindows CEを搭載するPocket PCの1つ。Pocket PCの最も大きな特徴の1つは、パソコン(Windows 95/98/2000)との親和性が非常に高いということが挙げられる。
Pocket PCに代表されるPDAを既に使っている人は十分に理解していると思うが、PDAを使うときに一番面倒でかつ大変なのが、アドレス帳などのデータ打ち。Handheld PCのようにフルキーボードを搭載しているものならば、データの入力もそれほど苦にはならないかもしれない。しかし、Pocket PCのように入力のスタイルがキーボードではなく、手書き文字認識やソフトウェアキーボードだったりすると、データを入力しようと考えるだけで、途方に暮れることになってしまう。
そういうことを考えるとHandheld PCやPocket PCといったWindows CE搭載のPDAは、Windowsマシン上で動作するPIM(Outlook)とワンタッチでデータの同期を取れるため、同じWindows CEが搭載されているマシンに買い換えるならば、Handheld PC、Pocket PCを問わず完全にデータの連携が取れることになる。また、2台以上のWindows CE搭載PDAを所有していたとしても、それぞれのPDAにまったく同じデータを入れておくことも可能だ。
ちなみに、jornada 548はシリアルとUSB両方のインターフェイスが用意されているため、シリアルを搭載していないノートパソコンでも、USBが搭載されていない古いパソコンでも利用できる。Windows CEが搭載されているPDAの中には、パソコンに接続するためのインターフェイスが、シリアルのみだったり、USBのみだったりすることもあるが、jornada 548のように両方のインターフェイスをサポートし、両方のケーブルが同梱されているのは、ユーザーにとって非常に嬉しい配慮だといえる。
「パソコンのOutlookとデータを同期する」というと、なんだか面倒に感じられるかもしれないが、実際にはこれが非常に簡単。パソコン本体にjornada 548付属のCD-ROMに含まれている「ActiveSync」をインストールすれば、パソコン本体に接続したドッキングクレイドルにjornada 548を載せるだけでOutlookのデータとjornada 548のデータを同期してくれる。つまり、一度設定しておけばあとはなにも考えずにデータの同期が取れるというわけだ。
ちなみに、jornada 548に限らずWindows CE 3.0が搭載されたPocket PCならば、Outlookの予定表、連絡先、仕事、それにメモを完全にPocket PCと同期させられる。たとえば、Pocket PCが接続されたパソコンのOutlookで新たに誰かの連絡先を登録すれば、それは即座にPocket PCに反映されるし、登録されている仕事のスケジュールを変更すれば、Pocket PCのデータも同様に修正される。
なお、私が知る限り、Outlookのメモに関してPDAとデータ連携ができるのは、Palm OS搭載のPDA(プーマテック ジャパンのIntellisyncが必要)とWindows CE 3.0ベースのPocket PCのみだ(CE 3.0ベースのHandheld PCではサポートされていない)。以前のWindows CEでは、メモだけはOutlookとPDAとの間で同期することができなかったため、Outlookのメモを多用する人にとっては嬉しいバージョンアップのハズだ。パソコンのデスクトップがOutlookのメモで埋め尽くされている……そんな人がPocket PCを使えば、きっととっても便利に感じるに違いない。
■ 非常にキモチのいいフリップデザイン
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フリップカバーの裏にはスタイラスペンが収まっている
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ところで、製品の写真を見てもらえれば一目瞭然なのだが、jornada 548では本体にフリップがついたデザインを採用している。実際にjornada 548を使ってみると、このフリップが非常にキモチいいのだ。
液晶ディスプレイ面がむきだしになっているPDA、たとえばカシオのE-700やソニーのCLIEなどを利用しているときには、PDA本体を裸で持ち運ぶ人はまれだと思う。なぜなら、液晶面がむきだしになっているPDAをそのまま持ち歩くと、簡単に液晶面にキズがついたりするからだ。そのため、ケースに収納して持ち運んでいる人も多いことと思う。だが、jornada 548は液晶面がフリップカバーによって完全に覆われているため、ケースに入れなくても比較的安全に持ち歩くことができるのだ。
実際にPDAを使うシチュエーションを考えてみよう。ケース入りのPDAのときは、ポケットからPDAを取り出しただけでPDAがReadyの状態になるわけではなく、ポケットからケース入りのPDAを取り出して、さらにケースからPDAを取り出すことでPDAがReadyの状態になるわけ。ところがjornada 548はケースに入れなくてもフリップで液晶が保護されているため、ポケットから取り出してフリップを上げるだけでPDAがReadyの状態になる。
どちらもそんなに違いはないじゃないか、と思う人もいるかもしれないが、元来不精な私としては、余計な手間は少ないほうがいい。それならば、あらかじめ液晶面がフリップカバーで保護されているjornada 548のようなスタイルが使いやすいと思ってしまうのだ。加えて私は、液晶面が保護されていないPDAをむきだしの状態で持ち歩いて、液晶を割ったことが数限りなくあるので、どうしてもこういうことについてはナーバスになってしまうのです。ちゃんとケースに入れて持ち歩けばいいんですけどね。ズボンの尻ポケットにPDAを入れて座ったときに「パキッ」って音と共に液晶が割れたときは、さすがに悲しくなりました。
ちなみに、このフリップは比較的頑丈で、結構力を入れて叩いても液晶面には影響しないということも付け加えておく(あ、でも、力一杯なぐると液晶壊れます)。
■ オーディオプレーヤーとしても利用できる
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CE 3.0ベースのjornadaの特徴の1つ、Windows Media Player。MP3だけでなく、Windows Media Audio(WMA)も再生できる
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さて、最後にjornada 548の簡単なスペックを紹介しておこう。搭載されているOSは、先にも書いたがWindows CE 3.0ベース。CPUはSH-3 133MHz、メモリは32MBを搭載。3.8インチカラーSTN液晶(240×320ドット4096色)を搭載。外部インターフェイスはシリアル、USB。さらに、ステレオヘッドフォンジャックを搭載しているため、内蔵のWindows Media Playerを利用すればモバイルオーディオプレーヤーとしての利用も可能だ。
なお、jornada 548にはコンパクトフラッシュカードスロットが装備されているが、このカードスロットはType Iのみに対応する。つまり、CFのメモリカードを使うことはできるが、Type IIの製品、たとえばP-in Comp@ctやネットワークカード、IBMのマイクロドライブなどを使うことはできない。Pocket PCに関してはjornadaだけでなく、たとえばカシオのE-700なども、メモリは増設できるけど外部機器とのインターフェイスを拡張することができない。ネットワークや無線通信などのインターフェイスがPDA本体にあらかじめ内蔵しているのであれば問題はないが、そういうインターフェイスが本体に用意されていない以上、拡張のための手段を提供するのはあたりまえのことだと思う。
特に気軽に持ち運びできるPDAの場合、手軽に無線通信のための環境が構築できないようならば、いずれ携帯電話に完全にそのシェアを奪われてしまうことになるだろう。10年前ならいざ知らず、いまやPDAは単なるPIM搭載のマシンではなく、外部との情報のやりとりが出来てあたりまえ。出来ないものはPDAとしての価値を疑われても仕方がないハズだ。
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別売のCF-Pocketを装着した状態。Type IIのスロットをランドセルのように背負う形で増設する
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ただし、jornada 548にはP-in Comp@ctやネットワークカードなどのType IIに対応したCFカードを使う方法もある。HP純正の製品ではないが、新潟キヤノテックから発売されているCF-Pocketを購入すれば、jornada 548でType IIに対応したCFカードの利用が可能だ。
■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★★ |
なんというか、ユーザに媚びないHPならではの質実剛健といったデザイン。言うなれば男の子向けデザインなのですが、そういう武骨なところに惹かれます。
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実用性 |
★★ |
いまどきType IIのCFカードが使えないというのは、目がないのと一緒じゃないでしょうか。ケータイでインターネットに接続できてあたりまえの時代なんだから、そういう部分ももう少し考えて欲しいものです。ま、CF-Pocket買えばいいんでしょうけど。
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お値段 |
★★ |
Pocket PCとしてはいたって普通だと思います。 |
実売価格 |
6万円程度 |
今後ケータイとPDAの境目はどんどんなくなってくるだろうと予測されます。PDAでも標準で無線通信によるインターネット接続ができるのがあたりまえになるだろうし、ケータイにも現在のPDAに搭載されている程度のPIM機能を持つものも出てくるでしょう。そういうことを考えるとPocket PCに限らずこれからのPDAってのは、もっと面白くなるハズ。また、通信のインフラやPIMソフトの機能に求められるものってのは各国でまちまち。Pocket PCのように米国マイクロソフトが定めた規格どおりにガチガチに作って、結果的に日本の通信事情やビジネスの事情にそぐわないものが出来てしまう。なんてことも少なくなってくれるとユーザとしては嬉しい限りなんですけどね。
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利用期間 |
60日 |
1日あたり単価 |
1000円 |
■ URL
hp jornada 548の製品情報
http://www.jpn.hp.com/hho/jornada/548/index.html
ニュースリリース
http://www-jp.jpn.external.hp.com/Corp/pressreleases/fy2000/cpj31jd.htm
(広野忠敏)
2001/02/07 00:00
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