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付属ソフトが秀逸!「Intel Pocket PC Camera」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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実売で2万円以下のデジカメは「トイカメラ」と呼ばれることも多く、もちろん機能も最新のデジカメと比較する必要もないほどに低機能。だが、「トイカメラ」の代表格ともいえる「インテル Pocket PC Camera」は、決して安かろう悪かろうのデジカメではない。実際に使ってみると、もちろん性能はそれなりなのだが、そのへんの300万画素クラスのデジカメなんて比較にならないほどたっぷりの「遊べる」要素が詰まっているのだ。
■ お手軽なデジカメ
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「Intel Pocket PC Camera」標準価格1万6800円。店頭価格は1万5000円前後。8MBメモリ内蔵、640×480ピクセルの画像を最大128枚記録可能。2分間のフルモーションビデオ(160×120ピクセル)撮影や5枚の連写(640×480ピクセル)機能も持つ
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さて、インテル Pocket PC Camera(以下PC Camera)である。まずハードウェアであるPC Camera本体の性能についてふれてみよう。PC Cameraの撮影サイズは640×480ドットのVGAサイズ、ワンショットでの撮影と、5枚連写での撮影が可能。さらに、最長2分間までの動画も記録することができる(160×120ピクセル)。ちなみに、液晶ディスプレイはなく、光学式ファインダのみだ。また、ストロボも搭載されていないため、撮影できるのは明るい場所に限られる。
記録媒体は内蔵メモリ。8MBのメモリを搭載していて、そこに撮影した画像や動画が記録される。8MBというと容量が少ないという印象を受けるが、VGAサイズで最大128枚の撮影をすることができるため、このクラスのデジカメとしては必要十分なスペックだ。
電源は単4型電池を使用。実際に連続で100枚の撮影をしてみたが、バッテリー切れにはならなかったことを考えると、電池の持ちは十分実用的なレベルだと推察される。
ところで、記録媒体が本体内蔵メモリであるため、撮影した画像を他で利用するにはパソコンが必要となる。ちなみに、インターフェイスはUSBでWindows 98/Meに対応している。さらに、USBでパソコン本体に接続したときは、外付けのビデオカメラとして機能するため、NetMeetingなどのビデオ通話のためのアイテムとしても活用することが可能だ。
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付属のスタンドに装着したところ
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顕微鏡もそうだったが、こちらも子供が振り回したとしてもケガしそうにない、角のない安全デザイン
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■ 非常に出来のいい付属ソフトウェア群
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付属ソフトのメニュー画面。ここからすべての機能にアクセスできる。ユーザーインターフェイスも非常にわかりやすく、しつこいくらいガイダンスが表示される
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カメラの性能は先にも書いたとおり、はっきり書いてしまうとたいしたことはない。しかし、付属のアプリケーションが「ものすごく」秀逸なのだ。デジカメの基本的なソフトとしてもとても良く出来ているのに加えて、さまざまな遊びの要素が含まれている点がポイントが高い。
付属のソフトには、カメラからの画像のインポートができることはもちろん、撮影した画像のレタッチ、撮影した素材を使ってのムービーの作成など。中でも面白いのが電子ポストカード作成ツール、ビデオメール送信ツール、オートスナップショットツール、そしてゲームの3つ。
電子ポストカード作成ツールは、文字通りポストカードを作成するためのツール。PC Cameraで撮影した画像や動画、その他の素材を組み合わせてポストカードを作成するためのもの。このツールが秀逸なのが、作成したポストカードをE-Mailで送信することが出来る点なのだ。それも、メールにただグラフィックが添付された形ではなく、ビューアが含まれた実行ファイルを添付した形式で送信ができる。つまり、電子ポストカードをメーラで受け取った人は、そのメールに添付された実行ファイルを実行すると、作った電子ポストカードを見ることができるわけ。もちろん、電子ポストカードに動画が貼り付けてあれば、動画も再生される。
ビデオメール送信ツールも、電子ポストカード作成ツールと同じように、動画を再生するためのビューアが含まれた実行ファイルをメールに添付される形で送信される。こちらも、メールを受け取った人は、動画再生ソフトを用意する必要もなく、添付された実行ファイルを実行するだけで、動画を再生することができるようになっている。
電子ポストカード作成ツールとビデオメール送信ツールは、どちらもメールアドレスを入力するだけで自動的にメールサーバーにアクセスしてメール送信をしてくれる。画像や動画を用意して、メーラを立ち上げて、ファイルを添付して……なんていう面倒な手順は一切必要なく、ワンクリックで送信してくれるため、とてもイージーに使うことが可能だ。
ところで、豊富なアプリケーション群のなかで一番面白いと思ったのが「オートスナップショット」と呼ばれる機能。これは、パソコンに接続したPC Cameraで自動撮影をするためのものだ。自動撮影はタイマーを使って「何秒おきに撮影する」という設定と、カメラの画像を検知して「何か動きがあったときに撮影する」という設定の2つが可能。
さらに、面白いのが、自動撮影された画像をホームページとして自動的にウェブサーバーにアップロードする機能もある。つまり、インターネットのライブカメラを自分で簡単に実現できるというわけ。いや、これはマジで面白いです。
普通この手のツールといえば、専用線接続などの常にインターネットに接続された環境が必要になると思われる。だが、オートスナップショットでは、サーバーにアップロードするときに、自動的にダイヤルアップしてインターネットに接続してからアップロードできるため、ダイヤルアップでインターネットに接続している人も使うことができる。この機能を使えば、ホームページにアクセスするだけで、インターネットを通して遠隔地にあるPC Cameraが撮影した様子を知ることができるのだ。たとえば、防犯などの目的で使うことも可能な、とてもナイスな機能だといえる。
ちなみに、どの程度の動きを検出したときに撮影するかとか、どのくらいの間隔で撮影するのかといったことも細かく調整できるようになっているのも嬉しい配慮だ。
また、ゲームは4種類用意されているが、どれも接続したPC Cameraを使って楽しむもの。たとえば、「Shoop」はゴールにボールを入れて得点するバーチャルバスケットボールなのだが、このゲーム「カメラの前で手を振ると、それを検出してボールがバウンドする」のである。ちなみに、2人でも楽しむことができ、その場合、「カメラの前で2人がお互いにカメラに向かって手を振りつづける」という結構マヌケな姿が展開する。ゲームの内容はとても単純なのだが、結構熱くなることうけあいである。その他の3本のゲームもカメラをうまく使ったゲームでなかなか楽しむことができる。
一般的にハードウェアに付属している専用ソフトは機能一辺倒だったり、オマケ的存在であったりすることも多いのだが、PC Camera付属のソフトについては、単体で売ってもいいほど充実しているし、クオリティも高い、そしてとても実用的だ。これはほんとソフトだけでも2週間くらいは遊べるといっても良いだろう。
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ムービー編集ソフト「Movie Builder」。テロップを入れたり撮影済みの動画をドロップするだけで、簡単にオリジナルのムービーを作ることができる。作ったムービーは「ビデオメール」でメール送信も可能
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電子ポストカード作成ソフト「Email Postcard」でポストカード作成中。数十種類のテンプレートが用意され、テンプレートから簡単に作れる。ちなみに、これは表面を編集中。裏面にはメッセージ欄がある
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■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★ |
いかにもオモチャっぽいデザインは賛否両論分かれるところ。だけど、私はこのデザイン結構好きです。
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実用性 |
★★★ |
カメラ本体の性能ははっきり言ってたいしたことありません。しかし、付属ソフト群が秀逸かつ実用的。
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お値段 |
★★★★★ |
これだけ出来てこの値段は安いでしょう。
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実売価格 |
1万5000円程度 |
最近オモチャ屋さんに行くとよく目にする1万円台のトイカメラ。カメラ本体の性能はどのカメラもそれほど違いはありません。しかし、こんなに豊富なソフトがついて1万5千円ははっきりいってお買い得です。ソフトだけでも1万5千円の価値は十分にあるんではないでしょうか。ライブカムのシステムなんてまともに組んだら数十万円はかかるでしょ。それが1万5千円。さすがインテル。
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利用期間 |
60日 |
1日あたり単価 |
250円 |
■ URL
Intel Pocket PC Camera製品情報
http://www.intel.co.jp/jp/home/products/pccamera/pocket.htm
ニュースリリース
http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2000/001122a.htm
(広野忠敏)
2001/01/24 00:00
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