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オシャレになって、通信機能も充実「ビクターInterLink」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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■ ポップになったInterLink「MP-C303」
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ビクター “InterLink”MP-C303。オープンプライス。実売価格は13万円前後。ビクターらしくAV機能が充実しており、重量約740gながら、最大解像度1024×600ドット(初期設定は800×600ドットの65536色表示)。の7インチポリシリコンTFT液晶を搭載した
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「あ、コレ前よりオシャレ」これが、新しいInterLinkを初めて見たときの感想。初代InterLinkは、シルバーメタリックをメインにした割とカクカクしたデザインだった。しかし、新しいInterLinkは曲面をうまくデザインしたポップな感じに仕上がっている。ちなみに、本体のカラーはアクアブルーとサニーオレンジの2種類が用意され、キーボード部分はスケルトン部品が使われていたりする。なんだか、こういうデザインのものを見てると、それだけで欲しくなってきてしまうから不思議だ。
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キーボードは液晶寄りに配置され、パームレストが設けられたため、初代InterLinkに比べてずっと打ちやすくなった
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もうひとつ外観で大きく改良されたポイントは、キーボードの位置。従来のInterLinkでは、キーボードが本体の手前に配置され、キーボードの奥にはソフトウェアキーが配置されるというデザインだった。つまり、アームレストの部分が一切ないというデザインだったので、実際のところ、かなりタイプがしづらかったが、これも改良されている。ソフトウェアキーはないものの、キーボードが普通のノートパソコンのように本体の奥に配置され、アームレストの部分が確保されているため、以前のInterLinkよりもキー入力が格段にやりやすくなっている。ちなみに、アームレストの部分にはステレオスピーカーが搭載され、ヘッドフォンなどを使わなくてもステレオでの再生ができるのだ。
ハードウェア面では、最大1024×600ドット、26万色の表示が可能な7インチポリシリコンTFT液晶を搭載(通常は800×600ドット、6万5千色表示)。キーピッチ15mmのフルキーボード、シリアル、USB、外部ディスプレイ端子など外部とのインターフェイスも豊富に用意されている。さらに、PCカード(Type II)、コンパクトフラッシュ(Type II)の2つのカードスロットを備えている。ちなみに、PCカードスロットは本体側面に、CFカードスロットは本体の前面に配置されている。Type IIに対応しているため、P-in Comp@ctを使うことも可能だ。
ところで、ハンドヘルドPCといえば、やっぱり持ち歩いて出先で使うことになるハズ。というわけで、通信機能が気になるところだろう。InterLinkには、モジュラージャックと携帯電話用ポートの2つの通信ポートが用意されている。内蔵のモデムは56kbps(V.90)。さらに、別売の通信ケーブルを購入すれば、PIAFS(32/64kbps)、PDC(9.6kbps)、DoPa(28.8kbps)、そしてcdmaOne(14.4/64kbps)による通信が可能。つまり、ほとんどのデジタル携帯電話やPHSと接続して出先で通信を楽しむことができる。液晶ディスプレイのサイズが比較的大きいため、内蔵のInternet Explorerを使って、出先で快適にWebページを見て楽しむことも可能だ。
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(上)左側面、(下)右側面
PCカード Type II、CF Type II、携帯電話ポート、モデムポートなど本体側面はインターフェイスが並ぶ
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■ お家芸のAV関連機能
内蔵のソフトはMicrosoft Windows Powerd Handheld PC 2000に標準搭載されているソフト(Pocke OfficeやInternet Explorer、Windows Media Playerなど)の他に、独自のソフトが数多く搭載されている。多くのハンドヘルドPCでは標準搭載されているソフト以外では、モバイルに便利なメーラーや乗換え案内系といったツール、ゲームなどのソフトが付属している場合が多い。InterLinkでは、モバイルに便利なツールだけではなく、AV機能関連のツールが多数搭載されているのが面白いところだ。
内蔵されているツールは「AVリンクメール2.0」、「スチルキャプチャー」、「ピクチャーアルバム」、「ピクチャーパレット」、「ビデオキャプチャー」、「AVリンクジュークボックス」、「AVリンクコマンダー」など。
オプションのUSBキャプチャーカメラがあれば、ビデオキャプチャーで動画を記録したり、スチルキャプチャーでデジカメのように静止画を撮影することもできる。もちろん、記録した動画や静止画は、AVリンクメールを使ってメールすることもできる。たとえば、旅先にInterLinkとUSBキャプチャーカメラを持っていけば、写真や動画が添付された臨場感たっぷりのメールをその場でお手軽に送ることだってできるというわけだ。
撮影した静止画、動画、画像ファイルはピクチャーアルバムでサムネールとして管理可能。さらにピクチャーパレットを使えば、画像レタッチもできるようになっている。
また、AVリンクミュージックボックスを使えば、MP3やMIDIなどの音楽データ、MPEG-4などの動画データを再生することができる。ちなみに、前述のようにアームレスト部分にステレオスピーカーが内蔵されているため、スピーカーでステレオ音声を再生して楽しむことができるのもポイントが高い。もちろん、ステレオヘッドフォン端子も用意されているのは言うまでもないことだ。
そして、面白いのがAVリンクコマンダー。これは、本体に搭載されている赤外線ポートをAV機器のリモコンにしてしまう、という強力なツール。主要メーカーのテレビ・ビデオ・DVDなどのAV機器をリモート操作できるのだ。普通のリモコンのように単純に使うだけではなく、機器をコントロールするためのシーケンスを登録することもできる。たとえば、「電源オン」という新しいボタンに、テレビの電源オン?ビデオの電源オン?DVDの電源オンというシーケンスを登録しておけば、そのボタンを押しただけでテレビ、ビデオ、DVDの3つの機器の電源を入れるというワザを使うことができる。いや、これは実際結構便利です。
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AV LINK Commander
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AV LINK Jukebox
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■ ハンドヘルドPC選択の難しさ
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800×600ドット表示の画面。ポリシリコンTFT液晶は7インチとサイズは小さいが鮮やか
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ところで、Windows CEを搭載したハンドヘルドPCには、hp jornada 720やNTTドコモのシグマリオンのような、キーピッチが小さくて640×240ドットの液晶を搭載したコンパクトなモデル、NECのモバイルギアIIや日立のペルソナのようにフルピッチキーボードと640×240ドットの液晶を搭載した標準的なハーフVGAモデル、そして今回紹介したInterLinkのように800×600ドット以上の液晶とフルピッチキーボードを搭載したモデルの3種類がある。
もちろん、目的と用途によって選択が違ってくるのも忘れてはいけない。たとえば、どんな状況でも常に持ち歩いて使いたいハズなのに、機能に目を奪われてInterLinkのようなハンドヘルドPCとしては比較的大きなサイズのハンドヘルドPCを購入しても、失敗に終わってしまう。逆に、大きさは犠牲になっても広い液晶画面が欲しいハズなのに、コンパクトなモデルを購入してしまっては、後で後悔することになってしまうだろう。つまり、適材適所、自分のライフスタイルに合ったマシンを選ぶべきなのは言うまでもないことだ。
そして、気になるのがその価格。InterLinkは実売価格で13万程度。ハンドヘルドPCとしては、高額の部類に入る。たしかに、ディスプレイも広いし、内蔵ソフトも高機能である。だが、InterLinkクラスのハンドヘルドPCといわゆるサブノートパソコンとの間には以前ほどの隔たりがなくなってきていることも忘れてはいけない。
もちろん、Windows Meなどを搭載したサブノートパソコンとハンドヘルドPCを比べると、サブノートパソコンの方が高価である。しかし、以前のような価格差ではなく、現在では実売で3~7万円という価格差になっている。さらに、長時間駆動という点でもまだまだハンドヘルドPCに一日の長があるが、Crusoe搭載のサブノートパソコンが追い上げていることも忘れてはいけない。また、重量や大きさという点でもまだハンドヘルドPCの方が若干軽いが、サブノートパソコンもどんどん軽くコンパクトになってきている。
このように、モバイルという観点から見ると、現在はハンドヘルドPCの勝ちということになるのだが、サブノートパソコンとの差がそれほど感じられなくなってきているというのが現状なのだ。
とはいえ、モバイルシーンで使うという点を考えると、起動時間の点ではハンドヘルドPCはサブノートパソコンとは比較にならないほど速い。また、標準で携帯電話アダプタが搭載されているなど、ハンドヘルドPCの方がモバイルで通信をしやすいという環境には変わりはない。ソフトの面でも量や豊富さではWindows MeなどのOSを搭載したサブノートパソコンの方が自由度は高い。しかし、InterLinkのように初めから多くのきちんと使い物になるアプリケーションが含まれているハンドヘルドPCは、別にソフトを購入しなくても買ったその日からきちんとモバイルできるのも初心者には嬉しい配慮だといえる。
いままでのハンドヘルドPCは、PCを持っている人がPCのデータを持ち出したいという使い方。つまり、PCコンパニオンのような使い方をしたときに真価を発揮していた。しかし、InterLinkに代表される最近のハンドヘルドPCは、たとえPCを持っていなくても、「きちんと使える」ようになっているのだ。たしかに、機能の上ではサブノートパソコンも捨てがたいが、お手軽さという意味では「差がなくなってきているとはいえ」まだまだハンドヘルドPCの圧勝なのである。
■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★★ |
好き嫌いはあるだろうけど、InterLinkのデザイン、私は好きです。サニーオレンジのモデルとかって、結構女のコ受けしそうだしね。通信手段が多いのもいいですね。飲み屋でInterLinkを肴に女のコと仲良くなるために使うとか。あ、でも地下ではケータイの電波届かないからダメだね。
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実用性 |
★★★★ |
ハンドヘルドPCに内蔵されているアプリケーションって意外と使えそうだけど実はさっぱり使えないということも多かったりします。でも、InterLinkは結構使えるアプリケーションが揃っているのがポイント高いですね。
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お値段 |
★★ |
ハンドヘルドPCに13万というと、ちょっと高価という感じは否めないですね。もう少しお金を貯めるとサブノートパソコン買えちゃうし。
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実売価格 |
13万円 |
同スペックのマシンと比べても、実はそれほど高価ではありません。逆にお手ごろ感もあるくらい。でも、やっぱり高い。せめて実売で10万を切ってくれたら買おうかなって気になるんですけどね。デザインは好きなんだけどなあ。そして気になるのが液晶画面の広さ。AVリンクメールやInternet Explorerを使うときは、広い画面は非常に便利です。ただし、標準のアプリケーションはハーフVGAが前提になっているため、InterLinkのようなSVGA以上のハンドヘルドPCで使うと、なんというか広さがムダになっているというか、ムダに広いだけという印象を受けます。ま、しょうがないんだけど。
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利用期間 |
7日 |
1日あたり単価 |
1万8000円程度 |
■ URL
ニュースリリース
http://www.victor.co.jp/products/pc/MP-C303.html
InterLink製品情報
http://www.victor.co.jp/interlink/index.html
(広野忠敏)
2001/01/17 00:00
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