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ハードディスクビデオレコーダーで極楽テレビ生活
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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年末年始といえば目白押しなのがテレビの特番。テレビ雑誌や番組表を確認しつつ番組を見たり、録画をしたりってことも多いかと思う。私の場合、地上波テレビ放送、ケーブルテレビ、さらにスカイパーフェクTVと加入している放送サービスが多いため、見たい番組目白押し状態のときはとっても困った状況になってしまうのだ。幸いなことに今回の年末年始はソニーのハードディスクビデオレコーダー「Clip-On」をお借りすることができ、極楽なテレビ生活を送ることができた。そんなわけで、21世紀最初の今回は、21世紀のテレビ生活を一変させる可能性を秘めた「Clip-On」を取り上げてみることにしよう。
■ ハードディスクビデオレコーダーってなんだ?
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ソニー “Clip-On”SVR-715。SonyStyle価格は、30GBモデルが18万8000円、60GBモデルが22万7000円。EPG(電子番組表)に対応、見たい番組を選ぶだけの簡単録画予約。また録画中にすでに録画済みの番組を再生するなど、テープにはできない便利な使い方ができる
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Clip-Onは記録媒体にハードディスクを使ったビデオレコーダー。一般のビデオデッキではビデオテープに映像を録画するが、Clip-Onは内蔵のハードディスクに映像の録画を行なう。ハードディスクの容量は30GBと60GBの2種類の製品が用意され、30GBモデルでは最大20時間、60GBモデルでは最大40時間の録画が可能だ。
ちなみに、録画方式はMPEG2。ビットレートは長時間(LP)モードで2.8Mbps、標準(SP)モードで5.8Mbps、高画質(HQ)モードで11.5Mbpsとなっている。録画時間は、30GBハードディスク搭載モデルで、LPモードで約20時間、SPモードで10時間、HQモードで5時間。画質に関しては最も低いクオリティのLPモードでVHS程度、SPモードでS-VHS程度だという。ということで、LPモードとSPモードで録画した画面をプロジェクタで100インチスクリーンに投影してみた。さすがにLPモードではやや画像が粗い感じは否めないが十分に楽しむことができる。普通に見るならLPモードで十分だろう。SPモードの画像は、レーザーディスク並のクオリティという印象を受ける。後でビデオテープやその他のメディアに録画してライブラリとして保存するにはSPモードやHQモードを使うといった使い分けが可能だ。
なお、内蔵されているチューナーは1系統(録画中に裏番組を見ることはできない)で、地上波放送、CATV、BS放送の受信とそれぞれの放送の録画が可能。また、外部映像入力端子を2系統備えている。などなど詳しいスペックに関してはソニーのClip-On製品情報ページも合わせて見て欲しい。
■ スリップ再生と録画中の再生は便利
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前面パネルの中央が青く光るなど、デザインも魅力的だ
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ハードディスクビデオレコーダーを語るときに、必ず出てくる用語がスリップ再生やタイムシフトと呼ばれる再生方法。スリップ再生やタイムシフトというのは、現在録画中の番組の録画を継続しながら、録画中の番組を任意の位置から再生するための機能のこと。もちろん、Clip-Onでもスリップ再生をすることができる。なんだか文章にするとややわかりにくいのだが、次のような場面を思い浮かべて欲しい。
例えば、サッカー番組を録画しながら見ているものとしよう。お気に入りのチームのゴール場面なんかは、何度も見たいハズだ。Clip-Onでは、このようなときに再生を戻して何度も繰り返し見ることができる。もちろん、録画中に繰り返し再生しても録画中の番組は継続して録画されている。つまり、飽きるまでお気に入りのチームのゴール場面を繰り返し見終わったら続きを見ることが可能というわけ。
また、同じように録画しながら番組を見ているときに、どうしても席を外さなければいけない用事ができてしまった。こんなときは、再生を一時停止、用事が済んだら一時停止を解除する。そうすれば、続きを見ることができる。もちろん、一時停止している間も録画は継続されている。つまり、録画をしながら録画している内容を任意の位置から同時に再生できるのだ。これは、ビデオテープでは決してマネできない、ハードディスクレコーダーならではの機能のひとつ。時間がスリップしたりシフトするように見えることから、スリップ再生とかタイムシフト再生と呼ばれている。実際にスリップ再生を経験してみると、テレビ放送への考え方が一変するほどの衝撃を受ける。それほど画期的なものだし、なによりすごく便利なのだ。
さらに、Clip-Onでは番組の録画中に、すでにハードディスクに録画した内容を再生することもできる。ビデオテープを利用したビデオデッキでは、録画を行なっているときは録画中の番組を見ること以外なにもできないが(ただし、チューナーを2つ搭載している機種では、録画中に裏番組を見ることはできる)、Clip-Onは録画中でも、すでに録画してある内容を再生することができるので、時間を極めて有効に活用できるのだ。たとえば、現在放映中の番組をリアルタイムに録画しつつ、あらかじめ録画しておいた映画を再生して楽しむなんてこともできるわけだ。これも、ビデオデッキではマネの出来ないハードディスクレコーダーならではの機能だ。
スリップ再生や、録画中に既に録画済の映像を再生する機能は、言うなれば時間を自由に操る機能にほかならない。Clip-Onがなければ、テレビ番組のタイムスケジュール通りに自分の生活を合わせなければならない。実際、どうしても見たい番組が忙しい時間に放送されることもあるし、たまたま見ている番組が意外と面白くて、不意にかかったきた電話に躊躇してしまうなんて経験をしたことがある人もいるだろう。でも、Clip-Onがあれば、そういうことは気にならなくなる。自分のライフスタイルをテレビ番組のタイムスケジュールに合わせる必要がなくなるからだ。後述する録画予約機能も合わせて活用すれば、時間を自由に操る感覚、時間が開いたときに見たい番組を見たいだけ見るというゴクラクな感覚でテレビ放送を楽しむことができるのだ。
■ EPGと連動した録画予約も便利
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EPG(電子番組表)による予約録画は非常に簡単。スポーツや音楽などジャンルで絞って表示されるリストから選んだり、キーワードを登録しておくだけでキーワードがヒットする番組をすべて予約録画したりできる
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番組の予約が極めて簡単なのもClip-Onの特徴のひとつといえる。地上波とBS放送(デジタルBS放送は除く)に関しては、「Gガイドサービス」を利用したEPG(電子番組表)が表示される。見たい番組にカーソルを合わせて予約操作をするだけで、番組の予約が可能だ。つまり、テレビ雑誌や番組表とにらめっこしながら、スケジューリングをするってことが必要ないというわけ。また、外部入力も2系統用意され、日付と時刻を指定したマニュアル予約をすることもできるため、CSチューナなどを接続して番組を録画することもできる(Gガイドサービスは今のところ関東、近畿、中部、北海道のみで提供されているが、順次全国に拡大予定)。
なお、録画済みの番組はEPGから録画したものについては番組名をタイトルとした一覧になるが、外部機器からの録画は日付と録画時間がタイトルになる。アイコンで分類することはできるが、外部機器からの録画が増えてくると、はなはだ解りにくい状況になってしまう。タイトルが後から編集できればわかりやすく分類することもできると思うのだが、いかがなもんだろう。
録画予約でさらに面白いのが、キーワードによる録画機能と更新録画の機能。キーワードによる録画機能は、あらかじめ番組のジャンルとキーワードを登録しておくと、ジャンルとキーワードがマッチする番組を自動的に録画してくれる機能。
たとえば、ジャンルをスポーツにしてキーワードをサッカーにしておけば、およそすべてのサッカー番組を自動的に録画してくれる。また、特定の番組タイトルを登録しておけば、予約操作をしなくともそのタイトルが含まれる番組を録画してくれる。好きなタレントの名前を登録しておけば、そのタレントが出演している番組を録画してくれる。などなどというように非常にパワフルな機能なのだ。ただし、登録は3個まで。普通に使っているとすぐに3個では足りなくなってしまうのが少々残念なところだ。ちなみに、私は「スペシャル」というキーワードを登録して年末年始の「○○スペシャル」とかを全部録画しました。見るのがすごく大変だったけど(笑)。
さらに、限りあるハードディスクを有効に活用するための機能が、更新録画の機能だ。これは、日付と時間を指定した予約ではなく、毎週何時から何時に録画するとか、毎日何時に録画するといったときに有効になるもの。ハードディスクの新たな領域に録画するのではなく、すでに録画された同じ領域に上書きして録画するための機能だ。たとえば、この機能を使って連続ドラマを録画すると、毎回のすべての録画がハードディスクに録画されるのではなく、常に新しい回のみがハードディスクに残るのだ。
つまり、絶対に見逃したくない連続ドラマやアニメが毎週10本はある、なんていうドラママニアやアニメマニアな人にはうってつけの機能であると言えるだろう。もちろん、録画を見逃すこともないように、新しい録画には更新マークが付くといった親切な配慮もある。さらに、ハードディスクが一杯になってしまったら、一番古い録画を自動的に消去してから録画するなんていう機能もあるのだ。
■ 忙しい人に使って欲しい
Clip-Onは、ビデオデッキのように番組を録画してライブラリ化するという使い方には向いていない。ビデオデッキならばビデオテープを買い足せばどんどん増やすことができるが、Clip-Onに内蔵されたハードディスクは、その容量を増やすことができないからだ。しかし、ビデオデッキをビデオライブラリを作るために使っていない人、見たい番組を見れればいいって人、重ね録りしまくりの人はビデオデッキよりはハードディスクレコーダーの方がずっと便利に使える。
つまり、Clip-Onはとにかく時間を有効活用して、見たいときに見たい番組を見るという使い方に向いているといえる。たとえば、忙しくてテレビ番組を見る余裕がない人、昼夜が反転した生活でまともにテレビが見れない人(多くのライターがそうだと思うが……)なんかが使えば、その力を120%以上活用できるハズだ。
■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★★★ |
競合製品もほとんどなく、まだまだ普及もしていないから持ってればイバれます。便利さのあまり、家族で取り合いになる可能性もあるので注意が必要。ちなみに、予想以上に頑丈で質感のある筐体。怪しくブルーに輝くイルミネーション。などなど、基本機能以外でも所有欲をそそられるソニーらしい製品だったりします。
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実用性 |
★★★★★ |
めっちゃ実用的。1度使ったら手放せなくなります。ちなみに、パソコンの世界でもハードディスク録画が流行ってますが、OSやアプリケーションがハングアップして録画してくれないなんてことがあるんですよね。でも、Clip-Onは専用機なのでハングアップしないでキチンと録画してくれます(あたりまえなんだけど、そういう部分が嬉しいワケです)。
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お値段 |
★★ |
ビデオデッキとかに比べるとかなり高価。ただ、初期のビデオデッキはもっと高価だったことを考えると(たしかビデオデッキが30万円、1時間のビデオテープが1万円くらいじゃなかったっけ?)、初めての製品の価格としては妥当だといえるかもしれない。今後、色々なメーカーからハードディスクビデオレコーダーがリリースされ、普及するようになれば値段も下がるでしょう。
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実売価格 |
18万8000円 (30GBモデル) |
Clip-Onは、時間を効率よくマネジメントするアイテムのひとつだと言えます。毎週赤ペンでテレビ雑誌を真っ赤にする人、テレビ中心の生活を送ってる人、テレビ放送のタイムスケジュールに振りまわされている人、忙しいけど情報収集はしたいって人にとっては福音となるアイテムなのは間違いないでしょう。ちなみに、私はソニースタイルに行って60GBモデルの購入ボタンをクリックしてしまいました(笑)。なぜ60GBかっていうと、撮り貯めしてると意外と20時間なんて「あっ」という間だったりするので。ただ、今後は色々なメーカーから同様の製品がリリースされる予定なので、買うか待つかは難しい判断かもしれません。個人的には地上波、BS、BSデジタル、CATV、スカイパーフェクTVチューナー内蔵で全部EPG録画可能なんていうハードディスクレコーダーが欲しいですね。そうなればもっと快適な極楽テレビ生活が送れるハズだから。
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利用期間 |
1000日 |
1日あたり単価 |
198円 |
■ URL
ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200006/00-0622/index.html
“Clip-On”SVR-715製品情報
http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/HDR/SVR-715/
SVR-715のQ&A
http://www.sony.co.jp/sd/ServiceArea/FAQ/visual/hdv/svr-715/index.html
SonyStyleの“Clip-On”SVR-715製品情報
http://www.jp.sonystyle.com/Style-d/Clipon/
(広野忠敏)
2001/01/11 00:00
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