今年最後となるおとなのおもちゃである。ここんとこソニー製品ばかりが続くが、再びソニーのアイテムである。モノはeMarker。手のひらに入るコンパクトなサイズのアイテムで、テレビやラジオで曲が流れたときに本体のボタンを押すと、後でその曲のアーティストや曲名を検索できる。音楽のブックマークとでもいえるものだ。
■ eMarkerって何だ?
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ソニー 「eMarker」。2300円。エアチェックという言葉があるけれど、この端末はまさにそれ。地上波民放テレビとFMラジオ放送で流れている音楽が気に入ったらボタンをポチッと押す。その後パソコンとeMarkerを添付のUSBケーブルで接続、専用ウェブページで曲の情報をチェック。CDが欲しければその場で購入できる、新しいサービス&端末だ
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テレビやラジオを見たり、聴いたりしているときに、「あれ? この曲ってなんだっけ?」とか「あ、この曲いい感じだから覚えてカラオケで歌いたいな」とか「この曲のCDを買いたいな」なんてことを思ったことは、誰にでもあるハズ。チャートに入るような有名な曲ならば、曲名を調べるのも簡単。しかし、放送されて間もない曲、CMにだけ使われているような曲だったりすると、曲名やどんなアーティストが歌っているのかを調べるのは至難のワザだったりする。ある番組のオープニングに流れていた曲のアーティストを知りたいがために、その番組の最後まできっちりテロップを確認したけど、結局わからなかった……なんて経験をしたことがある人は私だけではないハズだ。
こういう経験をしばしばする人にとって福音となるアイテム。それが、ソニーの「eMarker」だ。例えるならば、eMarkerは音楽のブックマークともいえるアイテム。曲名やアーティストの名前を知りたい曲が放送されたら、eMarkerのボタンを押す。すると、eMarkerに時刻が記録される。つまり、音楽をブックマークするわけだ。eMarkerで音楽をブックマークしたら、後でeMarkerをUSBインターフェイスを介してパソコン(いまのところWindows98/95/2000搭載のパソコンのみに対応)に接続し、専用ウェブサイトに接続して検索することでブックマークした音楽の情報を得ることができるのだ。
つまり、冒頭の「あれ? この曲なんだっけ?」とか「あ、この曲いい感じだから覚えてカラオケで歌いたいな」なんていう欲求をeMarkerとパソコンという文明の利器を使って、素早く満足させることができる非常に魅力的なアイテムなのだ。
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eMarkerのボディカラーは3色
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eMarkerのパッケージと
先着3000名特典のオリジナルタグ
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■ eMarkerの使い方
eMarkerって一体なんだ? ということがなんとなくわかっていただけただろうか? 次に、実際にeMarkerをどうやって使うのかってあたりを簡単に紹介しよう。eMarkerを使うためにはUSBインターフェイスを搭載したパソコン(Windows 95/98/2000に対応)が必要となる。さらに、そのパソコンはインターネットに接続できる環境でなければいけない。eMarker本体とパソコンを用意したとしても、インターネットに接続する環境がないと使えないので注意が必要だ(これを読んでいる方は全員大丈夫と思うが念のため)。
eMarkerを使うためには、まずはパソコンに専用ソフトとドライバのインストールが必要となる。専用ソフトはeMarkerに同梱されているわけではなく、eMarkerのウェブサイトからのダウンロードが必要である。eMarkerのマニュアルには専用ソフトやドライバのインストールについてはほとんど触れられていないので注意が必要だ。ダウンロードしたファイルを実行すれば、eMarker専用ソフトはインストールできるが、いざUSBでeMarkerをパソコン本体に接続したときに、ドライバのインストールでハマることになるからだ。
ちなみに、ドライバのインストール方法については、ダウンロードページで提供されているマニュアル(PDFファイル)に書かれている。しかし、このマニュアルを見ないでインストールを始めたパソコン初心者はドライバのインストールでつまづくことになるだろう(ちなみに、ドライバは専用ソフトをインストールしたフォルダに保存される。そのため、ドライバをインストールするには、ドライバの追加ウィザードで専用ソフトのフォルダを指定する必要がある)。このあたりはもっと初心者にもわかりやすいような配慮が必要なのではないだろうか。
さて、こうした準備ができたらUSBインターフェイスでeMarkerをパソコンに接続。そしてユーザー登録の後にeMarkerを利用することができるというわけだ。
ちなみに、eMarkerでブックマークできるのは25件まで。25件登録すると、eMarkerをパソコンに接続してデータを転送するまで、新しいブックマークを登録することはできない。また、いまのところサービスを受けられるのは首都圏エリアのみで、サービスを利用できる放送局はTOKYO-FM、J-WAVE、FMヨコハマ、BAY-FM、NACK5、FM-FUJI、InterFMのFMラジオ局7局と、日本テレビ、TBSテレビ、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京の地上波テレビ局5局のみだ。ただし2001年春以降に、順次全国主要都市へサービスを展開する予定だ。
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eMarkerと付属のUSBケーブル
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eMarker側面のUSBインターフェイス
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■ eMarkerは便利か?
さて、eMarkerの使い心地は……これはめちゃめちゃ便利なのである。再び同じことの繰り返しになるのだが(笑)、クルマの運転中にFM放送を聞いてて「あれ? この曲ってなんだっけ?」とか「あ、この曲いい感じだから覚えてカラオケで歌いたいな」とか「この曲のCDを買いたいな」って思ったとき。eMarkerのボタンを「ぽちっ」とクリック。
家に帰ってから、パソコンにeMarkerを繋いで専用アプリを起動する。んで、メニューから「eMark List」を選ぶと、eMarkerに登録された時刻のデータがサーバーに転送され、同時にウェブページにリストアップされるのである。あとは、ウェブページの[Search]をクリックすると、その時刻にどんな放送局でどんな曲が流れていたのかが検索できるというわけ。
検索できるのはテレビやラジオので放映されている音楽番組の曲やドラマの冒頭に流れる曲はもちろん、CMで使われている曲もきっちり検索してくれるのだ。いや、これはデータベースの勝利だといえるだろう。「12月23日の朝8時21分に日本テレビの『ウェークアップ』って番組の中のチョーヤ梅酒のさらりとした梅酒」のCMを見ていた(実話)なんてこともわかっちゃうわけ。なんだか、音楽のブックマークだけじゃなく、「面白いCMブックマーク」としても使えるような気がしてきたぞ。
なお、eMarkerのウェブページからは検索結果で表示された、音楽のCDを検索することや、その場でCDを購入することもできる。また、一部の曲はWMAやRealAudio形式で視聴もできるようになっているのが嬉しい。
いまのところサービス対象となっている地域も、サービス可能な放送局も限られてしまうのが問題といえば問題。でも、便利なので是非早急にサービスを拡大して欲しいな。サービスの拡大を促進させるためにも、みんなでeMarkerを買って遊びましょう。
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専用サイトが用意され、eMarkerでチェックした時間にどの局でどの音楽を流していたかが検索できる。非常に便利
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■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★ |
まあ、イバれるんだろうけど、人に説明するのが面倒かも。eMarkerを見せて「これってね、音楽をブックマークできるんだよ……云々」ってやってるうちに相手が飽きるか?
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実用性 |
★★★ |
実用性という意味ではかなり実用的。ただし、サービス対象地域が首都圏だけってのと、首都圏のすべての放送局ではなく、一部の放送局に限られるってのが問題かな。ブックマークしたのはいいけど、サービス対象局ではなかったという経験を3回くらいしました。
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お値段 |
★★★★★ |
気軽に買える値段ですね。
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実売価格 |
2300円 |
面白いですねー、コレ。地上波テレビ放送をよく見る人、FM放送をよく聴く人にとっては手放せないアイテムになること間違いナシでしょう。ただ、本文でも書いたけど、パソコンにeMarkerのドライバをインストールする方法がわかりにくいのが問題。eMarkerは決してパソコンに詳しい人がターゲットユーザではないハズ。コンセプトもサービスもいいのだから、もっと初心者に優しい心配りが必要ではないでしょうか? まあ、このあたりいかにもソニーって感じですけど。
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利用期間 |
90日 |
1日あたり単価 |
25円 |
■ URL
ニュースリリース
http://www.jp.sonystyle.com/News/1212.html
eMarker公式ウェブサイト
http://www.japan.emarker.com/
SonyStyleのEmarkerページ
http://www.jp.sonystyle.com/Emarker/Store/index.html
(広野忠敏)
2000/12/27 00:00
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