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気軽に持ち運べるコンパクト・モバイルパソコン
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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■ なにはともあれロングライフ
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ソニー VAIO C1VJ。今度のC1は、CPUにトランスメタ社のCruesoeを採用。標準付属のバッテリーで最大5.5時間、LLLバッテリーでは最大20時間連続駆動のスタミナぶりが魅力だ。また、映像や音楽で遊ぶ仕掛けもたくさん。遊べるモバイルパソコンでもある
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C1の特徴のひとつに、バッテリー稼動時間が長いことが挙げられる。従来のノートパソコンやサブノートパソコンでは、標準バッテリーを使った連続稼働時間は1~2時間程度のものが多かった。実際に使ってみた人はおわかりだと思うが、2時間という時間はあまりにも短い。作業を始めたのはいいけど、「あっ」という間にバッテリー切れで何もできなくなってしまう、という経験をしたことがある人も多いハズだ。そのため、出先でノートパソコンやサブノートをよく使う人の中には、サブのバッテリーを用意したり、標準のバッテリーよりも容量が大きいバッテリーを使っているという話もよく聞く。
C1では、新たにトランスメタ社のCrusoeというCPUを搭載し、バッテリー稼働時間が長くなるように設計されているのだ。ちなみに、Crusoeはインテル製Pentiumと互換のCPUで、ハードウェアでの命令の互換ではなく、ソフトウェア的に互換性を持たせている(コードモーフィングと呼ばれる)。そのため、CPUの内部構造がシンプルになり、かつCPUの消費電力が従来のCPUよりも低くなることなどから、より長時間のバッテリー駆動が可能になっている。また、プログラムの実行を監視して、動作中にCPUの電圧やクロック周波数を動的に変化させ、ムダにバッテリーが消費するのを防ぐ「LongRun」という機能も実現されている。
とまあ、ちょっとムズカシめの話になってしまったが、要するに同じバッテリー容量でもモバイルPentium II/IIIなどと比較すると、Crusoeの方が長持ちするのである。ちなみに、カタログスペックでは標準バッテリーでの連続稼働時間は最大5.5時間。実際に使ってみても2時間とちょっとは余裕で作業ができる。ちなみに、Crusoeを搭載していない旧モデルのC1(PCG-C1XF/XGなど)では、標準バッテリーで、せいぜい1時間から1時間半程度しか持たなかったため、そういう意味ではCrusoeを搭載したことによって格段に進歩をしたと言える。新しいC1なら、大容量のバッテリーを購入してファミレスで原稿を書いても、原稿が書きあがる前にバッテリーがなくなってとても悲しい思いをしてしまうなんてこともなくなりそうだ。
それじゃあ、実際にどのくらいバッテリーが持つのか? ということが、気になる人も多いと思う。ということで、バッテリーによる連続稼動時間を計測してみました。比較対照とするマシンはPCG-C1XF、Mobile Pentium II(400MHz)搭載の旧型モデル。計測に使ったプログラムは自作のプログラムで、画面に図形をひたすら描画し、3分ごとにハードディスクに12MBのサイズのファイルを書き込むというもの。つまり、いつもCPUが稼動している状態での計測ということになる。ちなみに液晶ディスプレイを最も暗く、ハードディスクとディスプレイのスタンバイはない状況で計測を行なった。
【バッテリー連続稼動時間の計測結果】 |
PCG-C1VJ 高速モード(600MHz、1.6V) | 110分 |
PCG-C1VJ 低速モード(300MHz、1.3V) | 150分 |
PCG-C1XF Mobile Pentium II 400MHz | 45分 |
というわけで、Pentium II搭載の旧モデルと比べても、実に2倍以上の長時間駆動ができるのだ。ただし、CrusoeとPentium II/Celeronを比較すると、同クロックではCrusoeの方が処理スピードが遅い傾向があるのも覚えておいてほしい。
■ C404S DiVA、SO502iWMやメモリースティックウォークマンとの 連携もカンペキ
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本体裏面からMGメモリースティックスロットを見たところ。普段隠れてしまうところのデザインにもこだわりが見える
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ところで、新しいC1の特徴の1つが、マジックゲートメモリースティックに対応したこと。従来のC1にはメモリースティックスロットは搭載されていなかったが、C1VJでは新たにマジックゲート対応のメモリースティックスロットが装備され、マジックゲートメモリースティックに対応したOpenMG JukeBoxがプリインストールされている。
さて、これはどういうことかというと、マジックゲートメモリースティックを利用した携帯用音楽プレーヤーとの連携が強化されたことに他ならない。今のところマジックゲートメモリースティックを利用する携帯用音楽プレーヤーには「メモリースティックウォークマン」、そして前回紹介したauのハイブリッド携帯電話「C404S DiVA」、さらにドコモのハイブリッド携帯電話「SO502iWM」などがある。C1を使えば、マジックゲートメモリースティックを利用する携帯音楽プレーヤーのためのサウンドソースを簡単に作ることができるのだ。
サウンドソースを作る方法は非常に簡単。まず携帯プレーヤーで初期化したマジックゲートメモリースティックをC1のスロットに挿入する。次に、OpenMG JukeBoxを起動し、聞きたい音楽をマジックゲートメモリースティックにチェックアウトするだけだ。あとは、マジックゲートメモリースティックを、C404Sやメモリースティックウォークマンに戻してあげれば、C404Sやメモリースティックウォークマンを使ってOpenMG JukeBoxでチェックアウトした音楽を再生することができる。
ちなみに、OpenMG JukeBoxを利用すれば、音楽CDから音楽を取り込むことや、MP3形式の音楽をOpenMG JukeBoxやメモリースティックウォークマンで聞ける形式に変換すること、さらにインターネットで配信されている音楽を購入して楽しむこともできる。
C1のロングライフバッテリー、さらに重さ980gという機動力をフルに活用し、ちょっと通信環境を整えさえすれば、電車の待ち時間を利用してインターネットから聞きたい音楽を購入、電車に乗ってる間はC1や携帯音楽プレーヤーで音楽を楽しむなんてとこも可能になるのだ。
■ モーションアイとAV出力で遊ぶ
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本体内蔵のカメラ、モーションアイ。プログレッシブスキャン方式の35万画素CCDを新たに搭載。プリインストールされたソニーオリジナルのソフト「Smart Capture」などで、手軽に映像・画像で遊べる
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さて、その他のC1の特徴といえば、本体にモーションアイと呼ばれるカメラが内蔵されていること。そして、AV機器との連携も可能になった点だ。
モーションアイは35万画素のプログレッシブスキャン方式のビデオカメラ。最大640×480ドットまでの静止画を撮影できるほか、動画のキャプチャも可能。キャプチャは本体の「CAAPTURE」ボタンを押すだけなので操作も簡単。また、付属のMovieShakerを使って、キャプチャした動画を素材にオリジナルの映像作品を作ることもできる。また、NetMeetingなどのインターネットを利用した画像チャットも楽しむことができる。
最新のデジカメに比べれば画質も落ちるし、解像度も低い。だが、とてもお手軽に「遊ぶ」ことが出来るのが楽しいのだ。
さらに、なにげなく搭載されたAV出力端子、これがなかなか使える。従来のC1には赤外線ポートが装備されていたが、新しいC1では赤外線ポートがなくなった代わりに、AV出力端子(Video Out、Stereo Out)が新設されている。AV出力端子にテレビを接続すると、C1の画面をテレビに表示させることができるのだ。ただし、デスクトップ全体がテレビに表示されるわけではなく、テレビに表示できるのは640×480ドットの範囲となる。Windows Meのマルチモニタ機能を利用すれば、液晶とテレビ両方に同じ領域を表示させることも、別の領域を表示させることもできるようになっている。
それじゃ、テレビに映して何をするか? これはもう大人数で集まったときに遊ぶしかないだろう。たとえば旅先でモーションアイを使って動画や静止画を撮りまくる。そして、後でテレビを使ってみんなで鑑賞すれば、年末年始のパーティも、盛り上がりまくること必至である。あるいは大画面のTVでゲームをするなんて楽しみ方もできるハズだ。
■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★ |
いまとなってはVAIOだからイバれるというのはそれほどないかも。しかし、AV出力付きのノートパソコンは珍しい。大画面のテレビに出力してイバることにしましょう。
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実用性 |
★★★ |
処理速度を重視するならMobile Pentium III搭載パソコンを選ぶべき。なにがなんでもバッテリが長持ちしなければイヤって人はCrusoe搭載のC1はなかなか良い選択だといえる。大きさがコンパクトで軽いのもメリットだ。 |
お値段 |
★★★ |
このクラスのノートパソコンとしては、妥当なセンか。
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実売価格 |
20万円程度 |
モーションアイ、AV出力、マジックゲートメモリースティックと、多彩なフューチャーを備えているのがC1の特徴。つまり、色々と遊べる「楽しい」パソコンであるといえる。性能面ではモバイルPentium III搭載のパソコンには劣るが、AC電源がなくても長時間使えるのがいい。つまり、性能よりは、長時間駆動を選ぶ人には現状ではベストな選択といえるだろう。ただし、各社から発売されているCrusoe搭載のパソコンの一部で不具合が発生することがあるとリリースされているので注意。ソニーによるとC1では不具合の報告はないということだが、Crusoe搭載のパソコンを購入する際は、こまめにメーカーからの情報をチェックした方がいいだろう。
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利用期間 |
8カ月 |
1日あたり単価 |
883円 |
■ URL
ソニーのVAIO C1VJ製品情報
http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/PCOM/PCG-C1VJ/
(広野忠敏)
2000/12/06 00:00
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