ケータイ Watch
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Handheld PC 2000搭載の「モバイルギア II (MC/R550)」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 私はヘビーWindows CEユーザだったりする。最近はPalmに傾きつつあるがPocket PCも使ってるし、もちろんHandheld PCも見逃すわけがない。そんなわけで、いよいよ新しい規格「Microsoft Windows Powered Handheld PC 2000」に準拠したモバイルギアIIがNECよりリリースされる。リリースに先駆け製品を使う機会があったのでレポートをお届けすることにしよう。


Microsoft Windows Powered Handheld PC 2000って

 なんだかむちゃくちゃ長い名前だが、これはMicrosoftが提唱するキーボード付きPDAの規格である。同じような長い名前のものに「Microsoft Windows Powered Pocket PC」ってのもあるが、こちらはキーボードのないPDAの規格。この名称をHandheld PCやPocket PCのOSそのものの名称と混同されがちなのだが、「Windows Powered Handheld PC 2000」や「Windows Powered Pocket PC」はハードウェアを含めた規格の名称であってOSの名前でもOSのバージョンでもないので注意して欲しい。ちなみに、現在は「Handheld PC 2000」にはWindows CE 3.0をベースにしたHandheld PC用のOSが、「PocketPC」にはWindows CE 3.0をベースにしたPocketPC用のOSが搭載されている。

 といきなりWindows CEの話になってしまったが、Windows CEユーザでも意外とこのへんを混同して使ってる人が多かったりするワケです。マイクロソフトの名前の定義のせいでもあるんだけどねえ。


まずはスペックなどを

NEC「モバイルギアII MC/R550」標準価格9万8000円。マイクロソフト製ソフトウェアが最新バージョンになったほか、iモードページ作成・アップロードができる「iページエディタ」なども搭載。ユーザーメモリも強化された
 NECの新しいモバイルギア II(MC/R550、MC/R450)はHandheld PC 2000に準拠したWindows CEマシンだ。ハーフVGA(640x240)、64K色表示のカラー液晶とフルピッチのキーボードを搭載したHandheld PC。従来のモバイルギアIIの後継機にあたる。

 新しいモバイルギアIIはOSのバージョンアップに伴い、Webブラウザなどが強化されているのが特徴。Windows CEに搭載されていたwebブラウザは、今までは「Pocket Internet Explorer」という名前だったが、Windows CE 3.0では「Pocket」がとれて「Internet Explorer 4.01」となった。表現力はWindows 95/NTなどで動作するInternet Explorer 4.0相当で、JavaScriptなどを実行したホームページも表示することが可能。これにより、Handheld PCで表示できなかったホームページの多くが表示できるようになったわけだ。また、Windows 2000 Terminal Clientの搭載により、遠隔地にあるWindows 2000 Terminal Serverにアクセスし、ネットワーク経由でWindows 2000を利用することができるようになった。

 さらに、NEC独自のソフトでは定番の「MGメール」などモバイルギア専用のメールソフトなどの他に、MC/R550ではPocket ATOK、iモードページを2画面分表示するための「iディスプレイ」やiモード対応のホームページ作成用のツール「iページエディタ」などを搭載する。

 このようにややビジネス志向のMC/R550に対して、パーソナル志向なのがMC/R450。iモード関連のツールは搭載されないが、PostPet for Windows CEや画像表示ソフトや家計簿ソフトなどが搭載されている。ちなみにハード面ではどちらのモデルも、ユーザメモリが32Mに増設されているとバッテリー駆動時間が13.5時間(カタログスペック)と従来モデルに比べて長くなっているのが特徴だ。


モバイルギアの名前はダテじゃない

モバイルギアシリーズは、打ちやすいキーボードを評価するファンが多い
 ところでモバイルギアがモバイルギアたるゆえんは、いつの時代のモバイルギアも、およそどのようなモバイル環境でも実用に耐えるということだった。ここでのモバイルは単に視認性が良いとか、キーボードが打ちやすいってことだけではなく、きちんと「通信環境」として使えるのがモバイルギアの偉い点。買ったのはいいけど「PDAとしては及第。だけど通信環境がいまいちなんだよね」ってことはあんまりないのである。もちろん、今回のモバイルギアIIも通信機能はさらにパワーアップされている。っていうか、今までの文章は前書き、ここからが本題である。

 MC/R550、MC/R450ともに56kbpsのモデム搭載したモジュラージャックを内蔵しているほか、各種携帯電話、PHSのインターフェイスを内蔵しているのだ。携帯電話ではNTTドコモのPDC(9.6kbps)、DoPa(28.8k/9.6kbps)、そしてKDDIのPacketOne(14.4k/64kbps)。PHSではNTTドコモのPHS(PIAFS 1.0/2.0 32kbps/64kbps)、アステルのPHS(PIAFS 1.0 32kpbs)、DDIポケットのPHS(PIAFS1.0 32kbps)、H" (PIAFS2.0 64kbps)に対応。

 別売の接続用ケーブルを各種購入すれば、ケーブルを差し替えるだけでこれだけの携帯電話、PHSを接続できるモバイル環境は数少ない。モバイルギアIIの最大のメリットといえる。

 特にcdmaOneは対応機種が少なく、数々とリリースされるPDC、PHSが接続できるモバイル端末を横目にくやしい思いをしてきた人も多いはず。そうしたくやしさもモバイルギアIIのリリースによってちょっとはまぎれるんじゃないかなと思う。いや、実は私もそのひとりなんだけどね。

 さらに、PDCケータイやPHS、cdmaOneをシチュエーションによって使い分けてる人。そんな人にとっても今回のモバイルギアIIは福音以外のなにものでもないだろう。だって、同じモバイル端末でぜーんぶつながるんだもん。これはほんとに嬉しいです。



■ Windows Media Playerは

モバイルギアII
モバイルギアII

 ところで、通信手段の話で一気に天国に上ったあとはネガティブな話を……Windows CE 3.0のウリのひとつにWindows Media Playerの搭載がある。Windows Media Playerとはちまたで流行のソリッドオーディオ関係のツール。WMA(Windows Media Audio)やMP3といった音楽ファイルを再生するためのツールだ。しかし、今回お借りした評価機(MC/R550)の中には入ってなかったのだ。

 もっともこれは評価機のため。MC/R550、MC/R450とも、製品版ではWindows Media Playerが搭載される。だが、モバイルギア II(MC/R550、MC/R450共に)には、ステレオスピーカーも搭載していないし、ステレオイヤフォンジャックもないのである。つまり、Windows Media Playerが入っていたとしても、ステレオで音楽を再生できないのだ。Windows CE 3.0には含まれている機能がフルに活用できないのはちょっと気になる。でも、気にはなるんだけど「まー、モバイルギアだからいいっかー」って思ってしまうのが不思議なのと共に、次のバージョンのモバイルギアが楽しみになってたりする。

 最後はお願い。ぜひともシグマリオンやJornada 690サイズで、今回のモバイルギアIIと同じスペックのものを製品化してください。そしたら買います。たしかに大きいのは使いやすいんだけど、個人的に小さい方が好きなんだもん。NECはいろいろな素晴らしいコンパクトデバイスをリリースしてきたメーカーだし、高密度実装技術だってバッチリのハズなので。できれば指紋センサーも欲しいな。ああ、ちいさいモバギに指紋センサ。考えただけでむっちゃほしー。20万でも買うっ!



■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★  例によってかなり普及するでしょう。Handheld PCのデファクトスタンダードともいえる存在だしね。だから、そんなにイバれなく埋もれてしまう可能性もアリ。
実用性 ★★★★★  中身はWindows CEなのでとりあえず置いておいて。ケータイ、PHSつながりまくりなのがいいですね。リリース見たときは「おおっ、DoPaまで。な、なんとcdmaOne(PacketOne)までつながるのか。すげー」って思いました。「携帯電話ケーブルは別売です。ただしcdmaOneには対応していません」ってマニュアルの文言は見飽きてたから感激もひとしお(筆者はcdmaOneユーザー)。
お値段 ★★  Handheld PCって、PDAと思うと高いよなー。まあ、しょうがないんだろうけどねえ。しかし、もうちょっとお金を追加するとそこそこのデスクトップパソコンが買えてしまう値段なんだよね。
標準価格 9万8000円(MC/R550)
9万3000円(MC/R450)
 なんといっても通信手段には脱帽、こんなに繋がるものは他にありません。でも、ステレオでサウンドを再生する手段がないのがちょっと痛いかな。でも、ステレオイヤフォンジャックはないけど、イヤフォンマイクジャックならあるんだよね。そうか、だからモバイルギアなのね。サウンドが充実しちゃったらサウンドギアだもんね。とオチがついたところで…。
利用期間 365日
1日あたり単価 268円(MC/R550)




URL
  「モバイルギアII」のニュースリリース
  http://www.nec.co.jp/japanese/today/newsrel/0010/1101.html


(広野忠敏)
2000/11/15 00:00

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