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おとなのおもちゃタイトルGIF
自律型ロボット「ワンダーボーグ」で遊ぶ!
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 さて、久しぶりにおもちゃネタである。今回のお題はバンダイの「ワンダーボーグ」。なんだかスタートレックに出てくる某生命体とかスウェーデン人みたいな名前だが、これはれっきとした自律型ロボットなのだ。ロボットというと鉄人28号やエヴァンゲリオンのように人間がなんらかのコマンドをロボットに与え、ロボットはコマンドの通りに動くってのがキホンなのだが(エヴァンゲリオンはちと違うけど)、ワンダーボーグはあらかじめプログラムを与えておくと周囲の状況を判断しながら動作するという自律型のロボット。画期的なハイテクおもちゃなのだ。


ワンダーボーグってなに?

ワンダーボーグのパッケージ。定価は1万2000円。いまのところ第一次、第二次のインターネット販売でしか販売されていない(現在は入手不可能)。なお、12月に市販が予定されている
 さっそくだが、まずは簡単にワンダーボーグについて説明しよう。ワンダーボーグは、搭載されているさまざまなセンサーを使い、周囲の状況を判断して動作する自律型のロボット。ロボットというと人型決戦兵器、ではなく人型を想像する人も多いかと思うが、写真をご覧になればわかるように、ぱっと見は昆虫のような形をしている。で、自律型っていうことで勝手気ままに動くわけではなく、ユーザがワンダーボーグにプログラミングすることで動作させることができるようになっているのだ。

 ちなみに、ワンダーボーグのパッケージにはワンダーボーグ本体と、さまざまなパーツ、そしてプログラミングを行うためのワンダースワン専用ソフト「ロボットワークス」が付属している。つまり、ワンダースワンがないと遊ぶことが出来ないわけだ。ちなみに、ワンダースワンを持っていなかった私は、ワンダーボーグが届いた当日に近所のトイザラスでゲットしてきました。


ワンダーボーグの仕組み

 まずは、ワンダーボーグの仕組みについてちょっと解説しておきたい。ワンダーボーグは、右と左のモーターによる駆動系、そして状況判断のための各種センサーから成り立っている。右と左のモーターで左右それぞれ3本づつの足、またはモーターを駆動して動く。左右のモーターはそれぞれ独立して動くようになっていて、たとえば、両方のモーターを同時に動かすと前方や後方への移動、左右を逆回転させるように動作させるとその場で先回、右あるいは左のモーターだけ動かすと、右回転や左回転をさせることができるようになっている。

 センサーは左右の触角センサー(触角になにかふれるとオンになる)、左右の赤外線センサー(右または左前方20cmになにかあるとオンになる)、フロアセンサー(前方に床面があるとオンになる)、明るさセンサー(明るさを判断)、そして光フェロモンセンサー(後述)、さらに歩いた歩数センサーと体内時計センサーを持ち、これらのセンサーの情報をうまく組み合わせてプログラムを作ることによってワンダーボーグをコントロールできるわけだ。実際のプログラミングについてはあとで解説したいが、たとえば、右の触角がオンになったら左に回転、左の触角がオンになったら右に回転、なにもないときは前進というようにプログラムすると、ワンダーボーグは障害物を避けて進むようになる。

 まあ、ここまではありがちなセンサー系なのだが、面白いのが光フェロモンセンサーと呼ばれる赤外線センサー。ワンダーボーグは光フェロモンと呼ばれる特殊なフェロモン(信号)や仲間を呼ぶといった特殊な動作、さらに光フェロモンを検知したときに、どのように動作させるかとか、前方に仲間がいたときにどのように動作させるのかなどをプログラミングできるようになっている。つまり、ワンダーボーグ2台を使って遊ぶことができるようになっているのだ。うまくプログラミングすれば、2台とかそれ以上のワンダーボーグをうまく協調させて動かすことができる。たとえば、一方のワンダーボーグは他のワンダーボーグを避けるように、もう一方は他のワンダーボーグを追尾するようにプログラミングするとワンダーボーグ同士で追いかけっこさせることもできたりする。


完成品ではなく、組み立てキットな内容物。キットとはいっても組み立ては簡単。足を取り替えたり、触角を取り替えてオリジナルなワンダーボーグにすることも可能だ。ちなみに駆動系のギアはスピード重視とトルク重視の2種類が同梱されているという結構マニアックな内容
ソニー製品と戯れるワンダーボーグ。右側のワンダーボーグの触角はキットに含まれる部品で作成。当然のことながら触角が長めの方が検知範囲が広くなるのでスタックすることがなくなる

やっぱりプログラミングは楽しいな

 ワンダーボーグのプログラミングは、付属のソフト「ロボットワークス」を使ってワンダースワンで行うようになっている。ワンダースワンでプログラムを作成、そして赤外線を使ってワンダーボーグにプログラムを転送してあげると、ワンダーボーグがプログラムされたとおりの行動をすることになる。一度プログラムを送信すると、あとは完全に自律して動作するというわけ。あまりにもタコいプログラムを作るとさっぱり思った通りにワンダーボーグが動かないこともあるし、バッチリ決まったプログラムを作ったときは、異聞の意図した以上にワンダーボーグが行動するときもある。このあたりは実際にトライ&エラーで覚えていくしかないわけなのだが、意図した通りにワンダーボーグが動いたときはとても嬉しい。自分で周囲の状況を判断しつつ動く様を見ていると、なんだか自分が飼っているペットのような気分にもなるのが不思議だ。

 また、ロボットワークスにはお手軽にワンダーボーグで遊ぶことができるペットモードや、ワンダースワン上の仮想ワンダーボーグをつかってパズルを解いてゆくプログラミングモードもあるので、いきなりプログラムはちょっとという人もそれなりに遊ぶことができるのだ。

 ところで、プログラムってなんだか難しそうって思うかもしれないが、そのへんは心配いらない。ロボットワークスを使ったプログラミングは非常に単純で、基本さえマスターしておけば、かなり色々なことが出来るようになっている。そんなに単純じゃ面白くないのでは、と思うかもしれないがそれも心配いらない。いわゆる条件分岐(条件によって実行するプログラムを変更すること)をさせることができるためかなり複雑な動作もプログラムすることができるのだ。

 ここでは簡単に雰囲気だけを書いてみよう。ワンダーボーグのプログラミングは「パネル」とよばれる9列7行のマス目にブロックを置いていくという仕組み。列の一番右には「センサーブロック」を置いていく、続けて動作を定義した「コマンドブロック」を置いていく。たとえば「右の触角がオン」というセンサーブロックの横に「左に回転」というコマンドブロックを置くと、右の触角センサーがオン、つまり右に障害物を検知したときに、左に回転するという意味になる。つまり、どういう状況になったら、何をするという感じでプログラミングしていくのだ。また、コマンド実行中にセンサーの割り込みをすることができる割り込みモードやパネルの切り替えコマンド(分岐のようなもの)を使うと、かなり複雑なプログラムを作れるようになっている。ちなみに私はパネルを6枚使って、ワンダーボーグ2台が協調して動くようなプログラムを作りました。

 ある状況になったら、何かをする。これってイベントドリブンとかイベント駆動プログラムといってすごくポピュラーなテクニック。WindowsやMacintoshのプログラミングアーキティクチャの基本と同じだったりする。かなり強引だけど。なので、ワンダーボーグでバッチリプログラミング(の雰囲気)をマスターすれば、WindowsやらMacintoshのプログラムだって作れるようになる(かもしれない)。


 なお、ワンダーボーグは6月23日にバンダイのホームページで1000台が先行限定販売されたのだが、このときは惜しくもゲットできず、2回目の先行販売で入手することができた。12月に店頭販売が決定しているため、興味がある人はもう少し待って欲しい。


まるで甲虫のような外観。サイバーなデザインも結構いい感じを出している。本体上部からのぞいているのが明るさを検知する明るさセンサー
カバーを取ったところ。正面(画面では左側)に赤外線センサーや触角センサーなどが集中しているのがわかる

真正面から見たところ。基盤の上にある左右のLEDと、下方向に向いている左右のLEDは赤外線LED。そして中央にあるのが赤外線の受光部。これらのLEDを使って障害物や床の有無を検知することができる
ワンダースワンのロボットワークスでワンダーボーグをプログラミング。プログラミングはパネルを並べるだけなので簡単だ。また、かなり複雑なプログラムを作れるようになっているのもポイントが高い


■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★★★★  先行販売で日本全国に3000台しか販売されていません。12月に店頭販売が予定されているけど、それまでは「レア」なのでとてもイバることができるでしょう。
実用性  おもちゃだから実用性は皆無。プログラミングの考え方の入門用として考えることも出来るけどね。
お値段 ★★★  これだけ遊べて1万円台はかなり安いと思います。
価格 1万2600円 とにかくプログラムされた通りにワンダーボーグが動くさまを見るのは楽しい。2台とか3台購入して、ワンダーボーグを協調させて動作するプログラムがバッチリ意図した通りに動いたときは感動ものである。2台で昆虫の生態をシミュレートするもよし、3台使ってサイレントランニングごっこをするもよし、というわけでなかなかクリエィティブなおとなのおもちゃだといえる。
利用期間 30日
1日あたり単価 420円




URL
  ワンダースワンウェブ
  http://www.swan.channel.or.jp/
  ワンダーボーグ製品情報
  http://www.swan.channel.or.jp/borg/


(広野忠敏)
2000/09/27 00:00

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