パソコンの入力デバイスとしてなくてはならないマウス。一口にマウスと言ってもボールを内蔵したメカニカルなもの、イメージセンサを搭載したもの、そしてワイヤード、ワイヤレスといったさまざまなものがある。今回は私が愛用するいくつかのマウスのうち、特に気に入って使っているワコムのマウス兼タブレット「FAVO」をご紹介しよう。
■さまざまなマウス
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FAVOタブレットとFAVOマウス。接続インターフェースはUSBまたはシリアル。Windows 95/98とMacintoshに対応している。 |
マウスといっても世の中には色々なマウスがある。本題に入る前に、まずはマウスの種類を分類してみよう。色々な分類の方法があるとは思うが、ここでは構造と利用形態の2つの視点から分類してみよう。構造からマウスを分類すると、機械式マウスと電子式マウスの2種類に分類することができる。また、利用形態から分類すると、コード付きマウスとコードレスマウスの2種類に分類することができる。
【機械式マウス】
機械式マウスは、マウスの移動量と移動方向の検出にボールを利用したもの。つまりごくごく一般的なマウスのことだ。機械式マウスの利点は、比較的値段が安いこと。欠点はまめにボールの掃除をしてあげないとマウスの動きが悪くなってしまうこと。マウスの掃除を全然しない無精な人にはもちろん向いていない。さらに、机が汚い、マウスパッドを使わないという劣悪な環境にも向いていない。ちなみに筆者の机の回りはかなりキタナイのでマウスパッドを使っていても機械式マウスが使いやすい環境では決してない。
【電子式マウス】
マウスの移動量や移動方向の検出にメカニカルな構造を伴わないマウスのこと。たとえば、マイクロソフトの「IntelliEyeテクノロジ搭載マウス」などがこの分類になる。機械式マウスのようにボールがないのでメンテナンスが非常に楽、またマウスパッドの上じゃなくても使えるし、机が少々汚れていても大丈夫というメリットもある。
【コード付きマウス】
マウスのしっぽからコードが出ているもの。普通マウスといえばコード付きのマウスを指す。ちらかっている机で使っていると、コードが別の物体に引っかかって、マウスの動きを阻害することもある。
【コードレスマウス】
マウスのしっぽからコードが出ていないもの。コードがないことから「コードレス」マウスと呼ばれる。コードレスマウスには色々な方式がある。無線や赤外線を使ったもの、専用のパッドを使う方式のものなどが代表的。じゃまなコードが存在しないため、使用感はバツグン。ただし、無線式や赤外線式では、マウス本体にバッテリが必要なこともあり、当然のことながらバッテリが切れるとマウスが使えなくなる。
■タブレット+マウス=FAVO
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FAVOタブレットとFAVOペン。タブレットの上で同梱のマウスを使えばマウスとして、ペンに持ち替えればタブレットとして使うことができる。 |
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Painter Classicでペンを使ってみたところ。描画は鉛筆ツール。ペンにかける筆圧の強さで線の太さを変えることができる。書いてみた感触はまさに鉛筆といった感じ。 |
さて、FAVOであるが、これは厳密にはマウスではない。いわゆるタブレットというシロモノで、タブレット上で専用のペンを使うことによって、座標をパソコンに入力するための入力装置のことだ。タブレット上で専用のペンを使うことによって、マウスで絵を書くよりもずっと綺麗に書くことができる。
タブレットの動きの特徴は、読み取り可能な範囲枠とモニターの位置とが1:1に対応していること。たとえば、ペンをタブレットの右上におくと、マウスカーソルはモニターの右上に、タブレットの左下に移動するとマウスカーソルはモニターの左下に移動する。ペン先にやや力を入れてタブレットの上でペンを移動すると、マウスのボタンを押しながら移動するのと同じ意味を持つ。つまり、ペイントソフトなどのツールを使っているときは、線を引くのと同じ意味になるわけだ。そのため、マウスを使って絵を書くのに比べて、かなり綺麗な絵を書くことができる。さらに、FAVOというかいわゆる普通のタブレットもそうなんだけど、筆圧を検出する機能もついている。筆圧の検出は「Painter」などの対応アプリケーションを使ったときにだけ有効になる機能なのだが、たとえば、「Painter」の鉛筆ツールを使ったときに、タブレットのペンを使えば筆圧によって微妙なタッチを持つ線を書くことができるというわけだ。
ちなみに、今までのタブレットはというと、机の上を占有するような大きなサイズのものが多かったが、FAVOは市販のマウスパッドサイズと非常にコンパクトなのもポイントが高い。タブレットとしての読み取り可能な範囲枠はA6とほぼ同じサイズで、透明なオーバーレイシートの下に写真やイラストをはさんで使えば、ペンで輪郭を綺麗にトレースすることも可能だ。
■FAVOはエラい
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VAIO 505ノートとの大きさ比較。A4サイズのノートパソコンの横に置いても邪魔にならないサイズだ。 |
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コントロールパネルでFAVOペン、FAVOマウス共に感度やボタンの定義など細かい設定をすることができる。 |
ところで、FAVOがエラいのは、タブレットとしてだけではなく、マウスとして使うこともできること。FAVOのパッケージにはFAVOタブレットに加え、専用のペン(FAVOペン)と専用のマウス(FAVOマウス)が付属している。タブレットの上でペンを使えば、前述のとおりタブレットとして使うことができる。ペンをマウスに持ち替えて使うと、タブレットのモードが自動的にマウスに切り替わり、マウスとして利用できるようになっている。マウスを置いたときの動作は、タブレットのときのようにモニターとの関係が1:1にはならず、自動的にマウスが現在置かれている位置を基点としたモードに切り替わる。つまり、一般のマウスとまったく同じ感覚で使うことができるというわけだ。
タブレットにペンを置いたとき、マウスを置いたときの動作モードの切り替えは、同梱されているドライバ(Windows 95/98、Macintoshに対応)で行なわれ、このドライバを使ってペンやマウスのボタンを押した時の動作も設定することができるようになっている。
また、マウスは完全にコードレスでボールのような可動部分もない。もちろん、タブレット上でなければ使うことはできないが、実際に使ってみるとかなり快適。ケーブルが引っかかってマウスの動きを阻害することもないし、ボールもないからメンテナンスもしなくていいのだ。コードレスのマウスはマウス本体に電池が必要なことも多いが、FAVOマウスは単なるタブレットのセンサとして動作しているわけだから、もちろん電池もいらない。つまり、可動部分がない電子式マウスと、コードの呪縛がないコードレスマウスの2つのマウスのメリットを併せ持ったマウスだということができる。ほんとに便利なので一度使ってみて欲しい。
■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★☆☆☆☆ |
人に見せるようなモノではないので、あんまりイバれません。タブレットを使って綺麗なイラストを書けばイバれるかも。カラーバリエーションは7種類と多いので、色でイバることも出来るかも。 |
実用性 |
★★★★★ |
タブレットとマウスの美味しい所を余すところなく味わえる製品だといえる。まさに、一粒で二度美味しいとはこのことか。 |
お値段 |
★★★★★ |
マウスとして見るとやや高価だがタブレットとしては非常に安価な部類に入る。コストパフォーマンスはバツグンと言えるだろう。製品ラインナップは「Adobe PhotoDeluxe」と「Painter Classic」がバンドルされているものと、バンドルされていないものの2種類。この2つがバンドルされている製品は標準価格1万6500円、バンドルなしは標準価格1万2500円。つまり、ソフトがバンドルされている製品のほうがオトクなのだ。 |
購入価格 |
9800円 (バンドルなし) |
便利っ。すごく便利です。タブレットのエントリーモデルとして使うもよし、マウスとして使うもよしの素晴らしい製品。買っても決して損はしません。 |
飽きるまで(予想) |
100日を経過 (いまなお更新中) |
1日あたり単価 |
98円 |
■ URL
ワコム「FAVO」の製品情報
http://tablet.wacom.co.jp/products/favo/index.html
(広野忠敏)
2000/06/28 00:00
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