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シャープの携帯音楽プレーヤー「e-musee」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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e-musee
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ここのところリリースされているソリッドオーディオプレーヤーは、SDMI(Secure Digital Music Innitiative)に対応し、プレーヤーで再生する音楽データの著作権を保護できるようになっている。今回紹介するシャープの「e-musee(WA-HP1)」も、SDMIに準拠した著作権保護機能を持つソリッドオーディオプレーヤーだ。
■ なかなかオモシロイ形なのだ
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ボタンとWシャトルは装着したときに、耳の位置にくる。操作感は結構快適。
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写真を見てもらえれば分かると思うが、e-museeはヘッドフォン一体型のソリッドオーディオプレーヤーだ。つまり、本体から長いコードが付いたレシーバを引っ張りまわして音楽を聞くという従来のスタイルとは大きく異なるのが最大の特徴。
実際にe-museeを耳に装着すると、液晶ディスプレイの部分が後頭部にくるといった感じになる。本体の重量は149gと決して軽くはない重さだが、本体の後部がうまく首の付け根に乗るような形になっていて、耳だけに重さが加わるわけではなく、うまく重量分散ができるようになっている。はじめは「装着感悪そう」って思ってたが、実際に装着してみるとそれほど装着感は悪くない。
ただし、e-museeを装着して歩く程度なら、耳からはずれることはないのだが、走ってしまうとダメ。装着したe-museeは振動で耳から外れ、危うくe-museeを落下させてしまうところだった。さすがに、地上約1.4mの位置からアスファルトに落下してしまっては、ダメージは相当なものになると予測されるが、幸い落下事故には到らなかった。まあ、このあたりはヘッドフォン一体型プレーヤーの宿命というところだろうか。でも、もうちょっとホールド感を良くして欲しい。
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本体背面にある液晶ディスプレイ。曲名やプレーモードなどの情報が表示される。ただし、装着するとディスプレイは後頭部にくるため、自分で見ることはできない。
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プレーヤーの操作は装着したときに耳元にくるボタンとWシャトルで行なう。装着時は曲名表示のディスプレイは後頭部にくるために、曲名を見ながら選曲するといったことはできないが、操作性はなかなかにいい。ただ、プレイモード(連続再生なのか、リピートなのか、シャッフルなのか)といった情報も、やっぱり後頭部のディスプレイに表示される。つまり、一旦e-museeを外して確認しないと、どのプレイモードで再生しているのかがわからないのがちょっと困った点だ。
e-museeの液晶ディスプレイは、このように装着している状態では、自分で見ることはできない。でも、後ろの人からは丸分かりだったりするんだよね。つまり、自然と人に見せることになるワケだ。もちろん、ディスプレイには現在再生中の曲名などの情報が表示される。e-museeで音楽を聞いているカッコイイお兄さん(私のことではありません)、何気なく後ろからディスプレイを覗いたら、そこにはアニメソングの名前が……なんて、一般的にカッコ悪い事態になることも容易に予測できるので、e-museeで再生する音楽の選曲にはちょっと気を配った方がいいのかもしれない。
■ 記録メディアはメモリースティック
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メモリースティックスロット。MG対応のメモリースティックに音楽データを記録できる。
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さて、いきなり形から入ってしまったわけだが、とても形が面白いということです。
ところで、ソリッドオーディオプレーヤーというからには、気になるのが記録メディアと記録方式。e-museeは記録メディアとしてMagic Gate対応メモリースティックを、記録方式はATRAC3を採用している。
つまり、ソニーから発売されている「メモリースティックウォークマン」とまったく同じなのだ。e-museeに音楽を転送するためにはUSBインターフェイスが塔載されているWindows 98マシンが必要となる。パソコンのUSBインターフェイスにe-museeを接続して、付属の「OpenMG JukeBox for SHARP」というソフトウェアを使って、音楽の転送を行なう。このあたりも、メモリースティックウォークマンとまったく同じだ。ただし、パソコンにメモリースティックのスロットがついているからといって、そこに音楽データを直接放り込んで使うことはできない。あくまでもUSBでの転送が基本だ。
気になる音楽ソースだが、OpenMG JukeBoxを使うと、音楽CDからのリッピングとATRAC3への変換、MP3形式の音楽ソースからATRAC3形式への変換、そしてインターネットからの音楽配信(EMD: Electric Music Distribution)を利用することができるようになっている。音楽CDからのATRAC3への変換やハードディスクに保存されたMP3からATRAC3への変換も、時間はかかるが、ワンタッチで行なうことができる。なお、一度ATRAC3に変換した音楽ソースはハードディスクに保存し、OpenMG JukeBoxで管理するようになっている。OpenMG JukeBoxで再生することもできるし、e-museeなどのATRAC3対応のポータブルプレーヤーを使ってハードディスクの音楽を持ち出して聴くことができるというわけだ。
ちなみに、e-museeには64MBのMGメモリースティックが同梱されている。ATRAC3は変換する過程でビットレートを132kbps、105kbps、66kbpsに設定することができるようになっていて、132kbpsは約60分、105kbpsで約80分、66kbpsで約120分の音楽データを64MBのMGメモリースティックに入れることができる。ちなみに、132kbpsのときに最も音質がよく、66kbpsでは最も音質が悪くなる。標準の105kbpsでMDと同じ程度の音質ということらしい。だが、実際にはよく注意して聴き比べてみないと音質の差は分からない。とにかく長時間再生したいというなら66kbpsで、とにかく音質が良くなきゃイヤってことなら、132kbpsを選択すればよいだろう。
1枚のメディアで再生できる時間も重要だが、ポータブルプレーヤーなのでバッテリの持ちも重要。e-museeではリチウムイオンバッテリを採用し、連続で4時間の再生をすることができるようになっている。マメに毎日充電していれば、片道2時間の通勤時間を使って音楽を楽しむことができるので、十分に実用的だ。
■ 新VAIOノートと組み合わせれば最強か?
ところで、ちょっと話はe-museeから離れてしまうが、先ごろ発売されたソニーのVAIOノートシリーズには、なんとMGメモリースティック対応のスロットが塔載されている。MGメモリースティック対応のスロットを使うと、どうもUSBで音楽データを転送する必要がなくなるらしいのだ。つまり、e-museeやメモリースティックウォークマンなどのMGメモリースティックを使ったプレーヤーを、わざわざパソコンに接続しなくても、パソコンのスロットにMGメモリースティックを入れて、音楽データをコピーするだけでいいらしい。
筆者は、いくつかのソリッドオーディオプレーヤー(メモリースティックウォークマンも)所有しているが、有線でパソコン接続するのがメンドウなので、多くは押入れのコヤシになってたり、すでにオークションで販売済みだったりする。ところが、お手軽に音楽データのコピーができれば、かなりウレシイかもしれません。と、いうことで、MGメモリースティックスロット塔載の新しいVAIO 505ノートは注文済みで入荷待ちの状態だったりしてます。品物が到着したら詳しくレポートする予定なので、お楽しみに。
■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★★☆ |
イバるというかウケると思います。やっぱり、ディスプレイを他人に見せることができるというのが冗談みたいでいいかも。しかし、これ、前後を逆に装着したらSTARTREKの登場人物になれるかもね(笑)。 |
実用性 |
★★★☆☆ |
プレーヤーとの接続はUSBなので、転送速度もそれなりに高速。64MBのメディアにアルバム1枚分程度の音楽を入れることもできるし、バッテリの持ちもまずまずなので、普通に実用的かな。 |
お値段 |
★☆☆☆☆ |
多くのソリッドオーディオプレーヤーが3万円台ということを考えると、かなり高価。 |
標準価格 |
4万8000円 |
再生形式がATRAC3だけってのがちょっとね。MP3やAAC、WMAとか他のフォーマットも再生できれば面白いのに。手持ちのデータをATRAC3に変換するのが、かなりメンドウでした。OpenMG JukeBoxを使えばワンタッチで変換できるけど、やっぱり時間がかかってしまうのはイヤ。正直なところもっとお手軽に音楽を楽しみたいなあ。 |
飽きるまで(予想) |
7日 |
1日あたり単価 |
6857円 |
■ URL
シャープ「e-musee」の製品情報
http://www.sharp.co.jp/sc/eihon/wahp1/text/index.html
(広野忠敏)
2000/06/07 00:00
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