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三洋のデジタルメモリプレーヤー
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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さて、今回も再びソリッドオーディオである。なんだか最近はソリッドオーディオづいていたりするワケなのだが、流行だからまあいいかなってことで。今回取り上げるプレーヤーは三洋電機から発売されている「デジタルメモリプレーヤー SSP-PD7」だ。
■ 著作権保護機能を搭載
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SSP-PD7
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SSP-PD7の特徴の1つは、Liquid Audio社のSP3(Secure Portable Player Platform)とSDMI(Secure Digital Music Innitiative)の著作権保護技術を採用していること。そしてもう1つは、マルチデコードシステムが採用されていること。出荷状態で対応する音楽フォーマットはMP3とAACだが、ATRAC3やWMAなど色々なフォーマットに対応することも可能になっている。
記録メディアにはMMCが採用されており、パソコンとUSBで接続し、SSP-PD7付属のソフト(Liquid Audio Player)を使い、データを転送して利用する。電源は単4電池1本で最大5時間の連続再生が可能。さらに、充電回路を内蔵しているので、付属のACアダプターを繋いで、ニッケル水素電池を充電することもできる。
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付属の転送ソフト
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SSP-PD7で音楽を再生するには3つの方法がある。1つは、手持ちの音楽CDをSSP-PD7付属のソフトを使って、Liquid Audio方式のオーディオデータ(AAC)に変換して、それをSSP-PD7に転送する方法。もう1つはインターネットの音楽配信サイト(EMD)から、楽曲を購入、購入した楽曲を付属のソフトを使ってSSP-PD7に転送する方法。最後の1つは手持ちのMP3データを付属のソフトを使ってSSP-PD7に転送する方法。
ちなみに、ここでいう著作権保護のための技術というのは、インターネットの音楽配信や、音楽データからのCDの取り込みを行なうときに、無制限に音楽を複製できないようにするための技術のこと。
まず、大前提なのが、MMCに転送された音楽データは、転送に使ったプレーヤーでしか聞くことができない。つまり、メディアを別のプレーヤーに入れて音楽を聴くことはできないようになっている。たとえば、キミと友達の両方がSSP-PD7を持っていたとしよう。友達に聞かせたい音楽があるからとMMCだけを友達に渡しても、友達のプレーヤーでは再生できない。つまり、音楽データが含まれたMMCの貸し借りは全く意味がないワケだ。
さらに、音楽配信で提供されている音楽データには転送制限が付いているものがある。転送制限には携帯用プレーヤーに転送できるかどうかと、転送可能な台数などがある。たとえば、音楽配信サイトで無料で提供されているサンプルデータの多くは、携帯用プレーヤーには転送できないように制限がかかっているため、携帯用プレーヤーで聴くことはできない。また、音楽配信サイトで購入した音楽には転送可能な台数がマークされていて、その台数を超えるプレーヤーには転送できない。つまり、転送可能台数が1台の音楽を、自分のプレーヤーに転送すると、他のプレーヤーには転送できなくなってしまうわけだ。
ちなみに、付属ソフトを使うと、音楽CDのデータをLiquid Audio方式のデータに変換することができるが、このときに作成される音楽データの転送制限台数は3台となる。
さて、いきなり冒頭からなんだかムズカシイ話をしてしまった。たしかに、著作権保護技術は必要不可欠なものだが、ここで書いたようなことをプレーヤーの利用者が正しく理解せずに、カセットテープやMDディスクのノリで使ってしまうと、「自分ではできると思っていたこと」が「実際はできなかったりする」ケースもある。
まあ、簡単に言ってしまうと、色々とメンドクサイのだ。最新のテクノロジーがメンドウで、旧来のテクノロジーの方がカンタンってのは、なんだか納得できないような気分にもなってしまうのもまた事実。さらに、意外と敷居が高かったりする。実際、著作権保護のための技術は、まだまだ発展途上のものではある。なるべくユーザーが不便を強いられずに著作権も保護できる技術を確立すべきだろう。
■ 意外とグっとくる質感
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側面
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ところで、写真を見てもわかるようにSSP-PD7の質感はかなりイイ。メタリックなところが凄くイイ感じを出しているのがお分かりになると思う。今までのソリッドオーディオプレーヤーはというと、剥き出しのプラスチックだったり、流行のスケルトンだったりって感じで、お世辞にもデザインが考えられているって製品はあまりなかった。SSP-PD7のように、アクセサリとしても使えるクオリティのデザインが採用されたプレーヤーが登場するってことは、それだけ市場も広がってきているんだろうと考えられる。
ちなみに、SSP-PD7は付属のストラップを使って首からぶらさげて使うことが想定されている。そのため、ストラップでSSP-PD7を下げたときは、ディスプレイの天地が逆になるようになっている。これは、自分がSSP-PD7を手に取ったときに、ディスプレイの画面が正しく見えるように配慮されているのだ。このあたりのチョットした気配りもなんだか気に入ってしまいました。
■ インターネットで音楽をゲットできるか?
さて、SSP-PD7の特徴というか、SSP-PD7の発売と同時期に三洋電機では「MUSIC SANYO」という音楽配信サイトを立ち上げている。つまり、インターネットを使った音楽配信も利用できるというわけなのだが、実はこれがイタダケない。
たしかに、購入できる音楽も多いのだが、誰もが購入できるわけじゃないってのが最もイタダケない部分。今のところ、「MUSIC SANYO」で提供されている音楽を購入できるのは同社が運営するプロバイダー「SANNET」の会員だけに限定されているのだ。つまり、SSP-PD7を購入したのはいいけど、「配信サイトに行ったら音楽が購入できないし、ダメじゃん」って思っているユーザーがたくさんいると思われるわけだ。
なお、Avexの「@MUSIC」でも音楽の購入ができるが、こちらは会員限定ってわけじゃないので、安心して購入して欲しい。
■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★☆☆ |
ソリッドオーディオって最近はあまり珍しくはないんですよね。秋葉原あたりをうろつくとヘッドフォンで音楽を聞いている人々の相当数がソリッドオーディオプレーヤーの利用者だったりするし。でも、SSP-PD7はちょっと見ただけでは、プレーヤーには見えない、謎の物体に見えるようなところが人に自慢できるポイントかも。 |
実用性 |
★☆☆☆☆ |
採用されているメディアがMMC。さらに1枚だけしか入れることができないのがちょっとイヤかも。つまり、32MBまでの音楽しか本体に転送できないわけだ。これはちょっと少なすぎ、CDクオリティの音楽をアルバム1枚分転送できないとダメだと思います。あと、著作権保護技術のおかげで、いろいろメンドウなのがイヤ。これは、まあ、しょうがないことなんだけどね。 |
お値段 |
★★☆☆☆ |
良くも悪くも普通! |
標準価格 |
3万7000円 |
しっかりと著作権保護技術を使っているのは大変いいのだが、せっかくの音楽配信サイトとのリンクが全然ダメ。配信サイトはSSP-PD7を購入したユーザーすべてが利用できなければ意味がないと思うのだがいかがなもんだろう? たしかに、インターネットを使った音楽配信は、まだまだ黎明期でさまざまな可能性を秘めている。だが黎明期であるからこそ、しっかりと作って欲しかったのがちょっと残念。 |
飽きるまで(予想) |
4日 |
1日あたり単価 |
9250円 |
■ URL
製品情報
http://music.sanyo.co.jp/SSP_PD7.html
MUSIC SANYO
http://www.music.sanyo.co.jp/
@MUSIC(Avex)
http://atmusic.avexnet.or.jp/
(広野忠敏)
2000/05/17 00:00
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