ケータイ Watch
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[2003/01/16]


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おとなのおもちゃタイトルGIF
ケンウッドのMP3カーコンポ
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)

■MP3で快適ドライブ

 先週はカシオのリストオーディオを取り上げてみたが、またまた今週もMP3ネタである。おまけにケータイとは全然関係ないネタに走りがちだったりするのだが、おとなのおもちゃということですのでカンベンしてください。もちろん、面白そうなケータイ関連のアイテムも取り上げる予定ではあるが、そういった枠にとらわれずにどんどん面白そうなアイテムを紹介して行きたいって思ってます。決して筆者の趣味に走ってるワケではありませんので、念のため(笑)。

カーコンポ搭載車
カーコンポ搭載車

 さて、今週は株式会社ケンウッドのご協力で、同社が発売しているカーコンポ「MP3対応CDプレーヤー D919」をなんとクルマ付きでお借りすることができた。このカーコンポ、発表と同時にチェックしていて、発売された暁には私のクルマに装備……したかったんだけど、仕事が忙しくて全然時間に余裕がありません。てなわけで、発売から約1カ月ほど経過しているんだけど、私のクルマのコンポはあいかわらずCD/MDレシーバのままだったりするのだ。

 そんなわけで、筆者がとっても欲しいアイテムの1つである「MP3対応CDプレーヤー D919」についてレビューしてみよう。

 D919の最大の特徴は、MP3デコーダーを搭載していること。つまり、クルマの中でCD-Rに焼いたMP3データの再生ができるというわけなのだ。ちなみに、ケンウッドから発売されているカーコンポのラインナップ「919」シリーズのうち、MP3が再生できるものは、「MP3対応マルチコントロールCDレシーバー Z919」と「MP3対応CDプレーヤー D919」の2種類。

MJ919とD919
MJ919とD919

 どちらも1DINサイズのカーコンポだが、Z919はCDの再生とCD-R/CD-RWに記録されたMP3が再生できるレシーバー。つまり、アンプやFM/AMチューナー内蔵のタイプ。D191はCDの再生とCD-R/RWに記録されたMP3が再生できるプレーヤー。つまり、D919でシステムを組む場合はアンプを内蔵したレシーバーユニットが必要となる。今回お借りしたものはMJ919(レシーバー)とD919(プレーヤー)のセットだ。

 さて、気になるMP3のサウンドソース。これは、D919/Z919ともにISO 9660形式でCD-R/RWに記録されたMP3フォーマットの音楽データを再生することができる。つまり、D919/Z919をでMP3データを再生するには、パソコンとCD-R/RWドライブ、それにライティングソフトが必要になる。CD-R/RWにデータを記録できる環境がなければ、D919/Z919ともにたんなるCDプレーヤーになってしまい、とっても宝の持ち腐れになってしまうため注意しよう。

取り付けた感じ
取り付けた感じ

 MP3にすると何がそんなにエライのかというと、普通のCDアルバムには曲の長さにもよるが10曲から12曲程度、長さにして60~70分程度の音楽が入っている。こうした音楽データをMP3形式に変換すると、サイズはCDの1/10程度になる。つまり、CD1枚分の容量に、CD10枚分の音楽を詰め込むことができるわけ。これも曲によって違うが、100曲から120曲程度、時間にして10時間程度の音楽を、MP3にすることによって1枚のCD-R/RWに記録することができるわけだ。

 たとえば、首都高新宿インターからCDを聞き始めて、真昼の首都高環状線を回るとCDを1枚聞き終わる頃になっても環状線を1周することはできないハズ。ところが、たっぷりMP3データのつまったCD-R/RWなら新宿から池袋を抜けて関越に入って新潟あたりまでは楽勝に行けちゃうくらい長時間のドライブに堪えられるってわけ。つまり、おんなじCDを延々と聞かされている助手席に座った女のコのキゲンが悪くなって、その後の行動に支障が出てしまうという極めて遺憾で最悪で悲劇的な事態を未然に避けることができるのだ。「チェンジャーを使えばいいじゃない」って声が聞こえてくるかもしれないけど、やっぱCD10枚はかさばるでしょ。その点CD-R/RW1枚にCD10枚分の音楽を入れることができるMP3はエライと思うわけです。


■ユーザインターフェイスはどうなんだろう?

 さて、そんなわけで、とっても大量の音楽データが1枚のCD-R/RWに入っちゃって、Z919/D919を使えば、そうしたメディアを再生できるワケなんだけど、最も気になったのが、ユーザインターフェイス。はっきりいって10曲程度の曲を探すときは、一般のCDプレーヤーのように次の曲、前の曲っていうシーク機能があれば事足りる。ところが、100曲となるとこうしたインターフェイスだけでは、目的の曲を探すだけで疲れてしまって運転どころじゃなくなることが容易に予測できる。

 Z919/D919は、運転中にも簡単に操作できるように、そのあたりもキチンと考えられているのがイイのだ。レシーバーの右側には上下左右のクリックが可能なコントローラがついているのだが、このコントローラで音楽のシーク操作が可能。コントローラを左に倒すと前の曲、右に倒すと次の曲、上に倒すと前のフォルダの先頭の曲、下に倒すと次のフォルダの先頭の曲を再生することができる。

 MP3ファイルを保存するCD-R/RWには、8階層までのフォルダを作ることができ、それぞれのフォルダには253曲までのMP3データやフォルダを作成することができる。たとえば、アーティストやアルバム毎にフォルダを作って、MP3を記録するようにすれば、上下左右のコントローラを使って、自由自在に曲を選曲することも可能なワケだ。

 筆者的には、ルートにアーティストのフォルダを作って、さらにアーティストのフォルダにアルバムのフォルダを作って、そこにアルバムのデータを入れれば一番使いやすくなるかな、と考えている。まあ、このあたりのフォルダの作り方はきっと人それぞれだろうと思うので、使いやすいスタイルを試行錯誤してみて欲しい。なお、プレーヤーにはランダム再生やリピート再生の機能もあるが、どちらもフォルダ内でのランダム、リピート再生だ。

 肝心の再生可能なCD-R/RWのフォーマットだが、Z919/D919では「ISO 9660レベル1またはレベル2(拡張フォーマット含まず)」で、かつ拡張子に「.mp3」が付加されたファイルのみが再生対象となる。また、MP3のTAG情報(ID3-tag)には対応しておらず、D919/Z919にはフォルダ名やファイル名だけが表示される。ちなみに、表示される情報は英数字と記号のみ。長さは31文字までだ。

 そんなわけで、分かりやすいファイル名やフォルダ名で管理すると、さらに使い勝手が良くなるハズ。ちなみに、このあたりの詳しい話はケンウッドのホームページでFAQとして提供されている。もし、購入を検討しているなら一読して欲しい。


■予想以上にいいかも……手間を惜しまなければね

 さて、一見イイコト尽くめのように思えるZ919/D919だが、快適に使うにはかなり手間がかかるのも事実だったりする。一番の問題は、どうやってMP3データが入ったCD-R/RWを作るのかっていうところ。言うまでもなくCD-R/RWを作るには、パソコン、CD-R/RWドライブ、そして十分な空き容量のハードディスクが必要になってくる。もちろん、すでにCD-R/RWを作れる環境を持っているならば、CD-R/RW作成についてはクリアできるが、価格が安くなってきたとはいえ、クルマでMP3を聞きたいがためにこうした環境を揃えてしまうのは、本末転倒かも。まあ、そんな人はいないと思うけどね。

 もう1つの手間はMP3データを用意して、CD-R/RWを焼くことに関して。CDプレーヤーだったら、音楽CDを買うなりレンタルしてくれば、そのまま使えるが。MP3の場合はこう簡単に行かない。たとえば、CDに含まれている音楽をMP3にしてCD-R/RWに焼くには、音楽CDから音楽データのリッピング、リッピングした音楽データをMP3形式にエンコード、エンコードしたMP3を整理してCD-R/RWに焼くという作業が必要になってくる。この作業、慣れてしまって半ばルーティンワーク化してしまえば、それほどたいした手間じゃない。しかし、慣れるまでは意外と大変な手間だったりするのだ。

 そのへんのことが覚悟できないと、せっかくのZ919/D919も「単なるCDプレーヤー」になってしまうので気をつけよう。ただし、ひとたびMP3データが入ったCD-R/RWさえ作ってしまえば、Z919/D919のあるクルマ生活はとっても快適になるだろう。結局のところ、データを作る手間を惜しんでCDコンポを選択、でもCDの入れ替えは面倒だってのを選ぶか、データを作る手間はちょっとかかるけど、CD-R/RWの入れ替えなしで10時間超の音楽を楽しむことを選ぶのかってところじゃないかな。

■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★☆☆☆☆  助手席に乗ってくれたデバイスマニアな人には自慢できるかも。ただし、女のコを助手席に乗せて「これってCD-Rに焼いたMP3を再生できるんだよ」とか言っちゃいけません。「ふーん、そうなの。それでね、先週行ったヴィーナスフォートなんだけどね…」と、かわされるのがオチ(実話ではありません)。
実用性 ★★★☆☆  CD-Rドライブを既に持っていて、MP3データを作る手間が気にならないなら、間違いなく買いだ。なんといってもクルマの中で大量のCDやMDと格闘することがなくなるのがうれしい。
お値段 ★★★☆☆  同クラスのCDやMDを再生できるプレーヤー、レシーバーとそれほど値段の開きはないのが良い。
標準価格 6万円
(Z919)
 いやー、いいですね、コレ。きっと買ってクルマに付けちゃったら、次のクルマを買うか、より高機能な次のモデルが出るまでは、そのまま使い続けるだろうなあ。というわけで、クルマの買い替え時期を見越して予想利用期間を2年にしてみました。
飽きるまで(予想) 720日
1日あたり単価 83円



URL
  ケンウッドのホームページ
  http://www.kenwood.co.jp/
  「919シリーズ」Q&A
  http://www.kenwoodcorp.com/j/products/car_audio/receiver_sepa/q_and_a.html


(広野忠敏)
2000/04/19 00:00

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