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リストオーディオプレーヤー
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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■ やっぱり時代はソリッドオーディオだよね
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カシオ
「リストオーディオプレーヤー」
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今一番熱いデジタルなおもちゃ。それは、超合金魂でもAIBOでもない(ちなみに、AIBOは買ってないけど、超合金魂は全部持ってます。でも、デジタルじゃないな)。誰がなんと言おうとソリッドオーディオプレーヤーだ。ちなみに、ソリッドオーディオプレーヤーとは、プレーヤーの内部にメモリを持ち、音楽をメモリに保存、保存された音楽を再生するためのプレーヤーのこと。
ポータブルCDプレーヤーやポータブルMDプレーヤーでは、激しい衝撃を加えたときに音が飛ぶこともあるが(ちなみに、最新の機種はデータを先読みしてメモリに保存する機能を持っているものもあるため、よほどのことがなければ音は飛ばない)、ソリッドオーディオプレーヤーは機械的なメカニズムが一切ないため、音とびは起こらない。また、再生メディアの大きさに限定されないため、非常にコンパクトに作ることも可能なのだ。
ポータブルCDプレーヤーやポータブルMDプレーヤーでは、激しい衝撃を加えたときに音が飛ぶこともあるが(ちなみに、最新の機種はデータを先読みしてメモリに保存する機能を持っているものもあるため、よほどのことがなければ音は飛ばない)、ソリッドオーディオプレーヤーは機械的なメカニズムが一切ないため、音とびは起こらない。また、再生メディアの大きさに限定されないため、非常にコンパクトに作ることも可能なのだ。
ところで、ソリッドオーディオプレーヤーが再生できる音楽フォーマットにはいくつか種類がある。現在発売されているプレーヤーはMP3に対応したものがほとんど。中にはソニーの「メモリスティックウォークウォークマン」のようにATRAC3が採用されているものもある。音楽フォーマットの話はここでは詳しくは解説しないが、それぞれの音楽フォーマットには互換がない。また、ATRAC3のように著作権問題をクリアするためのメカニズムを内蔵しているものもある。
■ カシオ「リストオーディオプレーヤー」をゲット
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外観はちょっと大きめな腕時計といったところ。左のアタッチメント部にステレオミニジャックがある。
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ソリッドオーディオプレーヤーには、さまざまな製品がリリースされているが、今一番の注目株はどれだろう。やはり、発想の斬新さという点でカシオから発売されている「リストオーディオプレーヤー」ではないだろうか。これを選んだ理由は、筆者が熱心なカシオマニアってこともあるんだけどね。それに、「おとなのおもちゃ」連載第1回には、とってもふさわしいネタだと思うのだがいかがだろう。ちなみにコレ、元々出荷台数がかなり少ないということを聞いていたんだけど、発売当日に買いに行けるほどの余裕がなかったワタクシは、「さくらや ウォッチ・メガネ館goo」、つまりインターネット通販でゲットしました。入荷は発売日前日で、その日のうちに発送というスピーディーな対応で満足。コイツを欲しい皆様が時計屋さんを歩き回っている頃には、すでに内蔵のメモリにMP3を転送しまくり、聴きまくりで遊んでいました。うーん、インターネットって便利。
それでは早速インプレッションなどを。写真を見てもらえればわかるとおり、外観は何の変哲もない腕時計。もちろん、タダ腕時計のカタチをしているワケではなく、時刻表示、ストップウォッチ、タイマーと腕時計の機能は当たり前のように含まれている。ベルトはG-Shockなどでも使われているベルクロを使ったもの。ベルトの長さはやや長めに作られているため、腕に直接巻くことも、洋服の上(たとえばスキーウェアとか)に直接装着することも可能である。
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パソコンとのリンクは、充電台にセットしてUSB経由で行なう。若干転送速度が遅めなのが気になるところだ。
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問題のMP3再生環境としては、本体に32MBのメモリを搭載。データの転送にはUSBが採用されている。ちなみに、パソコンからMP3データを転送するときは、時計本体を充電台に置く。再生は連続再生、シャッフル再生、リピート、シャッフルリピート、1曲リピート、指定された2点間のリピートをすることができる。また、イコライザの機能も内蔵しているため再生音質を変えることもできるようになっている。
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PC Link Software。このツールを使って、MP3データの転送を行なう。ちなみに、このツールでできるのはデータの転送のみ。MP3データそのものを作ることはできない。
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ところで、気になる音質なのだが、これはかなりいい。ただし、付属のインナーヘッドフォンを使うよりは、市販されているステレオヘッドフォンを利用した方が、いい音で音楽を楽しむことができるだろう。
また、MP3の曲情報は時計に表示されるようになっている。しかし、英数字と記号のみの表示なので、曲情報に日本語が使われているとダメだ。ただ、表示されるといっても、1文字ずつパタパタと表示されるだけなので、判別は結構難しかったりする。せめてスクロールしてくれるとかすれば見やすいのにね。なお、曲情報が表示されるエリアには、ドットパターンで作った簡単なアニメーションを表示することもできる。ちなみに、アニメーションのパターンは付属のエディタで作成が可能だ。
そして、バッテリは充電方式で、フル充電で4時間の連続再生が可能。このバッテリは時計部分にも電源を供給していて、フル充電の状態でプレーヤーの機能を使わないと、20日間時計を稼動させることができるようになっている。また、プレーヤー部に電力を供給できないくらいバッテリが消費すると、プレーヤーの起動はできないけれど、時計の機能を使うことは可能。この状態で4日間時計を稼動させることができる。つまり、どういうことかというと、マメに充電しなければダメってことなんだよね。
■ 初心者は使っちゃダメ…かも
イイコトずくめのように見えるリストオーディオプレーヤーだが、初心者は買っちゃダメなような気もしないでもない。これにはいくつか理由がある。
1つ目は搭載メモリ量の少なさ。32MBじゃ少なすぎる。CDクオリティのMP3データを入れたとしても約30分程度しか入らない。もちろん、クオリティダウンして音質を犠牲にすれば、アルバム1枚程度の音楽を入れることもできるが、もちろんMP3についての詳しい知識がなければダメなのである。
2つ目は、マニュアルがダメ。時計のパッケージにはWindows 98用のCD-ROMが付属しているのだが、インストールの方法がどこにも書かれてないんだよね。ちなみに、マニュアルは付いてるけど、時計の使い方についてのみ。インストール後は、オンラインでヘルプを見ることはできるんだけど、やっぱり紙のマニュアルは必要なんじゃないだろうか。USBのドライバのインストールに失敗して「きゃー、使えないじゃん、どうしよう」って思ってる人は、全国に300人くらいはいると思う。それに、「MP3ってナニ?」みたいなコトにも一切ふれられていないのもすごーく気になる。MP3のコトを全然知らない人は一体どうやって使うんだろう。
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Dance Producer。MP3再生時にドットアニメーションを表示できるが、その編集ツール。お世辞にも使いやすいとは言えないのがなぁ…。ドットパターンを作ることはできるが、作ったパターンを読み込んで、細部を編集することができないのがちょっと問題か。まあ、おまけと考えればそれでもいいのかも。
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3つ目は、「どうやってMP3データを入手するの?」ってこと。付属のCD-ROMには、リストオーディオプレーヤーを使うためのUSBドライバ、リストオーディオプレーヤーにMP3データを転送するための「PC Link Software」、アニメーションパターンを作成するための「Dance Producer」の3つが収録されている。既にMP3データを持っている人は、そいつをPC Link Softwareを使ってリストオーディオプレーヤーに転送して、音楽を再生できる。が、「MP3ってナニ? それっておいしい? MP3なんて全然知らないよーん」って人がコレ買っちゃったら、どうやってMP3データを入手するんだろう。アンダーグラウンドなサイトからデータを引っ張ってくることは論外だとしても、せめてCDからMP3データを作成するツールくらいは付けて欲しかった。
まあ、分かってしまえば簡単なMP3の世界も、分かってなければさっぱり何がなんだか分からない。で、買ったのはいいけど結果的には使えない、なんてことがないように、リストオーディオプレーヤーを買おうと思っている人は、まず雑誌記事やWebページなんかでMP3のコトを勉強してからにして欲しい。
そんなわけで、あえて苦言を書かせてもらったけど、MP3プレーヤーとしてのデキは、メモリが32MBしかないって所を除けば、非常に満足できるものに仕上がっている。あ、あとはデータの転送速度が妙に遅いのも気になるかも。でも、何と言っても、MP3プレーヤーに時計が付いているんじゃなくて、腕時計にMP3プレーヤーが付いているってトコロが「男のおもちゃ」って感じで、大変気に入ってたりするのだ。こーゆーハイブリッドな時計が発売されるたびに、「ウルトラ警備隊」ごっこが現実になる日も近いかなあ、と思っているのは筆者だけではないハズだ。
■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★★☆ |
とりあえず持ってると自慢できる。ちなみに、私は20人(推定)に自慢しました。しかし、絶対買っているだろうなと思った人が、何故か見向きもしていないのが謎。 |
実用性 |
★★☆☆☆ |
内蔵メモリが32MBってのがダメ。せめてCDクオリティ(44KHz、128kbpsでエンコード)のMP3をアルバム1枚分持ち歩きたい。また、USBを採用しているのにもかかわらず転送速度が遅いのも気になる。ただし、2台目のMP3プレーヤーとして使うにはいいかも。というわけで2つ。内蔵メモリが64MBだったら4つになってただろうな。 |
お値段 |
★★☆☆☆ |
この値段を出せば大容量のソリッドオーディオプレーヤーが買える。ということで、2つ。 |
購入価格 |
3万1290円 |
たしかに面白い製品で非常に気に入ってる。が、次の時計を買ったら永続的にはきっと使わなくなるだろうということが容易に予測できる。そうなるとジョギングのお供とかスキーのお供になってしまうだろう。ちなみに、カシオのリストカメラが発売されたら、きっとそっちになびいちゃうだろうな。 |
飽きるまで(予想) |
90日 |
1日あたり単価 |
約348円 |
■ URL
さくらや ウォッチ・メガネ館goo
http://shop.goo.ne.jp/store/sakuraya_watch/
カシオ計算機
http://www.casio.co.jp/
ニュースリリース
http://www.casio.co.jp/productnews/wqv_1_wmp_1v.html
(広野忠敏)
2000/04/12 00:00
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