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MP3プレーヤーとしても使える多機能CD-RW/DVD-ROMドライブ ソニー「MPD-AP20U」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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MPD-AP20U
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現在各社から発売されているMP3プレーヤーは、記録メディアによっていくつかの種類に分けることができる。1つは、記録メディアとしてメモリを採用しているもの。メモリを採用したソリッドオーディオプレーヤーは、非常にコンパクトである反面、大量の音楽を持ち歩いて聴くということはできない。もう1つは、記録メディアとしてハードディスクを採用したもの。非常に大量の音楽を持ち運ぶことができるのが特徴だ。そして最後が、CD-R/RWなどに記録したMP3データを再生できるもの。これは、カーオーディオやジュークボックス的に使える製品が存在する。
今回紹介する「MPD-AP20U」は、パソコンに接続するとCD-R/RW/ROM、DVD-ROM、メモリースティックドライブとして使うことができる。さらにパソコンに接続していないときはポータブルのMP3プレーヤーとして使うことができる非常に面白い製品だ。パソコン用の多機能ドライブとしての性能は、CD-ROMの読み出しおよびCD-Rへの書き込みが24倍速、CD-RWへの書き換えが10倍速、DVD-ROMの読み出しが8倍速と、現在発売されているこの手のドライブの性能としては標準ともいえる性能を持つ。インターフェイスはUSB2.0(USB1.1でも接続可能)、従って比較的高速な転送を必要とするDVD-Videoなどを再生する際も、ストレスのない再生が可能だ。対応するOSはWindows 98SE以降、およびMac OS 9/10以降。さらに、MPD-AP20Uにはメモリースティックスロットが搭載され、パソコン経由でメモリースティックのデータを読み書きできるという機能も有する。
MPD-AP20Uの面白い点の1つが、本体に充電式のバッテリーを内蔵していること。今までのこの手のドライブは、外出先で使おうとしたときに、AC電源がなくて結局使えなかった、なんてこともあったが、MPD-AP20Uでは内蔵バッテリーから電力を供給するため、電源が無くても快適に使うことができる。ちなみに、内蔵バッテリーがフル充電の状態ならば外部電源を供給しなくても、CD-Rで約9枚、CD-RWで約8枚に書き込むことができる。また、DVD-Videoならば連続1.5時間の再生ができる。ちなみに、MPD-AP20Uにはクレードルが付属しており、単3型ニッケル水素電池を8本装着すれば、さらに利用時間を長くすることができる。ニッケル水素電池がフル充電の状態だと、内蔵バッテリーで使ったときに比べ、約3倍の連続利用が可能となる。
MP3再生機能が面白い
MPD-AP20Uのもう1つの特徴がMP3データの再生機能。MPD-AP20Uで再生できるメディアにMP3データが存在した場合、それを再生してくれることだ。MP3の再生をするときは、パソコンに接続している必要はなく、MPD-AP20U単体での再生が可能なのだ。ちなみに、利用できるメディアは、CD-R/RW、DVD-R/RW、そしてメモリースティック。これらのメディアにMP3データが含まれていると、そのMP3データを再生してくれる。CD-R/RWに記録されたMP3データを再生できるポータブルプレーヤーは今までもあったが、DVD-R/RWに記録したMP3データの再生ができるのは非常に面白い。
ちなみに、650MBのCD-R/RWを使った場合、ビットレートにもよるがCDアルバムで約10枚程度をCD-R/RWに収めることができる。DVD-R/RWの容量はCD-R/RWの約8倍なので、DVD-R/RWを利用すると、実にCDアルバム約70~80枚分の音楽をメディア1枚にすることができるのだ。MPD-AP20UではDVD-R/RWに記録することはできないが、別途DVD-R/RWドライブを持っていれば、手持ちの音楽をDVD-R/RWにライブラリ化して、MPD-AP20U単体で聞くということも可能になる。
DVD-R/RWにMP3データを用意するには、別途DVD-R/RWドライブが必要になってくるが、CD-R/RWを使う場合はデータの準備から再生までは非常にスムーズにできる。あらかじめ、クレードルに電源を接続して、クレードルのUSBケーブルをパソコンに接続しておけば、クレードルにMPD-AP20Uを乗せるだけで、パソコンのCD-R/RWとして使うことができる。
USBコネクターがパソコンの背面にある場合、この手のポータブルプレーヤーを接続するのは結構面倒だったりするのだが、MPD-AP20Uはクレードル経由での接続ができるのでなかなかいい感じだ。ちなみに、MPD-AP20UにはACアダプターのコネクターやUSB端子もあるので、クレードルを使わずにパソコンに接続もできる。パソコンにMPD-AP20Uを接続したら、CDをリッピングしてMP3データ化して、MP3データが含まれたCD-RやCD-RWを作成すれば良い。
たとえば、自宅ではクレードルを使ってデスクトップパソコンに接続、出先ではクレードルを使わずにノートパソコンに接続、移動中は単体でMP3プレーヤーとして活用するなんていう使い方ができるわけだ。MPD-AP20Uの最大のメリットは、このように空いている時間をMP3プレーヤーとして活用できるということに尽きる。実際、パソコンでCD-R/RWドライブを使うのは、ソフトのインストールやゲームのプレイ、CD-R/RWの再生などごくごく限られた時間に過ぎない。それ以外の時間はCD-R/RWドライブは仕事をしていない、つまり遊んでいることになっている。そうした遊んでいる時間を、MP3プレーヤーとして使うことで、貴重な資産を最大限に活用できるハズだ。
付属品も充実
MPD-AP20Uに同梱されているソフトウェアはB’s Recorder GOLD、B’s Clip、Musicmatch JukeBox、PowerDVD XPなど。CD-R/RWへのライティングソフト、音楽ファイルの管理ソフト、ソフトウェアDVDプレーヤーなどMPD-AP20Uを活用するのに必要十分なものが揃っているのもポイントが高い。
気になる連続再生時間は、内蔵のバッテリーがフル充電の状態でCD-R/RWに記録されたMP3データを再生した場合だと約10時間。これは、あくまでもカタログに掲載されている数値なので、実際にはもう少し短くなるだろう。実際に再生した感じでは8時間程度は十分に使うことができるようだ。また、DVD-R/RWに記録されたMP3データの再生時間に関しては、カタログ、マニュアル共に記載はないが、CD-R/RWと同様の時間再生ができるようだ。ちなみに、8~10時間という数値は、ビットレートにもよるが、ほぼCD-R/RWに記録した1枚分のMP3データの再生時間と一致する。なお、クレードルにニッケル水素電池を装着した状態で使うと、連続再生時間は一気に3倍になる。MP3データの再生では実に30時間の連続再生が可能だ。
MPD-AP20Uには、リモコン付きのヘッドフォンが付属し、リモコンで再生などをコントロールできる。単純な連続再生はもちろん、64曲までのプログラム再生、フォルダ単位のリピートやシャッフル、フォルダのスキップなども可能。あらかじめフォルダ単位にMP3データを記録しておけば、聴きたい曲のアクセスに困ることはないはずだ。また、リモコンにはID3タグの情報(曲名やアーティスト名)なども表示されるが、表示されるのは英数字のみで日本語には対応していない。さらに、プレイリストにも対応しており、あらかじめメディアに記録しておけば、プレイリスト順に演奏をすることも可能だ。DVD-R/RWなどに記録する場合、非常に容量が多いため、聞きたい曲を探しにくくなることも考えられるが、フォルダ単位で整理しておいたり、プレイリストを作成しておけば曲へのアクセスも快適になる。
MPD-AP20U以前にも、ソニーからは「CRX10U」という名前のポータブルCD-R/RWドライブ&MP3プレーヤーが発売されていたのだが、CRX10UのMP3再生機能はあくまでもオマケ的性格だった。実際に使っていると再生機能が貧弱で連続再生時間が短い、さらにひっくり返したり、振ると止まる、などなど持ち歩いて使うプレーヤーとしては不満が多かったが、今回発売されたMPD-AP20Uは、そうした問題点がきちんと改善されていることが嬉しい。MP3データの再生機能も、専用MP3プレーヤー並みで使いやすい、連続再生時間もまずまず、逆さにしても振ってもきちんと再生してくれる、などなど非常に完成度の高い製品だといえるだろう。
評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★ |
DVD-R/RWやメモリースティックに記録したMP3データも再生できるのがいいですね。別途DVD-R/RWを持っていれば、手持ちの音楽をぜーんぶDVD-R/RWにしてしまって、MPD-AP20Uで聞くのはなかなか快適。もち運ぶだけじゃなく、デスクサイドでジュークボックス的に使うのも便利です。 |
実用性 |
★★★★★ |
パソコンのCD-R/RW/DVD-ROMドライブとして使えることはもちろん、ドライブが空いている時間はMP3データを再生できる。非常に活用度の高い製品だといえるでしょう。ポータブルのCD-R/RW/DVD-ROMをこれから買いたいという人は、やや値段は高いけれどコレを買っても損はしません。 |
お値段 |
★★ |
外付けのドライブとしてみると、非常に高価です。MP3データの再生ができるという部分に付加価値を見出せるかどうかがポイントでしょうか。 |
価格 |
39,800円 |
円盤系メディアを採用したポータブルMP3プレーヤーは、記録メディアにメモリを使った製品と、記録メディアにハードディスクを使った製品の中間にあたると考えても良いでしょう。メモリ採用プレーヤーのようにいちいち音楽を転送するのは面倒、ハードディスク採用プレーヤーはファイルの管理が大変そう、と考えてるあるいはそういう経験があるならオススメ。それにCD-R/RWにライブラリ化しておけば、今後どんなプレーヤーを買ったとしても、データの使い回しができますしね。 |
利用期間 |
2年 |
1日あたり単価 |
54円 |
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・ 製品情報
http://www.ecat.sony.co.jp/computer/drive/products/index.cfm?PD=10608&KM=MPD-AP20U
(広野忠敏)
2002/12/18 12:02
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