ケータイ Watch
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おとなのおもちゃタイトルGIF
見るためのHDDレコーダーの決定版
ソニー CoCoonチャンネルサーバー「CSV-E77」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


「テレビを見る」というスタイルを劇的に変化させる製品

CoCoonチャンネルサーバー「CSV-E77」
 現在市場に流通しているHDDレコーダーは大きく2つの系統にわけることができる。1つはHDDレコーダーとDVDレコーダーの両方を搭載したハイブリッドなモデル。もう1つがHDDのみを搭載したモデルだ。HDDレコーダーとDVDレコーダーの両方を搭載したモデルでは、HDDで記録した番組をDVD-Rなどに書き出すことができる。つまり、録画した番組を自由に保存できるというメリットがある。たとえば、番組をライブラリ化して保存しておきたいとか、いままでの家庭用VTRと同じように使いたい、という人に向いている製品だといえる。

 もう一方の、HDDのみを搭載したレコーダーは、取った番組をライブラリ化して保存することはできない。当然のことながら、HDDは有限なので、記録容量が少なくなってくれば、既に録画されている番組なりを消さなければいけない。一見するとDVDレコーダー搭載のハイブリッドモデルよりは使いにくい印象があるが、そうではない。搭載されているHDDの容量が十分じゃなければ、録画、消去の繰り返しになってしまい、結果的に使いにくいと感じてしまう。しかし、必要十分な容量のHDDを搭載していれば、録画、消去といった煩雑な操作も必要なく、非常に快適に使うことができるのである。

 ソニーのCoCoonチャンネルサーバー「CSV-E77」(以下E77)は、HDDのみを搭載したHDDレコーダー。DVDレコーダーなど外部メディアに書き出す機能はないため、従来のVTRのように記録した番組をライブラリ化するといった使い方はできない。しかし、標準で160GB(320GBまで増設可能)という、必要十分な容量のハードディスクを搭載することによって、その大容量を生かした数々の機能が盛り込まれているのが最大の特徴だ。

 いままでリリースされてきたHDDレコーダー(ハイブリッドモデルも含む)といえば、記録メディアが単にビデオテープからHDDになっただけというものが多い。録画予約の方法にしてもGコードやマニュアルによる予約録画が主流。なかにはEPGに対応したものもあるが、ごくごく一部の機種のみだ。E77は、大容量のHDDを活かして、HDDレコーダーが勝手に番組を予約してくれる、録画した番組も現在放映中の番組もシームレスに再生ができるという、まったく新しい機能を搭載。他の製品のように、家庭用VTRのコンセプトを引きずりつつ記録メディアをHDDにしただけというレコーダーとは一味も二味も違う製品に仕上がっているのである。


本体前面の左に電源ボタンやインジケーター 本体前面右にはシャープなデザインの十字キーなど

キーワードで番組を自動録画

 ソニーからリリースされてきたHDDレコーダーに伝統的に搭載されてきたのが、番組情報に設定したキーワードが含まれていれば自動的に録画してくれるというキーワード録画機能だ。たとえば、キーワードとして「洋画」を登録しておけば、およそ放映されるすべての洋画を、「スペシャル」を登録しておけば番組情報に「スペシャル」が登録されている番組を勝手に録画してくれるのである。キーワード録画機能はClip-on(SVRシリーズ)やチャンネルサーバー(CSV-S55)にも搭載されていた機能だが、E77では「おまかせ・まる録2」としてかなりのパワーアップが図られている。Clip-onやS55では、自分で自由にキーワードを設定することができなかったが、E77ではユーザが自由にキーワードを入力して設定することができるようになっているのだ。今までは、EPGに表示される番組情報からキーワードをコピー&ペーストで登録するか、カモン・マイキャスターで配信されるキーワードを登録することしかできなかったが、ユーザーが自由にキーワードが設定できることにより、さらに自由度が増したわけである。さらに、番組視聴中にリモコンの「MY CAST」ボタンを押すと、現在視聴している番組に関するキーワードの一覧が表示され、それを登録することもできるようになっている。

 登録したキーワードが含まれている番組を自動録画する「おまかせ・まる録2」の機能はアイディア次第で非常に強力な使い方が可能。たとえば、好きなタレントが出演している番組を見たいといった使い方はすぐに思いつくはず。ほかにも、野球中継やサッカーのように放映時間がずれてしまうような番組を録画したいときも、キーワードとして「野球」や「サッカー」を登録しておけばよい。あとは、そのキーワードが含まれている番組を勝手に録画してくれるのだ。また、いつの間にか海外ドラマの新シーズンが始まっていたけれど、番組表をチェックするのを忘れて、いつも新シリーズの第1話を見逃してしまう、なんて人にも朗報だ。海外モノのドラマは新シーズンが始まるまでに時間があくことが多く、マメに新シーズンの開始時期をチェックしていないと、結局見逃すことになってしまう。そんなときは、キーワードとして番組のタイトルを設定すればいい。そうすれば、いつ放映が始まったとしても、絶対に見逃すことはないはずだ。


パワーアップしたキーワード録画機能「おまかせ・まる録2」 任意の単語をキーワードにすることも

ユーザーの行動によって成長する

ユーザーからのリアクションで自動録画機能が成長する
 もう1つ「E77」ならではの機能がある。それは「おすすめ録画」機能の搭載。これは非常に面白い機能だ。E77はユーザーの録画予約や、録画済みの番組を消去しないように保護設定するというアクションを蓄積して、ユーザーが好きだと思われる番組の傾向を学習する。ある程度E77を使い込んでくると、ユーザーが録画予約をしていなくても、E77が勝手に番組を予約してくれるようになる。たとえば、洋画ばっかり予約しつつ使っていると、特に予約操作をしなくてもE77が自動的に洋画を録画してくれる、あるいは野球ばっかり予約していると、野球番組を自動録画してくれるのである。番組が自動録画されると「○○○をおすすめしました。今回のおすすめはお楽しみいただけましたか」というダイアログが表示され、このダイアログに対して「はい」または「いいえ」のリアクションをすることで、さらに学習の品質を向上できるというわけだ。

 キーワードを検索したり、ユーザーの視聴傾向から勝手に録画してくれるのはありがたいけれどHDDの容量が心配、と思うかもしれないが、そのあたりも心配はいらない。元々160GBという大容量のHDDを搭載(160GBで最長100時間の録画が可能)、録画済みの古い番組は自動消去されることや、おすすめ録画の頻度や品質は自由に設定できるので、それぞれの人にあった使い方が可能だ。

 ちなみに、E77にはチューナー、エンコーダーが2系統搭載されている。そのため、ユーザーが何かを録画しているときに、E77のおまかせ録画が裏番組を録画しているといったことが可能になる。また、予約録画中に裏番組を見ることや、予約録画中に裏番組を手動で録画するということも可能だ。このあたりは、操作していてもちょっとわかりにくいが、チューナーやエンコーダーが2系統搭載されていることを考えてみればいがいとしっくりくるハズだ。


シームレスなユーザーインターフェイスで見ることが可能

 ユーザーが録画予約した番組、おまかせ録画やおすすめ録画で録画された番組は最大300タイトルまでHDDに保存することができる。たとえたくさんの録画があったとしても、録画された番組もわかり易い操作で再生することができるようになっている。E77では現在放送されている番組と、録画された番組をシームレスなユーザーインターフェイスで選ぶことができるのが面白い。

 録画された番組はドラマ、スポーツ、映画などといったカテゴリにわけて保存される。また、現在放映中の番組は「ライブ放送」というカテゴリになる。録画再生中や放映されている放送を受信しているときに、リモコンの←や→ボタンを押すとカテゴリの切り替え、↑や↓でチャンネルの切り替えができる。たとえば、ライブ放送カテゴリが表示されているときに↓、↑を押すとチャンネルの切り替え、そのほかのカテゴリが表示されているときは、同一カテゴリに録画された前後の番組を再生できる。こうして文章にするとややわかりにくいが、現在放映されている番組と録画された番組をまったく同じユーザーインターフェイスで視聴できるのである。最初はやや使いにくいと感じるかも知れないが、慣れてしまうと非常に気持ちいい操作が可能だ。

 ちなみに現在放映中の番組を視聴しているときは、その番組の終了時間(または12時間)まで自動的にHDDに記録するようになっている。そのため、番組視聴中にちょっと席を外したいときなどは、一時停止ボタンを押して停止、戻ってきたら再生ボタンを押せば続きから見ることもできる。たとえば、どうしても目が離せない場面に電話がかかってきた、なんていうときに便利だ。


インターネットとも融合

パッケージにはリモコンやAVケーブルのほか、10BASE-Tケーブルも付属している
 ところで、E77にはネットワークコネクタがあり、インターネットと組み合わせた使い方ができる。インターネットに接続しているときにリモコンの「NET」ボタンを押すと「カモン!マイキャスター」のコンテンツを表示できる。まだ、コンテンツの内容はそれほど充実しているとはいいがたいが、12月からはインターネットを利用した「おまかせ録画」のキーワードの更新もできる予定だ。また、E77のソフトウェアがバージョンアップしたときは、インターネットを使って最新版に更新できる。

 また、ADSLやFTTHなどE77を常時接続環境で使っているときは、インターネットのホームページやiモードからE77の予約ができるようになる。インターネットやiモードで予約をすると、一時的にマイキャスターのサーバに予約情報が蓄えられ、その情報を定期的にE77に配信するという仕組みで実現している。残念ながら短いスパン(約10分間隔)でE77の予約情報を更新するサービスは有料サービス(月額300円))だが、出先から自宅のE77をコントロールできるのは便利だ。

 なお、E77では外部入力を2系統持っていて、内蔵チューナーではなく外部からの映像を録画することもできる。本体で予約操作したときは「12:00 (1:00H) 入力1」といった味気ないタイトルが録画済みの番組につけられるが、インターネットから予約するときは、ユーザーがタイトルを自由に付けられるようになる。CSチューナーなど外部機器を活用していると、タイトルが放映時間と録画時間では、あとで見たときにそれがなんだったかさっぱりわからないということがある。だが、インターネット経由でタイトルをつけて予約すればそうしたことはなくなる。ただ、この機能については、本来は本体だけでできてしかるべき機能であろう。

評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★★  初代Clip-onから搭載されている、怪しくブルーに輝くイルミネーションは現役。おすすめ録画があるときは、イルミネーションが点滅します。筐体の質感もなかなか良しで、かなりイバり度の高い製品であることは間違いありません。
実用性 ★★★★★  HDDレコーダーは一度使うと手放せなくなるほどに便利です。とくにE77のおまかせ録画、おすすめ録画は使うほどに目からウロコな便利な機能。テレビ放送の録画予約なんてVTRでも面倒といった不精者には最適な機能。
お値段 ★★★★ 2年前に発売された30GBHDD搭載の初代Clip-on(SVR-715)のお値段は18万円。この値段を出せれば、実に10倍の容量を持つモデルが買えます。いやー、技術の進歩と値段の低下は早いなあ。発売直後にClip-onを購入したのでかなり悔しいかも。
価格 129,800円(160GBモデル) 革新的な改良が2年ごとにあり、それに買い替えすると考えて予想利用時間は2年。筆者は初代Clip-OnとGigaPoket搭載VAIOユーザーで、日々Clip-OnとGigaPoketでテレビ番組録りまくりな生活を送っています。今回とりあげたE77は、ソニーからお借りした製品。すでにHDDやDVDにテレビ番組を録画できる豊富な環境を所有しているのにもかかわらず、使えば使うほどE77が欲しくなってしまいました。だけど、さすがに金がないんですよねえ。
利用期間 2年
1日あたり単価 177円


・ ニュースリリース
  http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200209/02-0904/
・ 製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/cocoon/


(広野忠敏)
2002/11/27 12:52

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