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おとなのおもちゃタイトルGIF
デジカメ内蔵双眼鏡 ペンタックス「DIGIBINO DB-100」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 最近のデジタルカメラはというと、撮影画素数が非常に多い高解像度なものや持ち歩きに困らない小さいものなど「高画質」と「コンパクト」の2つのキーワードが主流になっていて、より高画質な製品、コンパクトな製品がデジタルカメラメーカー各社からリリースされている。そんなデジタルカメラの市場の中、非常にユニークな製品をリリースしているメーカーがある。そのメーカーの名前は「旭光学工業株式会社(ペンタックス)」。デジタルカメラを内蔵した双眼鏡「DIGIBINO DB-100」という非常に面白い製品を発売しているのだ。今回は、この「DIGIBINO」をレビューしてみることにしよう。


双眼鏡にデジカメがついた!

ペンタックス「DIGIBINO DB-100」。双眼鏡に80万画素デジタルカメラがついたユニークな製品。価格は5万円。
 双眼鏡やオペラグラスのような光学機器は、そうそう日常で使うものではない。だが、一家に一台あればなにかと便利なものでもあるのも事実だ。たとえば、プロレスやサッカーなどのスポーツ観戦にいったとしよう。運悪くアリーナの一番上のチケットしか取れなかったとしたらどうだろう。裸眼では当然のことながら、選手は豆粒のようにしかみえないし、何をやってるのか状況を判断するのも難しいことが多い。そんなときに双眼鏡やオペラグラスがあると、離れた場所からでも臨場感たっぷりに観戦できるので便利。もちろん、スポーツ観戦だけじゃなく、アリーナでのコンサート、バレーやオペラ、ミュージカルなどを鑑賞するときも、双眼鏡やオペラグラスがあれば断然楽しくなるに決まってるのだ。

 ペンタックスの「DIGIBINO」は、コンパクトな双眼鏡でありながらデジタルカメラを搭載した非常にユニークな製品。双眼鏡として使うこともできるし、液晶モニタに映る映像を皆で楽しむこともできる、さらには写真の撮影もOKという一粒で3回楽しめる素晴らしい製品なのである。


双眼鏡で見たままの映像を撮影できる



 まずは簡単に「DIGIBINO」のスペックを紹介しておこう。双眼鏡としての性能は、光学7倍の倍率を持ち、焦点調整範囲は2m~∞、接眼部で視度の調整も可能という、小型双眼鏡やオペラグラスと同等の性能を持っている。この双眼鏡に、デジカメが内蔵されているのが「DIGIBINO」の最大の特徴なのだ。

 デジタルカメラとしての性能は、有効画素数80万画素、単焦点の7倍望遠レンズを搭載。電子シャッターを装備し、シャッタースピードは1/30~1/8000秒。また、本体上部に開閉可能な1.6インチD-TFD液晶モニタを備えている。記録メディアは本体に内蔵されたメモリ(16MB)のみで、外部メディアを使うことはできない。

 1024×768ピクセルまたは640×480ピクセルでの撮影が可能で、Fine画質時(1024×768)で約100枚、Basic画質時(640×480)で約300枚保存できる。パソコンPCとのインターフェイスにはUSBを備え、マス・ストレージクラスに対応している。そのため、Windows XPやWindows 2000では、ドライバをインストールすることなく、「DIGIBINO」をパソコンに接続するだけで、「DIGIBINO」を外部メディアとして認識してくれる。また、同梱のドライバをインストールすればMacintoshでも利用可能だ。ちなみに、バッテリは単3乾電池2本で動作する。

 DIGIBINOが面白いのは、双眼鏡で見たままの映像をデジタルカメラで記録できることだ。本体全部のスライドレバーをスライドさせると、レンズカバーが開き、電源が投入され、撮影可能な状態になる。この状態で双眼鏡を覗いてピントを合わせ、シャッターボタンを押すと、双眼鏡で見ているほぼそのままの画像を記録できるのである。撮影距離は2m~∞。デフォルトでズーム撮影になるため、手ぶれの心配もあるが、1/8000秒といった高速シャッターを使えるので、意外にもきれいな写真を撮れるのだ。


近眼の人は調整が必要

液晶部分を立てれば複数人数での鑑賞もOK!!
 ただ、撮影時に注意したいのは、近視など目が悪い人が使うとき。「DIGIBINO」のデジカメは双眼鏡のピントに連動している。そのため、目の悪い人が裸眼で双眼鏡を覗きつつ撮影をすると、ピントが合っていない写真が撮影されることになる。近視の人が使うと、結果的に近視ではない人が近眼用のメガネをかけたときと同じようにピンボケの写真になってしまうのだ。

 ただこれはあらかじめ接眼部の視度調整をしておくことで、きちんとピントの合った写真が撮影できる。ちなみに、私は視力検査で0.1が見えないという重度な近視で、メガネやコンタクトレンズを欠かすことができないのだが、視度を調整することで双眼鏡を使って裸眼で鮮明に被写体を確認しつつ、きっちりピントの合った写真を撮ることができた。

 「DIGIBINO」の上部には液晶モニタが装備されている。デジカメの電源が入った状態で、液晶モニタを開くと、被写体を確認しつつ撮影ができる。この液晶モニタはスグレモノで、撮影のためだけでなく、多人数で拡大された映像を楽しむことも可能だ。

 たとえば、何人かでスポーツ観戦に行ったとしよう。このとき、双眼鏡を使って自分ひとりで楽しむことはもちろん、液晶モニタを利用して、ほかの人も拡大した映像を観られるわけだ。また、本体全部のスライドレバーをスライドさせ、デジタルカメラのレンズカバーを閉じれば、液晶モニタで撮影した画像の確認もできる。さらに、付属のコンポジットビデオ出力ケーブルを利用すれば、テレビやモニタなどで撮影した画像を観ることが可能になるのだ。

 撮影時のモードを変更するときも、液晶モニタを利用する。記録サイズ、デジタルズーム、連写機能(秒間5コマ、連続10コマ)などのオン・オフはすべて液晶モニタに表示されるメニューで行なう。元々「DIGIBINO」が持っているデジカメの機能自体がそれほど複雑ではないので、操作はわかりやすい。


液晶を閉じるとフツーの双眼鏡です デジカメ機能はいたってシンプル

あくまでも「デジカメ付き双眼鏡」です

 撮影された映像については、80万画素ということもあり、最近の高画質なデジカメのように品質の良い画像を期待するのはムリ。だが、なんといっても「DIGIBINO」は「綺麗な写真を撮る」ということではなく「手軽に双眼鏡でみたままの視界を保存する」という使い方をしたときに真価を発揮するのではないかと思う。綺麗な写真を撮影したければ高倍率、高画質の高級デジカメを買えばいいわけだしね。そういうことを考えると、価格が高価になるのを覚悟で画素数を上げるよりは、このあたりのスペックがギリギリのバランスではないだろうかと思えるわけだ。

 ちなみに、バッテリが切れたときや、そもそもバッテリを装着していないときには、デジカメとしての機能を使うことはできない。しかし、このような状況でも双眼鏡として使うことは可能なのだ。このあたりの配慮は、「DIGIBINO」が双眼鏡付きのデジカメではなく、デジカメ付き双眼鏡であるということが伺える。

 なお、「DIGINIBO」は、液晶モニタが開いた状態でも、閉じた状態でもどちらでもデジカメによる撮影を行なえる。液晶モニタを開いてしまうと、あきらかにデジカメに見えてしまうが、液晶モニタを閉じてしまえばちょっとオシャレなオペラグラスくらいにしか見えない。そのため、撮影禁止の場所だったとしても「DIGIBINO」を持ち込んで観戦や鑑賞ができるかもしれない、ということを最後に付け加えておく。


■ 評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★ いままでありそうでなかった製品。もちろん、イバれます。
実用性 ★★ スポーツ観戦やコンサート、オペラの観劇のように、双眼鏡やオペラグラスを使う機会が多いならかなり実用的ではないでしょうか。興味本位とか面白そうだからっていう理由で買っちゃうと、すぐに使わなくなるかも。
お値段 ★★ かなり良いデジカメが買えてしまう値段なのが微妙。デジカメはデジカメだけど、双眼鏡にデジカメの機能がついているというだけなので、デジカメだと思って買ってはいけません。
価格 量販店にて3万9800円 フツーのデジカメはもう飽きた。ちょっと変わったデジカメが欲しいというならオススメ。双眼鏡で遠くのものを眺めつつ、それを撮影できてしまうという行為は、結構感動できます。わたしはコンサートやらオペラやらに行くことも多いので、コイツは間違いなく買い! でも、使うシチュエーションがあまりないと……すぐに飽きちゃうでしょうね。
利用期間 3年くらい
1日あたり単価 36円


・ ニュースリリース
  http://www.pentax.co.jp/japan/news/2002/200218.html
・ 製品情報
  http://www.pentax.co.jp/japan/product/digibino/top.html


(広野忠敏)
2002/07/10 14:44

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