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ヒッサビサの俺的ボーダフォン端末「Vodafone 702NK」
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スタパ齋藤 1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。 |
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■ ヒッサビサのボーダフォン端末
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ボーダフォン「Vodafone 702NK(Nokia 6630)」。PCとのデータ同期、Bluetooth対応などPDA好きにはグッとくる機能を搭載したW-CDMA/GSMデュアルネットワーク対応端末だ
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ふと気づいたら大変なモノが発売されていた。すなわち、ボーダフォンの702NKであり702MOであり702sMOなのであった。
そうだ!! そうだった!! 歯の詰め物が取れて嫌々歯科治療を受けて憂鬱になったり年末〆切地獄に追われたり気温8度の仕事部屋で最強に寒まったりしている場合ではなかった!! 702NKか702MOか702sMO買わなくっちゃ!! これからはUSIMカード差し替えまくりでノキアやモトローラのイケてる欧米端末を使いまくって遊ばなくちゃ!!
と思っていたら2005年になっちゃったんスけど、さておき、1年以上もau一筋だった俺が、久々にボーダフォン端末を購入した。どの端末を買ったかと言えば、やっぱり結局702NKとなった。いろいろな理由があって、ボーダフォン端末買うなら702NKか702MOか702sMOのどれかにしようと考えていたが、実機を触ってみたら702NKだろやはり~というフィーリングに。
ていうかですね、携帯電話をPDA的に使うという、俺が好みがちな目的からすれば、最初から702NKを選べ>俺!! と言える。ある意味定番のスマートフォンなわけだし、Symbian OS搭載マシンだし。しかし、ぶっちゃけ、これまで使った(日本国内キャリアの)ノキア製端末はどれも印象が悪かった。外見はイイけど中身は「……」みたいな。
そこでPDA的云々は別として、ていうか、ケータイをPDA的に使うのはau端末とMySyncでどうにかするとして、ボーダフォンのG3端末としては若干モトローラ製を選んでみたい心意気なのであった。モトローラ端末を入り口に、2005年に各キャリアで使えるノキアとかモトローラとかの端末が出たりしたらゆっくりアレしようかしら~的なゴニョゴニョしたスタンスだった俺。この微妙なマニア心をわかってくれますか?
しかし、実機に触れてみたらゴニョゴニョしてる状況じゃないゼ、と。てのは、正直なところ、俺における702MOや702sMOは残念感があった。まず携帯電話端末としての感触が……。702MOはちょっと分厚めだしデザインも!? かつてのすげー渋くてカッコいいモトローラ端末のイメージとはかけ離れていた。702sMOは外観的には悪くないように思えたが、あの独特のテンキーに拒絶反応を示した俺。
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「Vodafone 702MO」アークティックブルー。ボディカラーは他にリコリッシュブラックがある
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「Vodafone 702sMO」コズミックユニバース。ボディカラーは他にブラックシルバーがある
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こうなれば素直に702NKを選ぶしかない。ボーダフォンの3G端末で702NK以外何を選べばいいってんだコンチクショー!! と微妙なマニア心をさらに屈折させつつ702NKを改めて見てみると、外観的には「まっイっか」な感じであり、キー等の感触もまずまずであり、液晶表示等々スペックこそ今時的端末としては大したことナイとは感じた。が、やっぱケータイの今後をすんげぇ魅力的なモノとしてくれるハードウェアとしては、ノキアのスマートフォンこと702NKが非常に魅力的であったゆえ購入した。
てなわけで、今回はボーダフォン 702NKについて。なおこの端末の詳細についてはボーダフォンの製品紹介ページや、ノキア・ジャパンの製品紹介ページをご覧いただきたい。
■ 702NKはすげー使いにくいケータイ!?
ある種のケータイ鎖国日本で何年も日本独自の携帯電話端末を使っている俺思うに、702NKは何をするにも戸惑いまくりの使いにくい端末だと、一応、言っておきたい。
というのは、702NKの使用感が、日本国内の今時的携帯電話端末の多くが共通して持ってるよーな感じの“似たような便利さ”とはかけ離れているからだ。[メニュー]→[0]で自分の電話番号なんざぁ出やしない。何となく[メニュー]ボタン押せば着信音色・音量設定とかの項目が出て……来やしねぇ。オンフックボタン長押しで電源が切れるわけもねえし取扱説明書を開かずにアッサリと使いこなせるわけなんざぁまったくねぇ。ついでにクレードルタイプの充電台なんかも付属してねぇしオプションでも売ってねぇし挿せるメモリカードは日本国内で手軽に買えねぇし、ないないづくしっていうかねぇねぇコレ本当に日本市場向けのケータイ!? みたいな。
702NKに注目する多くの方々は既に十分おわかりだと思うが、702NKをそのデザインや、あるいはノキア製というブランドイメージだけで買うのは危険である。ある程度、というか、かなり、根性がある人でないと、即機種変更or解約で端末はオークション行き、あるいは逆切れしてボーダフォンショップに文句言いにいくユーザーもいるかもしれない。
そのくらい、702NKは日本の携帯電話市場にある携帯電話端末の中で異端の使用感を持ち、いわゆるひとつのフツーの人にとっては使いにくい携帯電話端末だと思う。SHやNやSEとはずいぶん違って、702のNKはある意味別世界のケータイ、と言えよう。
けどまあ、ハードウェア的・ソフトウェア的にダメとかヘボとか糞ってコトは全然ない。異文化圏の端末ということだ。それを含み置きつつ好奇心を持って接すれば、フツーの人でも十分使いこなせると思う。また、そんなスタンスで使えば、これはもー非常に楽しいし、日本製端末にない便利さを多々見つけられる702NKだ。
……遠回しに書いとりますが、大雑把に言って、マニアさんいらっしゃい!! 一見さんお断り!! というハードコアな端末、それが702NKだと思う……現在の日本においては、だが。
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702NKのキー配列。操作についてはマニュアル必読。オンフックボタン長押しで電源が切れたり[メニュー]→[0]で自番号を表示したりという国内携帯端末の常識は通用しない
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ACアダプタは丸型コネクタを採用。コンビニで販売されている携帯電話用急速充電アダプタなどはコネクタ形状が合わない。充電台はオプション
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■ 702NKは堪能できるスマートフォン
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702NKのセット一式
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一応の注意書きをしたところで本題へ入るが、いや~702NK、ハードウェアとして非常におもしろいですな。このよーな端末が日本市場に出てくると、近未来が急激に楽しくなる。こういう端末も日本語ローカライズされて出てきたりするのかーッ!? かぁーッ!? かァァァ~ッ!! とマジいきなり日本のケータイ市場に夢を描いたりする俺。702NKの何をもってそう思わせるかと言えば、何しろこの端末が非常に豊富な機能を持つスマートフォンだからだ。
スマートフォンは、音声通話以外にもイロイロと使える携帯電話端末を指す。電子メールやWebページ閲覧ができるような端末ですな。今時のケータイはほぼ全部スマートフォンと呼べるのだが、702NKの場合、スマートフォン文化の血が熱く強く流れる欧米で鍛え上げられた端末ことNokia 6630のボーダフォンバージョン。汎用性の高さやユーザー層・ノウハウの厚みが違う。
例えば、702NKにはSymbian OSが採用されており、Symbian OS Series 60用のアプリケーション等をインストールして動かすことができる。前述のNokia 6630と同等のOSとなり、Nokia 6630は既に欧米で超多数使われているので、実際に702NK上で動かすことのできるアプリ類は非常に多い。フルブラウザ、ゲーム類、スケジューラ等々、多くは英語版だったりするわけだが(でもそのうち日本語版の登場も大いに期待できますけど)、パソコンやPDAのように“目的に合うソフトを入れて利用する”という使い方ができるわけだ。ただし、正式に“702NK対応”となっているアプリ等はまだまだ少なく、自己責任でアプリ等を入れてみて動いたらハッピーてな状況ではあり、そういう意味では(今のところは)趣味性が強い端末かもしれない。
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メニューの第一階層はアイコン式
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第一階層のアイコンは2画面分ある
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設定項目の並び順も、国内メーカーの端末の一般的な並びとはかなり異なる
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あるいは、702NKは通信端末として非常に強力である。メールとしてSMS(スカイメールですな)やMMS(写メールとかですな)が利用できるのは従来のボーダフォン端末と同様だが、それに加え、いわゆるインターネットメールに対応する。具体的にはPOP3メールやIMAP4メールに対応するので、常用のプロバイダのメールサーバと直にやりとりできる。パソコン用アドレスに来るメールをケータイに転送して……としなくても、702NK単体でパソコン用アドレスに来たメールを読み出せるわけだ。なお、Webのほーは、(Symbian OS Series 60用のアプリ等をインストールせずとも)フルブラウザが搭載されているので、多くの一般的なWebサイトを閲覧することが可能だ。
それから、パソコンとのデータシンクロナイズも可能。付属のUSBケーブルおよびNokia PC Suiteソフトウェアを使うことで、Microsoft OutlookやLotus Organizer等上のデータと702NK上のデータを同期できる。詳しくはノキア・ジャパンの製品紹介ページにあるとおりだが、この機能によってケータイをPDAとして役立てられるのだ。
ていうか702NK、生まれながらにしてPDAであり、かつ電話機っていうか通信端末なのである。電話かけられてメールもWebもできて住所録やスケジュール類はパソコンと同期できて……PDAとケータイを合体させたよーな存在。これがフィンランド生まれのスマートフォンなのであった。
PDA的に個人情報管理できてメールもWebもできて、しかもそのまま携帯電話として使えれば最高!! とか思ってこれまでイロイロなスマートフォン系の日本製端末を試してきた俺だが、702NKを使ってみてその結論から言えば、今のところコレ最高。
まず、そーとーなコトしようと思わない限り、702NKによりPDAは不要となった。また、前述のメール系機能に加えてかなり賢い予測変換日本語入力システムもあり、ポケッタブルなメール端末としても実用性が高い。それから、まだまだ十分試せていないが、好みのアプリを入れて使えるってあたり、ガジェットとしてずいぶん楽しめるし実用性を高められる。ついでにカスタマイズ性も高く、一般的な日本製端末よりもずっと自由にキー割り当て可能で、ハードウェア的なカスタマイズが楽しめる──純正じゃないけど出回ってるカバーやキー類、あるいはBluetooth周辺機器が利用可能である点も嬉しい。
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Outlookのメモ帳をシンクロ可能
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PCと連携したPIM機能が利用できるオーガナイザー
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PC側のアプリケーション、「Nokia PC Suite」のメイン画面
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■ 実使用上で感じたことアレコレ
702NKによりこれまで使ったノキア製端末のガッデムなイメージが払拭された俺脳内であるが、702NKに対しても若干の違和感がある。全体的にはすげーイイ端末だと思うのだが、細か~いところで「?」とか思ったり。
702NKに大きく期待した要素として、Microsoft Outlookとのデータシンクロナイズがある。で、結論から言えば、Outlook上の予定表も連絡先も仕事もメモも大きな問題・使いにくさはなく同期されるので、702NKをPDA的に使うには十分実用的だと感じる。個人的にはメモがしっかり同期できるのは有り難いですな。
しかし、個人的にはOutlook上の予定表のコメント欄の情報が702NK上に転送されないのが残念。ココにメモ的なコトを書いておくのが習慣付いちまってるんで、その情報が702NK上に転送されないのは少々使いにくく、コメント付加の新たな工夫を強いられ中である。
あと、702NK上、カレンダー上にメモを書き加えることができるが、このメモをOutlookとシンクロナイズさせると、Outlook上では終日の予定として表示されてしまう……ようだ。まあそれでも特に問題は起きないのだが、終日の予定を書き込むという操作が“メモ”って……とか思ったりした。まあこのあたりはOutlook側の仕様(というか用語やデータ分類)もどーかと思うわけだが。
それから、702NKを使っていて便利であると同時に面倒だったりする点が。702NKの処理はマルチタスクで、例えば電話機能と同時にカレンダーと電話帳を起動させておける。具体的には、カレンダーで特定の予定を表示させておき、電話帳である個人の情報を表示させておき、いったんそこで電話とかしちゃっても、再度電話帳やカレンダーを呼び出せば、元の表示を再び出せるとゆー感じ。多機能な端末なので、複数の事柄を平行して行なえる点では便利だ。
が、多機能な端末なので、かなり複数のことをかなり平行して行なえたりして、行なっちゃうと、徐々にメモリが圧迫されたり、ほ~んの少し処理が遅くなったり(気がするだけ!?)するので、時々、実行中の機能(アプリケーション類)を終了させてやる必要がある。ヒジョーにPDA的であり、感覚的にもスキだが、実際は少々面倒だったりもする。アプリ類にプライオリティなんかがあって、いくつ以上起動した場合は使用頻度が低いアプリ類から自動終了させるのを許可するよーな設定が欲しいところ!? とか思った。けどそういう仕様にするとまた新たな問題が出そうな気がするなぁボカァとも思った。
それから細かいところでは、メールを受信した時、電話帳に登録済のメールアドレスからのものであっても、送信者の名前が表示されなかったりする。メールアドレスを見ればだいたい誰から来たメールなのかはわかるんでいいんスけど、今時的日本製端末からすればなーんかこう原始的な仕様かもしれない。
ハードウェア的なところでは、デザインに走り過ぎてか、ボタン類の位置・形状・大きさとも使いやすい部類ではないと感じる。とりわけ、押下可能な四方向キーは誤操作を招きやすい(っていうか俺の指が太いからですか!?)印象がある。ただ、写真等で見たイメージよりもずっとコンパクトな端末で、携帯性は非常に良い。ボタン類や画面を大きくしてPDA的な使い勝手を追求していくと、こういう携帯性はなくなっちゃうんであろー、とか思うと、ま、多少の使いにくさはトレードオフってことでヨシとすべきか!?
あと、やはり、率直なところ、メニュー階層等のインターフェイスは、かなり慣れないと戸惑いがち。そのメニューの奥には“702NKをもっと活用できる”という希望が見え隠れしているからまあ我慢できたりはする。また、海外のスマートフォンはコレがフツーと言われればそれまでかもしれない。が、日本市場向けにローカライズするんなら「欧米ではこーですよ」とか「GSM端末はこういうものなんです」じゃなくて、日本の市場・ユーザーっつーか日本の顧客の利便をもーちょっと考えたインターフェイスにして欲しいところだ。
702NKを喜んで受け入れるスタンスの俺などは「慣れてモノにするゼ!!」という積極性があるんでまあいいんスけど、やや覚めた状態で考えるとなーんか“土足で上がり込んできたうえに自国語でしかモノを言わない人”のよーな横柄さを感じ……る人もあるだろう。そーゆー人も顧客……になるかもしれなかったのに。
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ソニー・エリクソンのBluetoothヘッドセット「Akono Headset HBH-300」。個人輸入で購入したのだが、702NKでも使用できた
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もうひとつ、これはノキアの純正品ではないのだが、ソニー・エリクソン製のBluetoothヘッドセットことAkono Headset HBH-300を使ってみた。eXpansys経由で輸入購入したのだが、コレ、けっこーイイっスね。
HBH-300は前述のとおりBluetoothでホストと接続するヘッドセット(ハンズフリーイヤホンマイク)だが、Bluetooth対応の702NKでも使えた。設定類も容易で、702NKのメニューから[外部接続]→[Bluetooth]を選んでHBH-300を検索・設定すればすぐ使えるようになる。無線でハンズフリー通話ができまくりって点がやはり便利なHBH-300なのだが、俺の耳の形状がフツーじゃないのか、イヤホンの位置と耳の穴の位置がビミョーにズレており残念。フツーの時はいいのだが、クルマに乗っていたりして周囲に雑音が多い場合だと若干聞き取りづらい感じである。ってノキアとは関係ない話でしたな。
ともあれ702NK、そちら方面の端末が好きな人にとっては、かな~りニヤニヤと楽しめる一台だと思う。新規契約で若干縛りアリで1万円半ばまで行かない価格。フツーの日本製端末のノリで買うとヤバげだが、この価格でここまで実用性がある&じっくり楽しめるのは非常に嬉しい。また、このよーな外国製端末ってゅーかスマートフォン、もっとドカドカと登場しまくって欲しい。登場しまくって、また新たなジャンルで一盛り上がりして欲しいと思う。
■ URL
「Vodafone 702NK」製品情報
http://www.vodafone.jp/japanese/products/model_3G/v702nk/
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2005/01/17 16:53
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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