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ケータイ新機能チェック
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知ってる? QRコードの使い方
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白黒模様で隅に四角形が描かれているマークをよく見かけるようになってきた。対応端末が普及し、知る人も多いそのマークは、2次元コードの一種である「QRコード」だ。知れば知るほど何かと便利なQRコードについて、その特徴や利用法を解説しよう。
■ QRコードとは?
本誌連載コーナー「ケータイ用語」でも紹介しているが、「QRコード」は、いわゆる2次元コードの一種だ。コンビニエンスストアなどで販売されている商品には、バーコード(JANコード)と呼ばれるコードが印刷されており、購入する際にはレジで読み取られているが、バーコードは「情報が横方向に並べられている」1次元コードだ。2次元コードは、その名の通り、縦と横の2方向に情報を記録できるため、バーコードよりも多くの情報を内包できる。
QRコードの“QR”とは、Quick Responseの略称であり、スムーズに読み取れることが特徴の1つ。このほかにも多くの特徴を持っており、その概要を紹介しよう。
・QRコードは日本生まれ
QRコードは、1994年にデンソーが開発したもの。その開発部門は現在デンソーウェーブとして独立し、商標登録など「QRコード」関連の権利を保有している。一企業が開発した技術規格は、一般的にライセンス料を支払うことで他社も利用できるようになるケースが多い。しかし、デンソーウェーブではQRコードの仕様を公開しており、無料で誰でも利用できるようにしている。このことは、携帯電話で手軽に利用できるようになった要因の1つだろう。
・いろんなバージョンのQRコードがある
一口に「QRコード」と言っても、その大きさによってバージョン1~バージョン40まで種類が分かれている。最も小さいバージョン1は21×21セル、そしてバージョン2は25×25セルとなっており、バージョンが1つ上がるたびに1辺4セルずつ増加する。従って最も大きなバージョン40は、177×177セルとなっている。ちなみにQRコードにおける「セル」とは、情報を表わすマス目のことだ。
QRコードの大きさは、そこに含む情報量や、扱う文字の種類、そして汚れたり一部が欠損していたりしても読み取れる「誤り訂正レベル」の強度によって異なってくる。またQRコードを読み取る端末の性能などでも大きさを決めることがある。
大きさに依存するバージョン以外にも、携帯電話向けQRコードはいくつかの種類がある。決済関連の仕様は共通化されているものの、実は機種によって読取時の対応が異なっている場合がある。最も異なるのは、アドレス帳のデータを含む場合で、iモード端末でボーダフォン向けQRコードを読み取った場合、情報は参照できてもアドレス帳へ登録できないケースがある。名刺などにプリントして使う場合は、注意しておきたいポイントだ。
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QRコードに初めて対応した「J-SH09」
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・汚れや破損に強く、読み取る角度は自由
QRコードの大きさを決める要因の1つは「誤り訂正レベル」だ。QRコードは、雑誌やポスターに印刷して使われることもあるため、印刷面が汚れていたり、一部が欠損していたりすることがある。しかし「誤り訂正レベル」という機能によって、読み取りにくい状態でも、QRコードの情報を確認することが可能だ。
「誤り訂正レベル」は、4種類用意されており、QRコードの面積のうち約7%~30%欠損していてもデータを復元できる。汚れやすい環境で使う場合は誤り訂正レベルを強化することになる。
QRコードは四角形だが、上下が定められているわけではない。360度、どの角度に傾いた状態でもピントさえ合っていれば手軽に読み取れる。
・複数のQRコードを連結することも可能
携帯電話でQRコードを読み取る場合、一部機種に限られるが、複数のQRコードを連続して読み取れる。長い文章をいくつかのQRコードに分割しておき、対応する携帯電話で次々に読み取っていけば元の長い文章を復元できる。
このように、幅広く利用できるようになっているQRコードだが、いち早く対応した携帯電話は2002年に登場したシャープ製「J-SH09」だ。その後、NTTドコモが505iシリーズで共通機能として採用し、さらにauでも対応端末が2004年から登場している。
2004年6月時点でQRコードを読み取れる携帯電話
NTTドコモ |
900iシリーズ、506iシリーズ、505iSシリーズ、F505iGPS、F505i、SH505i、SH252i |
au |
A5506T、A5505SA、A1402S、A5502K、A5406CA(6月下旬発売予定) |
ボーダフォン |
V801SH、V601SH、V601N、V401SH、V301SH、J-SH53、J-N51、
J-SH52、 J-SH010、J-SH09、V401D(6月下旬以降発売予定)、V602SH(6月下旬以降発売予定) |
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■ 幅広い利用シーン
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auの「A5506T」は、QRコードで住所などの情報を得ると、EZナビウォークの目的地に設定できる
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誰でも使える、そして手軽に読み取れることがQRコードの大きな特徴だが、実際にはどのような場面で使われているのか。たとえば、携帯電話向けにさまざまなコンテンツを提供している企業の場合、サイトへ手軽にアクセスできるようにポスターなどに印刷していることがある。
バンダイネットワークスとサミーネットワークスでは昨秋、携帯電話向け着信メロディ配信サイトのキャンペーンとして、QRコード付きのポスターを街中に掲示した。このケースでは、カメラ付き携帯電話でQRコードを撮影すると、URLが表示され、手軽にキャンペーンサイトへアクセスできるようになっていた。
また日本コカ・コーラでは、対応自販機にQRコードを表示させたiモード端末をかざすと商品を購入できる「Cmode」を展開している。新発売された飲料「コカ・コーラC2」のキャンペーンでは、専用サイトにアクセスしてQRコードをダウンロードすれば、「コカ・コーラC2」が「Cmode」対応自販機でプレゼントしていた。
URLを通知するという使い方では、話題のブログサービスの対応にも注目したい。本誌では、NTTレゾナントの「goo BLOG」、ライブドアの「livedoor Blog」、paperboy&co.の「JUGEM」がQRコードに対応したというニュースをお伝えしたが、ここで言う「対応」とは、それぞれのブログサービスを利用しているユーザーがあらかじめ設定しておくことで、ブログ内にQRコードを表示できるようになるということ。QRコード対応の携帯電話であれば、気になるブログを携帯電話から時間をかけてURL入力することなく、スムーズにアクセスして内容をチェックできるようになる。
URLを読み取るという利用スタイルに次いでポピュラーな使い方は、アドレス帳関連かもしれない。たとえば名刺に名前や電話番号といった情報を含んだQRコードを印刷しておけば、携帯電話での管理が格段にやりやすくなる。ただし、先述したようにキャリアによって若干仕様が異なる部分があるというのは辛いところだ。
このほかauでは、QRコードで住所などを読み取れば、そのままEZナビウォークの目的地を設定できるようにしている。対応機種は「A5506T」、そしてこれから発売される端末となるが、文字入力に時間をとられなくても済むようになるのは非常に嬉しいポイントだ。
これらの機能は、いずれも印刷、あるいはパソコンのディスプレイに表示されたQRコードを携帯電話で読み取るという利用法だ。それらとは少し変わった方法で携帯電話とQRコードを連携させるものとしては、「コンビエン」というサービスが存在する。同サービスは、携帯電話のディスプレイ上にQRコードを表示させて、コンビニエンスストアで携帯電話の利用料などを支払えるというもの。これは、NTTドコモ、KDDI、ボーダフォン、NTTインターネットの4社間で、QRコードの決済関連の規格が統一されていることが背景にあり、NTTドコモとauでは月額基本料などが払込用紙なしで手軽に支払える。
このほかにも多くの場面でQRコードは活用されている。
・地図
アルプス社が発行している地図帳の中には、QRコードが印刷されているものがある。読み取ると、閲覧中のエリアにある飲食店やホテルなどの情報を得られる。
・電子チケット
「コンビエン」と同じように携帯電話のディスプレイ上にQRコードを表示させて、イベント会場などの入場時に使うというスタイル。リクルートでは、ASP方式で提供している「MO-ON」で、「2次元バーコード発行パック」というオプションサービスを提供している。
・野菜の産地を表示
独立行政法人である食品総合研究所運営のWebサイト「青果ネットカタログ SEICA」では、農産物の生産者や栽培方法を公開している。データベースに蓄積された情報は、1つ1つ個別の数字が割り当てられている。スーパーマーケットなどで野菜や果物が販売される際に、パッケージに貼られるラベル上に「SEICA」対応の数字が印刷されていれば、消費者が詳しい生産情報を入手できるという試みだ。数字に加えて、QRコードの生成機能が販売サイド向けに提供されており、店頭で読み取ればその場で詳しい情報を入手できる。
■ 実際に使ってみよう
QRコードを読み取れる機種が増えてはいるものの、実際にQRコードを読み取った経験はあるだろうか? では、簡単に携帯電話でのやり方をおさらいしておこう。
機種によって使い方は異なっているのだが、「カメラでQRコードを撮影する」というのが基本だ。端末によっては、「バーコードリーダー」といった専用メニューを選択したり、読取用のアプリを起動する場合もある。詳細は取扱説明書などをチェックしておくと良いだろう。
いずれもカメラで撮影することになるため、オートフォーカス機能があれば比較的手軽に撮影できるかもしれない。またマクロ切替スイッチが備わっているのであれば、マクロモードにすることを忘れないようにしよう。撮影する際には、手ぶれしないように、慎重な撮影を心がけなければならないが、たとえば富士通製の「F505i」や「F900i」といった機種は、カメラがQRコードを捉えて認識した瞬間に情報を表示してくれる。シャッターを切った瞬間に手ぶれしてしまい、失敗するということも少なくないだけに、「シャッター不要」という機能は嬉しいところだ。
また、企業だけではなく一般ユーザーにとってもQRコードを手軽に作成できる環境が整ってきている。パソコン上でQRコードを作成できるソフトウェアは、NTTドコモの「QRファクトリー」、KDDIの「2次元コードメーカー」、ボーダフォンの「QRコードエディター for Mobile」などがある。各キャリアごとに用意されたツールは、アプリとの連携ができたり、誤り訂正レベルを設定できたりするなど、なかなか使い勝手は良い。
さらに、ジャングルの携帯電話向けユーティリティソフト「携帯マスター2005」やSSIトリスターの「携帯万能13」でもQRコード作成機能が用意されている。また専用ソフトを導入しなくても、Webサイト上でQRコード作成機能を提供している場合もある。名刺作成時にQRコードを入れて印刷してくれるサービスも存在する。
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NTTドコモ向けのアドレス帳データ入りQRコード
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これはau向け
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これはボーダフォン向け
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既に指摘したようにアドレス帳関連への対応が各キャリアで異なっていることに注意したいが、QUELプロジェクトが提供しているサイト「QRのススメ」では3キャリア対応のアドレス帳データ入りQRコードを作成できる。仕組みとしては、1つのQRコードにNTTドコモ向け、ボーダフォン向けと2種類のアドレス帳データを格納することで3キャリア対応を実現している。
このほか、一部機種では、端末上でQRコードを作成できる機能がある。たとえばV601SH、J-SH010ではメモリダイヤルなどの内容をQRコードに変換できる。これを利用すれば、赤外線通信を使わなくても画面上にQRコードを表示させて友人に読み取ってもらえれば手軽に連絡先を教えられるだろう。
QRコードを読み取るには、カメラを搭載しており、そしてマクロ撮影やオートフォーカス機能が用意されているなど一部機種に限定されている状況だ。しかし、「myna.jp」というサイトでは、QRコードを画像添付してメールで送ると、その内容を返信メールで教えてくれるというサービスを提供している。これを利用すればQRコードを読み取れない携帯電話でも手軽に情報を参照できる。
普及しつつあるQRコードは、通話やメール、Webブラウジング、そしてメガピクセルカメラとハードウェア面での進化が著しい携帯電話において、やや見落とされがちな存在かもしれない。「この四角いヤツは何?」と疑問に思う人もいれば、「関係がない」と興味を示さない人もいるかもしれない。しかし、利便性は高く、利用シーンはかなり広い。街で見かけたらすかさず撮影してみるなど、もっと「QRコード」を楽しんでいくというのはいかがだろうか。
■ URL
QRコードドットコム
http://www.qrcode.com/
NTTドコモ 「バーコード読取機能」案内ページ
http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/barcode/
NTTドコモ 「QRファクトリー」配布ページ
http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/imode/barcode/qr_fact.html
KDDI 「2次元コードメーカー」配布ページ
http://www.au.kddi.com/ezfactory/tec/two_dimensions/
ボーダフォン 「QRコードエディター for Mobile」配布ページ
http://www.dp.j-phone.com/dp/tool_dl/qrcode/tool.php
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(法林岳之, 編集部)
2004/06/17 14:28
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