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auの国際データローミング
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ソウルに行って試してきました
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5月22日に発売されたGLOBAL PASSPORT対応端末「A5505SA」。現在のところ、エリアは韓国に限られるが、ローミング中にEメールやEZwebが利用できる「国際データローミング」にも対応している。
さっそく、韓国の首都・ソウルに飛んで、その実力を試してみた。
■ まずは設定
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ローミング中であることを示すアイコン
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飛行機を降りて、まず最初に行なうのが、ローミングエリアの設定だ。「グローバル機能」メニューから「エリア設定」→「韓国」と選ぶ。すると、画面上部に韓国を表わす「KR」と、ローミング中であることを表わす「Rm」のアイコンが表示される。そして、パケット通信を表わす「P」のアイコンが表示され、通信が可能となった。
なお、EZwebの初期設定は日本にいる間に済ませておく必要がある。端末を入手して何も行なわず韓国に旅立つと、EメールもEZwebも利用できないので気をつけよう。また、現時点ではデータローミングの対象国が韓国のみで、端末に記録されているローミングエリア情報(PRL)は最新のものとなっているが、今後対象国が追加され、その国に行く場合は、PRLのデータを更新しておく必要があるので、この点にも注意したい。
■ 音声ローミング
これまでもGLOBAL PASSPORTでは音声通話がサポートされており、当然、A5505SAでもこれを利用できる。
日本に電話をかける場合は、アドレス帳から通話先を選ぶか、電話番号をプッシュした後、「付加」メニューを呼び出し、「国際電話:日本へ」を選択する。こうすることで、ローミング中の国の国際電話番号が自動的に追加される仕組みだ。
固定電話や公衆電話からダイヤルするよりは楽だが、本音を言えば、少なくともアドレス帳からダイヤルする時ぐらいは自動的に国際電話番号を付加してくれるとありがたい。おそらく、それを実現するにはアドレス帳のデータフォーマットを少しだけ拡張する必要があるだろう。
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アドレス帳からかけたい相手を選び、国際電話番号を頭に付加する
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「002」が韓国からかける場合の国際電話番号。続く「81」が日本の国番号
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ちなみに、国際電話網経由となるため、電話をかけた相手には、自分の番号は通知されない(「非通知」ではなく「通知不可能」)。国際電話に慣れていれば話は別だが、いくら電話しても相手が取ってくれない、なんてことになるかもしれないので、電話をかけたい相手には事前に根回ししておくのも大切だ。
一方、電話を受ける場合だが、こちらは頭の「0」を取った形で相手の番号が表示された。このため、アドレス帳のデータとは照合できず、アドレス帳に登録してあっても相手の名前は表示されない。これも国際電話網経由なので致し方ないところではあるが、できれば誰からかかってきたのかが分かると嬉しい。
音質については、距離的にも近い韓国だけに、日本でauの携帯電話を使っている場合とほとんど同じだ。あまりにも普段と変わらないので、ついつい長電話してしまいそうになるが、韓国の場合、日本に電話した場合は1分210円、電話を受けた場合は1分180円(日本からかけた人には国内の通話料のみ請求される)という料金体系となっており、気をつけないと請求書を見て目が飛び出ることにもなりかねない。
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日本の携帯電話から着信した際の画面。頭の「0」が省略されている
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もっとも、ローミング中に自分から電話をかける場合はそうだと分かっているので、それほど長時間通話することもないだろうが、かかってきた場合は厄介だ。実は、ローミング中の人に電話をかけた場合は、呼び出し音がいつもと違う“国際電話風”なので、気づく人は気づくかもしれない。とはいえ、相手は普段通りダイヤルしただけなので、自分が国際ローミング中であることに気づかない可能性もある。迷惑メールならぬ、“迷惑電話”だ。
ローミング中は番号通知の機能がうまく利用できないこともあるので、端末側で着信拒否をするのも難しい。となれば、交換機側にローミング中は特定の人からの電話しか繋がない、それが失礼だとすれば「ローミング中のユーザーに電話をかけています」というようなガイダンスを流した後、繋げるなどの工夫がほしい。要するに、電話をかける側も相手がローミングしているかもしれないということを意識する必要が出てきたということだ。
また、ユーザー側で気をつけたいのは「簡易留守メモ」の設定だ。電話に出られないとき、自動的に電話を受けて、端末内に留守録してくれる便利な機能だが、当然、この機能が起動すると、その都度着信料(180円)がかかることになる。マナーモードにすると自動的にONになったりするので、注意が必要だ。
■ データローミング
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現地からフォトメール送信。感動をダイレクトかつリアルタイムに伝えられる
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さて、ここまでの話が音声ローミングについてのものだが、ローミング中の通話料はお世辞にも安いとは言い難い。携帯電話の世界でメールが流行した理由の一つは、その安さだが、国際ローミングについても同じことが言えるだろう。
現在、韓国でのみ提供されているデータローミングだが、通信料は1パケット1.5円(1パケット=128バイト)。もちろん日本国内で利用するよりは高い料金体系だが、用件をまとめて連絡すれば、電話するよりも遙かに安い金額で済む。ローミング中はぜひともこの機能をうまく活用したい。
また、auにはau端末同士で利用できる「Cメール」というショートメッセージサービスがあるが、ローミング中も受信は無料で行なえる。送信は行なえないので返事はEメールということになるが、相手がau端末のユーザーなら、事前にその旨を伝えておけば、さらに通信費を節約できるだろう。
もちろん、ローミング中もフォトメールやムービーメールの送受信が行なえる。メガピクセルサイズの画像も「メールモード」で撮影すれば送信可能だ。海外旅行の感動をダイレクトにリアルタイムで伝えられるのは嬉しい。10KBならば1通120円程度で送信できるので、1分通話するよりもお得。ただし、メガピクセルサイズの画像データは、メールモードにしても100KB程度の容量なので、単純に計算しても1通あたり1,200円はかかるので注意したい。
当然、ローミング中にフォトメールやムービーメールを受信した場合も、同等の通信料がかかることになる。迷惑メールに至っては、通信料金が普段の何倍にもなっているので、怒りも倍増する。
したがって、ここで気をつけたいのは自動受信の設定だ。初期設定では「全受信」になっているので、基本的に着信したメール全てをダウンロードしてしまう。ローミング中は、「差出人・件名受信」に設定しておき、さらに「添付自動受信」をOFFにするのがオススメだ。
EZwebによるサイトアクセスについては、韓国でも特に問題なく行なえる。ただし、現時点では、韓国国内にいて便利だと思えるコンテンツはほとんど無く、日本の最新ニュースをチェックできるのが嬉しいぐらいだ。やはり、コンテンツがあって初めて役に立つ機能なので、これについてはKDDIやコンテンツプロバイダ各社に期待するところが大きい。
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南大門をメガピクセルサイズ(ファイン)で撮影。リンク先は無加工。
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同じアングルからメガピクセルサイズ(メールモード)で撮影。リンク先は無加工
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ソウルの秋葉原「竜山電子商店街」。リンク先は無加工
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竜山電子商店街の携帯電話ショップストリート。通り一面が小さなショップで埋め尽くされている。リンク先は無加工
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街で見かけた公衆電話一体型の自動販売機。リンク先は無加工
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現地のマクドナルドで販売されている「プルコギバーガー」。リンク先は無加工
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■ その他の便利機能
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だいたいの方角がわかる「簡易コンパス」機能。サブディスプレイでも利用できる
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さて、A5505SAには、ローミング中に便利だと思われる機能がいくつか搭載されている。中でも便利だと思ったのは「簡易コンパス」機能だ。
A5505SAは、A5502K同様に電子コンパスを内蔵。海外では残念ながらEZナビウォークの機能は利用できないが、電子コンパスの機能だけは「便利Tool」として利用できるようになっている。初めて訪れる街は地図があっても迷いがち。だいたいの方角が分かるだけでも、かなり歩きやすくなるものだ。
一方、使えそうで使えないのが「外国語フレーズ集」。英語・北京語・韓国語の3言語について、旅行者がよく使いそうなフレーズを訳して表示・音声再生してくれるというもので、「基本単語」「空港で」「ホテルで」「レストランで」の4つのカテゴリーに分けられている。一見すると便利そうなのだが、数が少なく、利用するシーンは皆無に等しい。この手のフレーズ集は、フレーズの数が一番物を言うので、追加データをminiSDで供給したり、着信ボイスや着うたの機能を利用して、必要なフレーズをダウンロードしたりできるようにしてほしい。
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「外国語フレーズ集」も用意されているが、使えるフレーズが少ない
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フレーズの訳を表示して、読み上げてくれる
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また、「簡易電卓」では、通貨換算やチップ計算が行なえるようになっているが、計算後にサブメニューから呼び出す形になっているため、手順が多い印象を受ける。機能が割り当てられていないメールキーやEZキーで一発呼び出しできれば、かなり便利に使えるのではないだろうか。
このほかでは、「FMラジオ」も海外で使える。「NOW ON AIR」などの連携サービスは利用できないが、暇つぶしに聴く程度なら全く問題ない。ただし、空港で飛行機を待つ際には、急遽ゲートの変更がアナウンスされる場合もあるので、両耳をふさぐのはやめたほうが無難だ。
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「簡易電卓」では通貨換算やチップ計算が可能
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「FMラジオ」は海外でも使える
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もう一つ、旅行には必ずノートパソコンを持ち歩くというユーザーにとってありがたい機能が、パッケージ同梱のUSBケーブルによる「マスストレージモード」だ。パソコンのUSBポートに接続するとminiSDスロットがリムーバブルディスクとして見える。韓国のようにブロードバンド環境が整っている国では、宿泊するホテルによっては簡単にインターネットにアクセスできるようになっていることも多い。また、ソウルの街には至るところに「PCバン」(インターネットカフェ)がある。携帯電話から直接メガピクセルの画像データを送ると高くつくが、そうした環境をうまく活用するのも一つの手だろう。
■ まだまだ改良の余地あり
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旧ソウル駅。リンク先は無加工
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これまで国際ローミングという文化が無かった日本だが、ここに来て、auのGLOBAL PASSPORTやボーダフォンのVodafone Global Standard、NTTドコモのWORLD WINGといったローミングサービスが始まり、にわかに注目を集めるようになってきた。
しかし、未だに通話料金の高さが気になり、どうしても手を出せないユーザーも多いだろう。さらに言えば、ローミングに対応していても、国内で普段使うには機能的に物足りない端末しか存在しなかったというのも事実。
だが、データローミングがサポートされ、海外でも比較的安価に日本語でメールが利用できるようになった。また、今回の企画でレビューしたA5505SAやボーダフォンのV801SHなど、周囲の端末と比較しても機能的に見劣りするところが少ないばかりか、逆に優れていると思える箇所が多い端末も登場しはじめた。こうした変化は、国際ローミングに否定的だったユーザーの意識を大きく変えるかもしれない。
個人的には、端末的にもサービス的にもまだまだ改良の余地はあるというのが正直なところだが、それだけに国際ローミング、中でもデータローミングは今後期待したい分野である。
■ URL
ニュースリリース(au)
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/0518/
製品情報(au)
http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/a5505sa/
「GLOBAL PASSPORT」の概要
http://www.au.kddi.com/kaigai/
製品情報(三洋)
http://www.sanyo-keitai.com/html/au/a5505sa/
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(湯野 康隆)
2004/05/25 13:29
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