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塩田紳二のVGS端末レビュー
「Nokia 6650」を試す

 Nokia 6650(以下6650)は、ボーダフォンのW-CDMAサービス(Vodafone Global Standard:VGS)で利用できるノキア製の端末だ。通信方式としては、W-CDMAだけではなく、GSMもサポートしたデュアルモード構成となっており、日本国内では、W-CDMA(VGS)、海外ではGSM携帯電話として利用できる。ノキアより同端末をお借りし、しばらく試用することができたので、レポートをお送りする。


基本機能

Nokia 6650
 まずは基本的なスペックだが、6650の筐体は、52×133×25mm、141gと、今となっては少し大きめ。1996年ぐらいのフルレートPDC端末ぐらいの感じだ。もっとも、液晶が大きく、正面の1/3は液晶となっているので、無駄に大きいわけではない。ちなみにディスプレイは2インチ、128×160ドット、4,096色のTFD液晶だ。

 背面にはカメラ用レンズがあり、スライド式のレンズカバーが付いている。カバーを開けることで、カメラ機能がオンになる。また、その下のバッテリーカバーとの間には段差があり、手に持ってダイヤルボタンを押すときに人差し指がここにかかり、するっと下に落ちないようになっている。なお、カメラのスペックは32万画素のCMOSとなっている。

 データ通信に関しては、IrDA、USB接続、Bluetoothと3つの方式で、パソコンなどとの接続が行なえる。国内で登場したBluetooth対応端末としては久々だ。Bluetoothについては、ヘッドセットによる通話にも対応している。

 静止画や動画保存のために用意されたメモリ容量は7MB。GSM圏であれば、MMS(Multimedia Messaging Service)を利用して、動画、静止画の送受信が行なえる。また、同社のWebサイトで配布されている「NOKIA PC Suite」を利用すれば、USBもしくはBluetoothなどを使ってパソコンと接続し、メモリ内容をパソコン側に転送することができる。

 カレンダーやToDoといった個人情報管理機能もあり、これらについては、PC Suite経由で、パソコン側のソフトウェア(Outlookなど)と同期させることが可能。なお、オプションの卓上ホルダーは、USBケーブルが接続できるようになっており、充電しながら、同時にパソコンに接続できる。卓上ホルダーにある同期ボタンを使って同期を開始させることも可能だ。

 なお、詳しい仕様については、ノキアの製品情報ページを参照していただきたい。


キー配列
充電台は、パソコンとの接続時にも利用可能でクレードルのような役割も果たす

Nokia PC Suiteは、6650内のメモリ(Gallary)のファイルブラウザとツールなどから構成されている PC Syncを使うと、Outlookなどとスケジュールやアドレス帳データを同期できる

通話品質はまずまず

本体左側面に「ボイスダイヤルボタン」を備える
 ここから実際の使い勝手について書いて行こうと思うが、その前に触れておきたいのは、6650では日本語の表示が一切行なえないということだ。もっとも、現時点のVGSでは、本格的なメールサービスはなく、利用できるのはSMSによるショートメッセージだけなので、さほど大きな問題はないのかもしれない。しかし、メニューすら日本語化されていないので、あまり一般向けの端末とは言えず、その点は割り切って使う必要があるだろう。

 さて、気になる通話品質だが、W-CDMAはPDCに比べるとビットレートも高く、高品質。感じとしては、PHSやISDNによる通話と同等だ。同じくボーダフォンのVGS対応のV-SA701と比較してみたが、音質の差は感じられず、また受信感度などにもほとんど違いがなかった。

 ちなみに6650には、音声によりダイヤルを行なう「ボイスダイヤル機能」がある。ダイヤルするときには、側面のボイスダイヤルボタンを押し、音がしたら、ボイスタグに登録した単語を発声するだけ。画面には選択された項目が表示され、そのまま待てば電話が繋がる。

 この機能はあらかじめ通話先に対してボイスタグを登録しておくことで利用できるが、音声を文字列として認識しているのではなく、音声の違いを区別して該当するダイヤル先を探すものなので、言語には依存しない。つまり、日本語であっても利用できるわけだ。濁音の有無などの細かい違いも識別できるようで、「シオタ」、「シオダ」を別の番号にボイスタグとして登録しても、ちゃんと2つを区別することができた。手動ダイヤルやアドレス帳からのダイヤルに比べると、確認などで若干待たされるが、操作としては本体サイドのボタンを押すだけなので便利だ。

 なお、6650はカメラを搭載しているが、VGSのTVコールサービスには対応していない。


便利なBluetooth機能

 かつては国内でも何機種か存在したBluetooth搭載端末。未だにカタログに載っている機種もあるが、実際のところ店頭で目にすることはほとんどない。6650は、その意味では、現役バリバリのBluetooth対応携帯電話である。

 6650のBluetooth関連機能は大きく分けて2つ。1つはパソコンなどからダイヤルアップ用モデムとして接続してデータ通信に利用するもので、もう1つはヘッドセットによる通話での利用である。前者については、VGSのパケット通信サービスが利用可能となっている。ただし、回線交換でのデータ通信サービスは利用できない。

 今回は、ハギワラシスコムのUSB型外付けBluetoothアダプタとパソコンの組み合わせ、Bluetoothモジュール内蔵の「ThinkPad A31p」、同じくBluetoothモジュール内蔵のPDA「CLIE PEG-UX50」および「Tungsten T2」により接続を行なってみた。細かい設定方法は異なるものの、どの機器でもペアリングが可能で、インターネット接続は特に問題なく行なえた。

 実際にインターネットのブロードバンド向けのスピード測定サイトで下り速度を計測してみると、おおよそ140kbpsは出ているようである(Windows XPマシンから6650でインターネット接続を行ない、測定した)。カタログスペック上は下り384kbpsのベストエフォートなので、まあ、この程度の速度があれば十分だろう。ISDNを使ったマルチリンク接続や128kbpsのPHS接続サービスよりも速い。実際の体感速度として、Webブラウザでページを開いたときにも、瞬時とは言わないまでも、待たされる感じはあまりしない。

 もう1つのBluetooth利用方法であるヘッドセット利用だが、現時点で日本国内で利用するのはかなり難しい。というのも、ノキアが純正オプションのBluetoothヘッドセット「HDW-2」を販売していないためだ。こうした使い方ができる国内唯一の端末だけにもったいないと言うほかない。


Bluetoothのペアリング


 ソニーのCLIE PEG-UX50を使ってペアリングをおこなってみた。デバイスの探索を行ない、発見した6650に対してペアリングを実行。6650は、ペアリングの可否を聞いてくる。



 PEG-UX50側で、最初にパスキーに対して任意の文字列(相手が電話機なので数字列がよい)を指定する。6650もパスキー(表示はpasscode)を聞いてくるので、PEG-UX50で指定したパスキーと同じものを6650側でも入力する。



 ペアリングが終わると、NOKIA 6650がリストに登録され、ペアリングが終了していることを示す鍵マークが表示される。


カメラも付いているが……

静止画・動画を撮影できる32万画素CMOSカメラ
 このほか、6650にはカメラも搭載されており、静止画や動画の撮影も行なえる。ただし、このカメラ機能は、VGSで本格的なメールサービスが提供されていないこともあり、国内では純粋にデジタルカメラとして使うことになる。

 6650では、撮影した画像データだけでなく、ダウンロードした着信メロディ(国内では対応サービスが無いが)、音声録音(ボイスメモ)などをGallaryという機能の中で管理できる。このGallaryの内容は、Nokia PC Suiteを利用することでパソコンからアクセスすることが可能だ。

 カメラで撮影した静止画はJPEG形式、動画は3GP形式となる。Nokia PC Suiteには、この動画形式の再生プログラム(Nokia Multimedia Player)が含まれているほか、パソコン側の画像やサウンドファイルを6650用に変換するツールも用意されている。また、同ソフトでは、6650内の電話帳の編集や各種設定に関しても行なえるようになっている。

 残念ながら、Nokia PC Suiteは、現在のところβ版としての提供であり、メニューなどの表記が英語版で、多少動作が不安定なところがあるが、このソフト1つで6650のほとんど全ての設定を行なえるというのは便利。購入ユーザーには、後日正式版が配布されるとのことだ。


街角の風景を撮るとこんな感じ 6650で撮影した3GPファイルは、PC Suiteに含まれるNOKIA Multimedia Playerで再生できる

データ通信用にオススメの端末

 6650は、英語版のままで日本語が利用できないという点を除けば、Bluetooth対応で高速通信が可能な3G携帯端末として、「イイ線」を行っている携帯電話ではないだろうか。ただ、GSM部分は、デュアルバンド(900/1800MHz)であり、1900MHzを使う米国での利用はできないので、国際ローミング用に購入しようとお考えの方は注意する必要があるだろう。筆者の結論としては、Bluetoothに対応しているということもあり、一般的な携帯電話というよりも、データ通信でのメリットを強く感じる端末だ。



URL
  製品情報
  http://www.nokia.co.jp/products/n6650/spec.html
  NOKIA PC Suite ダウンロードページ
  http://www.nokia.co.jp/products/n6650/pcsuite.html

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(塩田紳二)
2003/11/05 13:17

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