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塩田紳二のVGS端末レビュー
「V-SA701」使い心地を徹底チェック

V-SA701を閉じたところ。この状態で下の部分がまっすぐではなく、上の方が絞られた感じになっているので、なんかナスビのような感じ
 J-フォン(ボーダフォン)が開始したW-CDMA方式の3Gサービスは、Vodafone Global Standard(VGS)と呼ばれている。国内ではW-CDMA方式による通信が可能なほか、海外ではGSMによるローミングが可能となっている。

 NEC、三洋電機、ノキアの3社から対応端末が発表されているが、現在出荷されているのは、NECのV-N701と三洋のV-SA701の2機種のみ。Nokia 6650は、発表はされているがいまだ出荷されていない。

 このうち、三洋のV-SA701のみがGSMモードを持たず、W-CDMAのみの対応になる。ただし、NECやノキアの機種はGSMに対応しているといっても、欧州などで利用できる900/1800MHzのみで、米国では一部の地域でしか利用できない。というのは、米国ではGSMに1900MHzという周波数を割り当てているからである。

 また、三洋のV-SA701のみ、国内でW-CDMA方式によるデータ通信が可能。これには、別売のUSB接続ケーブルを利用し、USB以外の接続方法は今のところサポートされていない。


キーボード側の上部には4のカーソルと実行ボタンを合わせた「フレキシブルボタン」が装備されており、ほとんどの機能はこれを使って選択実行できる 本体側面には、シャッターボタンともなるサイドキーとイヤホンマイク端子が装備されている

ツーカーよりシンプル?

標準の待ち受け画面。最初から登録されているのはこれを入れて全部で3つ。あとはカメラで撮影した画像が使える
 このV-SA701だが、現在使えるサービスは、通話とSMSと呼ばれるショートメッセージサービスのみ。いわゆる「メール」も使えないのである。カメラが組み込まれているものの、他に利用できるのは、VGSのテレビ電話機能「TVコール」に対応した端末間でのテレビ電話と静止画撮影ぐらい。もっとも、静止画を撮影しても、メールも使えないし、画像データをパソコン側に取り出すソフトウェアも提供されていないので、今のところ壁紙ぐらいにしか使い道がない。

 TVコールは、相手もTVコール対応端末を持っていないと利用できないので、実際この端末で使えるといえるのは通話のみなのである。ツーカーが「通話とメール」でシンプルな携帯電話と言っているが、VGSは、今のところそれ以上にシンプルなサービスといえるかもしれない。

 で、なんでこんなもの買ったんだ? というと、それは、海外取材する際に使おうと思ったからである。

 W-CDMA方式で利用するUSIMカードは、仕様上GSMのSIMカードと同じで、これをGSM端末に装着すれば、チップローミングで海外のGSMサービスを利用した通話が可能になる。このときには、日本国内で使う電話番号をそのまま利用可能で、世界中どこにいようとも、同じ電話番号で常に着信できるのである。ちなみに、6月1日からはNTTドコモのFOMAでも同じようにチップローミングが可能な国際ローミングサービス「WORLD WING」が提供される。

 これまで、海外では、AT&T Wirelessのプリペイド電話やモベルコミュニケーションズリミテッドのSIMを使ってきた。こちらの場合、電話番号は海外のもの(AT&T Wirelessは米国、モベル・コミュニケーション社のものは英国のO2)となってしまい、海外にいるときにしか利用できない。VGSを使えば、国内で使っている電話番号でどこにいようとも着信できるわけだ。この電話番号が1つという点に魅力を感じたわけである。しかし、発売と同時にJ-フォンショップに行ってみたが、端末は品切れ。V-SA701の発売まで待たされることになってしまったのだが……。


SMS編集時の表示。入力画面では、少し小さな文字で表示される 保存されているメッセージを表示するときには少し大きな文字で表示される

電話機は高性能なんだけど……

 このV-SA701だが、カラーのサブディスプレイを持つ折りたたみ型端末。メインディスプレイは220×176ドットのTFTカラー(26万色表示)、サブディスプレイは72×72ドットのSTNカラー液晶である。メインディスプレイの発色は悪くなく、撮影した写真もそれなりに見える。

 内蔵カメラは、背面とメインディスプレイの下の2カ所に搭載されている。つまり、通常撮影と自分撮り用に2つのカメラを切り替えて使えるのだ。こうしたカメラの構成は、TVコールのためであろう。また、カメラはズームというか、ワイドとテレの2つを切り替えることも可能で、テレにしても画質はまあまあ。電車の広告を撮っても小さな文字でなければ十分読めるぐらいだろう。ただ、画素数的には11万画素で、スペック的にはPDCの携帯電話とそんなに違わないが、メールやWebブラウザの機能が全くないのが痛いところだ。

 基本的な操作は、4方向カーソルと決定キーおよびそのまわりにある4つのボタンで行なう。また、F機能と呼ばれる設定などの各機能は、数字キーを併用することで素早く呼び出すこともできる。動作はそんなに遅くなく、操作していてイライラするようなことはない。

 筆者は、携帯電話を通話、それもほとんど着信のみで、メールも自宅から転送したものを読むぐらいにしか使っていないのだが、それでも、このV-SA701は、ちょっとシンプル過ぎる。J-スカイはともかく、せめてメールぐらいは使いたいところだ。

 大きさは一世代前のPDC程度だが、少し厚みがある。折りたたんだときに手前の部分が水平ではなく、とがった感じになっているので、なんだか鳥のくちばしのようである。

 データ通信は、パケット通信(上り最大64kbps、下り最大384kbps)と64kbpsの回線交換の2方式に対応している。パケット通信は0.2円/パケットで、1パケットは128バイトとなっている。回線交換の場合は、契約プランによって異なるが、昼間の利用で18~90円/分といったところ。単なるインターネットアクセスなら、専用番号を使うことで、通信量のみで利用が可能。なお、オプションのUSB通信ケーブルがなぜか真っ赤だ。

 メール機能はないが、SMSという、端末間で直接メッセージ交換できるショートメッセージサービスが利用できる。これは全角70文字(最大140バイト)のテキストを送信する機能で、着信は無料だが、送信時には5円/メッセージかかる(海外のローミング先から送信する場合は、100円/メッセージ)。

 文字入力にはモバイルWnn V2を採用し、予測変換などが可能。アドレス帳は、メール機能がないのでメールアドレスの登録はできないが、複数の番号や着信時に表示させる画像を設定することもできる。


同一風景をワイド側で撮影 テレ側で撮影したもの。スナップ撮影程度なら十分か

国内サービスはまだまだ?

 さて、VGSのサービスを実際使ってみたところ、従来のPDCのサービスに比べると、まだまだという点がある。エリア的な問題というよりも、エリア内の電波強度の問題である。まず、屋外であっても、ときどき電波が弱いところがある。さらに屋内となるとかなり厳しい。特に大きな建物の中では、窓に近いところならともかく、それ以外はほとんど電波が届かない。地下街なんかもほとんどダメだった。

 また、大きな窓があっても、成田空港のような場所では、使えないところがある。悲しかったのは、成田空港のノースウェストのラウンジで使えなかったこと。海外用と思って購入したのに、海外出発直前に使えないなんてねぇ……。

 それから、電波強度は悪くなく着信も可能なのに、発信ができないことが何回もあった。筆者宅は、松戸市の端っこだが、一応サービスエリア内。仕事部屋でもちゃんと電波は来ているし、試しに他の電話から呼び出してみると着信するにもかかわらず、発信できないことが何回もあった。

 J-フォンによれば、本格的なサービス開始ではないとのことだが、ユーザーからすれば今後どうなるのかちょっと不安である。もっとも、ドコモのFOMAも似たようなもので、やはり着信やメールの受信ができるのに発信できないこともあるという。


撮影した画像を表示するアルバム機能。撮影日時などがファイル名として記録される サブディスプレイの表示。背景は、メインディスプレイの壁紙と同じになる。時計の表示方法などをカスタマイズ可能

米国での使い心地

 この4月末から5月の始めにかけて米国に2週間ほど取材にいった。そのときにエリクソン製のGSM「T39mc」にVGSのUSIMカードを装着して使ってみた。GSMのSIMカードには、電話帳を記録する機能があるのだが、筆者の使っているT39mcは、中国語仕様で、筆順や漢字を構成するパーツなどで漢字入力できる。VGSのUSIMカードにいくつか名前を漢字で入れてみたのだが、これをV-SA701に戻しても漢字が化けることなく表示された。どうやらUnicodeを使っているようである。このあたり、さすが世界をカバーするGSMらしい。

 米国でローミングを行なうのはCingularとT-Mobile USA、AT&T Wirelessの3社。Cingularは、主にカルフォルニアを中心にGSMサービスを行なっている。滞在先であるラスベガスやSan MateoではおもにCingularに接続していた。接続可能な状態では、音質は悪くない。もともとGSMは、日本のPDCよりも音質はよく、日本の固定電話同士並の音質で通話できる。音質からは、海外にかけているような感じはなく、言わなければ相手はわからないかもしれない。

 ただ、米国でGSMは、メジャーではなく、エリアはそれほど大きくない。屋外では、あまり高い建物が密集していないので、電波が届かないところはないようだが、ちょっと建物の中に入るとダメ。現地の人の話では、GSMは基地局も少なくて、平均距離が長くなるために電池の持ちが、他の方式に比べると悪いため、あまり人気がないのだとか。

 それから、SMSは、ローミング中でも着信が可能である。ただし、日本語のメッセージを表示するには、端末側が日本語表示可能でないとダメ。偶然、海外にいるときに、「間違いSMS」がやってきた。それで、日本から送信できることはわかったが、端末が日本語に対応していないので読むことはできなかったというわけ。

 常につながるというわけでもないが、日本から連絡してもらうにはまあまあの使い心地。ただ、他の地域ではどうなのかは不明である。6月にはニューヨークに行くので、そこでも試してみたい。また、すでにあるドコモのPDC回線をFOMAに機種交換して、そちらとの比較もやってみたいところだ。



URL
  製品情報(三洋電機)
  http://www.stel-web.com/line_up/v_sa701/spec.html
  Vodafone Global Standardサービス案内
  http://www.j-phone.com/japanese/service/vgs/

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(塩田紳二)
2003/05/29 11:12

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