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「Googleアシスタント」が日本語に対応、Androidで利用可能に

 グーグルは、音声認識とAIを組み合わせたエージェントサービス「Googleアシスタント」の日本語対応版の提供を開始した。Google Playストア搭載のAndroid 6.0/7.0のスマートフォンで利用できる。対応機種は、29日から数週間かけて、全ての端末で利用できるようになる。

 Googleアシスタントは、グーグルの自然言語処理技術や機械学習を使い、ユーザーが話す言葉にあわせて、適切な結果を案内してくれるサービス。ホームボタンの長押しか、「OK、Google」と話しかけることで利用できるようになる。Googleアプリの一機能として無料で提供される。なお、対応したとしても特別な通知はなく、全ての対応機種で利用できるようになった頃合いを見て、グーグル側からあらためて何らかの案内があると見られる。

 「こんにちは」と話しかければ、Googleアシスタントは「こんにちは、何かご用はありますか?」など、人と会話するように返答してくれる。ユーザーの名前や、好きな料理などを伝えれば、それを記憶して、その後の応答で利用することもある。アラーム設定やスケジュールの登録・検索などベーシックな使い方のほか、Googleフォトに登録した写真から「北海道で撮った夕日の写真を見せて」とリクエストして探す、といった使い方もできる。音声入力だけではなく、テキスト入力で利用することもできる。

【Googleアシスタントを試してみた(その1、約7秒)】
【Googleアシスタントを試してみた(その2、約6秒)】
種類問いかけ例
会話例「私の名前は〇〇です」「おはよう」「豆知識を教えて」「早口言葉/俳句/名言を教えて」
タスク管理としての利用例「リマインダーを設定、今日の夕方5時半に小麦粉を買う」「毎日朝7時に起こして」「ライトをつけて」「機内モードをオンにして」「駐車場の1階345番に駐車したってメモして」「タイマーを3分に設定して」
ユーザーの行動支援例「明日の予定は何時から?」「六本木の交通状況は?」「〇〇航空4便の出発時間は?」「近くで上映中の映画は?」
Google Play Musicなどを音声コマンドで「何か音楽をかけて」「Google Play Musicでドライブにぴったりの曲を流して」「YouTubeで可愛い猫の動画を見せて」
写真を楽しむ例「4年前にサンフランシスコで撮った写真」「写真を撮って」「私の撮った焼肉の写真」
検索例「今日の最高気温は」「スペイン語で『こんにちは』は?」「コードシェア便の意味を教えて」

 29日の発表会で試したところ、ユーザーが滞りなく喋れば、高い精度で認識してくれるという印象を受ける一方、「大阪で撮った写真はある?」と語りかけると、日本語の文章としてあいまいだったためか「撮った写真」というワードで検索した結果を返してきた。また問いかけの途中で間が空くと、そこで認識をいったん切ってしまうため、ユーザー側が何を質問するか、事前にきちんと考えてから問いかける必要があるように思えた。

「あなたのためのGoogle」、日本語対応の難しさ

 グーグル製品開発本部長の徳生裕人氏は「Googleアシスタントは、検索であれ、メールであれ、マップであれ、Googleの製品を組み合わせて、ユーザーの知りたいこと、やりたいことをサポートする。“あなたのためのGoogleです”と言って良いと思う」と説明する。

グーグルの徳生氏

 Googleアシスタントは、ユーザーの話をコンピューターが認識するための「音声認識」、適切な結果を返すため話した内容を適切に処理する技術などのほか、「〇〇の写真を見たい」というリクエストにはGoogleフォトで導入されていた画像認識、「近くのラーメン店を教えて」と言われれば、Googleがもともと提供してきたWeb検索など、複数の技術やサービスを組み合わせて実現している。

 日本語への対応にあたっては、主語なしで話す場面への対応が難しかったと徳生氏。たとえば「今日は疲れた」「今日は疲れた?」という文章は、話し言葉にするとイントネーションだけが異なるものの、自分自身の感想か、相手への問いかけかという違いがある。この違いをコンピューターが認識するための取り組みが必要だったという。

 日本語版がローンチしたとはいえ、製品としては完成したものではなく、まだ第一歩に過ぎないと語る徳生氏は、スマートフォンだけではなく、さまざまな機器でGoogleアシスタントが利用できるようになれば、より便利になるのでは、と説明する。

 一方、iPhoneのようなiOS搭載機器に向けては、現在、英語版のみアナウンスされており、日本語版については「将来的に出てくると思う」(徳生氏)として、具体的な提供時期は明らかにされなかった。

 iPhoneにおける「Siri」や、米Amazonが提供する「Alexa」など、音声認識や機械学習などを使ったエージェントサービスが存在する中、Googleアシスタントの強みを問われた徳生氏は、検索サービスで得たデータが大きな強みになるのではないかと語る。これまでもGoogle Alloというアプリで日本語版の「Googleアシスタント」は利用できる形だったが、今回、どのAndroidスマートフォンでも利用できるようになることで、利用しやすくなり、裾野が広がると期待されている。

サードパーティも対応可能に

 「現在の検索技術、翻訳、画像認識、音声認識を支える機械学習は大きく進化してきたが、これからも進化する。ハードとソフトの進化が組み合わさったときに、本当にみなさまの役に立つアシスタントを作れるのではないか。ただ明確にしたいのは、グーグルだけで作れるわけではない」と述べ、「Actions on Google」と名付けられた取り組みを紹介する。

 Actions on GoogleではSDK(ソフトウェア開発キット)を公開することで、サードパーティのサービスがGoogleアシスタント経由で利用できるようにするもので、今回のGoogleアシスタント日本語版対応を受けて、Actions on Googleもまた日本語に対応していく方針が明らかにされた。たとえば、タクシーを呼んだり、IoT対応の電球を音声で操作したりといった使い方を実現する場合、タクシー会社やIoT機器メーカーがSDKを使ってGoogleアシスタントに対応するという形になる。