【Mobile World Congress 2018】
GoogleアシスタントやGo edition推しのグーグル
2018年3月2日 05:40
グーグルは、Mobile World Congress(MWC) 2018で、Android Garden Auditoriumと名付けたデモエリアを用意。ホールとホールの間に位置する、いわば中庭的な場所を使い、来場者にAndroidの最新機能や端末、Googleアシスタントのデモを行っていた。また、同社は各メーカーのブースに説明員を派遣。グーグルのロゴがはいったつなぎを着たスタッフに話しかけると、Googleアシスタントの使い方を教えてもらえるといった仕掛けで、MWCの会場全体を使い、同機能をアピールしていた。
これは、グーグルがGoogleアシスタントに力を注いでいる証拠でもある。MWCに合わせて同社はGoogleアシスタントの機能強化を発表。2018年内に、30以上の言語で利用可能になることを明かした。まずは、デンマーク語やオランダ語、インドネシア語などが夏までに対応する予定だ。
グーグルでGoogleアシスタントを担当するプロダクトマネージメント・ディレクターのグミ・ハフステインソン氏は、「より多くの人々がGoogleアシスタントにアクセスできるようになる」とその意義を語る。ハフステインソン氏によると、30言語が追加された段階で、全世界の95%の人口がカバーされることになるという。
さらに、英語、フランス語、ドイツ語といった複数言語での操作に対応。ユーザーはこれらの言語を切り替える必要なく、Googleアシスタントに話しかけることが可能になる。米国限定(英語のみ)となるが、「Routine」と呼ばれる新機能にも対応する。Routineは、「繰り返し行うような作業を登録しておき、ワンショットで実行するための機能」(同氏)。たとえば、「オーケー、グーグル。おやすみ」というと、電気やテレビを消し、明日の天気予報を伝えてくれるといった操作が可能になる。
Googleアシスタントについては、「パートナーと一緒に、より深い機能を実現できるプログラムも用意している」(同氏)という。たとえばLGエレクトロニクスのV30+では、カメラをパノラマモードや広角モードで起動したり、同社の家電製品をV30+経由でコントロールできたりと、他の端末ではできない操作にも対応する。これは、グーグルとの協力関係によって実現したもの。プログラムは他のメーカーにも開放しており、メーカーはGoogleアシスタントを差別化の要素にすることができる。
Googleアシスタントを利用できる環境も、拡大中だ。ハフステインソン氏が「トータリティ(全体性)が重要」と語るように、シチュエーションによって必要なデバイスは異なってくる。最近では、レノボやLGエレクトロニクスが1月に米・ラスベガスで開催されたCESでスマートディスプレイを発表。MWCでも、これらのデバイスが展示されていた。
あえてスマートスピーカーにディスプレイを搭載したのは、利便性を上げるため。ハフステインソン氏によると、「音声操作という側面が語られることが多いが、必要なのは対話だと思っている。対話は人間にとって自然なことで、音声も重要だが、それだけではない。身振り手振りや映像もその1つ」とのこと。グーグルとしては、音声にこだわっているわけではなく、重視しているのは対話であるというわけだ。スマートフォンのGoogleアシスタントがキーボード入力に対応しているのも、シチュエーションによっては、その方が便利だからだという。
Googleアシスタント以外では、Android Oreo(Go edition)の端末が、一斉にリリースされたのも、グーグル関連の大きなトピックといえるだろう。冒頭で挙げたAndroid Garden Auditoriumにもその一部が展示されており、HMDグローバルの「Nokia 1」やLAVA Internationalの「LAVA Z50」、TCLの「Alcatel 1X」などに触れることができた。MWC会期中には、WikoやZTEなども、Android Oreo(Go edition)の端末を発表、一部を自社のブースに展示している。
Android Oreo(Go edition)は、主に所得の低い新興国に向けた軽量版OSで、1GB以下のメモリ(RAM)で動作させることを想定している。OSのほか、YouTubeやGoogleマップ、Googleアシスタントといった一部のグーグル謹製アプリも、Go edition版になっており、データ通信量を抑える機能などが搭載されている。こうしたバージョンを用意することで、Googleサービスへのアクセスが容易なAndroidを広げていくというのが同社の戦略といえるだろう。