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Cerevo、ドコモのポータブルSIMを4枚刺しで製品化、「SIM CHANGER デルタ」

 CerevoとNTTドコモは、ドコモが開発していた「ポータブルSIM」を「SIM CHANGER デルタ」として製品化し販売する。SIMカードは4枚まで装着でき、アプリから利用するSIMカードを切り替えられる。「Makuake」でクラウドファンディングを開始し、早期募集の価格は税込み、送料込みで1万800円。2017年3月までに提供される。クラウドファンディングが成立し製品化が決定した場合、一般販売の価格は1万5000円前後を予定する。

「SIM CHANGER デルタ」(モックアップ)
Cerevo 代表取締役の岩佐琢磨氏

 「SIM CHANGER デルタ」は、スマートフォンのSIMカードスロット部分だけを外部に抜き出したようなイメージで、4枚のSIMカードを切り替えて利用できるようにした製品。スマートフォンのSIMカードスロットにはBluetooth通信機能が搭載された「ブリッジカード」を装着し、ブリッジカードと「SIM CHANGER デルタ」はBluetooth 4.0で接続される。

 「SIM CHANGER デルタ」本体にはmicroSIMカードスロットが2つ、nanoSIMカードスロットが2つが搭載される。バッグの中に入れるなどして、スマートフォンといっしょに持ち運んで利用する。モバイルルーター程度の大きさで、約3400mAhのバッテリーを搭載し、1カ月間は駆動できる見込み。

 大きさは50.8×80×45.8mmで、重さは約100g。

ブリッジカード、アプリ

 ブリッジカードはAndroid用、iOS用の2種類が用意され、「Makuake」での募集時には、約3000円でブリッジカードの追加も可能。追加したブリッジカードは、2台目のスマートフォンに装着するなどすれば、「SIM CHANGER デルタ」を利用するスマートフォン側を切り替えるといった使い方が可能になる。「SIM CHANGER デルタ」に同時に接続できるスマートフォンは1台のみ。

 スマートフォン側からは、ブリッジカードを経由して「SIM CHANGER デルタ」に装着されたSIMカードを認識するという仕組み。スマートフォンのSIMロックの有無とSIMカードの関係は、「SIM CHANGER デルタ」やブリッジカードの利用に関係ない形で継承される。例えばSIMロックのかかったドコモのスマートフォンで使う場合なら、「SIM CHANGER デルタ」に挿入したドコモのSIMカードやドコモ網のMVNOのSIMカードは利用でき、au網やソフトバンク網のSIMカードは利用できない。

 ブリッジカードを挿入したスマートフォンと「SIM CHANGER デルタ」はBluetoothで接続されるため、Bluetoothの接続が切れたりBluetooth接続の圏外にまで離れると、スマートフォンはSIMカードが装着されていない状態になる。

 なお、ブリッジカードと「SIM CHANGER デルタ」とのBluetooth接続は、スマートフォンがSIMカードを定期的に認識するためのもので、スマートフォンのデータ通信がこのBluetooth接続を経由するわけではない。

 ブリッジカードと「SIM CHANGER デルタ」は約30秒に1回通信を行う程度で、これは通常のスマートフォンが装着されたSIMカードをチェックする挙動と同じとしている。

 スマートフォンアプリは現在開発中。「SIM CHANGER デルタ」に装着された最大4枚のSIMカードから利用するSIMカードを選択でき、「SIM CHANGER デルタ」本体を操作することなく切り替えなどが可能になっている。

ドコモとのライセンス契約で開発

 今回の製品は、ドコモが2014年に開発を表明していた「ポータブルSIM」の技術と、上記でブリッジカードと呼んでいるカード「psim proxy」(ピーシム プロキシ)をセットにした「PSIM Suite」(ピーシム スイート)ライセンスの契約をCerevoとドコモが締結して開発されている。

 Cerevoでは、複数のSIMカードを使い分けている人や、海外出張などで複数のSIMカードを利用する人などに便利と紹介。“グローバルニッチ”を標榜する同社の製品らしく、尖ったコンセプトを丸めずに製品化するとしたほか、海外市場もターゲットにしていくと説明されている。

 ドコモでは「+d」としてさまざまな企業とコラボレーションを図っており、ドコモが自社で開発し販売するにはターゲット市場が小さいと判断されていた「ポータブルSIM」の技術も、家電ベンチャーのCerevoと協業することで製品化が実現できるとした。「PSIM Suite」のライセンスは、Cerevo以外にも広く提供できるとしており、ライセンス提供のためのWebサイトも開設されている。

NTTドコモ 移動機開発部 部長の徳弘徳人氏