【Mobile World Congress 2013】
Mozilla、Firefox OS搭載機でアピール
(2013/2/27 19:16)
Mozillaのブースでは、開発が進められているスマートフォン向けプラットフォーム「Firefox OS」が展示されている。
「Firefox OS」は、HTML5などWebの標準技術をベースにしたOSで、Webと同様にオープンであることが重視されている。ブースでは、そのオープンさやマーケットの仕組みといった特徴について、ZTEから発表されたばかりの端末「ZTE Fire」を用いて、主に開発者などに向けて紹介していた。
「Firefox OS」は、Mozillaが開発しているスマートフォン向けのOSで、今夏にはスペインに本拠を置く通信事業者のTelefonica(テレフォニカ)が、スペインやラテンアメリカで端末を発売する予定。Telefonica以外にも多数の携帯電話事業者がパートナーとなっており、日本からはKDDIが名乗りを上げ、Firefox OS採用端末の発売に向けて取り組んでいることを明らかにしている。
Firefox OSの最大の特長は、HTML5などのWebのオープンな標準技術をベースに開発されていることにある。アプリはHTML5をベースとして記述され、Webサイトにアクセスするようにアプリを利用できる。アプリはキャッシュされるので、通信できない場所でも利用できるほか、アプリに更新があったときは、Webのようにとくに意識することなく最新状態で利用できる。
Firefox OSのアプリ配信プラットフォームとしては、Mozilla自身も「Firefox Marketplace」を運営する一方、他の企業が配信プラットフォームを運用したり、アプリ開発者自身がアプリを直接提供することもできる。Firefox Marketplaceでは有料アプリの配信も行われる予定で、キャリアの課金システムが使えるようになる。
アプリとWebの垣根がないのも特徴の1つ。「Firefox OSには標準で独自の検索機能が搭載されているが、これで検索できるのはWebサイトに限られない。たとえば「lady gaga」で検索すると、Firefox OSの各アプリ上でも「lady gaga」というワードで検索処理が行われ、ヒットしたアプリが画面上に表示される。実機で試したところ、YouTubeやWikipedia、Amazon、Twitter、Yahoo Newsなどのアプリに加え、音楽や歌詞を配信するアプリ、スライドショウアプリなどが表示された。さらにこのアプリのアイコンに混じり、「Official Website」や「Top Websites」といった、Webサイトのリンクアイコンも表示されていた。これらのアイコンをタップすると、入力した検索ワードで検索された状態で、対象のアプリが起動する。
Firefox OSのアプリは、とくにインストールすることなく、、Webサイトのようにアクセスするだけで使える。検索されたアプリがインストールされていなくても、検索結果を見ることができる。未インストールのアプリも、起動後にブックマークを設定すれば、そのアプリのアイコンがホーム画面に置かれ、アプリがインストールされたような状態となる。
アプリはHTML5ベースだが、HTML5だけでは実現しにくい機能については、APIが提供される。当初からもいくつかのAPIが提供されるが、初期バージョンで提供されるAPIは限定されていて、たとえばテキスト入力のアプリを追加インストールすることはできないとのこと。APIは順次追加されていく予定だ。
なお、Firefox Marketplaceは、Firefox OSだけを対象とした配信プラットフォームではなく、Android版やパソコン版のFirefoxも対象で、すでに利用できるようになっている。Firefox OSとアプリの関係は、WebブラウザとWebサイトの関係そのものと同等で、いずれのプラットフォームでも、Firefoxをインストールすれば、Firefox Marketplaceを利用できる。さらにFirefox Marketplaceは、将来的にはFirefoxに限らず、Web標準に準拠するあらゆるブラウザを対象とすることも目指しているという。ちなみにパソコン版Firefox向けには、Firefox OS自体をエミュレーションするプラグインも提供されていて、誰でもFirefox OSを試すことが可能だ。
MozillaのブースではAndroid版のFirefoxのデモも行われていて、Android版のFirefoxからFirefox Marketplaceにアクセスし、ゲームなどのアプリを動作させるデモも行われていた。Firefox Marketplaceからダウンロードしたアプリは、ブラウザエンジン上で動くものの、ホーム画面には起動ショートカットが配置されるなど、通常のAndroidアプリと変わらない使い勝手で動作していた。