ケータイ用語の基礎知識

第800回:カウントフリーとは

特定サービスの「データ使用量」をカウントしない

 「カウントフリー」とは、あるサービスを利用する際、そのデータ通信量を数えない、つまり「使用したデータ量に加えない」というサービスです。

 スマートフォンでは、何らかの機能やサービスを利用する際、たいてい通信します。たとえば、メッセンジャーアプリを使う場合、開始時、どんな会話が行われているのかスマートフォンはサーバーに問い合わせます。ここでまず通信します。

 「サーバーへの問い合わせ」では、スマートフォンはサーバーへの問いかけのデータを送ります。また、それに応えてサーバーもスマートフォンへの答えとなるデータを送ります。そしてユーザーが友人や家族といった他のユーザーへメッセージを送ると、その文章やスタンプは、「サーバーへデータを送る」という形になります。

 このように、携帯電話/スマートフォンでは、多くの機能で通信します。一方、そうした通信に対しては料金がかかるのが一般的です。最近、スマートフォンの料金契約では、「利用可能データ量」が決まっています。たとえば「〇千円で1カ月×GB(ギガバイト)まで」といったパック料金です。スマートフォンや携帯電話の機能を使うと、パックとして用意されているデータ通信の容量を使うわけです。使えば使うほど、最初は10GB使えたのに、残りが3GB、2GBと徐々に減っていきます。

 こういった場合、特定のサービスでの通信を「使ったデータ容量にカウントしない」と設定されていることがあります。こういったサービスは「カウントフリー」と呼ばれます。

 カウントフリーのようなサービスは、「ゼロ・レーティング」と呼ばれることもあります。携帯電話のネットワークを含むインターネットにおいて、特定のサービスをえこひいきして良いのかどうか、というネットワーク中立性という論点もあり、日本では特にLINEモバイルがサービスを開始する際に注目されましたが、その後、大きな議論にまでは至っていません。

実施しているのは「LINEモバイル」「FREETEL」「BIGLOBE」など

 カウントフリーのサービスを提供するのは、主に格安SIMと呼ばれるMVNOです。

 特に2016年9月に登場したLINEモバイルのサービスは、大きな話題になりました。LINEモバイルには「LINEフリープラン」「コミュニケーションフリープラン」「MUSIC+プラン」があります。それぞれカウントフリーになるサービスは異なります。

LINE、Twitter、Facebookといったアプリを使ってもカウントフリーなLINEモバイルの「コミュニケーションフリープラン」

 「LINEフリープラン」は、LINEアプリのテキストや音声のやりとりなどが無料通信分になります。「コミュニケーションフリープラン」では、LINEに加えてTwitterやFacebook、Instagramが対象です。また「MUSIC+プラン」では、音楽聴き放題のLINE MUSICもカウントフリーになります。それぞれのプランは、カウントフリーにする対象が多くなるほど高額になっています。2017年4月現在、「LINEフリープラン」は月間1GBで月額500円(税抜、以下同)、「コミュニケーションフリープラン」は月間3GBで月額1110円などとなっています。

 またFREETEL(プラスワン・マーケティング)も、同じくカウントフリーをうたうサービスを提供しています。LINE、Twitter、Facebook、Instagramなどが対象で、ゲームアプリの「Pokémon GO」なども含まれます。iPhone向けプランの場合はApp Storeも対象で、アプリのインストールや更新までカウントフリーとされます。

 コミュニケーション系の用途のカウントフリーが多い他社とやや異なるのが、BIGLOBEの「エンタメフリー・オプション」(通話SIMで月額480円、データSIMで月額980円)です。こちらは、動画や音楽といったサービスがカウントフリー対象の中心です。2017年4月現在、動画配信の「YouTube」「AbemaTV」、それに音楽配信の「Google Play Music」「Apple Music」「Spotify」「AWA」を利用した場合、そのデータ容量は使用量にカウントされません。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)