レビュー
着けるだけで高血圧リスクを通知、「Apple Watch Series 11」のヘルスケア機能を総チェック
2026年1月23日 00:00
2025年9月にApple Watch Series 11が発売された際、新機能として注目された「高血圧パターンの通知」が、同年12月4日に日本でも利用可能になった。
Apple Watchを着けているだけで、高血圧の恐れがあると知らせてくれる機能だ。Apple Watchはヘルスケア機能の充実度に定評があるが、また新しい機能が追加されたわけだ。最新のApple Watchは、どのように健康管理に役立つのか? 2カ月ほど使ってみた。
血圧を測定できないのに “高血圧パターン” がわかる仕組みは?
「高血圧パターンの通知」を有効にするには、iPhoneの「ヘルスケア」アプリで事前の設定が必要だ。
アプリを起動し、右上の自身のアイコンをタップ。次に「ヘルスケアチェックリスト」を開いて「高血圧パターンの通知」を選択する。最初に「22歳以上ですか?」「高血圧と診断されたことはありますか?」という質問が表示される。この機能は、22歳以上と高血圧と診断されたことがない人を対象としているため、22歳未満と、高血圧と診断されたことがある場合は、この機能を有効にできない。
筆者は、普段から血圧を測っており、たまに血圧値が高くなることもあるが、この機能の有効性を試すために、「高血圧と診断されたことはありますか?」には「いいえ」と回答した。
Apple Watchには血圧を測定する機能はない。高血圧パターンの検出には、ウォッチ背面に搭載されたPPGセンサー(光学式心拍センサー)が用いられる。ユーザーの血管が心臓の鼓動にどのように反応するかを30日間観察し、高血圧の疑いがあると判断された場合にのみ通知される仕組みだ。高血圧パターンは、10万人以上のデータからアルゴリズムを開発。さらに、さまざまな人種、年齢、性別の2000人以上の臨床実験を経て精度が確認されているという。
筆者は、この機能の提供が始まった12月4日にオンにした。以降、とくに何もせず、ほぼ毎日Apple Watchを着けていた。それから1カ月後の1月3日に、「高血圧の可能性」という通知が届いた。筆者は、自分では高血圧という認識はなく、血圧が高くなることがあると言っても、ちょっと高いだけなので、内心では、通知が来ないことを期待していた。なので、「やっぱり来たか……」と軽いショックを受けた。
高血圧は自覚症状がないまま進行し、大病につながることも多く、「サイレントキラー」と呼ばれたりもするらしい。現状、健康に不安がない人でも「高血圧パターンの通知」はオンにしておくべきだろう。高血圧の早期発見につながるはずだ。なお、この機能はSeries 11だけでなく、Series 9以降と、Ultra 2以降でも利用できる。
「ヘルスケア」アプリには、血圧値を記録することも
先にも述べたが、Apple Watchには血圧を測定する機能はない。されど、主要なメーカーの血圧計で測定したデータは「ヘルスケア」アプリに同期することができる。
筆者はオムロン製の「HCR-750AT」という血圧計を使っている。家庭用として一般的な上腕にカフを巻くタイプだ。計測した血圧値は「OMRON connect」アプリに記録されるのだが、この「OMRON connect」とiPhoneの「ヘルスケア」アプリを連携させることが可能。「ヘルスケア」アプリで、ほかの健康データや運動の記録などと一緒に血圧値を管理できるようになる。記録した血圧値データをPDFで出力して、プリントしたりもできる。
新しいモデルほど、ヘルスケア機能が充実
Apple Watchは、心拍数、血中酸素飽和度(Series 6以降とUltra)、心電図(Series 4以降とUltra)、手首皮膚温(Series 8以降とUltra)を測定する機能を備えている。心電図はデジタルクラウンに指を当てて測定する必要があるが、そのほかのデータは自動でも計測される。睡眠をモニタリングすることもでき、睡眠中に血中酸素飽和度や皮膚温が自動で計測される。
2024年までは、日本で医療機器として認可された心電図機能が使えるスマートウォッチはApple Watchだけで、大きな優位性を持っていた。しかし、その後、HUAWEI、Garmin、Googleが追随し、主要メーカーのヘルスケア機能は横並びになりつつある。その中で、Apple Watchの優位性を挙げるとすれば、「高血圧パターンの通知」のような、異常を検出した場合の通知機能になるだろう。
「ヘルスケア」アプリの「ヘルスケアチェックリスト」では、「高血圧パターンの通知」のほかに、「高心拍数の通知」「低心拍数の通知」「不規則な心拍の通知」「睡眠時無呼吸の通知」なども有効にできる。筆者は、これら全てを有効にしているが、幸いにして、まだ通知が届いたことがない。
ときどき通知されるのは「ノイズ通知」。聴覚に悪影響を及ぼすような騒音が検出された場合に通知される機能だが、犬が興奮して吠えているときに何度か通知された。ビーグルという犬種を飼っていて、“森のトランペッター” と呼ばれるほど鳴き声が大きいのだが、人の近くにいるときに興奮させないように、より気を付けるきっかけとなった。
睡眠の質の向上につながる「睡眠スコア」
2025年9月に配信されたwatchOS 26から追加されたのが「睡眠スコア」だ。従来から「レム睡眠」「コア睡眠」などに区分した睡眠の状態や時間を記録することはできたが、睡眠の質をよりわかりやすい点数で確認できるようになったわけだ。
睡眠スコアは0~100で表示され、睡眠時間の長さ(50ポイント)、就寝時間の一貫性(30ポイント)、睡眠中断(20ポイント)の推定に基づいて計算される。合計点が96以上は「非常に高い」、81~95は「高い」、61~80は「普通」、41~60は「低い」、0~40は「非常に低い」と評価される。
毎朝スコアをチェックすることで、十分な睡眠が取れたか否かがわかり、体調を客観的に認識することにもつながる。また、スコアの内訳も表示されるので、就寝時間のスコアが低い場合に「今夜は早く寝よう」といった行動にもつながっている。
バッテリーはまる1日持たせることも可能
Apple Watchは、スマートウォッチとして必要な機能をもれなく備えている。スマホの通知は必要なものだけをオンにでき、LINEに返信したり、運動を記録したりすることも可能。Suicaやクレジットカードのキャッシュレス決済も利用できる。使いたいアプリを追加することもできる。iPhoneと接続されていなくても単体で通話ができるCellularモデルを選ぶこともできる。iPhoneを使っている人にとっては、最も安心で、満足できるスマートウォッチと言って差し支えないだろう。
他社のスマートウォッチと比べた場合に、唯一の欠点として指摘されるのが電池持ちの悪さだ。しかし、バッテリー持続時間は世代が進むにつれ、長くなっており、Series 11は通常使用で最大24時間、「低電力モード」では最大38時間の連続使用を見込める。
筆者は就寝時にも着けており、夜の入浴時に外して充電するようにしている。たまに充電し忘れて、そのまま寝てしまうことがあるのだが、睡眠中に電池がなくなることはなく、朝になっても10%以上残っていたりした。使い方にもよるが、24時間以上持たせることも難しくなさそうだ。
電池は長く持つに越したことはないが、毎日決まった時間に充電するのは習慣づけやすいと感じている。
何もしなくても常時健康チェックしてくれる
筆者はいろいろなスマートウォッチをとっかえひっかえ使っているが、久しぶりにApple Watchを一定期間使い続けて、“何もしなくても役立つウォッチ” という認識が強まった。多彩な機能を使わなくても、ヘルスケアの通知を有効にしておけば、24時間常時、健康診断を受けているような状態になるからだ。とりわけ、健康に不安を抱き始める中高年世代には、心強い存在となるだろう。

















