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「Apple Watch Ultra 3/Series 11」は3Dプリントチタン技術を活用、アップルが示すその技術

 アップルは、「Apple Watch Ultra 3」および「Apple Watch Series 11」のチタニウムモデルにおいて、筐体製造に3Dプリント技術を導入した。また「iPhone Air」のUSB-Cポートにも活用された。

「Apple Watch Ultra 3」

 同社Webサイトで明らかにされたもの。航空宇宙産業レベルの100%再生チタン粉末を使用し、大規模な量産を実現することで、従来の製造プロセスと比較して原材料の使用量を大幅に削減する。

400トンのチタンを節約、環境負荷を低減

 今回の製造プロセス変更は、2030年までにサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指す「Apple 2030」目標達成に向けた取り組みの一環という。

 従来の鍛造や切削加工(除去加工)では、材料の大部分を削り落とす必要があった。一方、3Dプリントによる積層造形へ移行することで、原材料の使用量を従来比で半分に抑えられるようになった。
 同社の推計によると、新プロセスにより、今年だけで400トン以上のチタン原料が節約される見込み。

 製造工程では、再生チタン粉末にレーザーを照射し、900回以上層を重ねて形成する。

 チタンは熱にさらされると爆発性を帯びる性質があるため、酸素含有量の微調整や、直径50ミクロンという微細な粉末化など、高度な材料科学が用いられた。各層の厚みは60ミクロンで制御され、高精度な造形と生産効率の両立を図っている。

品質維持と新モデルへの展開

 造形後は余分な粉末を除去し、超音波ふるい機を用いた精密な清掃工程を経る。

 その後、冷却液を使用しながら各ケースを切り離し、自動光学検査システムで寸法と外観をチェックする。

 これにより、美しい鏡面仕上げが求められるApple Watch Series 11や、過酷な環境での耐久性が必須となるApple Watch Ultra 3において、厳しい品質基準をクリアした。

 3Dプリントの利点は素材の節約にとどまらない。従来は鍛造プロセスでアクセスできなかった内部構造へ、テクスチャを付与できるようになった。金属の内側に特定のテクスチャを3Dプリントで組み込むことで、GPS + Cellularモデルにおける樹脂製アンテナパーツと金属筐体の接合強度が向上し、防水加工プロセスが改善された。

 新技術は、新型「iPhone Air」にも応用されている。「iPhone Air」のUSB-Cポートは、Apple Watch同様に再生チタン粉末を用いた3Dプリントで製造されており、薄型デザインと強度の両立を実現した。