レビュー

「AQUOS sense10」実機レビュー、AIとカメラ機能が強化したバランスの取れたモデル

 シャープのミッドレンジスマートフォンの最新モデル「AQUOS sense10」を11月13日より発売する。直販価格は、6GB+128GBモデルが6万2700円、8GB+256GBモデルが6万9300円。そのほかMNOからはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社とも取り扱うほか、MVNOでの提供もある。

シャープのミッドレンジスマートフォンの最新モデル「AQUOS sense10」

 本体の大きさは約73×8.9×149mmで、重さは約166g。最近のスマートフォンとしては軽量でコンパクトな部類だ。ちなみに前モデルの「AQUOS sense9」とサイズやデザインなどは同等となっており、ケースには互換性がある。

本体の重さは実測で166.3g(SIM、microSDなしの状態)

 今回、AQUOS sense10の本体カラーに合わせた純正シリコンケースのほかに、スニーカーブランド「SPINGLE」とのコラボケースや、「児島ジーンズ」、「BLUE SAKURA」といったコラボモデルのケースも発売されるが、これはAQUOS sense9でも利用可能。

 ミッドレンジ以下のモデルは、発売時期を過ぎるとケースの入手が困難になるため、最新モデルのケースが旧モデルでも使用できるのはありがたい。個人的にはミッドレンジ以下は3世代くらい同じデザインで出しても良いのではと思っているくらいだ。

個性的な新型ケースは、前モデルのAQUOS sense9でも使用できる

 本体カラーは「デニムネイビー」、「カーキグリーン」、「ベールミント」、「ベールピンク」、「ライトシルバー」、「フルブラック」の6色をラインアップ。カジュアル、キレイメ、ベーシックと豊富なカラーラインアップで、好みの色を選びやすい。

本体カラーは6色展開
試用機は「フルブラック」だった

 本体素材はアルミを採用し、前モデル同様アイコニックなカメラ回りの「miyake design」監修デザインが特徴的。シンプルだが飽きの来ないデザインとなっている。

グリップしやすいサイズ感
本体右側面
本体左側面
本体上部
本体底面

 ディスプレイは6.1インチ(2340×1080ドット)のPro IGZO OLEDを採用する。最大輝度は全白輝度で1500nit、ピーク輝度は2000nitとなっており、ハイエンドと比べるとやや劣るものの、屋外での視認性などは悪くない。

 またリフレッシュレートは1~240Hzの可変駆動となっており、スクロールの滑らかさはもちろん、バッテリーの持続時間にも大きく寄与していそうだ。

スクロールなどは滑らか
ディスプレイの明るさは実測で529lux

 本体右側面には指紋認証センサー一体形の電源ボタンと音量ボタンを装備。電源部分はほぼ中央部分で押しやすいが、音量ボタンは本体上部に近く右手でグリップしたときに親指が届きにくい。

電源ボタンは右側面中心部にあり、指紋認証センサーと一体となっている

 SIMスロットは本体左側面に配置されており、SIMピン不要で取り出せるタイプ。SIMトレーにはmicroSD(最大2TB)もセット可能だ。USB Type-Cポートは本体底面にあり、USB3.2 Gen1に対応。DisplayPort v1.4にも対応しているので、外部ディスプレーへケーブル1本で出力できる。

SIMトレーは指で引き出せるタイプで、片面にはmicroSDカードがセット可能

 バッテリーは約5000mAh。最大輝度でYouTubeのフルHD動画を充電100%の状態から再生し続けたところ、約17時間18分でバッテリー残量がゼロになった。5000mAhを搭載したスマートフォンとしては、かなり長時間の連続再生なので、動画視聴などがメインユースのユーザーにはうれしいポイントだ。

テスターで充電能力結果

 本体上下ともにボックススピーカーを搭載したことにより、ステレオ再生が可能に。前モデルと比べて体感音圧が約25%、音楽再生時の低音域は約85%アップしている。実際に聞いてみると、本体共鳴によるノイズ感が少なく人の声などが聞き取りやすい印象。

 ただし若干上下スピーカーの音の方向が違っており、上を左にして横位置にしたとき、右(下スピーカー)のほうが音が大きく聞こえる。

ステレオにはなっているが、下(右)スピーカーのほうが正面方向への音量が強い
オーディオテスターアプリで1000Hzの正弦波を最大ボリュームで鳴らして、15cm離れたところの音量は約88.4dBだった。

 プロセッサーにはクアルコム製「Snapdragon 7s Gen 3」を採用しており、メモリーとストレージは6GB/128GB、8GB/256GBの2モデルをラインアップ。メモリーに関してはRAM拡張機能を搭載しており、内蔵ストレージを利用して最大6GBを追加可能。

RAM拡張機能で、最大6GB増量可能

 試用機は6GB/128GBだったが、アプリの切り替えや起動、スクロールといった操作にもたつきはなく、ストレスなく使えた。ただしカメラアプリで連写をすると、3枚目くらいからシャッターが押せないケースも。ただしミッドレンジ以下のAndroidスマートフォンはだいたい同じ傾向ではある。

 モバイル通信の対応周波数は5Gが、n1/n3/n28/n40/n41/n77/n78/n79、4G LTEがB1/B2/B3/B5/B8/B12/B17/B18/B19/B21/B28/B38/B39/B40/B41/B42となっている。5Gのn79にも対応しており、国内4キャリアどこで使用しても問題ないレベルだ。

 そのほか通信系ではBluetooth 5.2、Wi-Fi 6Eに対応。どちらも最新規格ではないものの、ミッドレンジと割り切りが必要なポイント。おサイフケータイも利用可能なので、モバイルSuicaなど、国内決済サービスを使っているユーザーは安心して移行できる。

 カメラは、本体背面に約5030万画素(絞り値:F/1.9)の標準カメラと、約5030万画素(絞り値:F/2.2)の広角カメラを搭載した2眼仕様。インカメラは約3200万画素(絞り値:F/2.2)となっている。

カメラは2眼仕様で、センサーサイズこそ違うが、標準と広角どちらも約5030万画素
カメラ回りの厚みは、実測で10.2mm
インカメラはパンチホールタイプ

 下記の作例をみてもらうとわかるとおり、広角・標準ともに約5030万画素で、さらに標準カメラは上位モデルのAQUOS R10と同じ1/1.55インチのセンサーを搭載したこともあり、特に暗所での撮影に強くなっている。

 望遠もデジタルズームでの2倍までは特に劣化なども気にならないので、高倍率のズームが不要なユーザーが日常のスナップ撮影に使用するならじゅうぶんなレベルだ。

1倍で撮影
2倍で撮影
デジタルズーム最大の8倍で撮影
0.6倍で撮影
マクロモードで撮影
料理もしっとりとしたつややかさは出ている
ナイトモードで撮影

 撮影機能で便利なのが影除去やショーケースモードといった、余計な映り込みを画像処理で消してくれる機能。これらは実際に撮影しようとすると、プロのカメラマンがレフ板やライティングを駆使して撮影することで除去できるテク。それを自動で行ってくれるので、撮影技術に詳しくないユーザーでも、普段使いのスナップ撮影が楽しくなる。

構えたスマートフォンや手の影を消してくれる影除去機能
影除去OFFで撮影した写真
影除去をONで処理をした写真
ガラスなどの映り込みを処理してくれる「ショーケースモード」
「ショーケースモード」OFFで撮影した写真
「ショーケースモード」をONで処理をした写真

 AIを使い勝手の良い実用機能として取り入れるのがAQUOSシリーズの特徴。今モデルでも通話時に登録した声以外の騒音を消去して相手に聞こえやすくする「Vocalist」や、通話に出られない場合は、留守録の内容を文字起こしで表示してくれる「伝言文字起こし」機能を装備。迷惑電話対策なども引き続き搭載しているので、通話の多いユーザーにオススメだ。

「Vocalist」で自分の声だけを抽出して相手に届けられる
着信に対しての機能が豊富なのがAQUOSシリーズの特徴

 IPX5/IPX8/IP6X/MIL-STD-810G準拠・ 耐衝撃(落下)など全16項目もクリアしており、アルコール除菌シートやハンドソープでの丸洗いも可能とカジュアルなデザインながらも、タフネスさは健在。普段使いのスマートフォンとしては、現状最もバランスの取れたモデルと言えそうだ。

ハンドソープでの丸洗いに対応