レビュー

シャオミの2万円スマホ「Redmi 12C」レビュー、その実力はいかほど?

シャオミ(Xiaomi)からエントリーモデルのスマートフォン「Redmi 12C」が発売された。販売チャンネルとスペックによって価格に違いはあるが、MVNOでのセール価格では1万円台前半で購入できるケースもあり、低価格でスマートフォンを導入したいユーザーから注目を集めている。

セールなら1万円台前半で購入可能な「Redmi 12C」

 Redmi 12CはプロセッサーにMediaTek製の「Helio G85」を採用。メモリは3GB+64GBモデルと4GB+128GBのふたつラインアップがある。今回レビュー用の貸し出し機は3GB+64GBモデルだった。

貸し出し機は3GB+64GBモデルで、本体カラーはミントグリーン

 実際に操作してみると、画面スクロールなどは特に問題はない。ただしハイエンドモデルと比較すると、アプリの起動やウェブサイト閲覧時の画像の読み込み、検索フォームなどをタップしてからの日本語入力が表示されるまでなどにつっかかりを感じる。そのため頻繁に画面操作をしないライトユースなら問題ないが、ヘビーに使おうとするとストレスを感じそう。

検索フォームをタップすると、ワンテンポ遅れてソフトウェアキーボードが表示される

 動画編集アプリ「CapCut」でフルHDの動画(2分25秒/約278MB)をHD解像度へ書き出しを行ったところ、1分3秒だった。ちなみにXiaomiのスマートフォンでプロセッサーにSnapdragon 695 5Gを搭載した「Redmi Note 11 Pro 5G」で同じ作業をしたところ、変換時間は1分。Snapdragon 8 Gen 1を搭載したシャープの「AQUOS R7」は28秒だった。

「CapCut」では2分25秒のFHD動画をFHDへ変換書き出しを1分3秒で行えた

 Redmi Note 11 Pro 5Gはミッドレンジという位置づけで、価格もRedmi 12Cと比較すると倍以上違う。それでいてRedmi 12Cは、ほぼ同じ時間で動画の変換と書き出しが行えるのは、プロセッサーの性能的にはコストパオーマンスが高いと言える。

 ちなみにRedmi 12Cは「メモリ増設」機能があり、本体ストレージを3GBまで仮想メモリに割り当てる機能を装備している。試しに3GB増設した設定で、同じくCapCutでの変換書き出し作業を行ったところ、1分6秒というほぼ違いのない結果だった。メモリ増設はこういった作業にはあまり影響はなさそうだ。

仮想メモリを3GBぶん増設できる

 ディスプレイは、約6.71インチ(1650×720ドット)の液晶パネルを採用。アスペクト比は20.6:9なので、ソニーのXperia 1/5シリーズと似た縦長な印象。短辺は720ドットしかないが、縦は1650ドットあるので、ウェブサイトやSNSのタイムラインなどは十分な表示エリアがあり見やすい。また映画などシネスコサイズ(21:9)のコンテンツを観る場合には、黒枠の範囲を少なく表示できる。

縦に表示範囲が広いので見やすい
ドット感もそこまで気にならないレベル
シネスコサイズの映画などを見るのに最適

 白の画像をGoogleフォトで表示し、輝度を最大の状態にして照度計で計ったところ、318.8Lxだった。同条件で「iPhone 14 Pro」は703Lx、「Pixel 7 Pro」は819Lxだったので、ハイエンドの有機ELパネル搭載モデルと比べるとかなり暗め。日差しの強い屋外などでは、やや見にくいケースが出てきそうだ。

画面の輝度を最大にした状態で、実測では318.8Lx

 コンテンツ再生用のスピーカーは、本体下部にひとつのモノラル使用。そのため横位置で使用する場合は、若干音量バランスが気になる。3.5mmのオーディオジャックを本体上部に配置しており、Bluetoothのイヤホンにも対応しているので、動画やゲームを楽しむ場合は、イヤホンを使ったほうがより楽しめそうだ。

本体上部に3.5mmのイヤホンジャックがある

 Redmi 12Cの本体音量を100%にし、「超音波メーカー」アプリから「440Hz」の正弦波をアプリ上の音量50%で再生。約15cm離れた位置で騒音計を使って計測したところ、約72.7dbという数値だった。

モノラルではあるが、聞き取るには十分な音量が出ている

 本体サイズは168.76×幅76.41×厚さ8.77mm。ディスプレーが液晶ということもあり、重さは約192g。とはいえ設計上のバランスが良いのか、実際手に持ってみるとあまり重さは感じず使いやすい。

約192gだが、持ってみると意外と軽く感じる
本体右側面に電源ボタンと音量ボタンを配置
SIMトレーは本体左側面
斜めのストライプがデザインのアクセントになっている

 生体認証は指紋認証とAI顔認証に対応。指紋認証センサーは本体背面のカメラレンズ脇に配置されている。縦位置では本体の中心線に位置するので、左右どちらで持っていても、人差し指をかざしやすい。ただしカメラレンズに近いので、うっかりレンズを触ってしまうこともあるので、レンズ汚れが気になるユーザーは注意が必要だ。

指紋認証センサーはカメラレンズのすぐ隣に配置

 バッテリーは5000mAhと容量は十分。輝度最大の状態でYouTubeの4K動画をWi-Fiで再生しつづけたところ、約9時間32分でバッテリーが空になった。スマートフォンとしては一般的な連続視聴時間だ。ただし充電などに使うUSB端子がmicro USBとなっているのはマイナスポイント。付属の充電器も10Wのため、バッテリー残量が少ない場合は充電に時間がかかってしまう。ここはUSB 2.1でもいいので、18W対応のType-Cを最低でも搭載してほしいところだ。

USBポートはmicro USBでコンテンツ再生用のスピーカーも本体下部にひとつ

 モバイルネットワークは5Gには対応しておらず4Gのみ。4Gの対応バンドはLTE FDDが1/2/3/4/5/7/8/13/18/19/26/28/66、LTE TDDが38/40/41となっている。基本的には各通信キャリアの主要なバンドはおさえてあるので、どの通信キャリアで使ってもエリア的な問題はなさそう。

 SIMトレーはピンで押し出すタイプ。nanoSIM2枚とmicro SDカード1枚がセット可能で、それぞれスペースが用意されているので、デュアル物理SIMにしてもmicro SDカードが使えるのはうれしいポイントだ。

SIMトレーはmicro SDと、さらにnanoSIMも2枚セットできるタイプ

 FeliCaは非搭載のため、おサイフケータイは利用できない。またNFCも搭載していないので、クレジットカードのタッチ決済やマイナンバーカードの読み取りといったことも厳しい。

 カメラは背面が約5000万画素(F1.8)を搭載。ただし標準のモードで撮影するとピクセルビニングをしているため、書き出される写真は4080×3072ドットと約1200万画素となる。約5000万画素(8160×6144ドット)で撮影する「50MP」モードもあり高解像度で撮影はできる。ただし画質の低下やファイルサイズが大きくなる(標準:約2.71MB/50MP:約8.93MB)といったデメリットも大きいので、基本的には標準モードで撮影すればオーケーだ。

一見デュアルカメラに見えるが、片方は深度測定用
カメラ部分の厚さは実測で約9.8mm
50MPモードも用意されている
標準の写真モードで撮影
50MPモードで撮影

 中心部分の最短撮影距離を計測したところ、約70mmだった。レンズからの測定で手計測なので正確な数ではないものの、特に接写に弱いということはなく一般的な性能だ。さらに被写界深度測定用のカメラレンズも搭載しており、ポートレートモードなどでの撮影時の背景ぼかしなどに使われる。フロントカメラは約500万画素(F2.2)となっている。

最短撮影距離はおおよそ70mm
フロントカメラは約500万画素

 カメラアプリに用意されているモードは「ビデオ・写真・ポートレート・夜景・タイムラプス・50MP・タイムドバースト・チルトシフト」。露出やシャッタースピードなどを設定できるいわゆるマニュアルモードは写真、ビデオともにない。

カメラアプリのUI
メニューからタイムドバースト・チルトシフトが選べる

 下記はRedmi 12Cで撮影した作例。撮影はレンズを向けたらピントや露出はカメラアプリに任せて、そのままシャッターを押している。残念ながら撮影日が曇りだったため、全体的に暗めになっている。シーン判定で花などが選ばれるとややビビッドな色になるが、それ以外はかなり自然な発色だ。

等倍で撮影
デジタルズーム最大の10倍
夜景モードで撮影
料理もみずみずしさがちゃんと描画されている
アウトカメラでのポートレートモードで撮影
インカメラでのポートレートモードで撮影

 動画は最高でFHD(1920×1080ドット)/30fpsまで。4Kや8Kでの撮影には対応していない。とはいえ、Snapdragon 695 5Gを搭載しているミッドレンジモデルも同様なので、十分な性能ともいえる。