レビュー
「ZenFone 6」クイックインプレッション
注目の「フリップカメラ」を試す
2019年8月20日 15:00
2014年に初代モデルが登場してから、5周年を迎えたASUSの「ZenFone」シリーズ。また、ASUS自体も2019年は創立30周年のアニバーサリーイヤーだ。
ZenFoneシリーズの歴史を振り返ると、大容量バッテリーの「ZenFone Max」シリーズやズームカメラの「ZenFone Zoom」シリーズなど、5年間でさまざまな特徴を持った派生モデルが登場してきた。
そして、各世代の幅広いラインアップの中心にあった主力機種が、今回のZenFone 6のようなナンバリングモデルだ。ZenFone 5までのナンバリングモデルは、ミドルレンジ~ミッドハイレンジのスペックとバランスの取れた機能を備えた機種だったが、6世代目となるZenFone 6ではハイエンド寄りにシフトした。どちらかといえば「ZenFone 4 Pro」や「ZenFone 5Z」の流れを汲む機種とも受け取れる。
これまでのナンバリングモデルは、尖った機能は派生シリーズに譲ったバランス型の機種が多かった。しかし、先述のような位置付けの変化もあってか、ZenFone 6はMaxシリーズのような大容量バッテリーやリバースチャージ(他の機器を充電できる機能)も取り入れ、さらに「フリップカメラ」という変わったギミックが搭載されている。
フリップカメラは、ハイエンドの機種を中心に昨今のスマートフォンではトレンドとなっている「ベゼルレス」を実現するためのアイデアのひとつだ。
インカメラとアウトカメラを別々に搭載するのではなく、回転機構を備えたカメラユニットに収めて前後兼用とすることで、画面にノッチやパンチホールを設けることなく全画面のデザインを実現した。
前面スペースの節約、ベゼルレス化への貢献というのは、フリップカメラのメリットのひとつに過ぎない。
一般的に、セルフィーに特化した機種などを除けばスマートフォンのカメラはインカメラよりアウトカメラの方が高性能、高画質なものが多い。しかし回転式のフリップカメラなら、約4800万画素のメインカメラと約1300万画素の広角カメラを自撮りでも同じように使える。
カメラを回転させて前後兼用にするという発想はフィーチャーフォン時代からあるが、ZenFone 6の場合は電動になったことで新たな価値が生まれた。
自分でスマートフォンを動かしながら撮影するとズレてしまうこともあるパノラマ撮影も、ZenFone 6ならシャッターボタンを押すだけで自動でカメラを回転させながら撮影してくれるので、ただ安定させることだけを考えて持っていればよく成功しやすい。手持ちでは難しい、「縦パノラマ」という新しい楽しみ方もある。
また、実際に操作してみると思いのほか面白かったのが、前後の180度回転だけではなく途中の角度でも撮影できることだ。しゃがみ込んだりと大げさな動きをしなくても、指先を動かすだけでカメラの角度を変えられるので撮影の自由度が増す。
たとえば広角カメラで建物を撮るときには、カメラを上向きにして低いアングルからあおるような迫力のある写真を撮りやすい。スマートフォンの先端を前に向けたまま前方にカメラを向けられるので、移動しながら動画を撮るような場面でも扱いやすいだろう。
顔認証機能を使う場合は画面ロックを解除するたびにカメラが動くことになるが、顔認証そのものが速いおかげでカメラが前面に回り終えるとほぼ同時に折り返し、すぐに収納されるといった動作だった。顔認証にかかる時間が長くなる心配はなさそうだ。
ちなみに、顔認証を行うとき、またはワンタッチでインカメラへの切り替えを行うときは1秒ほどで一気に開くが、スライド操作で角度を調整しながら撮るときにはゆっくりと動くので微調整もしやすい。