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ASUSから「ZenFone 6」、フリップカメラのフラッグシップ

 ASUSは、Androidスマートフォンのフラッグシップモデル「ZenFone 6」を発表した。

 背面カメラが、ぐるりと前面へ向くフリップ機構を採用している。

「普通じゃない」フリップカメラ

 「DEFY ORDINARY」(普通に抗う、といった意味)という言葉で、その発表を予告してきた「ZenFone 6」。一見すると一般的な形状のスマートフォンながら、フリップ機構という独特の仕組みを採用した。

 カメラには、ソニーの最新CMOSセンサー「IMX586」を採用。広角13メガピクセルカメラと、明るいところでは48メガピクセル相当になる12メガピクセルカメラというデュアル構成となる。

 メインカメラがインカメラを兼ねることで、セルフィー撮影(自撮り)する際でも、より高品質な写真を撮影できる。

 そのカメラモジュールを内蔵するフリップ機構を回転させるギア部は、ASUSが今回のために独自開発。ギア数は13、リダクションレシオは1/120で滑らかな動きを実現。その部材はリキッドメタルと呼ばれる製法で製造されている。

 モーターも細かく力を調整しており、これらの仕掛けにより、好みの位置でカメラモジュールの回転を止めて撮影できる「フリーアングル」で撮影することもできる。

 万が一、手から滑って「ZenFone 6」が落下する場合でも、加速度センサーで検知して、速やかにカメラ部が畳まれる。これにより、フリップカメラだけが壊れる、といった状況を防ぐようになっている。

フリーアングルで撮る新たな風景

 フリップカメラの操作は、一見するとわかりづらいが、画面内のシャッターボタンを押しながら上下に指を動かすと、あわせてフリップ機構も動く。

カメラ画面で右下にあるボタンを上下に動かすとフリップする
端末を下向きにしながら筆者の前方向を捉えたところ

 子供やペットの視線で写真を撮る、といった場合も、かがむことなく、ZenFone 6を下に構えてカメラの角度を変えるという形。

 ユニークなのはパノラマ撮影とモーショントラッキング。パノラマ撮影では、垂直、あるいは水平方向の撮影を行う際、ZenFone 6は動かさずフリップ機構だけ動かすことになるため、ブレを抑えて滑らかに撮影できる。

パノラマ撮影

 一方、モーショントラッキングは、被写体をタップで指定すると、その動きにあわせてフリップ機構が動くというもの。ZenFone 6を横向きに構えて、ペットを被写体に撮るといった場面で活躍しそうだ。

狭額縁「ナノエッジ」ディスプレイ

 ZenFone 6のディスプレイは、6.4インチ、アスペクト比19.5:9、フルHD+サイズ。「ナノエッジ」と名乗るほどの狭額縁を実現した。

 これは、フリップカメラを採用したことによる恩恵だ。背面にあるメインカメラがフリップ機構でインカメラにもなることで、前面にインカメラを置く必要がなくなった。

 従っていわゆるノッチや水滴型のくぼみ、あるいはパンチホールが不要となり、ボディの面積に対して92%がディスプレイというオールディスプレイタイプとなった。

5000mAhバッテリーと18W入力を採用したワケ

 ZenFone 6のもうひとつの特徴は、5000mAhという大容量バッテリーとQuick Charge 4.0という高速充電のサポート。

ASUS ハードウェアエンジニアリングリードのTom Lin氏

 最近のハイエンドスマートフォンでは、充電機能でもワイヤレス充電や高速充電の対応が一般的になりつつある。だが、高速充電を実現しようとすると、バッテリー内部の陽極と陰極を分けるセパレーターは一定の厚みが必要になるのだという。

 使い勝手を考えると、より大容量を目指すべきと考えたASUSの開発チームは、ここで高速充電の方法として、「40Wの入力と4000mAhバッテリー(バッテリーサイズは5000mAhと同じ)」「18W入力で5000mAh」「40W入力で5000mAh(バッテリーサイズは6000mAhと同じ、5000mAhより10%大)」という3つの選択肢を検討した。

 ここで検討材料となったのが、充電にかかる時間と長期間使い続けた際の充電サイクル。

 たとえば1日分利用できるだけのバッテリー容量まで充電する場合、他社のスマートフォンで3300mAh/27W入力という場合と、ZenFone 6で採用する5000mAh/18W入力はともに58分で同じ。

 充電に必要な時間は同じであっても、1年、2年とスマートフォンを使っていくと充電回数は変わってくる。大容量のZenFone 6であれば充電回数がおのずと減り、より長きにわたって利用できることに繋がる。

 これにより、バッテリーの膨張や、その性能の劣化も競合他社の3300mAh/27W入力のモデルよりも性能を維持できる――これらが今回、ZenFone 6のバッテリーを選択するにあたって、ASUSの開発チームが考えたことだったという。

独自の最適化、その上で次期Androidを確約

ASUS ソフトウェアエンジニアリングリードのEric Chen氏

 ZenFone 6では、独自のユーザーインターフェイスである「ZenUI 6」を採用。アプリ切り替え、文字入力、通話、フォトギャラリーといった面で、Androidの最適化をはかり、よりスムーズに操作できることを目指した。

 たとえばアプリの切り替えでは、全てのアプリをクリアしてホーム画面に戻るという操作をすると、競合他社(Galaxy S10で0.71秒、Pixel 3 XLで0.65秒)と比べ、0.62秒で完了と、わずかながらも短い時間で処理を完了する。

 機械学習によるメモリ管理「OptiFlex」により、よく利用するアプリをすぐ立ち上げられるようにした。

 このほかユーザーインターフェイス関連では、スマートキーと名付けたキーを、本体右側面の上側に用意した。

 一度押せばGoogleアシスタントを起動、長押しすればGoogleアシスタントへ話しかけて使うモード(ウォーキートーキースタイル)の起動が初期設定となる。

 スマートキーの使い方はカスタマイズでき、マナーモードの切り替え、自動画面回転のON/OFF、フラッシュライトのON/OFF、スクリーンショットの記録、カメラの起動といった機能のショートカットとして使える。

 「プライベートリスニング」と名付けられた機能では、Googleアシスタントやサードパーティのアプリが、音声でメッセージなどプライベートに関わる内容を読み上げる際に、通話用スピーカーで聞こえるようにしている。通常のスピーカーで音を出すと、周囲の人にも聞こえてしまうため用意された機能となる。

 こうしたカスタマイズを施しながらも、次期バージョンのAndroid Qへのアップグレードを行う予定。さらにその次のAndroid Rへのアップグレードも行う。

主な仕様

 チップセットは、クアルコム製のSnapdragon 855で、GPUはAdreno 640。メモリは最大8GB、ストレージは最大256GB(UHF 2.1)。メモリやストレージはエリアによって異なる。

 Wi-Fi(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)やBluetooth 5.0に対応する。DSDSをサポートし、どちらのSIMカードスロットもnanoサイズで、LTEまでサポート。デュアルSIMスロットと別にmicroSDカードスロット(最大2TB)も用意される。

 位置測位ではGPS、GLONASS、GALILEO、QZSSに対応。NFCも用意されるがFeliCaは非対応。バッテリー容量は5000mAhで、Quick Charge 4.0が利用できる。

 3.5mmイヤホンジャックが用意され、本体にはデュアルスピーカーを備える。

 大きさは159.1×75.44×8.4mm(最厚部9.1mm)、重さは190g。ボディカラーはミッドナイトブラック、トワイライトシルバーの2色。