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KDDIとテレビ朝日、「ビデオパス」で協業
放送中ドラマの見放題配信、オリジナル番組の制作などで協力
（2015/8/20 15:04）
KDDIとテレビ朝日は、動画配信事業において協業を行うと発表した。KDDIの提供する動画配信サービス「ビデオパス」にてテレビ朝日のテレビドラマを配信するほか、放送・配信連動コンテンツやオリジナル番組を共同で制作する。
両社の協業の第一弾として、放送中のドラマの再配信では、8月22日より金曜ナイトドラマ「民王」が見放題で独占配信される。放送・配信連動企画では、バラエティ番組「お願い！ランキング」のコーナー「お願い！ビジコンサロン～ホリエモンも驚く画期的ビジネスが続々登場～」の配信が25日より開始される。
10月からは、ビデオパスオリジナルコンテンツとして、秋元康氏企画のAKBグループメンバーが登場するドラマで、ビデオパスでのオリジナルエピソードが配信されることが明らかにされた。9月16日のAKBのイベントにて発表される。
協業の狙い
20日に実施された両社の発表会では、テレビ朝日の常務取締役 角南源五氏とKDDI代表取締役執行役員専務の高橋誠氏が登壇し、両社の取り組みの内容が説明された。
テレビ朝日の角南氏は今回の協業の持つ意味を「インターネット分野においても、プラットフォーマーとして一定のポジションを占めるための提携」と解説した。テレビ朝日では地上波、BS放送、CS放送を中核事業と位置付けている。放送事業は、テレビ局が持つプラットフォーム上（配信・収益化システム）で、テレビ局がコンテンツを企画・制作するという垂直統合の運営モデルとなっている
一方で、スマートフォンやタブレット、スマートテレビの普及によって、コンテンツを視聴するためのデバイスが多様化し、好きなタイミングで見ることができる動画配信サービスも増加している。動画配信サービスにおいても、テレビ局の制作するコンテンツは優位を維持しているが、プラットフォームについては参入障壁が低いため、競争が続いている状況としている。
そのためテレビ朝日では、KDDIとの協業によって、auのユーザー基盤を活用した独自コンテンツを製作することで、プラットフォームについても一定の地位を維持したいと説明した。
両社ではビデオパスの会員数を共通のKPI（重要業績評価指標）として定め、協力してビデオパスのプラットフォームの成長を図っていく。
KDDIの高橋氏は、今回の協業によって、「通信キャリアの持つビッグデータを活用したコンテンツ制作」を推進していく方針を話した。「auスマートパス」が会員数が1300万人となり、「ビデオパス」の会員数は100万人超、「うたパス」の会員数は100万人程度となり、あわせて1500万のユーザーベースを持つ。これらKDDIのサービスから得られた行動履歴データを、テレビ朝日をはじめとするコンテンツプロバイダーに、参考情報として提供することで、求められているコンテンツ制作を促すという。
KDDIでは、同意を得た顧客の情報を、個人が特定できない形の統計データとして収集している。その内容はユーザーの属性データのほか、どの動画をどのタイミングで視聴したという行動履歴も含まれており、統計的に活用することで、「このコンテンツを求める視聴者には、このタイミングで山場を作ると離脱率が低い」といった形の情報を提供できるとしている。
今後両社では、実際のコンテンツ制作における効果的なビッグデータの活用法を模索していく。ただし、KDDIとしてはあくまで参考情報としての提供にとどまり、ビッグデータに基づいて特定のコンテンツの制作を要請することは検討していないという。
顧客情報の活用については、映画やドラマなどのコンテンツ情報データベースもあわせて利用していくという。このデータベースはソケッツ社が提供するもので、作品情報や感情などの情報をメタデータとして分類しているもの。行動履歴とメタデータを掛け合わせて分析することで、そのコンテンツをについて興味があるユーザーに直接提案することが可能になる。
その活用例として高橋氏は、10月より配信開始予定のAKBメンバー出演のオリジナルドラマを提示した。テレビ朝日側が提案したコンテンツだが、ビデオパスのユーザー層の情報と照らし合わせて分析を行った結果、親和性が高いとして、制作に賛成したという。
KDDIでは今後、映像配信プラットフォームをアジア圏で展開していく。同社傘下の音楽配信サービス「KKBOX」に映像配信プラットフォームを統合し、海外での動画配信サービスを開始する予定としている。「KKBOX」は、日本、台湾、香港、タイ、マレーシア、シンガポールでサービスを提供している。
なお、9月1日より、「三太郎」の登場するビデオパスのCMの放送が開始される。
